ここから本文です。
更新日:2015年3月24日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
東京電力による損害賠償打ち切りに対する農家の集団申立てについて
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合に係る建築物について
(作成:広報広聴課)
平成27年3月23日(月曜日)
11時16分~11時40分 会見室
読売(幹事社):幹事社の読売新聞です。3月11日で震災から4年が経過しましたが,10日の記者会見で安倍首相は,来年3月で集中復興期間が終わることを踏まえて次の5年間の新たな復興支援の枠組みを今年の夏までに策定することを表明しました。また,全額国費負担を維持する事業と,地方にも一定の負担を求める事業の仕分けを行う方針とも伝えられています。県内の状況を見ますと,液状化被害が大きかった鹿嶋,潮来,稲敷,神栖などは,液状化対策事業の期間延長を含めた長期的な支援を国に要望してもおります。こうした状況を踏まえて,知事として,この新たな復興支援の枠組み策定に向けた期待と,地方負担を求める動きについての所感をお伺いします。
知事:集中復興期間が平成27年度で終わるわけですが,今お話がありましたように,県内の市町村の状況などを見ますと,液状化対策とか,水戸市では市役所をこれから建て直さなくてはいけないとか,いろいろ大きな課題を抱えております。
ここで集中復興期間が切れてしまったのでは,液状化対策の負担などは極めて大きいわけですので,一市町村ではどう考えても持ちきれないような金額になっております。そうしたことを考えると,集中復興期間をぜひ延ばしていただきたい,そして,どのようなことを政府のほうで考えておられるかわかりませんし,財源の問題も確かにありますが,延ばす中で何とか地方負担をゼロもしくは極めて軽いものにしていただけたらと思っているところです。
読売(幹事社):関連して液状化対策についてなのですが,国の動きとは別に,鹿嶋市などの財政負担の面から考えて,県として何らかの支援等の検討をするということはあるのでしょうか。
知事:財政的な面での検討ということはないと思いますが,例えば,潮来では市長が改選されまして,県のほうからも技術的な支援をぜひお願いしたい,というようなことも言われているところでありますので,できるだけのことはやっていきたいと思っています。
茨城:4月から新教育委員会の制度が始まります。人事案件も県議会に提出されておりますが,まず,新教育長にどのようなことを期待するのか教えてください。
知事:4月16日から,本県では,新しい制度に基づく教育長が全国で2番目にスタートすることになっております。
私どもといたしましては,よく言われておりますように,教育委員会の責任体制はどうなっているのかとか,緊急事態にうまく対応できていないのではないかということについて,是非しっかり,今回の新しい教育長制度のもとで,国民の皆さんが思っておられるような形で期待に応えられるように頑張ってもらえたらと思っています。
また,知事部局と教育委員会との連携という面につきましても,これまで以上にしっかりとやっていきたいと考えております。
茨城:新たに総合教育会議という場が設置されますが,その中身というものがなかなか一般の方々にとっては分かりづらかったり,まだ浸透していない部分でもあると思いますが,ここで話し合われた結果をしっかりと広報していくということも大切だと思うのですが,知事としては総合教育会議をどのように活用していくというお考えでしょうか。
知事:知事部局としてどう考えるかということも極めて大事になってきますので,事務局は知事部局に置かせてもらうつもりでおります。その上で,まずは教育に関する大綱をつくるということが一番最初の大きな課題になってくると考えています。
私どもとしては,とりあえず,会議を年に2回ないし3回開催する中で,教育委員会と知事部局との意見のすり合わせを十分にやっていき,必要があれば,有識者の方々のご意見もお伺いするという形で,これまでどうしても教育委員会だけでやりがちだったものを,今度は,いじめの問題,虐待の問題その他をとりましても,もっと広くいろいろな議論がなされていくのではないかと思っております。例えば,保健福祉部の関係もありますし,警察本部の関係もあります。そうしたことについてもいろいろと連携を深めながらやっていければと思っています。
茨城:連携という意味では,例えば女性青少年課ではメディア関係での携帯電話の使い方や,保健福祉部では貧困家庭の支援等,とかく今までそれぞれやっていた部分が,今度は一体化されると考えてよろしいのでしょうか。
知事:今までもそれぞれに,連絡会議その他で調整はしてきております。それをよりシステマティックにやっていければなと思っております。
茨城:選挙権年齢の引下げが今国会に提出されていますが,知事として率直にどんなご感想をお持ちでしょうか。
知事:今,引下げの方向がほとんど決まっているようでありますが,18歳ということになりますと,社会の情勢その他については十分に承知しているとは言いにくい面もあるのかなと思っておりまして,これから公民の時間その他教育の中で,有権者となったことに,よりふさわしい教育をやっていく。そして,その中からしっかりとした若者が育ってきてほしいなと思っております。
若い声を政治の世界に生かしていくことも,当然,大事になってきますので,そういった面で,より有効な,有意義な選挙制度になってくれればと思います。
