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更新日:2015年4月6日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
・平成26年通年(1~12月)工場立地動向調査の結果について
・「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」について
(作成:広報広聴課)
平成27年4月3日(金曜日)
11時16分~11時44分 会見室
NHK(幹事社):幹事社のNHKです。まず新年度1回目ということですので,新年度に当たっての所感,それから抱負をお伺いできますか。
知事:第一には,着実に進んできているとはいえ,災害からの復旧・復興,特に風評被害がかなり残っておりますので,これを克服できるように努力していかなくてはいけないと思っています。
それから,あとは,これまでいつも申し上げていますとおり,産業大県・生活大県づくりということで,「人が輝く 元気で住みよい いばらきづくり」を着実に進めていきたいと思っておりますが,そういった中で,今年度の場合には,特に,人口減少対策,地方創生ということが大きな課題になっているところです。県でも地方創生室を設置しましたので,そこを中心にして,まち・ひと・しごと創生本部の中でしっかりとした対策を検討していきたいと思っています。
また,あわせて,昨年かなり進展しましたが,「世界に開かれたいばらきづくり」といいますか,そういった面でも大きな進展があるのではないかと期待しておりますし,さらに,女性政策統括監を設置しましたので,女性の活躍についても期待しているところです。
また,圏央道が境古河インターチェンジまで伸びてまいりました。だんだん先が見えてきて,平成27年度中の県内全区間供用開始に向けた明るい希望が出てきたのではないかと思っておりますので,それに伴って企業誘致なども活発化するのではないかと思っています。
NHK(幹事社):今のお話の中で,「世界に開かれたいばらきづくり」ということで,大きな進展があるのではないかということをおっしゃっておられましたが,これについてもう少し具体的にお願いします。
知事:具体的な話は別にあるわけではありません。ただ,昨年,きっかけづくりという意味では,大分進展が見られましたものですから,ジェトロなどと一緒になって,商談会その他に積極的に参加していきたいと思っております。
先週(3月28日に),シェラトン・ハノイ・ホテルが,(ベトナム国会議事堂で開催された)列国議会同盟の会議において,1,700人の参加者の方々に常陸牛を提供していただいたということで,大変ありがたく思っておりますが,海外での販売推奨店などもつくらせてもらったところから動きが広がっていくのではないかと期待しています。
メニューを見ましたら,「HITACHI Beef」ときちんと書いてありまして,そういった点でも常陸牛が有名にといいますか,世界の首脳達に食べていただいたということについてはありがたいと思っています。
NHK(幹事社):先般,「学校健康教育行政及び労働安全衛生の推進に関する調査」の結果が公表されまして,その中でUPZ内での学校の避難訓練の実施状況,それから避難計画等の策定状況などが明らかになったわけですが,茨城県の場合には43%で既に訓練を実施しているということなのですが,この辺についての評価,それから実施していない学校についての今後の指導等,お考えがありましたらお聞かせ願います。
知事:(本県の実施率は)43%ということで,全国平均の34.4%よりは10%ほど高くなっていますが,決していい数字ではないと思っております。
大洗町や東海村,あるいはまた,その周辺のひたちなか市,那珂市,あるいは鉾田市,茨城町,こういったところは6割以上,あるいは6割前後ということで,かなり意識も高くなってきているのではないかと思っていますが,まだまだ全体として見れば十分にそういった意識が浸透していないのではないかと思っております。
公立学校全てで防災訓練は何らかの形で実施しておりますので,そういった形で(原子力災害を想定した)避難訓練もできるように,教育委員会とも協議をしていきたいと思っております。
朝日:来週月曜日に指定廃棄物一時保管市町長会議がありますが,どのような議論を期待されますか。
知事:一括保管にするか分散保管にするかということについて,前回の市町村長会議でもかなりの意見が出たところですが,私どもが聞いていたところでは,分散保管の意見のほうが強いのかなと思っておりますが,ただ,分散保管するにしても様々な問題があります。先般も,副大臣が言っておられましたが,例えば,今の補助制度は一括保管を前提にして補助金ができている,そうすると,分散保管するときに,安全な分散保管体制をつくるためにどのような補助制度,支援が国からなされるのかということがはっきりしないといったこともございますし,そのほか,地域支援策がどうなるのかなど,そういったことについても一括保管を前提にしているので,今の段階では必ずしもはっきりしたことは言えないといったことを環境副大臣がおっしゃっておられますので,そういったことなども含めて,環境省の考えをしっかり聞いていく必要があるのだろうと思っています。その上での議論ということになると思います。
朝日:追加なのですが,未指定廃棄物,指定されていない廃棄物も,今の方向性として指定廃棄物と同じような形で分散保管するという形になっていくのでしょうか。
知事:民間事業者の場合には指定申請が義務づけされていないのです。私は,これはちょっと制度としてどうかなという感じは持っておりますが,我々としては,同じような扱いをできるだけ環境省にはしてほしい,国が責任を持って安全を確保してほしいと思っております。
今度の会議には,未指定の廃棄物しかない市町村も参加をしてもらうことになっております。
茨城:今月に統一地方選がありますが,県内外含めてどのようなことが争点になり,またどのような議論を期待されるか,お考えをお聞かせください。
知事:昨年,消滅可能性都市ということがかなりショッキングな話題になりましたが,前々からわかっていたこととはいえ,ああいう形で公表されますと,皆さん,かなり大きな課題として受け止めているのではないかと思います。
そういった点で,人口減少対策,ひいては地方創生ということが大きな課題になってくるのかなと思っております。
あるいはまた,それとあわせて,自分達の住んでいる地域をどうやって活力のある地域にしていくか,企業誘致などにどう取り組むか,そういったことなども出てくると思います。
いずれにしても,地域の活性化ということが一番の課題になってくるのかなと思っています。
ただ,地域ごとにいろいろ課題が違いますので,福祉の問題もあるかもしれませんし,教育の問題もあるかもしれません。ですから,それはそれぞれの地域で状況に応じた議論がなされていけばいいのだろうと思います。
茨城:また新年度の抱負について,地方創生というお話がありましたが,県として,改めて地方創生にこの1年間どのように取り組んでいくのか,決意をお聞かせください。
知事:茨城の場合,企業立地なども比較的順調に進んできましたので,私は,いい方向に向いていると思って県政を進めてきておりましたが,東日本大震災・原発事故で様相が一変してしまいました。この4年間で約4万9,500人も人口が減っているということで,大変大きな変化だと思っております。その中には,自然減ということで,少子化対策に必死で取り組んでも避けられないような課題もあります。
ただ,一方で,社会減が若干大きくなってきておりますので,この面での対応を考えていく。そのためには,やはり企業誘致などが大事だろうと思いますし,それが,ひいては地方創生に結びついていくのだろうと思っています。
また,あわせて,交流人口の確保等々も課題になってまいりますし,あるいは,今の状況のままであっても地域をどうやって活力に満ちた地域にしていくかということも課題になってまいります。
そしてまた,そういう施策を講じていく上で,国ももちろんでありますが,県と市町村との連携,これも大変重要なことになってくると思いますので,そういったことを十分意識しながら対応していきたいと思っています。
茨城:昨日,国が子どもの貧困対策に関して国民運動という形でスタートさせましたが,本県でもひとり親等に図書カードを支給するなどいろいろ始まったところですが,子どもの貧困の比率が16.3%,6人に1人という数字を聞いて,率直な感想を教えてもらえますでしょうか。
知事:子どもの貧困対策ということは,結局,親の対策ということになってくるわけでありまして,今,例えば,これまでとは違って非正規雇用の方たちが非常に増えてきている。それも本人が望んでパートになっているのではない人たちが非常に増えてきている。これはやはり,これからの日本経済にとって大きな課題だろうと思っております。年収200万円以下が1,000万人というデータもあるわけでありまして,そういった状況をどうやって改善していくのか。日本経済全体の問題でもあります。まず根底をしっかり対応していかなくてはいけません。
それとあわせて,現在そういう状況になってしまっているものにどう対応していくかということだろうと思います。
貧困対策の法律もつくられているところでありますので,こうしたことを踏まえて,ひとり親家庭等へ図書カードを配布する。これも多分ユニークな制度だと思いますけれども,これについても,残念ながら消費喚起型の交付金は平成27年度しか使えませんので,その後どうするかという課題などが出てまいります。
いずれにしても,貧困対策については,みんなで考えていかなくてはいけないし,国を挙げて取り組んでほしいと思っております。
茨城:特に,学習面での支援は非常に大切なのかなと思うのですが,龍ケ崎市でNPOがやっている無料塾などを取材しますと,場所を見つけることだったり,教える側の人材の確保だったり育成だったりという部分ではまだまだ足りなくて,しかも実際にやっているところは民間が中心になっているというところもあり,もっともっと行政側の支援や整備が大切なのかなと思うのですが,県としても,その辺はどうやって力を入れていくことになるのでしょうか。
知事: 社会福祉協議会なども新しく取組みを始めておりますが,そうした面で,自治体も十分支援していく必要があるのだろうと思っています。
ただ,一方で,貧困対策とはちょっと違うかもしれませんが,落ちこぼれになってしまう子どもたちをできるだけ少なくしたいということで,これまでも学びの広場サポートプランという事業をやってまいりました。これは,学力の底上げという点で,大分,効果を発揮しているのではないかと思いますが,小学校だけではなく,中学校でもそのような現象が見られるということで,今年度から,中学生に対しても実施することにしております。
そうしたことなども貧困対策,また,勉学の面で厳しい環境に置かれている子どもたちにとって役に立ってくれるのかなと思っております。
もちろん,今おっしゃったような貧困家庭の子どもたちが勉学の機会に恵まれていないということについては,これから対応策を考えていかなければいけないと思っています。
茨城:現状,先ほどの龍ケ崎市の塾を取材すると,1日の食事の中心は給食を食べることがメインで,朝晩は抜いているというような子どもたちもいるというお話も受けましたので,実態を把握するということも大切なのかなと思うのですが,県内でどのぐらいの貧困率なのかというのは数値的にないものと思っているのですが,そういった調査もする必要があるのかなと思うのですが,その点はいかがでしょうか。
知事:今の話で言うと,食事を抜いてくるということですが,一応,生活保護という制度があるわけですよね。生活保護のレベルが低いかというと,最近まで最低賃金よりも生活保護のほうが高い地域もあったぐらいのレベルにあるわけですから,食事ができない状況なのかどうかということについては,私は生活保護を受けておられる方々が工夫をすればやっていけるレベルなのではないかなと思っております。
ただ,非常にいろいろな点で厳しい状況に置かれている子どもが多いということについては対応はしていかなくてはいけないと思います。
今おっしゃったような,子どもが朝御飯を食べられないというようなことについては,それは生活保護対策としてしっかりと講じていくべきだろうと思っています。
茨城:生活保護を受けることで,車が持てないとか,いろいろな面でぎりぎりのところでやっているところが多いとお聞きしておりまして,その辺が難しいところなのかなと思うところもあるのですがいかがでしょうか。
知事:それは,具体的に不便が出ているということであれば,生活保護の制度を変えるようにしていけばいいのであって,国,国民全体としての対応が私は必要になるのだろうと思います。
朝日:先ほどの質問に関連なのですが,県内の生活保護受給世帯の子どもの高校・大学の進学率がかなり全国より低い状況にあると思うのですが,これに関してどのようなお考えで,どう分析されていますでしょうか。
知事:分析というのは,具体的にこれまでやってきたかと言われると,私はその状況を承知しておりません。いずれにしても,生活保護を受けていることによって教育の機会が失われるということについては,これはできるだけ解消していかなくてはいけないと思っております。
ですから,ひとり親家庭等への図書カード配布なども,私のアイデアでつくった制度でありますが,そうした面で,今回,いろいろな貧困が課題になっている中で対応はしていかなくてはいけないだろうと思っています。
それから,(大学)進学率その他については,徐々に差は縮まってきているのだろうと思っております。本県の場合,その割合がやや低かったわけですが,今,上がってきているのではないかなと思いますが,これは後で調べた上でまた返事します。
※改めて調べたところ,本県の大学等の進学率は平成22年3月卒までは上昇しておりましたが,平成23年3月卒からは下降傾向です。
また,本県の高校の進学率は,上昇傾向で全国の進学率よりも常に上回っている状況です。
東京:将来の電源構成比率についてお聞きしたいのですが,あくまでまだ議論は深まってはいないと思うのですが,自民党の調査会が,2030年を目途にベースロード電源を6割程度に戻すというような案を示しているのですが,そうなると原発で2割程度を賄わなければならないということになるのですが,この原発2割という数字について率直にどのように思われますでしょうか。
知事:どういう分析をして2割を原発にしなくてはいけないのかということについて十分説明がなされているとは思いませんので,何とも答えようがありません。
ただ一方で,今,私が非常に心配していますのは石炭火力がどんどん増えてきているということでありまして,地球温暖化防止という大変大きなテーマもある中で,本県の場合,最近できているのはほとんどが石炭火力になってきております。そうしたことについてどう考えるのかということも十分議論していく必要があるのだろうと思っています。
東京:この2割という数字については高いと思われますか。
知事:それはその根拠をよく聞いてみないと判断はできませんけれども。
東京:原発で2割を賄う場合には,運転開始から40年を超えた老朽原発を動かす可能性も出て来ると思うのですが,その辺についてはどのように思われますか。
知事:老朽原発をどうするかということについては,それは新しい規制基準にしっかり対応できているかという問題と,それに加えて,40年を超えるときにどういうふうなチェックをするのかということになってくるのだろうと思います。安全性はしっかり徹底して検証してもらわなくてはいけないのだろうと思いますし,また,もしそういうことになってくれば,我々も県の原子力安全対策委員会のほうでしっかり検討していかなくてはいけないと思っています。
東京:40年を超えても再稼働はありというようなことでしょうか。
知事:そこについては安全性が一番の基本で,その上で本当にそれを再稼働させなくてはいけないかどうかということを,周りの状況を見ながら判断していくべきことだろうと思っています。
○平成26年通年(1~12月)工場立地動向調査の結果について
茨城:県内の企業立地が2年連続で1位(電気業を除く)ということになりましたが,知事としてどのように評価され,どのような要因があったとお考えでしょうか。
知事:先ほども申し上げましたが,インフラが整備されつつあるということが大きいのではないかと思っています。特に圏央道の影響というものがかなり出ていると思っています。
あるいはまた,国のほうに一生懸命要請しまして,さまざまな補助制度ができておりますので,そういった補助制度などの効果もあるのかなと思っています。
ただ,一方で,補助制度はできていても,沿岸部は人口減少が大変厳しい状況にありますので,今の状況で安心していいのかというと,そんなことではないと思います。
そして,先ほども申し上げましたが,企業立地が日本一であるにもかかわらず人口減少,社会減少がかなり進んでいるということについては,大変心配しています。
茨城:今後,県として具体的にどのように取り組んでいくというお考えでしょうか。
知事:茨城県に立地することのメリットをできるだけ多くの人に知ってもらうことです。そのために,本県の場合,本当にこまめに企業訪問などもさせてもらっておりますし,あるいは,いろいろな企業誘致の説明会なども東京ではもちろんやっておりますし,関西でもやっております。そういったことなども含めて,インフラの整備が進んでいるとか,土地が安いとか,そういったことについてしっかり認識してもらった上で立地を促進していきたいと思っています。
毎日:4月1日から県障害者権利条例(「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」)が施行されまして,専用の相談窓口も設置されたということですが,水戸に1カ所,専門の相談支援員が3人ということで,なかなか当事者の方々からは,地域がばらけていて使いづらいという声もあるようなのですが,このあたり見直しの方向性については,知事はどのようにお考えでしょうか。
知事:昨日,私も,自閉症啓発デーということで,イオンで開かれた,音楽祭と,世界で同時に青色のライトアップを行うライト・イット・アップ・ブルーというイベントに出てまいりましたが,例えば,今回の相談窓口の設置だけではなくて,自閉症の例で言うと,発達障害者支援センターというのは別にあります。ですから,いろいろなものがどういう状況で使われていくかというのを見ながらやっていきたいと思います。
毎日:条例に基づく窓口だけではなくて,いろいろな窓口を活用してもらうということで差別解消を図っていく,相談を図っていくということですか。
知事:そうですね。せっかく条例をつくりましたから,これによって相談が増えてきているとか,そういう状況があれば増やしていかなければいけないと思いますが,需要がどのぐらいあるのかが今のところわかりませんので,観念的に足りないのではないかと言われただけでは,すぐ対応するというわけにいかないだろうと思います。
茨城放送:今月から始めた「いばらきエコスタイル」について,クールビズよりもさらに進ませたというところになるのか,その辺をお伺いできますか。
知事:ほとんどの月が何かしら,クールビズとかウォームビズになってしまっている。2か月だけ除いておくのが意味があるだろうか。それだったら思い切って,年間を通じてその状況に応じた服装をすることによって,相手に不快感を与えない範囲で快適な勤務状態をつくっていきたいということで,年間を通じたシステムにさせてもらったところです。
例えば,底冷えしているときに,クールビズだからというので,無理やり寒い格好をしているというのもなんですし,あるいはまた,ウォームビズだからというので,相当暑いときに何か余分に着ているのも変だということで,この辺は個々人の判断で,人によっても感じ方は大分違いますから,自分が一番快適だと思う服装をしてもらう。ただし,これは節度というものがあって,県民の方々に不快感を与えないようにしてもらう。あるいはまた,業務に支障がないようにしてもらう。そういったことは必要だろうと思いますが,それは個々人で判断してもらいたいと思います。
茨城放送:そもそもの目的というのは,不快感を与えないようにということもあるでしょうし,また,電気料金を少しでも抑えなければというところもあるのか,その辺はどうでしょうか。
知事:電気代のほうも,もともと,省エネということは目標の一つにはあるわけでありますが,それだけではなくて,今までのネクタイをしなければという習慣なども,ネクタイをしないで勤務するという習慣にだんだん変わっていくのかもしれませんし,世の中の動きが少しずつ変わってきているのかなという感じは持っております。
例えば,IT企業などを見ていますと,結構,ネクタイをしないで自由に活動しやすい格好で勤めている方が多いような気もしますし,業種などによっても変わってきているのかなと思います。
NHK(幹事社):それでは,どうもありがとうございました。
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