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更新日:2015年10月2日
この資料は,県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成27年10月2日(金曜日)
11時16分~12時3分 会見室
日経(幹事社):幹事社の日経新聞です。まず,冒頭,知事のほうからご報告があるということでお願いします。
知事:お手元に資料が配布してありますが,第17回世界湖沼会議の(本県)開催が決定したところでありますので,ご報告申し上げたいと思います。
第17回世界湖沼会議は平成30年に開催される予定となっておりますけれども,私ども国際湖沼環境委員会に応募しておりましたところ,先般,茨城に決まったという通知があったところでございます。
平成7年に第6回会議を開催して以来23年ぶりの開催となってまいります。第6回会議以降,様々な取組みを本県としてもやってきているところでありますので,そうしたものを世界に発信する,例えば,霞ヶ浦環境科学センターもつくりましたが,そうしたことも,前回の会議の中で表明して作ったものでございます。
あるいは,世界でどんどん進んでいる知見というものを発表していただいて我々も勉強させていただく,さらには住民の方々,資料に書いてございます参加者数がありますが,茨城県で開催した平成7年の会議では,8,200人ということで,それまでとは格段に多い,20倍ぐらいの参加者になる会議であったわけであります。これはあえて私どもとして,一般市民に入ってもらうという方針を立てて実施した結果でございます。
この開催にあたりまして,湖沼の浄化については研究者だけがやっているではなくて,実践ということが極めて大事であるから一般市民も巻き込んだ形でやろうと,一般市民に湖沼環境をよくするためにみんなが努力していかなくてはいけないとの思いを強くしていただこうということで開催したところであります。
今回,平成30年の会議につきましては,今のところどのくらいの規模にするということは決めておりませんけれども,3千人を上回る規模,3,4千人ぐらいの規模にしていきたいなと思っているところでありますので,よろしくお願い申し上げたいと思います。以上です。
茨城:2回目ということでこの時期に県議会から要望があったり,土浦市の市民の方からもやってはどうかということなのですけれども,霞ヶ浦浄化,この2,3年は良い数字は出てますけれども,なかなか研究者泣かせの湖ということで,いろいろな部分で難しい湖だと言われています。改めて2回目を開催する意義をどう世界に発信していくかというのは,今,知事は現段階でどんなふうに考えていらっしゃいますか。
知事:冒頭申し上げましたように,我々,霞ヶ浦市民協会や霞ヶ浦問題協議会などからも強い要請を受けてきたところでありますけれども,それに加えて,我々自身としても,もう23年経つので,前回(第6回)の会議の結果というものが,どう施策に反映されているか,あるいは市民の活動につながってきているか,ということについて報告していきたいということが大きなものであります。一方で,まだまだ浄化の面では不十分な面もありますので,一般市民を巻き込んだ形での活動を展開していくきっかけにもしていきたいということもあります。そうしたことを含めて今回立候補させていただいたところであります。
茨城:開催は県が主催するという形でよろしいのでしょうか。
知事:ILEC(国際湖沼環境員会)との共催になってまいります。
茨城:現段階で,開催の費用等含めての課題と,成功に向けてどういう準備をしていくかということについて教えてください。
知事:今,予算規模等については具体的には持っておりません。
どれだけの参加者数にするか,あるいはまた,特に海外からの参加者をどれくらいに想定するかによって予算規模が大分変わってまいります。
前回の場合は,できるだけ発展途上国の研究者の方々を茨城にお呼びして,いろいろ,こういう面での研究に参加して欲しいということで開催したものですから,こちらで費用を持って呼ぶ方が大分多かったのですが,今回,その辺をどうするかということも含めてこれから検討していきたいと思います。
茨城放送:参加する市町村の範囲ですとか,その辺もこれからという形になりましょうか。
知事:基本は前回と同じようになってくると思います。霞ヶ浦問題協議会というのが21市町村で構成されていますから,そのあたりが中心になってくるのかなと思います。
日経(幹事社):関東・東北豪雨に関して伺います。今日で3週間以上が経過しているわけなのですが,被害の全容把握ですとか復興に向けた支援というのが,今少しずつ進んでいる状況かと思うのですが,改めて災害の発生から今日までを振り返って,その所感をお願いします。
知事:本当に地球温暖化の影響なのかどうかわかりませんが,大変な災害が起きてしまった。そしてこれから,こういった形の災害が,これまでと比べると発生頻度なども多くなってくるのではないかという点で,大変に心配をしているところです。
私どもとしては,常総市を中心に一番大きな被害を被ってしまったということで,これから災害に強い県土をつくっていかなければいけませんので,国にも強く要望して,河川改修を進めて,堤防の構築なども含めて,やっていただきたいと思っております。
それから,被災者の生活の支援につきましては,避難所に住んでおられる方々をはじめとして,とりあえずは住宅をどうするかということをやっていかなければいけないと思っております。個別に,避難所におられる方,あるいはまた,家が破壊された方々にあたりまして,状況といいますか方針をお聞きしてきたところですが,具体的にそれがどのようになってくるのか。住宅相談につきましても,今度の土,日,月曜日もやるということで実施中ですから,そういったものを踏まえて対応してまいりたいと思っております。
また,被害状況につきましては,住宅について6千戸ほど,全壊あるいはまた大規模半壊等の調査が済んだところであります。ほとんどの家については判断が出ておりますが,まだ,しっかりと判断されていない家も,少しですが,ありますので,そういったところも含めて,最終的に被害状況を判断していきたいと思っております。これが罹災証明を出すための一番の基本になってくるわけですので,それを進めていかなければいけないなと思っております。
それとあわせて,先ほども申し上げました,住宅をどういうかたちで提供していくかということもありますし,また,被災された住宅を再建するのに,被災者の皆さん方がどういう方向でやっていかれるのか,全壊の場合はもちろん造り直すということになりますが,そのほかの半壊などの場合にどうするか,そういうことも含めて,これから,被災者生活再建支援法にのっとりながら担ってまいりますが,県単の制度なども使いながらやっていかなければいけないなと思っております。
そのほかに,先ほどの災害復旧という点で言えば,農地の復旧あるいはまた土地改良施設の復旧などがあります。あるいは農産物の被害に対する補填をどうするのかということもありますし,さらに商工業関係者,まだ十分に把握しきっておりませんが,現段階でも46億円ほどに上っているということで,こういった人たちへの支援をどうしていくかという課題もあります。
さらには当面の大きな課題として,災害廃棄物をどうするか,28日から搬出が開始されたところでありますが,29日からは産業廃棄物協会のほうも加わってやってくれている,今,あそこに5千トンほどありますが,それをまず何日で搬出できるかということも一つのこれからの災害廃棄物対策の目安にもなってくるのかなと思っております。昨日などは,うちのほうといいますか,環境保全事業団のほうだけで120トンほど出しているということでありますから,同じようなペースというか,更に効率的になってくれば,産業廃棄物協会のほうと合わせれば,かなりの量を1日でさばいていけるのかなと思っております。一方で,廃棄物の量がどの位出てくるのかが,まだはっきりつかめていない状況にあります。全壊家屋,大規模半壊家屋,半壊家屋。これまで推計しておりましたのは,床上浸水,床下浸水をもとに,かなり大まかな推計でありますので,今申し上げたような半壊家屋等については含まれておりませんから,そういったものが今どういう状況になっているのか,もう既に一部は運び出されているのか,全然運び出されていないのか,そういうことも含めてこれからしっかり推計していかなくてはいけないなと思っておりますし,かなりの長期戦になってきますので,市のほうでも長期的な計画というものを,しっかりとしたものを作っていきたいと言っておられるようですが,それを支援することも大きな仕事なのかなと思っております。
今,現地の災害対策本部,いろいろボランティアとか救援物資の配付とか,いろいろなことをやってきましたが,現在の大きなテーマとしては,ひとつは災害廃棄物処理対策を市と一緒になってどのように進めるか,もうひとつは先ほど申し上げた住宅対策をどうするかということでありまして,その二つをメインに現地で対策にあたっているところであります。
日経(幹事社):農業に関してもかなりの被害が出ていると伺っています。先般,知事からも収穫後の米の救済に関することなど国に要望されていたと思うのですが,現状で,国からの感触やまた県でこういう支援策をとっていきたいという考えなどがありましたらお願いします。
知事:農業共済制度の上では,田畑にあるものではなくて家に持ってきてしまったものについては補償の対象にならないということは,国のほうからも示されているところでありますが,その一方でやはり具体的なケースを考えますと,雨が降りそうだからというのであわてて刈ってきて家に置いておいたら,それが補償の対象にならなかった,そのまま放っておいたら補償の対象になったというのではやはり心情的にも大変気の毒でありますから,何らかの対策がとれるかどうか,これから国あるいは共済のほうとも協議をしていきたいと思っております。
共同:豪雨災害による全体の被害額についてなのですが,農産物関係32億円ということで推計が出ていますが,そのほかについては,商工関係46億円というのは推計として出ているものなのでしょうか。
知事:ええ。これは一応今まで地元に照会した結果としてはこういうふうな数字になっておりますが,地元でもまだまだ,自分も被災しているということで,調査を十分に行われていない状況です。まだ膨らんでくる可能性は大きいと思います。それから農業関係の32億円ということを今おっしゃられましたが,これは農産物被害だけでありまして,例えば土地改良施設,排水機場とか,そういうものがだいたい42億5千万円ほどございます。そういうものを合わせると,それだけでも75億円ほどになってくるのですが,さらに加えて,ビニールハウスとか,そういった施設などもたくさんありますので,そちらの調査がまだ済んでいない状況にあります。
これがどのぐらい出てくるのか分かりませんが,少なくとも75億円をもうオーバーしているわけですので,かなりの農業関係の被害になってくると思います。
共同:ほかにも土木とか河川の改修費などもかかってくるかと思うのですが,全体の被害額はいつごろ出る予定で,どれぐらいに上りそうでしょうか。
知事:ちょっとそれは今推測できませんが,例えば,住宅,皆さん被害を受けているわけですが,これがいくらぐらいになるかなどといったことは,今の段階でとても想像もつかない状況です。
共同:来週で1カ月になりますが,被害の全体の把握がちょっと遅れているのかなという印象なのですが,この原因は何なのでしょうか。
知事:今回の災害の特徴として,非常に長い間,水が引かなかったということがありまして,調査に入れなかったこともございます。
例えば,家屋の調査,住居の状況の調査につきましても,県が積極的に市に働きかけてスタートしたのですが,被災した方たちも市役所の職員でかなりおりますので,市役所としてはなかなかそこまで手が回らなかったといったような面もございます。
そういったことも踏まえて,被災家屋の被害状況の判断にあたりましても,県と市から一人ずつ人間を出して,一緒にやるような形で実施いたしました。
これは,罹災証明というその後の作業がついてまいりますので。県だけではやれないものですから。市役所の職員が一人は必ず一緒に行かなければならないということになると,市役所は380人ほどしか職員がおりませんから,それで通常業務もあるということになってくると,限界もあったということはあると思います。
いろいろなことがあって,状況把握ということが遅れておりますが,水が引かなかったというのが大変大きな原因でありますし,それから市役所自体も被災してしまったということも原因としてあると思います。浸水区域が40平方キロメートルから2平方キロメートルになるまでに1週間かかっていますから。
読売:住宅対策についてお伺いします。早ければ明日から入居が始まるということですが,現在の知事のお気持ちとして,入居希望者をいつまでに入居を終えたいとお考えなのでしょうか。