茨城:一つ懸念材料として,教育の現場で政治というものをどう教えていくかというのが今まで非常に課題だったと思うのですが,中立性を教育現場でどう担保していくか,正直,教育現場の先生方はいろいろなお考えをお持ちの方もたくさんいると思うのですが,その辺,どういう歯止めをしていかなければならないというお考えはありますでしょうか。
知事:今,直接そういったことについて考えを持っておりませんが,これから教育委員会の中で十分に検討されていくだろうと思いますし,総合教育会議の場でも話題になってくるかもしれません。いろいろと議論を深めていきたいと思います。
茨城:あともう1点,知事ご自身,政治家として,若い人たちへ政治に関心を持ってもらうため,高校生にも投票権が与えられるということになると,その辺,どうアピールしていくかということも課題かなと思うのですが,一政治家としてはどんなやり方があると考えてらっしゃいますか。
知事:政治というものが自分たちにどのように関係しているかということを,ほとんどの人が(十分には)知らないのですね。国政,市町村政はある程度知られていても,特に県政については知られていないといった面もありますので,県政についてはより一層,新有権者も含め,どういうことをやっているのかについて県民の皆さんに知ってもらうような取組みをしていくことが大事なのかなと思っております。
また,今度は有権者が18歳からということになりますと,家庭の中でも親御さんなどに,より政治的な話題なども話の合間に出していただくことが大切になってくるのかなと思っております。
NHK:先ほどの震災4年の話で若干追加してお伺いしたいのですが,集中復興期間の延長ということについて,今後どのように国に対して働きかけていくお考えか,もしくはもう既に働きかけているのかというあたりをお教え願えますか。
知事: これまでの集中復興期間としては平成27年度までやっていくわけですが,5年間では時間的な制約もあって,それぞれの自治体では十分な対応がまだまだ取り得ていないのではないかと思っております。
したがって,先ほど申し上げた液状化などについては,工法の研究や住民同意などという形で大変時間がかかってしまうのです。そういったことを十分に酌み取っていただけたらと思っております。
我々としてどう働きかけるかということについては,これから,当然,市町村などと相談しながら,国に対して働きかけをしていきたいと思っております。
○東京電力による損害賠償打ち切りに対する農家の集団申立てについて
NHK:もう1点,福島第一原発事故の風評被害ということで,県西地区の農家の皆さんが集団でADRに申し立てをした事案があるのですが,申し立てという状態になってしまうと,県としてどう支援していくかというのは難しいところかとは思うのですが,一つには,知事としてずっと風評被害があるとおっしゃってこられたということを,彼らは一つの力強い味方として考えているようですので,もし彼らから何らか後押ししてほしいというような話があった場合に,その辺をどのように対応していくお考えかというのをお聞かせ願えればと思います。
知事:ADRの申立てがされておりますので,私個人としてどう考えているかということについては控えさせていただきたいと思いますが,少なくとも,昨年の1月から2月にかけて実施した「茨城県産の食品に関する意識調査」の結果を見ますと,野菜について今も購入を控えている消費者は,前年より減少しているものの,東京で11.3%,関西で12.2%とかなりの割合に上っております。
そういった点で,風評がまだまだ消えたとは言えないのだろうと思っておりますし,特に,例えば,福島第一原発での汚染水問題などが出ますと,県内のホテル・旅館の予約は相当数が取消しになってしまうという実態もございます。様々な形で風評被害はまだまだ残っていると考えております。
一方で,本県の野菜の産出額を見ますと,平成22年は1,743億円でしたが,平成25年は1,767億円と,震災前の水準とほぼ同じぐらいになってきております。風評が売上げの減少という形でどのようにつながっているのかということについては,なかなかはっきりとつかみにくい状況にございます。
これにつきましては,御承知のとおり,東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策茨城県協議会が中心になってこれまで進めてきており,野菜,果実については,平成23年の6月以降については,原発事故との因果関係の立証が難しいものもあるということで,この協議会による請求としては取りやめて,個人請求に移行しております。
私も,個人的に見れば,いろいろな影響は残っていると思います。売上げはこのように全体としては回復してきているように見えますが,人によっては,例えば,お得意さんが逃げてしまった,あるいは,有機栽培などの場合,これまで自慢であった点が,逆に今度はデメリットになってしまっているといったところもあると聞いていますので,個人的に見れば影響が残っているところも多いのではないかと思っております。
ただ,地域として全部がそういう形かどうかについては,協議会での集団的な請求もやめておりますように,なかなか難しい面があるのかなと思っています。
NHK:個別の対応というのは,今後,ある程度ネックになってくるのかなと思っているのですが,個別に被害があるのではないかという人たちや,それから作物などを含めてそういったところについて,県として,今後,声を上げていくような何らかアクションを起こすお考えというのは今のところはありませんか。
知事:集団で扱うというよりは,本当に個人の形になってくると思いますので,個人というか団体も含めてですね,そこに個別の形で,県としていろいろ入っていくかどうかということについては,あまり入っていこうとは,今,思っておりません。
茨城:25日に県職員の人事の内示があるということですが,来年度の人事について,知事はどのようなところに力点を置いたか,内示前ですが,お考えをお聞かせください。
知事:今回は退職者が比較的少なかったので,幹部の人事異動としては小さいものになるかと思っております。
そういう中で,例えば,女性政策統括監を設けたことについては,昨年から,世界に開かれたいばらき,それから,女性・若者の活躍,さらには県北振興ということを申し上げてきていますので,その中の一つとして,より女性関連施策というものに力を入れていきたいと考えているところです。
それから,一般の人事ではありませんが,教育委員も1人増員させてもらいました。普通ですと,ほかのところは,教育長が教育委員から抜けて,定数を1人減らすというところが多いかと思うのですが,我々としては,より積極的に教育に力を入れていきたいということで,定数をそのままにして,実質的に1人増員になるような形でスタートをさせてもらっています。
これは,長谷川智恵子さんという日動画廊の副社長さんですが,その方に委員になっていただいて,例えば,国際的な視野からいろいろ助言をもらいたいとか,あるいはまた,芸術,文化といった方面からの意見をもらいたいといったことを狙いに,教育委員としてお願いをしているところです。
そういう形で,少しずつ着実に前へ進んでいきたいなと思っておりますが,着実にという意味で言うと,今度,保健福祉部長を医師にいたしました。県内の医療事情は大分厳しいものがあります。特に,鹿行とか,あるいはまた,県西地域の筑西・桜川地区,厳しいものがありますので,そういったものについて医師の目からさらに進めてもらいたいなと思っております。
茨城:そうしますと,来年度4月からの県職員の配置,人事というのは,かなり実務的というか実効型というか,そういった念頭に置かれたということでしょうか。
知事:今,(社会が)非常に動いている時期ですから,そういう意味で,慣れたと言うとおかしいかもしれませんが,行政に精通している人間にやってほしいという思いはありまして,できるだけ長くというところまでいかないかもしれませんが,じっくりと取り組んでもらえるようにしたつもりであります。
特に,今年前半には地方創生について,10月までにどういうアイデアが出てくるかという形で,早急に事務を進めることが求められております。そういうことをしっかりやっていくことも一つですし,また,長い目でといいますか,4~5年のタームで見れば,国体,あるいはオリンピック・パラリンピックに向けて,県としてどのような形で国体を成功させるか,また,オリンピック・パラリンピックと関係を持たせていくかが大変大事になってきますので,そういったところについてもこれから一生懸命取り組んでいかなくてはいけないと思っております。
日経:圏央道の開通についてお伺いしたいのですが,今月29日に境古河インターチェンジと久喜白岡ジャンクション間が開通しますが,これによる県内でのいろいろな観光だったり企業立地だったりという面で効果があると思うのですが,知事として,どういった効果が見込めるかということをお伺いできますでしょうか。
知事:地元の一番大きな期待というのは産業面にあるような気がしております。私自身としては,産業面だけではなくて,普通の交流も含めて,大変有効な,役割が大きい道路だと思っておりますが,地元としては,先ほど申し上げたように,産業面での期待が極めて大きい。
五霞町とか坂東市とか,あるいはまた常総市でもそうでありますし,境町もそうであります。インターチェンジ周辺を,これから地方創生に取り組む中で,自分のところが頑張っていくために,開発し発展させていきたいという動きが出てきております。工業団地その他でありますが,そういう期待に応えられるように,我々としても市町村と一緒になって行動していきたいと思っております。
また,一方で,先ほど申し上げました交流基盤としても,もちろん高速道路は極めて有効なものでありますので,必ずしも圏央道沿線ばかりではなくて,圏央道とつながっている常磐道の周辺,北のほうまで含め,あるいはまた,北関東自動車道も含め,県内全域に少しでもお客さんを取り込んでいければと思っています。
きのうも,上野東京ラインを利用してきた方,藤沢の方だったのですが,「随分便利になりました」という話をしておられました。そういう効果というものが,多分,圏央道についても出てくると思っています。
具体的に,日野自動車さん一つとってみても,今の日野工場からこちらの古河工場へ来るのに27分ぐらい早くなるということでありますから,そういういろいろな効果を活用していけるのではないかと思っております。
○東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合に係る建築物について
知事:免震装置という極めて大事なものでありますし,ましてや消防本部,一番免震装置を活用して災害への対応体制をとらなくてはいけない場所ですから,そういう意味で大変遺憾としか言いようがないのではないかと思います。
そして,それにどう対応するかということになると,できるだけ早くきちんとしたものにしてほしいということで,全国で大分起きていますので大変だとは思いますが,できるだけ(早く)総力を挙げて安全なものにしてもらうことが必要なのではないかと思います。
読売(幹事社):ではありがとうございました。
このページに関するお問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください