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更新日:2015年3月23日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成25年4月2日(火曜日)
11時15分~11時40分 会見室
日経(幹事社):幹事社の日本経済新聞です。今年度もよろしくお願いいたします。
まず、幹事社から2点お尋ねします。まず1点目、新年度のスタートということで、震災からの復興、あるいは、原発の防災とか、あるいは、知事ご自身も任期満了を迎えられるといった局面にもあろうかと思うのですが、今年度の目標といいますか、抱負について改めて教えてください。
知事:復旧・復興についてはある程度めどが立ちつつあるので、今後は災害に強い県土づくりという方向を目指して取り組んでいく必要があると思っております。
一方、風評被害がまだまだ大変厳しい形で残っております。特に、中京圏、阪神圏では、28%ほどの卸売業者・仲卸業者さんが、まだ不安があるというか、茨城県産の食品については取扱いを控えたいという意向を持っているという話もありますから、そういったことについてしっかり対応していくことも必要だと思っております。
また、「生活大県」の実現を目指して様々な施策を進めてきているところでありますが、例えば、医療や福祉、あるいは教育などを中心に、一層積極的に進めていかなければいけないと思っております。
あわせて、国のほうでも景気の回復に積極的に取り組んでおられるところでありますが、国と歩調を合わせながら我々地方自治体としても力を入れていく必要があるのではないかと思っております。
日銀短観などを見ましても、国全体としては少し回復傾向が見られますが、地方は中小企業も多いことから、まだまだ回復傾向にはほど遠い状況にありますので、大企業だけでなく、中小企業、そして地方の景気も良くするために、県としても力を入れていく必要があるだろうと思っております。
日経(幹事社):2点目ですが、指定廃棄物の最終処分場問題です。今月12日に茨城でも会合が控えていると思うのですが、3月の下旬に宮城県で開かれた会合などを見ておりますと、市町村側が受け入れた場合の振興策が示されないことに不満を表明されたり、あるいは、茨城を見てみますと、高萩市さんは、仮に、再度選ばれた場合でも、やはり反対であるといった声も聞こえてきます。非常に困難が予想される議論かとは思うのですが、改めて県としてどのような態度でこのお話し合いに臨んでいかれるか、あるいは、どんな関わり方があるのかについて改めてお考えを教えてください。
知事:今回、初めて指定廃棄物に関して市町村長さんに集まっていただきますので、この茨城県指定廃棄物処理促進市町村長会議の場でどのような意見が出てくるか、まだ全くわかりません。
環境省のほうから、指定廃棄物処分等有識者会議で出た意見などについて説明があり、一方では、環境省の方針として、指定廃棄物をそれぞれの県で1カ所に集約して安全に保管できる体制をつくりたいというような説明があるのだろうと思っておりますが、そういった説明を受けて、市町村長さんがどのような意見を出されるのか、今は我々として全く想定しておりませんので、会議で出てきた結果を踏まえながら、今後、対応していきたいと思っております。
茨城A:先ほどの指定廃棄物の件なのですが、知事としては、市町村の地域振興策というのは、ある程度、国として必要なものとして明示していただかないとなかなか進まないのかなという認識はあるのでしょうか。
知事:各県で1カ所に集約すると、施設をつくる市町村にはいろいろ迷惑もかかるかもしれないので、様々な形での対応策を国に示してもらわなければならないという考え方は理解できるものだと思っています。
ですから、地域振興策については宮城県のほうでも意見が出ているようでありますが、国として、これから各市町村からの求めに応じて対応策を講じてほしいと思っております。
時事:全国知事会の会長選についてお伺いします。今月の5日で会長選の立候補が締め切られる予定となっているのですが、会長選に関しての知事のご対応とお考え、例えば、現職の京都府知事の山田さんを推薦されるのかどうか、そういった態度をお聞きしたいのですけれども。
知事:それは、これから、誰が立候補されるのか、様子をみて判断していきたいと思います。
時事:わかりました。知事自身、出馬されるお考えというのは。
知事:それは全くありません。
茨城A:この間、将来の人口についての統計が出たと思うのですが、本県も30年後に2割ぐらい減るような予測が立てられました。生活大県という意味では、人口そのものが少なくなっては、経済活動だったり、年金だったり、すべてがうまくいかなくなる可能性があると思います。その予測に従って、現段階でどういう政策というか、対策を打っていかなくてはならないか。1県だけでというのは難しいのでしょうけれども、そういった意味でお考えを教えてください。
知事:今おっしゃられたとおり、1県だけでは極めて難しいと思っております。日本の経済活動をどうやって活発にしていくか。日本の場合には、少なくともエネルギーと食料については輸入に頼らないとやっていけない。それらを確保するための経済活動が不可欠になってくるわけでありまして、そういう中でこれからどんどん若い人たちが減ってくる。その若い人たちをどういう形でそれぞれの産業分野や福祉分野などに割り振るのかということが極めて重要になってくると思います。
また、あわせて、外国人労働力といいますか、外国の方々にどういう形で国を維持していくために協力してもらうのかということも考えていかなければいけなくなるのではないかと思っています。
さらに、非常に人口減少が激しい地域、一般に限界集落などと言われますが、そういうところでは日常生活を送ることも厳しい状況になってくる。例えば、日用品を買うのにも遠くまで行かないと店がないとか、金融機関も近くにないのでお金を下ろせないとか、いろいろな問題が出てくるのではないかと思っております。
そういった大きな課題について、国として対応していく必要があると思いますが、県知事の立場として考えれば、その中で茨城の状況はまだましかなと言えるようにしていかなくてはいけないと思っています。
今、ややもすると暗い話が多くなりがちでありますが、例えば、科学技術などを活かして新しい産業などを興していければ、日本に来たいという外国人も増えてくるかもしれません。また、新しい産業などが興ることによって、若い人たちに結婚とか子育てなどについて、今までよりも積極的な姿勢を持っていただけるかもしれません。そういったことを日本としてやっていく。その中で、日本の発展を少しでも支えられるような県にしていきたいと思っています。私は、茨城は、日本の発展の一翼を担っていける可能性のある県だと思っています。
例えば、今、農業産出額が全国第2位でありますから、TPPの問題はありますが、これからも茨城がかなり先に立って日本の農業をリードしていかなければいけないのだろうと思っています。
また、科学技術については、つくば、東海地区を有しておりますので、日本が世界の中で科学技術の面でリーダーシップを発揮していくときには、茨城はかなり重要な役割があるのではないかと思っております。
そのほか、ものづくりなどについても、県内にはものづくり産業の優良企業がたくさんありますので、そういったところが積極的に事業展開を図っていってもらえたらと思っております。
将来推計人口では、本県の場合には2040年で242万人という厳しい数字が出されておりますが、我々は、何とか定住人口をあまり減らないようにする、あるいは、交流人口を増やすことによって、それを上回るような数字を出していければいいなと思っているところです。
前回の国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成19年5月推計)よりは、現在の人口は上回っているのです。今回の推計については、茨城県の場合、前回推計された人口よりは上の数字になっていますので、そういった状況を今後もつくっていければと思っています。
茨城A:ただ、現実として、もう既に3割、3人に1人が65歳以上という地域は県北などでも出てきていますし、他県で言うと、なるべく駅の前にマンションなど建っていて、そこに住んでもらおうとかいう促進策だったり、県内の企業に就職した人たちに、企業に助成金を払って、なるべく定着を図るようなことをやったりとか、いろいろな具体的な動きも出ています。その中で、本県に合った政策というか、南北格差があって難しい面はあるのでしょうが、県南は大分いいとしても、県北振興をどう考えていらっしゃいますか。
知事:基本は、働く場所をどうつくっていくかということになると思いますので、今、お話にあったように、県南については、圏央道もできてくることによって、日野自動車の効果もありますが、企業立地などもかなり活発になってくれるのではないかと期待をしております。
県北につきましても、2040年段階で東海村では人口が増えている推計になっているのです。ひたちなか地区などでは、今、活発な企業活動が行われていますし、また、茨城港日立港区におきましても、これからLNG(液化天然ガス)の拠点になっていく。あるいは、既にベンツ、日産自動車の輸入、輸出の拠点にもなっている。そういう形で少しでも働く場所を増やすよう頑張っていきたいと思っております。
県北の中でも、特に山間部は極めて厳しい状況が予測されているところでありますが、観光、農業などの振興により少しでも活力を維持できるようにしていきたいと思っていますし、現実に、体験型教育旅行などもかなり積極的に各市町村が取り組もうとしているところでありますので、例えば、つくばなどの科学技術を見た後で、山間地域に行って自然の中での体験をされるといったようなコースなどもできていくのではないかと思っています。
また、風評被害があるものですから、プレミアム付きの宿泊券を販売することにしておりますが、そういったいろいろな努力をしていくことによって、少しでも人口減少を食い止めていければと思っています。
昨年、SLを運行したことについても、かなりいろいろなところから注目を浴びたのではないかと思っております。
また、コンパクトシティと言われているような発想のことをおっしゃったと思いますが、これは、茨城県の場合は、2040年までに約50万人ちょっと減り、18%ほどの減少率だったと思いますが、我々として、せっかく田舎に住んでくれている人たちをどこかに集約してしまって、どんどん人がいない集落が増えていっていいのだろうかという考えはあります。山道、林道などについては、例えば、原野返りということがよく言われるのですが、人が通らなくなって一旦原野に返ってしまうと、もう一回前の状況に戻すというのは極めて難しくなってきます。
そういったことも踏まえながら対応していく必要があるのだろうと思っておりまして、原野返りすると、例えば、自然災害などが大変起きやすくなってまいります。自然災害が山間部で起きれば、単にそれによる被害だけではなくて、水の問題その他にも影響してまいります。水の確保、水源地として極めて重要な役割も果たしているわけでありますから、そういったところが荒れないようにしていくことも考えなくてはいけない。さまざまな角度からの検討が必要なのだろうと思っています。
読売:この間、区割り審が、改定案で、茨城4区と5区について、東海村の編入を案として示しました。知事も以前に意見を求められていたかと思うのですが、今回の案についてどういう評価をされていらっしゃるのかをお聞かせください。
知事:地政学的な条件とか、あるいは、地元県の意見などを踏まえて決定されたと聞いております。私どもとしては、妥当な結論ではないかと思っております。
読売:関連してですが、今、衆院選の1票の較差が盛んに議論されておりますが、知事は現状をどういうふうに考えていらっしゃるかということをお聞かせください。
知事:都道府県にまず1人ずつ割り当てる方式は違憲だということが言われておりますが、単純に1票の較差云々だけでこれからも議論が進んでいくと、どんどん人口の都市部への集中が進んできたときに、地方の意見をどうやって国会の場に持ち込むかという大きな課題が出てくると思います。ですから、1票の較差をどうするかという問題と、それらの課題をどうバランスをとっていくのか考えなければいけないのだろうと思っております。
1票の較差が出てきているからと、どんどん都市部の議員の割合が多くなるということになれば、地方の意見、例えば、山間部の意見などが反映しにくくなりますが、先ほども申し上げましたように、山が荒れてしまったことによって水が十分確保できないとなれば、都市部にももちろん影響してくるわけであります。
地方の意見をしっかりと踏まえてもらいながら、日本を発展させていっていただかなければなりませんので、何の対応策もなく、今のまま1票の較差、1票の較差ということでどんどん地方の代表者数を減らしていっていいのかという気持ちはあります。
茨城B:先ほど、新年度がスタートしたということで、地方もよくなるよう力を入れていかなければならないということでした。本年度の税収の増加に向けて、景気の回復に期待感を示していると、予算の記者発表のときに仰っていましたが、日銀短観の景況判断もあまりよくないということですが、スタートとして、知事はどのような感触を今得ておりますか。
知事:全体として見ると、円安株高がかなり進んできております。その中で富裕層などを中心に購買意欲も増加してきているようですから、将来に向けて経済的には良い方向に進んでいるのではないかと思っております。
ただ、今の良い状況がまだ個人の懐に大きく跳ね返るような状況になっておりません。この間の春闘を見ましても、一部の企業ではかなり前向きな取組が見られますが、中小企業ではまだまだ厳しい状況が続いております。中小企業を含め全体でよい動きが見えないと、国を挙げて良い方向になり始めたという状況とは言いにくいと思っています。
また一方で、指摘されていますように、円安によって、石油や食料品など輸入品の価格が上昇しております。その影響が今後どうなっていくのか。関西電力などでも電力料金を相当上げるようですが、原材料費が上がれば企業としては上げざるを得ないのだろうと思いますので、そちらとのバランスが今後どうなっていくのかが極めて重要なのではないかと思っております。
輸出産業を中心にかなりの好況になり、それが下請企業などにも反映される状況に早くなれば良いと思っています。
産経:教育の関係でお伺いしたいのですが、間もなく小中学校の新学期がスタートします。今年は古河中等教育学校が開校しますし、つくばで並木中等教育学校が初めて6学年、中1から高3まで揃いまして初めての卒業生を出す年になります。そういった意味で、県立の中高一貫教育に対して関心が高まっていると思います。
その一方、市町村が主体になって、小中一貫教育という考えも広まってきております。さらには、東京都が小中高の一貫教育を行う検討委員会を設置したという話も、先日ございました。
知事は、こうした小中学校、高校の枠組みをどのようにお考えですか。今後、茨城県として新たに、例えば、東京都のように小中高の一貫のようなものを考えていらっしゃるのか、お願いいたします。
知事:子どもの成長や学力の向上のためには、どのような教育制度がいいのかということだろうと思っております。学習過程の途中に試験が多すぎますと、本格的な学習に取り組みにくいといった意見もあります。また一方で、今の制度でいいのは、小学、中学、高校のそれぞれにおいて、1年生の時には先輩方にいろいろ面倒を見てもらいますが、最高学年の時には今度は後輩の面倒を見る体験を積むことができる。この体験が非常に貴重だというような人もおります。
これらのいろいろな意見を踏まえて、現場の声、現場の先生方がどう捉えているのか、それをしっかり聞いて検討を十分行っていく必要があるのだろうと思っております。
私自身としては、今のところ、はっきりした考えは持っていませんが、小中高一貫となりますと、12年もの間、同じ学校に通い、同じ先輩と一緒の学校生活を送ることになり、それが果たしていいのかという感じはいたします。
いずれにいたしましても、小中高、あるいは大学も含めて、どのような教育制度がいいのかということについては、しっかり議論していくことが必要なのだろうと思っています。
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