知事:それは,いつまでということはありません。
まだ,十分に申し込みされた方たちへの説明も終わっておりません。申し込んで,整理券をもらっていったのだけれども,来られていないという方もおられますので,そういった方々に連絡をして,明日3日から5日まで,さらに入居相談などをやってまいります。
それから,先日行った住宅相談会では,入居相談よりもリフォーム相談が圧倒的に多いのです。リフォーム相談については,市と一緒になってやっていきたいと思います。
入居のほうについても,例えば市内の民間住宅を借り上げることも検討しておりますが,80戸ほどありますが,これは実は全壊世帯しか対象にならないということもありますから,80戸あってもおそらく全壊の世帯が80にならないのではないかと思われますので,そういうことをこれからどう対応していくのかということも一つの課題だと思います。
読売:一義的には市が方針を出すのかもしれませんが,現在の避難所の解消時期については,知事はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
知事:これは住宅の入居が始まって,ある程度の期間が経てば,私は,集約していっていいのではないかと思っております。ただ,住宅に入居するかどうか,今,迷っている最中とか,それもまだスタートしていないという段階で集約してしまうと二度手間になってしまいます。一旦引っ越して,またすぐ引っ越しということで,避難されている方にとっては負担が増えることにもなってしまうものですから,その辺は状況を見ながら市として判断すべきできないかと考えております。
読売:知事の気持ちとしては,例えば,それを10月中に終えたいとか,11月までかかるだろうとかございますか。
知事:できるだけ早くという思いはあります。ただ,それぞれの家庭で相談して,仮にどこかに借りるとしても,いろいろな場所を見てきて,その中から選ばなくてはいけないということになると,意見も分かれることもあるでしょうし,あるいはまた,特に子どもさんのいる方々は,学校に近いところという声も結構あります。そういうことも踏まえて,それぞれのお宅で住居探しされると思いますのでどのぐらい時間がかかるのかというのは,こちらとしては想定できませんので,できるだけ早くということで我々としても応援するということしか言えません。
読売:先ほど家屋の被災調査が終わって6,001棟判断できていると言っておられましたが,知事には,全壊が何%くらいとか,半壊はこれくらいだという情報は入ってきているのでしょうか。
知事:数字はもらっています。もう少し精査して,例えば,判断が非常に難しいのは,きのうも両陛下にご覧いただいた向こう側のところで,皆さん,NHKのニュースで,石を投げていた子どもがいた画像を見ておりますか。あの家は,上はしっかりしているのです。ですから,全壊というのか半壊というのか,建物としてはしっかりしている。ただ,下がえぐられてしまっている。それでそこにすぐ行けない。こういうところをどういう被害と判定するのかとか,非常に難しい問題がありまして,調整をしながら進めているところです。
読売:全壊は,80棟では足りないとおっしゃったでしょうか。
知事:今の状況ですと,80戸まではいきません。
朝日:先ほど賃貸アパートに入れる対象が全壊のみで課題があるという言及もありましたが,確かに現地で取材をしていると,例えば,賃貸アパートに住んでいた方で,浸水が半壊レベルなのですが退去せざるを得なくなって,その方たちも同じく住む場所がないという状況でかなり深刻だなと思ったのですが,なるべく常総市内で再建したいという方が多い中で,賃貸アパートはなかなか対象にならない。公的住宅も11戸しかないということになると,市内で住むのが絶望的なのかなと打ちひしがれている人もいるのですが,そういう方たちへの対応というのは今後どうなるのでしょうか。
知事:例えば,つくばでも結構近いのですよね。ですから,(時間的)負担は増えることになりますが,公的住宅の近くのところを選んでいただくことしか方法はないのかなと思っております。これまでのさまざまな災害の場合にも,自分の住む地域だけでということではなかなか進んでこなかったわけでありますので。
ただ,子どもさんの関係とかいろいろありますから,そういう事情も加味しながら,我々としては住む場所を選定していきたいと思っております。
朝日:小学校区に住めなくなって転校せざるを得ないのか,それとも,つくばに住んでいる方がいるとしたらバスで送るなり,そういう手当てというのは何か考えていらっしゃいますでしょうか。
知事:それは具体的には地元の市の教育委員会のほうで判断してもらうことになりますが,つくばといっても200戸,かなりばらばらに離れてまいりますから,たくさんいる場合には,多分,そういう方法も考えられるかもしれませんが,これから状況を見ながらの判断だと思います。
転校というのではなく,なるべく元の学校へ通いたいという人が多いと思いますので,その辺も含めて教育委員会で検討されていくと思います。
朝日:住宅の応急修理制度も国のほうでメニューとして用意されていますが,原則として,災害発生より1カ月以内とされていて,まだり災証明が出ていないのにきついのではないかという声が上がっていたり,半壊の場合は所得の制限があって,年収で500万円となると共働きになるとすぐに超えてしまって対象にならないというので困ったという声もあるのですが,そのあたりどうお考えでしょうか。
知事:期間につきましては,先ほど申し上げましたように,今回の水害の特徴として,水が引かなく,なかなか現状把握等が早く進まなかったということも含めて,何とか国にも延ばしてもらうように言っていきたいと思いますし,延ばしてもらわなくては非常に困ると思っております。
ただ,所得制限につきましては,これは県ではいかんともしようがないものですから,国に何とかならないかということは要請はしておりますが,今の段階では何とも言えません。
朝日:例えば,新潟県などでは県の独自制度で,上乗せ・横出しして,金額の上乗せをしたり所得制限無しというような独自制度を災害ごとに設けたりするような例もあるのですが,何か県で独自救済を考えていることがあればお願いします。
知事:応急修理については今のところ考えておりません。新しい被災者生活再建支援補助制度を今年度からスタートしたところでありますので,県としてもそういう方面でもお金もかかってくる。あるいはまた,災害見舞金の制度などもこれから運用していかなくてはいけない。いろいろなことがあるものですから,そこについて新潟県がやったからというので,茨城県もすぐということにはなかなかならないのかなと思っています。
朝日:半壊の方が結構厳しい状況で,被災者生活再建支援金も受け取れないし,リフォームも所得が超える分に関しては受け取れないとなると,県の見舞金3万円しか当てにできないのではないかという嘆きの声も聞こえるのですが,やはり難しいでしょうか。
知事:市のほうの見舞金も多分出ていくのだと思いますけれども。
朝日:義援金ですか。
知事:市の予算,この間,補正予算の中に入っているのではないかと思いますけれどもね。
朝日:市の見舞金ですね。
知事:そういったものとか,義援金をどういうふうに配分するか,その辺も含めて,全壊と大規模半壊だけにしてしまうのかどうか。亡くなられた方はもちろん,対象にすると思いますが,それ以外にどこまで広げるのかということも課題になってくると思います。
この間の東日本大震災のときは,全壊,大規模半壊が非常に多かったものですから,そこでストップしてしまいましたが,今度は大規模半壊が何軒になるのか承知しておりませんが,少なくとも全壊というのは100はいきません。そうすると,大規模半壊と合せてどのぐらいが対象になってくるのか。それを見ながら配分方法を決めていくということになりますから,そういったことなどもこれから検討していかなくてはいけないと思います。
産経:災害廃棄物の問題で,先日,環境副大臣がいらっしゃったときに,副知事のほうから県外への処理も考えなくてはいけないというような発言がありまして,それに対して副大臣から記者に対して,検討する必要もあるかもしれないというような話があったのですが,県として,最終的な処分を県外へ要請していく,国に要請していくということはあり得るのかという点と,処理費用の問題で,市のほうは1割の負担が重くのしかかるというような話があったのですが,副大臣からは基本的に1割は負担してほしいというような話がありまして,今後も1割負担を軽減するように国に求めていくのかどうか,さらに,もし1割が市の負担になってしまった場合には,県から何か補助するとか,県のほうで手を差し伸べるおつもりがあるのかということを教えてください。
知事:確か,副大臣は,1割の負担については,いろいろこれからも検討していきましょうという感じの発言をされたと思うのですが,総論は大変いい形で言ってくれるのですが,具体の話になると,その1割をはじめとして,必ずしも地元が求めている答えが返ってきていない。常総市にとっては極めて大きな負担となってまいりますから,これからどうやってそれをカバーしていくのかというのは,みんなで考えていかなくてはいけないと思っています。国も含め,あるいはまた,県も含め考えていかないと,常総市だけでは大変大きな負担になってしまうのかなと思っています。
それから,県外へ出すかどうかということについては,今まだ廃棄物の量がわかりませんので,例えば,今まで2万4,000トンと言われてきていましたが,これよりはかなり大きくなってまいります。ただ,かなり大きくなっても,そんな県外まで出さないといけないような量になるかどうかということになると,それはそこまでいくのかどうかまだわかりません。その量も見ながらということになってくると思います。それから,作業体制も見ながらということになると思います。量的に,絶対に受け入れきれない量かというと,そんなことはないと思いますので,それをどういう形で処理するか,この処理のスピードなども考えながら,市のほうで今度具体的な計画を立てていきたいということでありますから,県も応援しながらやっていきたいと思います。
産経:1割負担の件ですが,副大臣が会談後に記者に対してお話しした中では,広島の土砂災害を引き合いに出されて,広島の土砂災害は1割を全て広島市が負担したということで,それよりも廃棄物の量は少なくなるのではないかというような見通しを示されて,そういった場合は国のほうで負担するのは難しいというような認識を示されたのですが,それに対して,県も引き続き要望していくということでよろしいでしょうか。
知事:副大臣の答えとしては,そのとき,100%国の負担は制度上難しいと。現行制度を柔軟・適切に適用という発言があったという報告を受けているのですが,柔軟・適切に適用するということがどういうことなのか,さっぱりこの文章からは見当がつきません。今,囲み取材の時にお答えがあったような形で国は考えているようですが,何らかの形ができないのかどうか,県としてもこれから考えていかなくてはいけないと思っています。
基本的にどのぐらいの負担になってくるのか,先ほど申し上げた廃棄物の量によって負担額が大分変ってきますので,そこを見ながらということになると思います。
ある程度の負担であれば,それは当然,市でしていかなくてはいけないでしょうし,それが市としてものすごい重荷になってしまって,その後の市政運営にも差し支えが出てくるといったような金額になるのかどうか,その辺を見ていく必要があるだろうと思います。
産経:ものすごく重荷になってしまうような場合には,国に対しても当然要望していくし,それがもし駄目だった場合には,県として何らかそういう支援を行うお考えはあるのでしょうか。
知事:国のからは,今お話があったように,広島の例ももとにしながら,なかなか難しいという感触がありますが,何か方法がないのか,これからも接触は続けていきたいと思います。
県のほうはまたそれが終わってからの話ですので。量がどのぐらいになってくるのかを見てからでないと。
NHK:発災直後の検証というのは,以前,臨時会見で若干お話を伺っているかと思うのですが,その後,進んだところはありますでしょうか。
知事:部ごとに対応がどうだったかということはやっておりますが,それとどういう原因でということは,関東地方整備局のほうで取りかかってくれております。そういったことを踏まえながらこれからやっていく。
今,例えば,総務部ですと,具体的にどんな問題があったのかという勉強をしているところですが,それを全庁的にも当然やっていかなくてはいけないと思っております。
あまり早くもやれませんが,あまり遅くなっても記憶が薄れてしまいますから,適当な時期にしっかりやっていきたいと思います。
NHK:行方不明者が15名から突然ゼロになった件について,若干,行政の側の作業というのが遅れに失した感が否めないと感じておりまして,もう少し早い段階で公表して,行方不明者がいないということを確認した上で次の動きに移るということに関して,初動の遅れがあったような気がするのですが,この辺はどのように感じておりますか。
知事:基本的には,市町村か県警からの情報を我々は得て,それを発表するという形になっております。市のほうでは,基本的に,どこか屋根の上に乗って流れている人を見たけれどもという話が来たとすると,ほとんど行方不明者という扱いにしてしまっていた。そのために,一時,多分,20人を超すような数字にもなっていたと思います。
一方で,県警のほうでは,ただそれだけでは行方不明者という基準にはならないのではないかということで,そのやり方についてはやや疑問を感じていた。市と県警との間での連携なども必ずしも現場で十分にされていなかった。
15人見つかりましたということの後の発表という点では,これは間違いなく遅すぎたというのは事実であります。ただ,その前の段階での15人についてどう考えるかということについては,もうちょっとやり方を考えていく必要があるのではないかということで,今,既にほかの都道府県のやり方などについても調べておりますので,これから三者の連携をどういう形でとっていくかということについては,十分詰めていきたいと思います。
NHK:もうちょっと早い段階で実名が公表されていれば,かなり無駄な時間を過ごさずに済んだのではないかという印象を持っておるのですが,知事としては,その辺のお考え,共有していただけるでしょうか。
知事:実は,行方不明というか,今回亡くなられた方などの中でも,名前はあまり出してほしくないというような方もおられます。ですから,個人情報の保護との絡みもあって,どういう形で出すかということについて,実は我々のほうには(名前などの情報は)全然来ていないのです。それは市と県警はそれぞれ持っているかもしれないけれども,我々のほうには一つも来ていない。そういう状況ですから,我々として,それを出せとか,出すなとかいうことはなかなか判断はできませんが,ただ,15名ということでわかっているのであれば,名前を出すよりも,個別に調べていけばいいのだろうという感じはいたします。そうすれば,15人がいつも15人という格好で続くということはなかったのではないかと思います。
NHK:一つの線引きとして,発災から72時間というのが命の危険がある方のタイムリミットと言われます。9月13日の段階なのですが,その前の12日の夜には,確か,県のほうにも被害者のリストが届いていたかと思うのですが,その間1日ほどあり,ここで発表して不明者がいるかいないのかということを精査するというタイミングがあったのかなと感じているのですが,いかがでしょうか。
知事:12日にもらったかどうかは別にしまして,その後,警察のほうでも,すぐ具体的にどういう状況にあるかということを調べて,それで15人の存否が明らかになったということは事実でありますので,そういうことを最初から,少なくとも市町村のほうでも,いろいろな連絡があった分を全部積み上げて出してしまうということではなくて,市と警察とで少しすり合わせをやっていく必要があるのだろうと思います。そういったことも含めてこれからの課題と考えて,近隣の県などの状況は調べ上げております。
読売:災害対策本部の体制について確認させていただきたいのですが,地域防災計画上の位置づけとしては,応急対応が主な役割かと思うのですが,東日本大震災のときは大体3年ぐらい引っ張ったと聞いていますが,今回はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
知事:今,我々が大きな仕事としてやっているのは,先ほど申し上げましたように,災害廃棄物の関係,それから,住居の関係,この2つがある程度めどがついてくれば,県の災害対策本部としては解散してもいいのではないかと思っております。
ただ,県としては,その後も,今も20人ほど市の各部署に入る形で派遣しておりますが,そういう応援をする。あるいは,何か特別に市として困ったことが出てくれば,県として個別に相談に応じるという形でやっていきたいと思っています。
朝日:知事は,以前から,国の制度だけでは被災者の支援が不十分であるとおっしゃっていますが,今回そういった不十分さを補うために,県独自の制度の創設のようなことをお考えでしょうか。
知事:住宅で考えていないということではなくて,実は,住宅は今年から新しい制度をちょうど導入したばかりなのです。被災者生活再建支援補助制度という形で,市町村が被災者生活再建支援法の対象にならない住宅に対して補助した場合には,県が応援しますよという制度を今年つくったのです。ですから,それはもちろん適用してまいります。
県の予算が当初予算で900万円だったと思いますが,とてもそれでは足りなくなってくるかと思いますので,そういったことについてはちゃんと対応していきますし,また,そのほかの災害見舞金制度なども,最近,改定したばかりなのです。ですから,そういうものをすぐこれにあわせて改定する必要があるのかどうか。例えば,仮に今回のサイズだからというので,ある程度の金額を高めに設定して,例えば,一部損壊まで含めて,東日本大震災に適用したとすれば,18万7,000戸ほどが一部損壊と出ているのです。これに1戸当たり5万円ずつ仮に今よりもプラスしたとしても,90億円,100億円かかってしまう。ですから,その辺をどういうふうにこれから考えるのか。今後とも成り立つような制度にしなくてはいけませんから,その辺も含めて検討していく必要があるのかなと思っています。
今,農業支援なども含めて,これから検討をしていって,予算に反映させるという形でやっていきたいと思っています。
朝日:今,予算のお話がありましたが,大きく予算措置の必要が出てくると思います。第4回定例会に提案するのか,それとも専決にするのか臨時議会を招集するのか等,大まかなスケジュール感のようなものを教えていただけますでしょうか。
知事:対象として,被災者の生活支援の分野があります。あるいは,道路とか土地改良とか,そういう分野があります。そして,もう一つは,農産物とか商工業関係の支援とか,そういう分野がありますので,それぞれの中で非常に急ぐものについては,場合によっては,議会にもお願いして専決しなくてはいけないかもしれない。あるいはまた,ほかの部分については,金額がある程度大きくなりますから,議会と相談して,どういうふうな形にするのか。例えば,それも急ぐだろうから専決でいいよという話になるのか,あるいはまた,臨時議会でも開くという話になるのか。多分,道路とか土地改良などについてはかなりの金額になってくると思いますので,我々,そこについては議会と十分相談していきたいと思っています。
朝日:公的住宅の入居について,最速で10月3日というお話でしたが,どんな見通しをお持ちですか。
知事:明日,1名の方が確定したそうです。
共同:先ほど,氏名公表の関連で,亡くなった方の家族が出してほしくないということをお話しされましたが,これまで,市のレクだとか会見の中ではそういった点に触れられていなかったのですが,これは県のほうで確認をされたということなのですか。
知事:いえ,後で聞いた話です。県はそちらと直接接触しておりませんから。あくまで行方不明者は市なり県警が窓口になっておりますから。
共同:災害対策本部からそのように県が聞いたということなのですか。
知事:私は県の職員から聞いたので,どこから聞いたのかということははっきり承知しておりません。
茨城:魅力度ランキングの件でお聞きしたいのですが,率直にあの結果についてどのようにお考えでしょうか。
知事:魅力度ランキングの調査方法などを聞いてみると,「魅力があるか」という問いに対して,「どちらでもない」という答えが茨城県については非常に多くなっているのです。ですから,そういうことなども踏まえて考えてみた場合に,そんなに来たくない県というわけではない。観光客の数から言うと,茨城県は結構上のほうになっておりますので,あの数字に別に踊らされることもないだろう。ただ,この順位ばかり周りで言われるので,それは非常に困ったものだと思っていますので,少なくとも茨城新聞はそういうことをやらないように書いていただければありがたいと思います。
どうしても,何年も書かれていると県民の方もそういう意識になってしまうのです。そして,今回の場合,ちょっと残念なのは,自分の県を誇りに思うという人の割合の順位がちょっと下がってしまったので,そこの部分をしっかりしていく必要があるのかなと思っております。
日経(幹事社):ありがとうございました。
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