ここから本文です。
更新日:2016年3月29日
この資料は,県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
・緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用/広域避難計画について(1)
・緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用について(2)
(作成:広報広聴課)
平成28年3月28日(月曜日)
11時17分~11時45分 会見室
○緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用/広域避難計画について(1)
産経(幹事社):幹事社の産経新聞です。全国知事会からの要請に基づいて,自治体の裁量で原発事故時にSPEEDIの使用が認められましたが,これに対して規制委員会のほうではSPEEDIの信頼性がない,予測に基づいて避難方向を示すことはかえって避難行動を混乱させると指摘しています。こうした状況を受けて,県では避難計画にSPEEDIの利用を盛り込むのかどうか,その理由についても教えてください。
併せて,広域避難計画で県外へ避難する方がたくさんいらっしゃるわけですが,この方たちの他県との調整等の進捗状況についてもお願いいたします。
知事:現時点の避難計画では,SPEEDIによる予測値を防護措置の判断に使用することとはしておりません。
したがって,(原子力関係)閣僚会議において,自治体の判断と責任において使用することは妨げないということになりましても,当面,すぐ変更することは考えておりません。
いずれにしましても,原子力規制委員会と閣僚会議とで見解が異なっているというのでは非常に困ったことでありますことから,そこについてはしっかり調整して国としての考えをまとめてほしいと思っております。
それからもう一つ,現在の広域避難計画の調整状況がどうなっているかということでありますが,これまで,96万人の避難先ということで,そのうち44万人を県内,残りの52万人を県外としておりましたが,県内市町村における避難所の見直しなどによりまして,若干県内部分が減りまして,県内で約40万人,残り約56万人を県外にお願いすることで調整をしているところであります。
そして,その調整状況でございますが,福島県への避難につきましては約26万7千人の避難受入れについて福島県から決定した旨の通知をいただいております。
一方,残りの約30万人につきましては,現在,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県の4県と調整中であります。
昨年12月に東海第二地域原子力防災協議会作業部会の席上で各県への避難者数を提示したうえで,1月から各県との個別協議を順次進め,2月上旬までに各県内における避難先市町村の範囲と避難者数について各県レベルでの理解を得ているところであります。
これを踏まえ,2月中旬から3月にかけて,各県別に市町村が一堂に会した説明会を開催し,避難先案を提示したところでありますが,現時点では,まだ結論も出ておりませんが特段の異論も聞いておりません。
産経(幹事社):先日,平成28年度の県の人事が発表されました。大きな組織変更もありましたが,どのようなお考えで,どんな方針で人事を考えたのか教えてください。
知事:一つは,国体あるいは障害者スポーツ大会が3年後に迫っておりますので,そのための体制を整えるということで,国体・障害者スポーツ大会局を設置いたしました。これが一番大きな変更でございます。
それと,商工労働観光部ということで,商工労働部の名称も変えましたし,また,観光局を設置させていただきました。
さらに,保健福祉部に子ども政策局を設置したところであります。
来年度から,いよいよ新しい総合計画に基づきまして,「みんなで創る 人が輝く元気で住みよい いばらき」の実現に向けて,重要課題にどう対応していくかという大きな課題があるわけでございます。
そういった中で,地方創生も含めて,私どもとして観光についてもこれからさらに力を入れていこう,特に観光が産業としても大変注目されているところでございますので,交流人口を増やす,そして国内外の人たちに茨城に来てもらって,茨城の良さを知ってもらう。そういう点で観光にもっと力を入れていこうということで,国際観光課も設置させていただいたところであります。
また,子ども政策局につきましてはご承知のとおりでありまして,子ども子育てについては新しい制度が始まっているところでございます。この内容を,さらに県独自の施策なども含めてどうやって充実していくかが大変重要でありますので,そのための体制づくりを進めたところです。
あとは,適材適所ということで人事はやらせていただいておりますが,その中で,今回目立ちましたのは女性の登用であります。次長級に県南県民センター長と保健福祉部次長に女性を登用しているところでありまして,平成24年度の知事部局における課長級以上の女性職員数は14人でしたが,来年度は26人になってまいりますから,結構増えていると思います。
茨城:グリーンふるさと振興機構について伺います。以前から解散の方針は出ていましたが,3月末で解散するということで,改めて知事としての受け止めをお聞かせください。
知事:グリーンふるさと振興機構につきましては,例えば,平成18年度に理事長の常勤化を図るとか,あるいは,旅行業者の登録認可を受けるとか,地域の発展のために,一生懸命力を入れてきてもらったところであります。一方,構成市町村数につきましても,例えば,発足したときは18市町村あったのですが,今は6市町に減ってきております。合併その他で市町村も大きくなってきている。そういったことも踏まえて,市町村でしっかりと県北地域振興の活動を行っていくべきではないかいうことで,平成22年度の県出資団体等調査特別委員会で,機構は発展的に廃止されるべき,との提言を受けていたところであります。
これを受けて,今回,廃止ということになったわけでありますが,市町村が積極的に地域振興のための活動をやっていただくということはもちろん必要でありますが,これからも広域的な活動というものも必要になってくると思いますので,市町村を主体にしながらではありますが,県も協力して県北振興に取り組んでいきたいと考えております。
茨城:県も協力してということですが,改めて,県北振興に当たってどのような役割を今後果たしていくお考えでしょうか。
知事:観光一つ取ってみましても,広域観光ということが大変大事になってまいりますので,そういう点で,市町村が頑張ってもらうのがもちろんでありますが,一つの市町村だけで,そこを目当てに観光に来てくれるというのはなかなか難しい時代になっております。それをどうやってつないでいくかということなどもあると思いますし,また,交通網の整備等々につきましても,より渋滞などが出にくいような状況にしていかなくてはいけない。それにつきましても,市町村と協議しながら,どこを中心に進めていくべきかという判断をしていきたいと考えております。
茨城:県北広域ということで秋には県北芸術祭もありますが,地元の機運としていま一つ盛り上がっていないのかなという感じもありますが,今後,どのように機運醸成を図っていくおつもりでしょうか。
知事:どういう作品をどこに飾るかというところを決定して,それを地元にお示しすると盛り上がっていくのだと思いますが,まだそこまで進んでおりませんので,これから茨城新聞さんにもご協力をいただいて,何とか成功に持っていきたいと思いますので,よろしくお願いします。
共同:先日,東海村の議会のほうで,東海第二原発の安全審査を早急に進めるように求める意見書が可決されました。これについて,知事のほうでも村議会と同じように早く進めてほしいというようなお考えはお持ちでしょうか。
知事:東海村の議会としては,地元の経済状況も踏まえながらということでああいう意見書になったのだと思いますが,県として具体的にそうしたことをやっていくことは,現在のところ考えておりません。
共同:安全審査についてですが,実際に審査は遅れているというようなご認識は知事のほうでお持ちですか。
知事:かなり慎重に進められているなということは思っております。
共同:先ほどの広域避難計画の関係なのですが,4月の上旬までに各県レベルでの調整を終えたいというお話でしたが,正式な形で出るのは4月中というふうに思っていいのでしょうか。
知事:いや,そこまでいくかどうかは,まだ予断を許しません。これから各県の各市町村というレベルになっていくと,さまざまな意見が出てくると思いますので,県レベルではある程度ご理解をいただけても,具体に引き受けるところになりますと,施設も割り当てなくてはいけないことになってきますから,そこはまだ楽観できるところまではいっていないと思っておりますが,誠心誠意お願いしてまいりたいと思っております。
共同:先ほど,各県の担当者が一堂に会した説明会を実施されたということなのですが,その後の市町村レベルでの調整もこういう一堂に会して細かくされていくのでしょうか。
知事:例えば,各県の市町村への説明会は,福島県で2月10日に行ったのをはじめ,群馬県で2月16日,埼玉県で3月23日,千葉県で3月24日,栃木県で3月25日に開催しております。3月25日というと,この間行ったばかりでありますから,すぐ結論を出していただけるかどうかわかりませんが,できるだけ早い時期に出していただくようにお願いをしてまいりたいと思っております。4月すぐかどうかはわかりませんが,それほど遅れない形で決定していただくようにお願いをしてまいりたいと思っております。
NHK:来月1日から始まるいばらきふるさと県民登録制度に関してなのですが,知事がお考えになる意義と今後に対する期待を教えていただいてもよろしいでしょうか。
知事:移住・定住を促進したいというのは,我々にとって地方創生の総合戦略の重要な要素でもありますので,何とかそれに役立つ制度をつくっていきたいということで,ふるさと県民登録制度をスタートさせようとしているわけでありますが,このことにつきましては,これまでも実は常陽銀行さんとどのような形でやっていけば効果が出るかということを協議してまいりました。
その中で,JTIという移住・住みかえ支援機構がありますので,そこと常陽銀行さんとがこれまでも連携してきておりましたので,その中から新しいローン制度をつくったらどうだろうかと。それによって,こちらへ移住してくる人たちも,東京などに持っている住宅が売れなくて困るといったことがなくなり,家賃が入ってくれば安心してこちらへ移ってこられるのではないかということで,両方での協議も整ってきましたので,三者での協定という形にさせていただきました。
これにつきましては,ローン制度も絡めたという意味では大変先駆的な取組みではないかと思っております。今まで,移住・定住といいましても,実際にローンを抱えている人などは,東京圏に持っている家を始末できないと二重の負担になってしまうなど,いろいろなことがあるものですから進めにくかった。それを一つ,足かせを除くということになってくれるのではないかと思っておりまして,我が県としてぜひこれを積極的に活用していただけるように取り組んでまいりたいと思っております。
茨城:消費税に関して,安倍政権のブレーンから再先送りしてはどうかという意見も出ておりますが,この議論に関して,知事としてはどんなご意見をお持ちでしょうか。
知事:新聞報道など見ておりますと,例えば,税収減なら増税を先送りなど,いろいろな談話が出ておりますが,税収が減ってしまうのでは増税しても意味がありませんから,増税の時期については当然検討しなければいけないと思いますが,まだ時間がありますので,増税できるような環境をつくっていくほうにもっと取り組んでいただけたらと思っております。
いずれにしても,子ども・子育て支援新制度,あるいはまた,医療・介護制度など,新しい制度を導入し始めた。そういったものを充実していくにしたがってかなりの金額が必要になってきますので,何らかの形で財源の手当をしていくことが必要なのだろうと思っております。
今回,消費増税の再先送りをした場合に,その財源をどうやって確保していくか。我々ももちろんですが,国としての対応策を示していただくことが必要になってくるのではないかと思っております。
茨城:そうした中で,G7サミットの後にも解散・総選挙などに打って出るのではないかということもありますが,衆参同日選挙に関して知事はどのようにお考えでしょうか。
知事:これは見解は控えさせていただきます。いろいろな事情があるでしょうから。国民の皆さんの感じ方がどうなっているのかということを踏まえながらやっていく必要があるのだろうと思っております。
茨城:昨日,民進党が自由・共生・未来への責任というキーワードの下で結党になったわけですが,これまでの結党までの流れなどを知事も見ていらっしゃると思うのですが,そういったことも踏まえ期待することがあればお願いします。
知事:個別の政党のことですから,特別に感想を持っているわけではありませんが,今おっしゃられたようなスローガンをもとにして,精いっぱい国民の期待に応えられるような政党になっていって欲しいと思っております。
そういった点では,まずは一致団結ということが大事でしょうから,旧民主,あるいは維新という垣根を早く取り払って,しっかりと結束をしていって,活躍をしてもらえたらと思っております。
茨城:話が戻りまして,広域避難計画で確認させてください。福島県で決定した26万人というのは,福島県のどの方面に行かれることになるのでしょうか。
知事:たくさんの市町村にまたがっていると思います。今,具体的な市町村毎の数字は持っておりませんが,向こうからは来ているはずです。もし必要があれば,後でお渡ししたいと思います。
茨城:重ねて,その方面に逃げるということは,どういった観点で絞り込んだというか,地域を選定していったのでしょうか。
知事:それは,我が県としては,各方面に逃げるという前提で,福島県に近いところは福島県に逃げてもらおうと。その時に,福島県のほうで,どういうところにどういう施設があるから,このぐらい受け入れられるかということを判断してくれる。そういう形で進めてまいりました。
毎日:今の関連で,福島県に逃げる26万人は,茨城県のどの市の何人とかいうところまではまだ出ていないということですか。
知事:それはもちろんわかっています。それもあわせて必要があれば後でお渡しします。
毎日:では,福島県に逃げる部分はある程度これでほぼ決まりで,あとは市町村ごとで調整をしていってほしいということですか。
知事:そうですね。例えば,福島県(へ避難するの)は比較的北の方の市町村ですが,(手元の表では)いろいろばらばらに飛んでいて今すぐにまとめにくいものですから,後ほどお話ししたいと思います。
産経(幹事社):県の人事について一つ質問させてください。私,今回の人事を見まして,一つ非常に違和感があるのです。何かといいますと,今度,会計管理者になる方なのですが,現在,防災・危機管理局長の方で,この方は昨年9月の水害のときに,行方不明者が無事であることを夜の8時に確認していたにもかかわらず,翌日の対策本部会議まで公表せず,知事にも報告しなかったというふうに伺っています。その理由というのが,不幸な話ならすぐ出さなければならないが,よい話なので本部会議で発表すればいいと思ったという,正直言って,まるでわけのわからない理由でした。この事実は,当然,知事だけではなくて,常総市にも伝えていませんでした。当然,これは,捜索していた関係者や常総市から大ひんしゅくを買っただけではなくて,たった一人のために,茨城県の行政能力全体とか危機管理能力そのものが問われるという事態になりました。民間企業であれば,自分の会社の看板に泥を塗ったということで,何らかのペナルティか,もしくは次の人事では左遷させられるということが十分に考えられるのですが,この方は正部長に出世されました。県の人事ではこういうことは当たり前なのかどうなのか,知事のお考えをお聞かせください。
知事:普通,理事兼防災危機管理局長ですと,生活環境部長に替わっていくのが普通なのですけれども,生活環境部長には,現地へ行って大分苦労して災害対応に詳しくなっている職員を充てることにしました。その結果,現在の理事兼防災危機管理局長には,防災危機管理について今のようなお話はあったかもしれませんけれども,他の面では大変優秀な人物でもあるということで,会計管理者に異動させたところです。
産経(幹事社):民間企業の立場で言いますと,非常に役所って甘いのだなと思うのですが,これも先ほど知事がおっしゃった適材適所ということなのでしょうか。
知事:今までも,理事兼ですから部長級で,既に庁議メンバーであるわけですので,特に上がった(昇格した)ということでもありません。そこで能力を発揮して欲しいということから異動させたところです。
○緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用について(2)
東京:SPEEDIの話に戻るのですが,SPEEDIの有用性について,県では今のところどのようにお考えでしょうか。
知事:私は,田中委員長の言っていることは一理あると思います。例えば,福島原発事故の際に,仮にSPEEDIを使ってやったとしたら,真逆の方向が出てしまったのではないかということも言われているわけでありますので,田中委員長の言われていることも一理あると思います。
ただ,運用をどのようにしていくのか,場合によっては役に立つ場合もあるのではないかと考えておりますので,一概に否定は出来ないと。
県の場合にSPEEDIは,先月県庁に設置していた機器が撤収されておりますので,現実には使えない状況にあります。
それから,いろいろなデータをどう入れるかということになってくるわけですが,データについても県としてはとれませんので,結果的には,他の国の関係から聞かなくてはいけないことになってまいります。
原子力安全技術センターがありますが,そこから(データを)もらわないと県としてもSPEEDIの運用は出来ない。そうなってきますと,当然のことながら,SPEEDIの運用については,その結果をどう読むかということも含めて,国に密接に絡んでもらわないと出来ないわけであります。
そういう点からすると,先般内閣府で決めました「地方自治体の自らの判断と責任において使用することを妨げない」という見解は如何なものかなと考えております。
もともと法律でも,避難指示を出すようにという指示は,内閣総理大臣が行うわけでありますので,今後も国にはしっかりと関与してもらいたいと思っております。
NHK:先ほどの広域避難計画で,40万人ということで,県内の避難者数を減らしたということだったのですが,この辺の経緯を少し詳しく教えていただけますか。
知事:例えばある市では,指定避難所の見直しによりまして,受入れ可能数が減少してしまったということもございます。そうした避難所の見直し等で約3万人ぐらい。それから,大洗町の避難先を県外といたしました。ここは県内で想定していたのですけれども,その後,大洗町の県内の避難先としていたところが,他の市との調整などで,十分に大洗の町民を全員まとまって受け入れる余地がなくなってしまったということで,県外にさせていただいたところであります。これで約2万人ということで,今申し上げましたように,県内40万人,残り(県外)約56万人になったところです。
NHK:普通に考えると,例えば,県内を増やしましたというときには他県に対しても説明しやすいのかと思うのですが,県内を減らして他県に多くというふうに言ったときにはなかなか理解が得られにくいのかなと思うのですが,その辺はいかがでしょうか。
知事:避難所の有効面積などを精査していった結果,特定の施設で受け入れられる人数が減っていくということは当然想定できるわけであります。また,大洗町につきましては,出来るだけ市町村単位で避難するようにという方針のもとに,今回の広域避難計画の策定を進めております。そうしたこともあって,大洗町の方を県外にお願いする部分と,県内の市町村にとどまる部分と分けてしまうのもどうだろうかということで,(大洗町全体で)県外にお願いしているところです。
NHK:そうしますと,県外5県の配分というのも当然変わってきているのかと思うのですが,後ほどで結構ですので,その辺の数字なども教えていただけますか。
知事:では,それも含めて後ほど公表します。
産経(幹事社):ありがとうございました。
このページに関するお問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください