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更新日:2016年11月24日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
・平成28年11月22日に発生した最大震度5弱の地震への対応について
(作成:広報広聴課)
平成28年11月24日(木曜日)
11時21分~12時11分 庁議室
読売(幹事社):幹事社の読売新聞です。知事のほうから平成28年度12月補正予算案関係で発表があるということでお願いします。
知事:本日は,お忙しいところお集まりいただいてありがとうございます。
第4回定例会に提案いたします予算案等につきまして,まとまりましたので,その概要をご説明申し上げたいと思います。
予算案等の内容については,すでに財政課から説明しているところでございますので,私からは予算編成の基本的な考え方を中心にお話しを申し上げたいと思います。
我が国の経済につきましては,緩やかな回復に向かうことが期待されているところでございますが,海外経済の不確実性の高まりなどのリスクも懸念されているところであり,もう一歩,力強さが戻っていないかなという感じがしております。
そうした中で政府は,世界経済のリスクに立ち向かうため,「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定して,総額4.5兆円規模の第二次補正予算案を成立させたところであります。
県といたしましても,国と歩調を合わせて,経済の回復に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えており,通常は12月に予算の補正はしていないのですが,今回は特別に12月に補正予算を編成することとしたところであります。
今回の補正予算の基本的な考え方としましては,国の補正予算を活用して,災害に強い県土づくりなどの社会資本の整備に引き続き取り組みますとともに,一億総活躍社会の実現の加速やTPP対策など緊急性が高い課題に対応するために必要な事業を計上しているところであります。
一般会計補正予算の総額は約187億円となり,特別会計や企業会計とを合わせた全会計で約216億円としたところであります。
このうち約151億円は公共事業であり,関東・東北豪雨や東日本大震災の関連事業をはじめ,災害に強い県土づくりを推進していくこととしております。
また,生産コスト削減のために,水田の大区画化などの土地改良事業も追加をいたしております。
また,相模原市の障害者施設における殺傷事件を受けての防犯対策の強化や,子育て・介護人材の確保などに取り組んでまいりますとともに,畜産業の競争力強化などのTPP対策関連施策などを計上しているところであります。
さらに,条例その他の議案などを予定しておりますが,ここでは省略をさせていただきます。
以上です。
読売(幹事社):TPP対策で約52億円を盛り込んでいまして,そのうち繁殖雌牛の預入施設に県が独自に上乗せをしていると思いますが,この理由をお伺いできればと思います。
知事:和牛子牛増頭対策推進事業につきましては,今,子牛の値段が非常に上がっておりますので,何とかその対策を講じてほしいという声が畜産農家のほうから強く聞こえてきておりますところから,県としてもこの上乗せ補助などをすることとしたところであります。畜産関係がTPPの影響を一番強く受けるのではないかと言われていることもありますし。
読売(幹事社):茨城県北芸術祭が終わりまして,約77万人という来場者が発表されました。今後について,継続するかどうかも含めて,所感をお伺いできればと思います。
知事:今回の芸術祭につきましては,最初,盛り上がりが少ないのではないかなど,いろいろ心配をされましたが,最終的には,作品の姿などが見えてきたこともあって,大変大きな盛り上がりになってくれたのではなかろうかと思っております。そういった中で77万6,000人の方々においでいただいたということで,大変ありがたく感じているところであります。
この作品につきましても,大変すばらしいものがあったということとあわせて,県北という地域に初めて来たという方もおられますし,いろいろな点で県北地域全体のイメージアップにもなったのかなとも考えているところであります。
今後どうするかということにつきましては,いろいろなご意見がありますので,例えば,経済波及効果はどのぐらいあっただろうかなど,そうしたことが言われておりますので,それらも検証しながら方向を決めていきたいと思っています。
読売(幹事社):いつごろまでに方向性というのは決まるのでしょうか。
知事:いろいろな検証がいつごろまでに進むかということと,周りの皆さん方のご意見がどういうものがあるかとかいうことも関係してくると思います。公明党の関係議員の皆さん方からは,早くも次の開催をというような要望書もいただいているところであります。
ただ,一方で,2019年に国体があるということもあって,ちょうど3年ごとということになると,その年にぶつかってしまうものですから,どういうふうにタイミングをとるかということも難しい課題になってくるのかなと思っています。
読売(幹事社):今月28日で東海第二原発の運転開始から38年を迎えると思うのですが,運転延長の是非も含めて所感をお伺いできればと思います。
知事:まだ日本原子力発電のほうからは,東海第二発電所について,運転期間延長の考え方というもの,対応方針というものを私どもは何も聞いておりませんので,当面は新規制基準への適合性の審査が進められているところでありますので,その結果を待つ状況にございまして,その先のことについてとやかく言う段階ではないと思っております。
NHK:茨城県北芸術祭ですが,当初の会見で県外の人をもっと呼び込まなければいけないというような課題が示されていたと思いますが,そのあたりどういうように改善された,もしくは改善されなかったとお考えでしょうか。
知事:会期が進むにつれて知名度も上がっていきまして,県外の方たちにも関心を持ってもらえたのではないかなと思っていますが,途中で来場者3,437人ほどにアンケートをした結果といたしましては,県外が28.4%,県内が71.4%となっているところでありまして,初回としては,県外の方たちにも結構来てもらえたのかなと思っております。
NHK:この28.4%という数字は,知事としては十分できたというふうにお考えでしょうか。
知事:もっと多ければ多いほどいいのですが,3割近くですから,まあまあ初回としては,ある程度来てもらえたのかなと思っております。
NHK:県北振興という意味もあると思いますが,県外の人に知ってもらえたというのは,この28.4%をどういうふうに認識したらよろしいのでしょうか。
知事:どのぐらいの方が泊まったのかといったこともまだ把握できていませんので,何とも答えようがないのですが,県外の方たちからも,例えば,アンケートにいろいろな感想を述べてもらっているのですが,その中では,「なかなか来ることがないエリアなので,イベントがあると訪れるきっかけができていいと思う」とか,あるいはまた,「たくさんのアートと自然を満喫することができた」とかいう意見もありますし,一方では,「範囲が広すぎて回りきるのが大変」といった意見もございます。交通の利便性,駐車場の充実を期待したいといったこともあります。また,「たくさん素敵な場所があると知り,また訪れたいと思っている」などという県外の女性の声もありまして,そういった点では,いろいろな意見はありますが,全体としては好意的に見てくれているのではないかなと思っております。
アンケートの集計数としては,10代,20代はやや少ないのですが,30代,40代,50代,60代以上と年代別に見ましても,30代で18.5%,40代20.9%,50代18.8%,60代以上は大変幅広いですが,これは26.8%ということで,各年齢層に平均的に来てもらっているのかなと思っています。
ただ,圧倒的に女性が多くなっておりまして,女性が61.3%,男性が38.4%という状況にあります。
NHK:東海第二原発について運転開始38年を迎えるということで,これまでの東海第二原発が果たした役割,そういった評価についてはどういうふうにお考えになっておられますでしょうか。
知事:当時,パイオニア的な意味もあったと思いますが,そういった点でもしっかりと役割を果たしてきてくれたのだろうと思っております。
また,地元の地域振興という点では大きな力を果たしてくれたと思っております。
ただ,東日本大震災のときに,本当に想像もつかなかったような津波が来たということで,水が入ってきてしまったことがありますが,あれももう少し工事が進捗していれば,体制としては,水が入らないようにできてきたのではないかなという点では,いろいろ事情もあって対応が遅れていたのは,残念だった気はいたします。
NHK:全国では適合性審査が申請されたり実際に運転延長申請というところまで来ている原発もたくさんありますが,今の全国をめぐる原発の現状については,知事はどういうふうにお考えですか。
知事:もともと,原子炉等規制法においては,その満了に際しては,原子力規制委員会の認可を受けて,1回に限り延長することができるという規定があるわけでございますので,それに基づいて原子力規制委員会のほうでしっかり審査をして認可しているということでありますから,想定外のことではないわけでして,もともと1回,20年限度という形で,延長することについては想定されている範囲,その段階で,それぞれの原子炉が十分にまだ安全に使用できるかどうかということをチェックしていくということになってきているのだろうと思っています。
NHK:そういう意味では,東海第二原発も運転延長申請ということになるということも十分考えられるということでしょうか。
知事:そこは,我々,今,一切承知しておりませんので,何とも言いようがありません。
NHK:全国の首長さんや議員さんの中にはいろいろな意見があると思うのですが,原発を動かすべきとか,もしくは条件つきで動かすべき,もしくはすぐに廃炉にすべきだとか,知事のスタンスを改めてお伺いできればと思います。
知事:私は,原子力発電所全体,国全体としては,前々から減原発,原発を徐々に減らしていくという方向で進めていくべきではないか。特に,再生可能エネルギーというものが増えてきている,そういったものの中でどうバランスをとっていくかということを考えていくべきだと申し上げてきているところでありますので,その考えは同様であります。
NHK:ということは,それは新しい原発はつくるべきではなくということですか。
知事:例えば,燃料の購入交渉などをやるときにも,全く外国に頼りきっている状況だと非常に不利になってくるということもありますから,そういうことも全体的なエネルギー政策というものを踏まえた上で判断していくべきだろうと,私は思っています。
NHK:現状としては必要なエネルギーだと認識をされているということですか。
知事:どういう形でやっていくかということはありますが,安全性が十分に保たれている原子炉について,地元の人たちが納得してくれるのであれば,それは動かしていくことについて絶対反対ということはありません。古いものについては,効率なども考えて廃炉に踏み切っているところもあるわけですので,そういったきちんとした方針を示していくべきなのではないかと思っています。
NHK:今,知事から地元の意見もという話がありましたが,NHKが参議院選挙の際行ったアンケートでは,住民の7割の人が消極的な姿勢を示しているわけですが,今後そういった判断をしていくときに,県民の声というのはどの程度反映されるべきだと考えていますか。
知事:県民のアンケートの結果も,多分,地域によってだいぶ意見が異なってきているのだと思うのです。ですから,どの地域の意見を中心に聞いていくかということなどもあると思いますが,我々としては,安全面のチェックをきちんとする。こちらも原子力安全対策委員会がありますから,それをきちんとしていくということと,それから,県原子力審議会で一般的な有識者としての方々から,大きな目で,原発を再稼働すべきかどうかということについてご意見をいただく。それとあわせて,県民の声を聞く,市町村民の声を聞くという意味では,県議会,あるいは市町村との協議を進める。そういった形でやっていけばいいのではないかと思っております。
NHK:県民の意見というのは,もちろん十分に反映するべきだと考えているということでよろしいのでしょうか。
知事:それはもちろん反映していきたいと思っておりますが,どういう形で県民の意見を聞くかということについては,代表制民主主義というものがありますから,そこが中心になっていくべきだろうと思っております。
NHK:那珂市では住民投票とかそういったものをするかもしれないという話が2年ぐらい前に行ったNHKのアンケートであったのですが,そういったことも含めて,住民の声を聞いていくということは必要だと思いますか。
知事:那珂市さんがどういうふうな発想のもとにそれをやられるのかはわかりませんが,結局は,市として判断するための参考にするということだろうと思います。市の意見を聞いていけば,市として住民の意見を聞くためにどうすればいいかということも十分に踏まえながら判断してきた結果だと思いますので,いいのではないかと思います。
NHK:知事は,地元の意見というのを尊重した上で判断するということですか。
知事:それはもちろんです。
NHK:水戸徳川家の家紋とよく似た商標が商標登録された件について,知事の所感を伺えればと思います。
知事:異議申し立てが行われて,審理中でありますので,個別の意見は申し上げるべきではないと思っております。
ただ,一般的に言えば,今後の観光振興,土産商品の開発,さまざまな形で影響が及んでもらっては困るということで,水戸市の高橋市長もそういう意見を述べておられますが,私どもとしても,水戸徳川というものは茨城にとっても大変大切な宝でありますから,それを守れるような形で解決してくれればいいなと思っています。
NHK:やはり県民にとってかなり大切なシンボルの一つかと思いますが,公共の財産という見方もできるかもしれませんが,そういう徳川の家紋について,知事はどういうふうに思いますか。
知事:そこをどう考えるのか,今の法制度がそういう価値観を持っていない形でできているのかどうか,その辺も含めて審理の中で検討されていくのだろうと思います。
NHK:今後,県としての対応もしくは影響みたいなものはありますか。
知事:県として影響が直接出てくるとは思っておりません。
朝日:茨城県北芸術祭についてですが,私も実際にまわってみまして,エリアが広くて1日,2日では全部まわりきれないなという印象を受けたのですが,また閉まってしまう時間が5時とか早かったりしてもう少し時間が長ければいいなと思ったりもしました。今後,もし続けてやられていく場合という仮定になってしまうのですが,例えば,海側,山側で分けたり市町が持ち回りであったり,そういう違った形態というのも考えられるのでしょうか。
知事:6市町が持ち回りでやるというのは考えておりませんが,海側,山側を分けたらどうかとかいうご意見は既に幾つかいただいております。そういったことも含めて,どうやれば来場者にとってより見やすくなるか,楽しめる状況になるかということは十分検討していかなくてはいけないと思いますし,今お話しのあった何時までやるかということについても,今のところ,その点についてはあまりご意見はいただいていませんが,今後聞いていく中で,問題点として指摘されれば,そういうことも考えていきたいと思います。
朝日:改めてお伺いしますが,総じて成功というふうに知事は認識されているのでしょうか。
知事:私は,正直,最後のころの盛り上がりなどを見ていますと,大変成功だった。そして,メディアなどにも大変好意的に取り上げていただいています。そういった点で,1回目としては成功したと言っていいのではないかなと思います。
朝日:まだ分析が完全に済んでいないとは思うのですが,今の時点で挙げられる反省点というのは何かありますか。
知事:いろいろな課題はあると思います。しかし,そういったことについては,立場によってだいぶ意見なども異なっている人もいます。例えば,経済波及効果があまりないのではないかという意見の方もおりますが,茨城県北というところについて光を当てて,そして多くの人たちが来てくれた。それだけでもイメージアップ,その他今後の観光誘客などにもつながっていくのではないかと言う人もおります。そういった点で,どういうふうに捉えるかというのは非常に難しい面がありますが,私としては,個別の細かい反省点はあるとしても,全体としては,みんなで成功したということで,次に向けてのエネルギーというものもできてきているのではないかなと思っています。
朝日:東海第二原発関連ですが,先ほど住民の意見もということでしたが,大きいのは広域避難計画だと思います。きちんとした避難計画ができないとなかなか住民のほうも安心感は得られないと思うのですが,避難計画が市町村で出そろわないと再稼働の可否は判断できないとお考えでしょうか。
知事:どちらにしても,規制委員会の意見がまとまった後で,国も交えての避難計画等についての協議が行われることになっておりますので,そこの段階で判断していかれることになると思います。避難計画は少なくともできていないと,そこでの議論が進みませんので,今おっしゃられたような形で避難計画というものをつくっていくことが先行するのではないかなと思います。
朝日:やっぱり避難計画が出そろうことが前提で,初めて議論の俎上に載るということでしょうか。
知事:はい。そう思います。
朝日:先日,安定ヨウ素剤の配布が一段落しまして最終的に今52.5%という配布率ですが,その点について知事はどう評価されていますでしょうか。
知事:いろいろ政府のほうの方針等も変化してきております。例えば,PAZ内だけではなくて,周辺についても必要性があればというような,要請があればというようなこともありますし,ですから,それをどういう形で我々現場として実施していくかということになるわけですが,住民の方たちが,関心というか,それについて,いざというときの用心ということでやっておこうという発想がまだ十分に行き渡っていないのかなと思っております。できるだけ早く,より多くの方たちにしっかりと受け止めていただけたらと思います。
朝日:52.5%というのは少し足りない数字だなということでしょうか。
知事:我々,一生懸命やっておりますので,そういった点では,当然,全部配布できるのが一番いいわけですので,そういった点では満足できるという状況にはないのだろうと思っております。
朝日:ひたちなか市のほうではPAZ外の全住民に独自に配布,あと那珂市のほうでも全戸配布の検討をされているということですが,こうした動きについてはどう見ていらっしゃいますか。
知事:それは,それぞれの市町村で判断されてやっていくということですので,それはそれで結構なのだろうと思います。
毎日:茨城県北芸術祭ですが,芸術祭全体として県が財政面でも企画面でも強力に引っ張って実現した事業だったと思うのですが,開催の市町の関わりについてはどう評価されていらっしゃいますでしょうか。
知事:私は,最終的には非常に積極的に関わってもらえたと思っております。それから,市町の職員も随分たくさん出していただいて,それぞれの市町にどうやってより親近感といいますか,好感を持ってもらうかということで努力されたと思います。
毎日:当初はなかなかイメージがわかないということもあって,ちょっと及び腰だった部分もあると聞いているのですが。
知事:作品が具体的に見えないので,そういった感じもあったかもしれませんが,その後,作品が見えてくる中で,サポーターなども積極的に参加してくれ始めましたし,また,市町も積極的に参加してくれたのではないかと思っております。例えば,常陸太田鯨ヶ丘のピンクの窓ですけれども,あれなどについても,最初はだいぶ違和感を持った人もいるようでありますが,あそこにいろいろな言葉が書いてある。それに関心を持って多くの方たちが来てくださるという中で,「あ,これが一つの芸術なのだな」という感じで,多くの方たちを呼び込むことになったのではないかと思っております。
毎日:今後を考えたときに,例えば市町のほうでも主体的に参加してほしいとか,何か市町のほうに求められることはありますか。
知事:それは県も市町も一緒になって,より積極的にPRその他進めていくことが必要であろうと思っておりますが,市町にだけ求めるとかいうことではなくて,全体として盛り上げていくということだろうと思います。
例えば,サポーターの方なども,この間,クロージングナイトで会った人は,ほとんど毎日行っていたなんていう人もおられましたし,あるいは,3分の1の期間は行ったかななんていう人もおられて,随分熱心な方は積極的に取り組んでくれておりました。そういった応援団というものをこれからどうやってより増やしていくかということも課題だろうと思っております。(今回,サポーターに登録いただいた方が)千二,三百人おられましたが,こういった方たちももっと増えてくれれば,より盛り上がるのかなと思っております。
毎日:県北芸術祭の評価に関してですが,イメージをアップしたとか芸術祭の内容面でどうだったかというのはなかなか数値化してあらわせないものでもあると思うのですが,そういうところはどういうふうに評価していったらよろしいと思いますか。
知事:先ほど言いましたように,来場者の方々に,何千という形でアンケートをとっていますので,そういった方たちからの声をまとめていく。それから,経済的な面では,事業者にこれからアンケートを実施していかなければいけないと思っております。
いずれにしても,例えば,メディアの評価などもどうされていたかということも必要でありましょうし,いろいろな方面からの意見を聞きながら判断していきたいと思います。
東京:広域避難計画について,県が策定した計画に基づき,今,個別の市町村で策定が進められているという状況ですが,現行では複合災害を事実上想定していない。東日本大震災を経験した茨城県が,なぜそのときに複合災害を想定しなかったかということと,今後どうしていくおつもりかということをお願いします。
知事:複合災害にどう対応するかということは,当然考えていかなければならない課題であろうと思っておりますが,当面,早く,ある程度の避難計画というものの姿をつくっていきたいということもあって,単独災害を想定した避難計画の策定を進めているところであります。
その中で,避難計画としての課題なども出てくると思いますので,そういったものについての解決策を探りながら,例えば,予定した避難先が使用できない場合にどうするか,代わりの避難先をどうするかとか,あるいはまた,避難道路が被災した場合にどうするのかとか,そういったことも含めて,専門家の意見を聞きながら,関係機関と連携して検討していかなければいけないと思っております。
とりあえずは,本県の場合に,避難される住民の数が極めて大きいものですから,単独災害そのものでも県外にかなりの方たちに避難していただかなければいけない。その方たちの避難先を確保するということが大事だと考えて,現在,作業を進めているところです。
東京:確認ですが,今後,複合災害について改定あるいは改良を重ねていくというようなことでよろしいでしょうか。
知事:今,ある程度,相手先との個別の協議が進んできていますので,それが一定程度の段階といいますか,終わった段階で,次に複合災害についてどう考えればいいのかということを国のほうとも協議しながら考えていきたいと思います。
東京:避難計画は14市町村そろった段階で,ある程度完成とみなされるお考えでしょうか。いずれ東海第二原発の運転延長申請が出たときに,地元に同意の判断が迫られると思いますが,どの程度の熟度を広域避難計画に対して求めるのか,その辺のお考えをお聞かせ願えればと思います。
知事:それは,これまでの例を見ておりましても,国といろいろ協議するといいますか,国のほうでこれでいいのではないかというような判断をされてきておりますので,同じような過程を経ていくことになるのだろうと思います。
東京:別の質問ですが,実際に事故が起きた際にスクリーニング地点を経ずに逃げてくる人がたくさんいるという意見が市町村から出ていまして,そういう人たちのスクリーニングをどうするのかということですが,資器材を市町村で用意するのかあるいは県が何か用意してくれるのか,そのあたり何か方針はありますでしょうか。
知事:避難退域時検査という名称が今使われておりますが,その検査場所については,避難指示を受けた住民が避難所まで移動する経路に面するUPZの境界周辺を基本に選定するということになっておりまして,実施方法,あるいは実施体制を立ち上げるタイミング,検査場所を通過する車両の台数,人数などを踏まえた要員,資器材の確保について,今,有識者による勉強会を開催して検討が進められているところであります。
本県の場合,避難対象人口が大変多い。あるいはまた,先般の福島原発事故のときにも,スクリーニングということについて,やっていない人が避難所に入ろうとしたときに,いろいろな意見が出るといったようなケースもありました。ですから,できるだけしっかりとスクリーニングを受けてもらう体制をつくっていく必要があるのだろうと思っております。
そういった点で,これからいろいろと具体策をどういうふうにするかということについて検討していかなければいけないと思っています。
東京:受け入れ先の市町村の中で,スクリーニング地点がないところというのは結構あるかと思うのですが,そういう市町村はどう対応するのかというところはいかがでしょうか。
知事:スクリーニングはUPZの境界周辺を基本に選定するとされていますので,受け入れ先まで行く前の段階でやることになっています。
東京:直で逃げてきてしまったら,そこへ行ってもらうということでしょうか。
知事:結局,UPZから出る段階で,できるだけUPZ境界に近いところでスクリーニングできる拠点を設けるということになってきますので,どこかで引っかかるといいますか,どこかでスクリーニングを受けられる体制になると思います。
東京:想定されたルートを通らなくても引っかかるような形でしょうか。
知事:UPZから他へ出ていくかなりの部分をカバーすることになると思いますが,人員等のこともありますので,どういうふうな体制を組めるのか。本県の場合には,原子力関係の事業所などが多いものですから,人員確保がやりやすいという面もあります。ただ,一方で,対象人員が多過ぎるという面もあります。両方あるものですから,なかなか難しいのですが,そういったことを踏まえながらの具体的な対応というものを考えていく必要があるのだろうと思います。
朝日:先ほどの関連ですが,14市町村の避難計画について,国と協議して国がこれで良いと判断すればということでしたが,県のほうでは市町村の避難計画の熟度をチェックされるお考えはありますでしょうか。というのも,安全協定が今後どういう見直しになるかまだわからないのですが,今のままでいくと県と東海村が最終的に再稼働の同意判断をするということになると思うのですが,そうなると東海村以外の避難計画をどうするかというのは県が見るのかなというふうに想定されるのですが,そのあたりいかがでしょうか。
知事:原子力防災会議で判断されていくことになっていますので,そこに提出するものについては,県と市町村で十分練り上げていきます。あくまで避難計画ですから,市町村がつくるものですので,市町村がつくったものをそこで協議してもらうということになると思います。
朝日:国と県もたしか構成に入っていると思うので,緊急時対応を考えるときの会議体ということでしょうか。
知事:入っていますよ。
朝日:国,内閣府の皆さんがやりますよね。そこでOKになれば県としてもOKとみなしたということになるということでしょうか。
知事:それはもちろん。
朝日:先ほど,国がこれで良いと判断すればというふうなことだったので。
知事:これは国の原子力防災会議で判断するということです。
朝日:県も市町村の計画にもちろん目を通して。
知事:(国の原子力防災会議は)内閣府がやっていて,県,市町村は入っていない。県,市町村はつくって出すだけです。それで向こうがこれでいいかどうかを判断するという格好です。
朝日:市町村の避難計画は国がチェックするというような形で,県は余りチェックされないということですか。
知事:つくるときに一緒になってつくっているということです。
朝日:一緒になってつくっているので,チェックする。
知事:そうです。もう少ししっかりまとめて質問してください。
朝日:ではチェックする,される関係ではなくて,一緒につくり上げるのでということですか。
知事:そうです。広域避難計画というものを我々がつくり上げて,それをもとにして,市町村ではまた具体的な市町村ごとの計画をつくっていくということです。
原子力防災会議の概要をちょっと説明しておいて。(事務方への指示)
(原子力防災会議は)各大臣たちがやるような格好です。調べて,正確なところ教えます。
東京:続きで,そうしますと,国の原子力防災会議にかかるまでに,県の方針ですとか,あるいは政治家としての知事のスタンスというものが広域避難計画の熟度に影響してくると思いますが,どのあたりを目標にされるのか,もう一度お聞きしたいと思います。
知事:再稼働云々ということは別にして,広域避難計画をどうするかということについては,私はそんなに政治的な立場というものを入れるべきではないと思っておりますので,現実的にどうやればいいか,事故が起きたときにどう対応するかということは客観的に決めていくべきものだと思っています。
東京:客観的にということでしょうか。
知事:客観的に。一番良い方法を考えていけばいいと思います。
NHK:広域避難計画についてですが,相手先との協議が進んでいるという発言がありましたが,今の進捗状況を改めて聞きたいと思います。
知事:個別の市町村ごとに,例えば,なかなか最終的に決まっていなかった群馬県と関係市町村,こちらの市との協議も11月22日に群馬県庁で行われているところでして,具体的に進んできております。
NHK:終わったのではなく,11月22日にやったということでしょうか。
知事:始まったということです。まだこれからです。ここが一番遅れていたので。
NHK:群馬県との協議も新たに始まりましたよということですかね。
知事:そうです。ですから他のところは,今までに,もう既に何度か個別協議をやっていますので,そういう意味では最後の県との協議が始まったということです。
NHK:茨城県北芸術祭ですが,77万人という評価のところで,例えば前年とか前々年とか,これまでどれぐらいの人が来ていて,それが77万人に増えた,77万人というこの数が今までよりもどの程度すごいのかというのがちょっとぴんときていないのですが,いかがでしょうか。
知事:77万人というのは,例えば,天心記念美術館であれば,そこでチームラボの作品展示をやっていますから,そのために入場した人を数えているということですから,前の年より増えたとか減ったとかいうことではありません。新しく誕生した観光客といいますか見学客です。
NHK:天心記念美術館に何人来ていてとかということで判断できるとかというのはないのですかね。
知事:催し物で何をやっていたかにもよりますけれども,多分この時期,そんなに大きなものはやっていないと思いますので,そういう点では全くのプラスで良いと思います。
NHK:単純に比較するものというのはないということでしょうか。
知事:例えば,場所によっては,観光地によっては従来から来ていましたから,それがどのくらい増えているのだろうと,例えば,御岩神社というのがあります。あそこも,最近はお客さんが増えてきているのですが,それでも,私が行った時に宮司に聞いたら「5割くらい増えているかな」という話をしていましたが,ただ,それぞれの場所によって割合が違うと思いますから,具体的に聞きまして,トータルとしては,そういったところについては3割くらいが芸術祭の来場者かなということにしておりますから,だいぶ控えめに計算しています。
○平成28年11月22日に発生した最大震度5弱の地震への対応について
NHK:11月22日に発生した最大震度5弱の地震への対応ですが,北茨城市のほうでは,防災計画になかったような津波の注意報で避難指示を出して無事にそれが避難につながったというものがある一方で,高萩市とか鹿嶋市では改善すべき点も見られたという形で,いろいろなことが知事としても見えたと思いますが,どういうふうにお考えですか。
知事:私も具体的にあまり細かい報告を受けていませんので,そういったことについては,色々,また今回のことについて検証する中で聞いていきたいなと思っています。
NHK:県の対応では,課題なりもしくは何か活かしていけそうなことというのが見えたりというのはありますでしょうか。
知事:県の対応としては,第一次配備(警戒体制の事前配備1)という形で職員が出勤する。さらに防災関係については,ほとんどの職員が出勤する,あるいはまた原子力関係についても出勤するという形でやっておりますので,県としてはそれなりに対応したのかなと思っています。それぞれの市町村でどうなのかは,これから少し市町村側の状況などについても,こちらでも調べさせていただいて,反省点があればあったで改善できるように指導していきたいと思います。
NHK:今回の災害では,津波の注意報について避難指示を出せたというところと,注意報だから出さなかったというところで,周りの市町村よりも指示が遅れてしまったというところがありますが,知事としては,注意報でも住民の避難をきちんと呼びかけるということの対応についてはどういうふうにお考えになりますか。
知事:注意報でどれくらい,どういうふうに呼びかけるかということについては,注意報がどのくらいの高さの津波を想定しているかということなども関係してくるのだろうと思いますし,それによってエリアも関係してくるのだろうと思います。ですから,必ずしも注意報が出たから,それですぐというわけではないと思います。
NHK:マニュアル以上の対応をしたというところかと思いますが,そういうところは評価するべきところなのかどうなのかというのはいかがでしょうか。
知事:マニュアル以上の対応をしたのかどうか,僕は具体的に知りませんけれども,マニュアル以上の対応をしたということではなくて,もし必要であれば,今度はマニュアルを直していけば良いのだろうと思います。
NHK:そこのところは,柔軟に今後ということでしょうか。
知事:マニュアル以上の対応が必要だったということであれば,私はマニュアルは直さないといけないと思いますよ。マニュアルというのはあくまで,これでやれば大丈夫だろうという想定でやっているので,それ以上の対応が必要になったってことだったら,前のマニュアルを改善していかないと,次の時に,同じようになったらどうするかという問題になりますから,だから,マニュアル以上の対応をしたということで良かったと考えるのか,マニュアルが不十分だと考えるのか,そこは難しいと思います。
茨城:原子力発電所の再稼働についてですが,運転期間の40年ルールについて確認させてください。先ほど,知事が一度に限り20年延長できるというのは想定内のことで,ルールとして認められているものだとご指摘されておりました。一方で,当初,このルールが決まったときに,運転延長というものは極めて例外的なものだということもされておったかと思います。最近ですと幾つか延長認可が続いておりまして,当初の極めて例外的だというところが骨抜きにされているのではないかという指摘も出ておりますが,その辺の40年ルールの運用のあり方について,知事はどのようにお考えなのかという点を教えていただければと思います。
知事:それは,安全性というものを徹底してチェックすることが重要でありますから,それが,チェックしても安全だろうということが確認されたとすれば,あとは,地元の方たちも納得するのかどうかということにかかってくるのだろうと思っております。「例外的」というお話がありましたけれども,具体的に廃炉にしているところもいくつも出てきておりますから,そういうところが全部出てくれば,そういうところがダメになったかも知れませんし,ですから,必ずしも例外が多すぎるということではなくて,持ってきているそのものが多くの中から,例外的なものだけ持ってきているという考え方もできるのだろうと思いますので,そこについては考え方が色々あると思います。
茨城:事前にある程度選抜されたものは既に申請されているという点と,規制委員会のほうが運転延長の認可,安全性を認めればということでしょうか。
知事:安全面では少なくともチェックをきちんと受けたということになりますから,あとは国としてどう対応するのか,地方としてそれをどう受け止めるのかということになると思います。
読売(幹事社):ありがとうございました。
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