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更新日:2018年2月23日
この資料は,県政記者クラブとの記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成30年2月23日(金曜日)
11時20分~12時03分庁議室
共同:よろしくお願いします。
本日は,知事のほうから発表事項があるということですので,よろしくお願いします。
知事:では,スライドを使って,座ったままでご説明させていただきます。
平成30年度の茨城県の当初予算についてでございます。
まず,基本方針でございますが,日本全体で急速に人口減少や少子高齢化が進行し,社会経済のグローバル化や情報通信事業・技術の劇的な進歩など,大きな時代の転換期に差しかかっている中,本県が大きく飛躍できるかどうかは,これからの10年間が極めて重要な期間になると考えております。
こうした状況下において,未来に希望が持てる新しい茨城づくりを進めるため,昨年末,「新しい茨城づくり政策ビジョン」を発表させていただきました。
そこで示しました基本理念の「活力があり県民が日本一幸せな県」を実現するため,1つ目,「新しい豊かさ」へのチャレンジ,2つ目,「新しい安心安全」へのチャレンジ,3つ目,「新しい人財育成」へのチャレンジ,4つ目,「新しい夢・希望」へのチャレンジの新しい4つのチャレンジに係る施策に積極的かつ大胆に取り組んでまいりたいと考えております。
また,財源やマンパワーに限界がありますので,前例にとらわれないゼロベースでのスクラップ・アンド・ビルドを徹底し,施策の選択と集中,メリハリのある予算編成に努めました。
次のスライドでございますが,全体の予算規模でございます。今までご説明した考えに基づき編成を進めた結果,一般会計の予算規模1兆1,117億円と,前年度とほぼ同額となる見通しでございます。
東日本大震災の関連部分を除きますと,伸び率は前年度比1.3%の増となっております。
次に,新しい茨城づくりへのチャレンジのポイントについてご説明いたします。平成30年度当初予算において,私自身が特にポイントとして力強く打ち出したいと考えているものについてご説明差し上げます。
まず,新しい豊かさへのチャレンジでございます。
質の高い雇用創出に向けた産業育成が必要だと考えております。最先端の技術が集まっているつくばや東京圏に近接している地理的な優位性,農業の産出額全国第2位の本県農業を最大限に活用した企業誘致や産業育成が重要であると考えております。
1つ目,AIやIoTなどの新しい成長分野の研究所や,本社機能等の県内移転を強力に促進する最大50億円の新しい補助制度を創設いたします。
次に,2つ目,優れた技術シーズの発掘,事業化から県内に定着するまでを一貫して支援するベンチャー企業支援も創設する予定でございます。
茨城発,儲かる農業として,農地集約化を加速化する政策モデルを確立します。100ヘクタールを超える大規模水稲経営体を3年で育成する支援制度を創設し,農業の成長産業化を促進するとともに,新たな政策モデルとして国にも提案していきたいと考えています。
次に,新しい安心安全へのチャレンジです。新たな発想により,あらゆる手段を講じて,まずは県民一丸となって医師確保対策に取り組むことが重要であるため,医師不足緊急対策行動宣言に基づき施策を展開したいと考えております。
医師不足緊急対策行動宣言は,この後ご説明します。
医師確保のために,私が先頭に立って足で稼ぐ営業を展開するということで,まず1つ,いばらき医療大使を任命する,私が営業を展開することが1つ目の施策です。全国の医科大学や本県ゆかりの県外医師に積極的なリクルーティングを展開します。
2つ目が,全国初,実質金利ゼロの医学部進学者向け教育ローンを創設します。常陽銀行など県内金融機関と連携し,医学部進学者に対して在学中の借入金利息の支払いを支援します。
3つ目,子育て医師をみんなで応援。病児保育支援体制を県内の全域に拡大ということで,医師が県内に定着するためのハードルが何になっているかという中で,最も大きな問題になっているのが女性医師の子育て環境ということなので,子育て中の女性医師が,朝,電話1本で病気になったお子さんを預けられる緊急コール体制を構築するということに集中して対策を立てたいと考えています。
次に,新しい人財の育成です。新しい人財に適応できる教育の推進,環境の充実ということは最も今求められているものの一つだと思っています。
特に,これからはグローバル化が進み,さらには,AI,IoTなど,ITが全ての社会の隅々にまで行き渡る,そういう時代にあって,茨城の未来を支える人財のためのしっかりとした制度を確立したいと思っています。
目玉として,1つ目が,グローバル人財育成。これは,トップレベルの英語学習の機会を提供したいと考えています。英語の学習意欲,能力の高い中高生を対象に,インターネットを活用したトップレベルの学習,イングリッシュキャンプへの参加などのプログラムを提供したいと考えています。
2つ目,トップ層育成と,すそ野拡大のため,プログラミングを学べる機会を提供したいと思っています。インターネットを活用して,全国のトップレベルのプログラミング能力を持つ中高生を育成する,トップの能力の高い中高生を育成するということに加えて,多くの学生がプログラミングに興味を持つような学習サービスを提供することを目指して,来るべきIT社会に備えた人財を育成する環境をつくっていきたいと思っています。
3つ目が,茨城型就学支援,就職支援,奨学金助成制度と入学一時金貸付制度の創設でございます。
給付型奨学金になるような形で,(企業版の)ふるさと納税も活用しながら,本県にUターン就職,地元就職を選択した学生に対して,返済免除の奨学金,それから,入学一時金の貸付制度を設けることによって学生たちの支援をしていきたいと思っています。
4つ目,新しい夢・希望へのチャレンジです。魅力度No.1プロジェクトを推進するという旗印で,本県の多様な魅力を国内外に積極的かつ戦略的,効果的に発信するということを狙っていきます。
豊富な地域資源があるにもかかわらず,必ずしもそれが知られていないという反省から,その魅力を多くの人に見ていただける。それも国内にとらわれずに,世界に向けて発信していける,そんな戦略の第一歩を,今回,目指したいと思っています。
1つ目,プレミアムなホテル・旅館誘致で,最大10億円の補助制度を創設します。茨城県の観光資源の中で特に欠けているものというのが,フラッグシップになるような宿泊施設がないということは多くの方から指摘されております。ホテルというのは観光の顔でありますし,あるいは,ホテル自身が観光地にもなり得るものでございますので,本県の新たなイメージアップの戦略として,このホテル誘致で,特にプレミアムなホテルに対象を絞って誘致するという制度をつくって,観光振興に大きくインパクトのあるものを目指したいと思っています。
2つ目がビジット茨城ということで,ターゲットに応じた戦略的な海外誘客プロモーションを展開したいと思っています。国内にとらわれず,海外をターゲットにすることで,海外のどんな観光客なのか,団体客なのか,個人客なのか,そういうことによって対象を分けながら,きめ細かく戦略を立てて誘客を展開する,そういう体制を整えることが必要だということで,台湾やそのほかの東南アジアのお客様に向けて,観光レップの設置や海外の有名オンライン旅行サイトの活用による情報発信の強化など,新たな旅行商品の造成も含めて,トータルに戦略的に攻めていきたいと思っています。
さらには,銀座にあります茨城マルシェ,アンテナショップの情報発信を大幅に見直したいと思っています。全面リニューアルをして,内装や商品のラインナップを高付加価値化し,新たな商品,新たなコンセプトで厳選された一品を,日本,あるいは世界に発信していく,そういう茨城ブランドの実験場にしていきたいと考えています。
次のスライドが事業の見直しについてでございます。
限られた財源とマンパワーの中で,どうメリハリをつけるかということが私が最も気をつけたことでございます。施策の中でも,何が一番重要かということをきちんと全員で議論をして,そこの一番大事なポイントに最も資源を集中するということもやってきましたし,それ以外に,スライドにありますように,ゼロベースで2,000の事業を総点検して,1割の207事業,約18億円の削減効果を出すことができました。
活力があり,日本一幸せな県の実現ということで,最初のステップとしての予算の原案をつくることができたと自負しております。
次に,組織改正は,お手元の資料によってご説明をいたします。
一度,記者会見でも話が出たと思いますが,平成30年度の組織体制,これも予算とあわせて今回の第1回定例議会に提出させていただきます。
今回の組織改正は,政策ビジョンに掲げる4つの柱を推し進めるための,職員が新たな発想で積極的に挑戦することができる組織体制を確立する。それから,スピード感ある事務執行体制を整備する。それから,選択と集中などメリハリのある組織体制を整備するという3つの基本理念のもと組織体制の整備を目指しました。
名は体をあらわすということでございますので,形を変えることによって職員の意識も大きく変わって,スピード感のある政策実行ができるものと考えています。
ポイントとしましては,次のスライド以降にございますが,一つの目玉として,営業戦略部の設置があります。企業誘致や企業の海外展開支援,観光誘客,県産品の販路拡大,港湾の利活用促進など,全ては茨城の魅力,茨城の営業だと考えています。これまで,それぞればらばらにやってきた茨城の魅力をアピールしていく,プロモートしていくということについて,統一した部署を設けて,それぞればらばらでなく,お互いに連携しながらトータルで茨城の魅力をどう売り込むかということをできる部署で,かつ機動的に動ける部署を目指しております。
2つ目のポイントが,知事直轄の廃止です。知事直轄を廃止して,政策企画部を増強したということでございます。基本は,各部に仕事をきちんと位置づけたいということと,知事直轄という言葉が,逆に,知事直轄の部署にある事業が重要ではないかとか,職員がそこにいるのは非常にいいのではないかとか,変な誤解を招いていたという反省も含めて知事直轄を廃止して,各部を強化する。特に,政策企画部に総合計画や地方創生総合戦略など,県の重要計画の立案の機能を集中させて,しっかり機能を持たせるということを目指しております。
そのほか,今後の医療問題,福祉関係の政策の増加ということを踏まえて,保健福祉部の増強や,県民生活環境部の新設など,さまざまございますが,この後,資料をごらんいただければと思います。
知事:続いて,茨城県医師不足緊急対策行動宣言についてご説明させていただきます。
茨城県医師不足緊急対策行動宣言でございますが,もう皆さんご存じのとおり,茨城県は,人口(10万人)当たりの医師数全国46位,ただし,47位の埼玉県は東京に非常に近いこともあって,県民の本当の不便度という意味では,茨城県は一番厳しい環境にあるのではないかと考えております。
この夏の選挙期間中も,たくさんの方々がこの問題について現状を訴える声,改善を訴える声を聞いております。
そういう中で,2030年前半には医師数は充足するということは言われていても,それは全国での話であって,茨城県も含めて地域偏在の課題は依然として残るものと考えております。
そういう状況を踏まえながら,そもそも人が住む場所として,特に中核となる医療機関がきちんと整っているということは最低限の環境だと思っていますので,そういう意味も含めて,県民一丸となってこの問題に取り組むべく,茨城県の医師不足緊急対策行動宣言をパッケージとして発表したい。そして,県民一丸となって取り組みたいということでございます。
スライドをご覧いただきますとおり,抜本的解決に向けて,5つの政策を展開していく予定です。
政策の1つ目,攻めの姿勢で新たな視点から医師確保,政策2が,夢や希望の持てる魅力ある環境づくり,政策3が,医志の実現を全力バックアップ,4つ目が,地域医療のコントロールタワーの確立,5つ目が,医療体制の充実で医師をサポートしたいということでございます。
具体的な取り組みとして,まず1つ目,攻めの姿勢で新たな視点から医師確保を目指すということでございます。新たにいばらき医療大使を任命して,有力な医師の方,著名な医師の方に医療大使になっていただいて,全国の医科大学に向けて積極的にリクルーティングを行っていきたいと思っています。その際,私自身も当然先頭に立って足で稼ぐ営業をしたいと考えております。
2つ目として,県外で活躍する本県ゆかりの医師へのアプローチ,きちんとデータベース化して,本県出身の医師の方,県外で活躍されている方へのふるさとへのUIJターンの促進を目指していきます。
それから,外国医師も積極的に受け入れたいと思っています。外国医師を受け入れる体制の整っている医療機関を手厚くサポートしたいと思っています。
それから,医学部,医科大学の新設誘致も引き続き調査検討しながら,非常に困難な課題でありますが,目指していきたいと思っています。
次が,夢や希望を描ける魅力ある環境づくりです。医師が茨城県にいたい,茨城県で仕事をしたいと思えるような魅力をつくっていくことが非常に重要です。例えば,地域枠を設けて筑波大学で研修生(修学生医師)を生み出しても,定着しなければ何もならないということもあります。
その中で特に大きな問題とされているのが女性医師の子育て環境でございます。病児保育も含めて,女性医師が安心して働けるような環境を,先ほどの予算の中でもご説明しましたが,ワンコールでサポートができる体制を県内全域に拡大していきたいと思います。
それから,県内のお医者さんが自分のキャリアを築けるようなしっかりとした仕組みもつくりたいと思っています。海外で高度な診療技術,指導力の向上をするための研修ができるようなサポートもしていきたいと思います。
それから,医師のキャリアアップを全面的にバックアップするために,研修や指導体制の充実,最新医療機器の整備を行っていきます。
そして,県立病院における教育,研修,派遣機能の充実強化によって,県内で活躍できる医師を筑波大学と連携しながらしっかりつくっていきたいと思います。
3つ目,医志の実現を全力バックアップということでございますが,お医者さんを目指す県内の高校生をしっかりサポートしていきたい。県内出身者のお医者さんのほうが県内に戻ってきて定着する確率が高いという分析もございますので,県内金融機関との提携により,在学中,実質金利ゼロの教育ローンを創設します。
また,修学資金貸与者の拡大により,将来の茨城を担う医師の誕生を支援していきたいと思っています。
それから,今までは私立高校にしかなかったと思いますが,県立高校にも医学コースを設置して,私立高校には,医学部進学実績に応じた補助をするなど,あらゆる手段で医師の卵を最大化したいと思っています。
4つ目が,地域医療のコントロールタワーの確立です。医師確保のために必要な機動的で弾力的な事業を実現するための新地域医療支援センターを確立したいと思っています。現在,県庁とそれぞれの病院,あるいは大学と個別に連絡しながら調整していた若手医師の研修場所とか,全県一体となって若手医師のキャリア形成を支援できる体制をつくるために,司令塔をきちんとつくりたいと思います。関係病院,大学を巻き込んでコントロールタワーになるような地域医療支援センターの法人化を目指して,しっかりとした体制をつくっていきたいと思っています。
最後に,医療体制の充実で医師をサポートということで,新しい技術の取り組み,特にICTなどを使って遠隔診療などをどんどん取り入れる。そういうことをすることによって,逆に少ない医師でもきちんとした診療ができる体制をさらに強化していきたい,つくっていきたいと考えています。
医療機関の機能分担や,さらに再編統合ということも,各医療圏の中で必要であれば,進めることによって,医師不足を補える医療体制も考えたいと思っています。
それから,看護職等の医療従事者の確保,それから,確保のための支援,チーム医療体制の充実も含めて行うことによって,医師の負担を軽減していくということも進めていきたいと考えています。
以上,私からは,平成30年度の当初予算案,それから,平成30年度の組織改正案,それから,茨城県の医師不足緊急対策行動宣言についてご説明いたしました。
以上です。
共同:それでは,幹事社から大きく2点お伺いします。
今回,就任後初めての予算編成となりました。限られた財源の中で,大井川カラーはしっかり出せたか,その辺の率直な感想を一つ。
もう一つ,今回,大幅な組織改編になったと思うのですが,改編の上で改めて職員に求めていきたいことを一言お願いします。
知事:1つ目ですが,今回の予算編成はまず第一歩だとは思っておりますが,私がやりたいことを形にできたかという意味では,十分な予算がまずはできたのではないかと思っています。
金額的には前年度とそんなに大きく変わりませんが,中身はかなり大きく,徹底的に見直しておりますので,そういう意味ではすごくメリハリのきいた施策をいろいろな分野で展開することによって,まずはどんな効果が出てくるのかということをしっかり検証できる体制ができたのかなと思っています。
大事なことは,これを実際にやってみて,その効果がどうだったのかということを踏まえてきちんと検証する。このきちんと検証するということが,多分,役所というのは非常に苦手なものなので,きちんと検証した上で,さらに次にどういう手を打つのかということを常に自分たちでブラッシュアップしていく,そういうことが実現できて初めて私がやりたいことが実現するのかなと。
ただ,第一歩としては,私は十分だと思っています。
それから,予算もそうなのですが,組織体制も,機能的に,柔軟に,かつメリハリのきいた行動がしやすくなるような組織を大幅に見直してつくろうとしているわけでございますが,職員の皆さんが,おそらく看板が変わることによって発想も変えることができるという効果があると思います。
今まで,県職員の中で,営業なんていう言葉で仕事をされた方は多分いらっしゃらないと思いますが,逆に営業ということで,発想自体が,どう茨城県をプロモートしたらいいのか,ある意味,マーケティング的な発想で施策を考えるとか,そういうことが自然にできるような体制ができると思っておりますので,その効果を非常に楽しみにしていますし,一番お願いしたいことは,リスクをおそれず,思い切った政策をどんどん打ち出してほしいと思っています。それで,伸び伸びと仕事をしていただければと思っています。
以上です。
共同:発表事項に関して,各社,質問をお願いします。
読売:スクラップ・アンド・ビルド,ゼロベースの事務事業総点検ということで,18億円削減ということですが,この削減した数と金額についてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
知事:これは,おそらく,数と金額という意味では,十分やったのかなという気はしています。ただ,これだけがスクラップ・アンド・ビルドの全てではなくて,実は,当初予算で盛り込んでいるものも含めて大幅に中身を見直して,一番大事なことにやることをぎゅっと集中させるものも含めると,金額的にも多分もっと大きくなるのではないかなと思います。
スクラップ・アンド・ビルドということでは,今やれる範囲で,例えば,私が就任したのが9月末なので,そこから始まって,この5カ月間でやれる範囲としては,評価してもいいのかなと思っています。
読売:わかりました。
朝日:歳出の中の公共事業のことでお伺いしたいのですが,全体では少し下がったと思うのですが,県単独では15%近く増やしていますね。この狙いを教えていただきたいのですけれども。
知事:公共事業についてですが,必要性のあるものについてはしっかりお金をつけようということです。特に,今回,私,選挙を通じて,県民からの一番大きな声は,県道の草を何とかしてくれと。除草を何とかしてくれと。これは,どこに行っても,時期が夏だったということもあるのでしょうけれども,ものすごく言われました。
今まで,予算を節約するために,50センチ幅の草刈りということで留め置いたのを,それだと全然子どもたちの安全ということ,あるいは便利さということも含めて非常に不十分だった。そういう反省も踏まえて,今回,きちんと拡充して,70センチにするわけですが,そういうことでありますとか,あるいは,道路の冠水対策,橋梁の耐震補強など,今までのインフラである程度補修が必要になってきているというのをきちんと客観的に評価して,必要性の高いものについては,今のうちにきちんと手を打たないといけないということで,県単の13.5%の増加という結果になりました。
朝日:県民からの声も大きかったし,市町村とか,あと自民党とか,そういうレベルでの声も大きかったですか。
知事:市町村とか自民党のレベルというよりは,我々の中で客観的に分析して,今から手を打たなければならないところにしっかり手を打とうということで今回の予算をつくりましたので,私自身は,ここをやってくれという話は全く聞いていません。
朝日:わかりました。ありがとうございます。
読売:フリーディスカッションを,知事は,就任後,各部局の方とされていまして,いろいろな意見を聞いて政策に反映されるということをおっしゃっていましたが,実際にフリーディスカッションを通して,この政策はフリーディスカッションから生まれたというのがもしあるのであれば,教えていただけますか。
知事:いっぱいあるのですけれども。
読売:一番印象的だったというものでも結構です。
知事:例えば,医師の定着のために,いろいろな相談窓口とか,いろいろな事業をやりますという今までの医師確保対策の中の一つのメニューの事業について議論したことがあるのですが,では,一体,誰が,どういうふうに困っているのかということを掘り下げていくと,結局,女性のお医者さんが,自分の子どもを預ける場所,特に病気になったとき預ける場所に困ってしまう。あるいは,しばらく自分が子どもを育てる間,医師を離れたときに,戻るときにそこが不安になってしまう。そういう話が掘り下げていくと出てきたので,ではほかに余計なことをしないで,そこに特化したらどうかと,そういうような話もさせていただきましたし,そういうことで今回の予算の一つの形がつくられましたし,ほかにも,急に思い出せないな。いっぱいあったのだけどな。
事務局:本社機能の移転などもフリーディスカッションの中で出てきたものです。
知事:そうですね。本社機能の移転なんかも,企業移転ということでいろいろなメニューがある中で,本社や研究所をメインに移動させる,持ってくることが非常に重要ではないかという議論をこちらからもさせてもらって,そのための対策というのを,ある意味,思い切ってつくりますという結果にもなりましたし,ほかにもあったのではないかな。いっぱいあるんだけど。急に言われると思い出せなくなってしまう。
今回,選択と集中ができたのも,このフリーディスカッションの中で,インフラの整備もそうですし,教育もそうですし,それから,医療や福祉の問題なんかもそうですが,例えば,ディスカッションの中で,県内の福祉施設を耐用年数で建て替えなければならないという議論をしたときに,本当に今の県立の福祉施設で十分に入所者が幸せな生活を送れているのかという議論をさせていただいて,県だけでやっているという体制を,そのままだらだらと続けるのではなくて,例えば,一部できるところは,民間の活力を生かせるような,そんなことを工夫をできないかというような調査をするための予算を計上するとか,いろいろなことを本当に幅広く見直した結果が,第一弾としてこの予算という形でまとまっていると思います。
産経:発表にはなかったのですが,水戸市の朝鮮学校の運営補助金について,計上をしたか,しなかったのかという点についてお願いします。
また,その理由について,知事のお考えを聞かせてもらえればと思います。
知事:朝鮮学校への補助金については,今回,計上しておりません。現在,北朝鮮との密接な関係を有する朝鮮総連の朝鮮学校への関与の問題など,現在のような状況が続いている間は補助金の計上は困難だと考えております。
共同:予算関連の質問は,ほかにありますか。
毎日:まず,(朝鮮学校への)補助金の関係ですが,今後の復活に関して,状況が変われば復活するのかどうか,どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
知事:今後の状況を踏まえながら,そのときに判断したいと思います。
毎日:政治と教育の関係というのも,(政治の問題を教育に)持ち込むということに関して反発も学校のほうからあると思うのですが,その辺はどのようにお考えでしょうか。
知事:それは関係部署から聞いていますが,現在の立場は変わっておりません。
毎日:もう一つ,別の質問をよろしいでしょうか。
県北芸術祭の関係なのですが,今回,芸術村構想という予算はあるのですが,芸術祭については具体的予算がついていないように思うのですが,現在,知事は,芸術祭の継続などを含めて,どういう構想を描かれているのか。
知事:県北芸術祭のあり方について,現在,見直しをしております。これもフリーディスカッションの中の一つの成果なのですが,県北芸術祭を一過性のもので終わらせないためにどうしたらいいかということで,今現在,新しくどういう形にしていくかということを考えている中で,まず,今年は芸術村ということも県北振興策の予算に含めていますが,芸術祭を予定どおり2019年に開催するかどうかも含めて,もっとメリハリのきいた形で,かつ一過性に終わらせないためにどうしたらいいかということで,見直しをしていこうということでございます。
毎日:2019年秋,国体と同時ということは,かなりこの状況だと厳しいのかなという気もするのですが。
知事:その延期も含めて考えております。
共同:予算関連なければ,そのほかの質問に移りたいのですが,よろしいですか。
では,予算以外の質問をお願いします。
朝日:3月に東日本大震災から7年を迎えますが,茨城県として,例年,開催してきた追悼式について,今年,開催されるのか,されないのか,その方針をお伺いしたいと思います。
また,その理由についてもお聞かせください。
知事:東日本大震災から7年目を迎えるわけでございますし,県内でも24名の方が亡くなったということで,3月11日は,これまで積み重ねてきたものが一瞬にして大きく崩れたという県民にとっても忘れられない日だったわけでございまして,その記憶は決して風化させてはならないと感じております。
この間,生活インフラの復旧なども進めておりますが,ほぼ完了することができたといいながら,まだまだ中途というふうに感じております。
今回は,追悼式典ではなくて,当時の震災の記録を展示するようなやり方に変更して,3月11日を挟む3月8日から15日まで,東日本大震災記録資料の展示と弔問記帳所を県庁内に設けて,当時の記憶を風化させないような形にしたいと思っています。
朝日:審議会の公開・非公開の件なのですが,今月あった県総合計画審議会とまち・ひと・しごと創生会議が非公開になりましたが,その意図をお願いします。
知事:審議会を一律に非公開としているわけではございません。個々の審議会ごとに,議題や議論の中身に応じて判断しておりますが,例えば,2月5日の総合計画審議会,2月13日のまち・ひと・しごと創生会議は,これを公開というか,傍聴していただいた場合,率直な意見の交換がなされないという判断のもとで非公開とさせていただきました。
ただ,非公開とした場合でも,会議終了後に,座長等が報道機関に対してブリーフィングを行うなど,取材を受けたり,速やかに議事録ないし議事要旨を公表することによって,会議の経過を広く県民の皆さんに知らしめる,あるいは,県政の透明性を確保するということをやっていきたいと思いますし,それによって透明性の確保は十分可能だと思っています。
朝日:昨年3月に,行財政改革大綱で公開を推進しますと謳っているのと,あと,大井川知事も選挙公約でガラス張りの県政ということをかなり強調されていたと思うのですが,その食い違いが出ているのではないかという指摘があるのと,ネットニュースなんかでも,今回の件,かなり注目されて,誤ったメッセージになるのではないかと思うのですが,そこら辺はいかがでしょうか。
知事:全ての審議会を非公開にするというわけではなくて,今回,審議会ごとに個別に判断して,非公開といっても,情報はきちんと公開するわけですから,それが非公開になるかというのもあるのですが,全てほかのものについては原則公開としていきたいと思いますし,引き続き,非公開と仮にした場合であっても,ブリーフィングを通じて情報はきちんと提供できるような体制にしていますので,何ら食い違いもないし,問題はないと思っています。
朝日:わかりました。ありがとうございます。
読売:優生保護法の強制不妊手術の関係で,宮城県の知事さんなんかは,資料がなくても,実際に関係者の証言とかがあれば,手術がされたということを認めて,いわゆる訴訟をする場合でも,認めるという話をしていたのですが,茨城県として,そういう救済措置を考えていらっしゃるかどうかということをお願いします。
いわゆる資料は多分茨城県にもないと思うのですが,ない中で,例えば,関係者の証言とかそういうものがあれば,実際に手術があったということを認めるというような,対応を柔軟化するかどうかということをお願いします。
知事:現在の状況を申し上げますと,県に残っているものは,昭和50年以降の統計資料だけということでございますので,国に確認しまして,昭和23年から平成8年までの間に本県で54件の事例があったということは確認できています。
ただ,問題は,本県に残っている統計資料も含めて,氏名や年齢,性別などがわかっていないということでございまして,本人を特定する手段が今のところないということでございます。
仮にそういう特定する手段があれば,そういうこともぜひ考えたいと思いますが,現在,その手段がないということだけご報告させていただきます。
読売:仮にそういう申し出があったとしても,そういう手段がこちらとしてはないから,何も対応はできないということでしょうか。
知事:どれだけ確認できるかによりますが,今のところはなかなか難しい状況であると言わざるを得ないと思います。
読売:わかりました。
読売:WTOが,韓国が輸入禁止をしている日本の水産物について,おかしいのではないかという是正を勧告する報告書を出しました。茨城県も韓国への輸出が止まっている状況だと思うのですが,それについてどのように受け止めていらっしゃいますか。
知事:WTOの第1回目,その後,韓国がどう出るかにもよると思うのですが,本県も,平成22年の時点では,韓国に1,300トンぐらいまで海産物を輸出していたという実績もあるので,仮にこの結果が確定して,輸出がきちんと再開できるようであれば,本県にとっても非常に喜ばしいことかなと思います。
茨城:先ほどの優生保護法に関連なのですが,今のところ,県のほうにそういった方から申し出などがあれば教えていただきたいのですが。
知事:今のところ,あるという話は聞いておりません。
茨城:わかりました。ありがとうございます。
共同:時間ということなので,よろしいでしょうか。
それでは,ありがとうございました。
知事:どうもありがとうございました。
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