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更新日:2015年3月23日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成25年8月6日(火曜日)
11時15分~11時50分 会見室
読売(幹事社):幹事社から1点,質問をします。
今回,5期目最後の定例記者会見になるかと思います。これまでの成果や課題などを振り返っていただき,総括を述べていただければと思います。
知事:20年間,知事をやらせてもらったところでありますが,20年前と比べると,今,本当に,県政を取り巻く環境,日本を取り巻く環境が激変していると思っております。
日本の世界の中での位置づけも,例えば,GDPで言うと,私が就任したころは2番目であったわけでありますが,今はもう3番目になってしまっています。1人当たりGDPで言えば,当時2番目だったのが今では14番目になってしまっており,大変厳しい状況になってきていると思います。
そして,バブルが弾けた後,県におきましても大変厳しい財政状況が続いてまいりました。そういう中ではありましたが,インフラの整備をできるだけ早期にやっておかないと将来的に大変なことになるのではないかという認識に立って,インフラの整備などを重点的に推進するとともに,企業の誘致等を進めてきたところであります。
その結果,例えば,1人当たり県民所得で見ると,平成22年度の最新の統計の数値をみると,全国で5番目になっており,かなり発展してくることができたのではないかなと思っております。
そして,私の知事就任当時,まだいろいろなことが東京を向いていたわけです。東京を中心に放射線状の道路が中心に整備されつつありましたが,それが現在は,圏央道や北関東自動車道のように東京の周辺を結ぶ形で環状道路の整備が大きく進展しております。また,常陸那珂港も当時はなかったわけでありますが,そうした外国との窓口も,茨城空港も含めてたくさん出来てまいりました。そういう点では,これからますます厳しくなる状況の下での県土づくりという点では,ある程度の成果を見ることができたのかなと思っております。
ただ一方で,東日本大震災,あるいは,原発事故というものが,これまで築き上げてきたものをかなり変えてしまったのかなと思っております。私としては,何とか一刻も早く復旧・復興を成し遂げて,将来に向けてまた希望を持って県民の皆さんとともに歩んでいかなければいけないと考えております。
福祉や医療といった分野につきましても,当時はどちらかというと,福祉・医療の方に県政の目が向いていなかったわけでありますが,そういった分野についても,時代の流れもあったかと思いますが,力を入れてきたつもりでありまして,一定レベルの成果が上がってきたのかなと思っております。
ただ,まだまだこれからやるべきことはたくさんあるわけでありまして,将来に向けて,保有土地問題などについても,抜本的な対策を講じある程度の成果はあがっておりますが,まだかなりの将来負担額が残っています。あるいは,本県のイメージアップにも取り組んでいかなければなりませんし,環境問題などの課題も残っています。こうした面をみますと,茨城県は今まで相当発展してくることはできたけれども,まだまだ長期的に取り組んでいかなければいけない課題も多いのではないかと思います。
そして,特に,これからの人口減少社会を睨んだ場合に,茨城をしっかりと発展させていくことが日本のためにもなるのではないかなと思っております。例えば,農業で言えば,全国第2位の産出額を誇っているわけでありますが,これからの世界の食糧事情や日本の食生活を考えた場合に,茨城が先頭に立って農業改革を進めていかなければいけないのだろうと思っております。
また,企業誘致その他によって働く場所を確保することにつきましても,精一杯頑張っていかないと,今の状況ですと,自然減少が,平成23年も平成24年も6,500人前後続いており,平成25年はおそらく7,000人前後の自然減少になるのではないかと思います。企業誘致について言えば,例えば,日野自動車さんにこちらへ来てもらうために,我々,一生懸命努力をしてまいりましたが,それでも関連会社も含めても4,000人~5,000人の働く場所しか創出できてこないわけであります。それに比べて,毎年毎年7,000人近くの自然減があるということですから,人口の状況は極めて厳しくなっていると思っております。それをどうやれば穏やかな形で乗り越えて,新しい状況に軟着陸させていけるかということが大きな課題ではないかなと思っております。
いずれにしても,地域間競争に勝てるような茨城をつくっていきたいと思っておりますし,そのため,科学技術創造立国ということにならって科学技術創造立県という言葉を使わせていただいており,つくばや東海を中心とするさまざまな研究機関との連携の強化,あるいはまた,理科を好きな子どもたちの養成等々,やるべきことはまだまだ本当にたくさんあるのではないかなと思っております。以上です。
読売(幹事社):関連なのですが,今,課題なども幾つか挙げられていらっしゃいましたが,公約みたいなものをまとめる予定とか目途は立っていらっしゃるのでしょうか。
知事:近々まとめたいと思います。プロフィール会見のときにはしっかりお示ししたいと思っています。
茨城A:東電(東京電力株式会社)の汚染水の問題なのですが,漁業者等の,水産業に携わる人にとっては本当に深刻な課題だと思うのですが,一連の東電の対応について,知事はどう見ていらっしゃいますでしょうか。
知事:東電としては,精一杯いろいろな知恵を集めて頑張っているのだろうと思います。ただ,なかなか現実がそうした東電の対応を超えて動いてきてしまっている。国ももっと前に出て,何とか汚染水対策に積極的に取り組んでいただければと思っております。
今,お話がありましたように,水産業関係者にとっては死活問題でもありますので,早く全体としてこうやれば解決できるのではないかといったような姿を示してもらえればありがたいと思っております。
茨城A:情報の伝達というか,周りに知らせる態勢が非常に遅いようにも感じられるのですが,そういった対応について,宮城などでは申し入れなどをやっているようです。茨城県としてはこれから申し入れ等をやる予定などはありますでしょうか。
知事:これについては,我々は以前から東電に対して強く申し上げてきているところでもありますし,最近,特に非常に遅かったものがあるというわけでもありませんので,これまでどおりの方針でやっていきたいと思っています。
また,ご承知のとおり,本県の計画停電の回避などにしても,東電との一定のしっかりした関係をつくっているからそのようなことができたわけでありまして,私どもとしましては,これからも必要な情報をきっちり迅速に伝えてもらうことについては,機会があるたびに言っていきたいと思います。今,特別に書類でということは考えておりません。
茨城A:続いて,次の質問です。
この間,避難計画における自家用車で避難する場合のシミュレーションの時間が公表されました。率直に,9割の方がPAZ(原発から概ね5キロメートル圏内,特定の事故事象が発生したら直ちに避難等を実施する区域)を出るのに15時間かかるという,その時間の数字を見て,知事はどんなご感想をお持ちになったでしょうか。
知事:本当に時間がかかるものだなという感じを持ちました。全員が自家用車で避難するという前提ではあったわけでありますが,PAZ内,5キロメートル圏内から90%の方が出るのに15時間かかるということですから,もう少し具体的な形を考えて,ある程度安全な時間内で逃げられるような方策を講じていかなければいけないのではないかと思っております。
茨城A:安全な時間がどのくらいというのが非常に難しいことではあると思うのですが,これから,バス等も含めていろいろな対策で時間短縮ということを考えていくのでしょうが,そういうことを考えるのだったら,もう廃炉にしたほうが単純な話だなというのが率直な感想なのですが,そうもいかないことなのでしょうか。
知事:バス利用ということについては,よほど条件がそろっていないと難しいのだろうと思います。例えば,夜に事故が起きたとすれば,運転手さんは自宅におり車両は車庫に入っている。運転手さんが車庫に駆けつけて,それから避難集合場所に行くということでは,それだけで何時間もかかってしまいますし,また,逆に,避難集合場所に固執していると,避難集合場所より遠くにいた人も原発の近くに戻らなくてはいけないことになってしまうかもしれない。そういういろいろなことがありますので,バスをどういうふうに活用するかということについては様々な問題があると思っております。
そういうことを前提にして,これまでも自家用車使用による防災訓練などもやってきているところでありますので,自家用車をより多く使った形での避難計画を立てていかなければいけないのではないかと思っております。
それから,廃炉にしてしまったほうがという話につきましては,UPZ(原発から概ね30キロメートル圏内,急速に進展する事故の可能性等を踏まえ,避難や屋内退避等を準備する区域)内の行政区域単位で捉えた昼間人口が98万人になります。この98万人の方々がどういう避難体制ができていれば再稼働が認められるのかということについては,原子力規制委員会の田中委員長のほうでも,それができなければ再稼働は認めにくいということをおっしゃってはおりますが,それがどういうレベルのものか,どういうものを期待しているのかということについては,詳細について説明がないものですから,我々としても非常に苦慮しておるところであります。
ただ,いずれにしても,避難計画については,市町村で策定していたのではなかなか広域的な形というものは難しいと思っていますので,県が全体としての構想をつくって,それに沿った形で市町村に動いてもらうということが大事になってくるのではなかろうかと思っております。例えば,避難先一つとってみても,それぞれの市町村がばらばらに相手と交渉を始めるということになりますと,同じようなところに集中しても困りますから,あるいはまた,避難経路なども考えていかないと交通の集中が起きてしまうかもしれない。さまざまな課題がありますから,県が広域の避難計画をつくった上で,それに沿った形で市町村にも計画を立てていただければありがたいと思っております。
やめるかどうかということでありますが,再稼働について,まだ国のほうでも方針が示されておりませんし,示されるまでかなり時間がかかるのかなと思っております。国の方針を見た上で,我々としては,地元の市町村,あるいはまた,県議会,さらには,県自身でも,原子力安全対策委員会,あるいは原子力審議会での審議をお願いしていくことになると思っております。
私が自分の考えだけでこうしたいということではなくて,皆さんの意見を集約する形で対応を決めていきたいと思っております。
茨城A:間もなく選挙戦に入るわけですが,先ほど,公約についてもプロフィール会見でとされましたが,原発に関して,公約の中に何か入れることを考えていらっしゃいますか。それと,選挙戦を通じて原発に対してどう県民,有権者に対してメッセージを送っていくのか,現段階の考えをお願いします。
知事:原発絡みで言うと,とりあえず早急に取り組まなくてはいけないのは風評被害対策でありますから,そういったことについては精一杯全力でやっていきたいということはもちろん申し上げていくつもりですが,再稼働をどうするかということについては,今申し上げたような形で県民の皆さんと一緒になって考えていきたい。いろいろな立場の方々がおられる。その中で最大多数といいますか,そういう声を取り入れながら決めていくのがいいのだろうと思っております。
今申し上げましたように,原子力安全対策委員会,原子力審議会といった形で専門的・技術的な検討,あるいは,一般の方々の意見,有識者の意見を十分に聞きながらということになってくると思います。
東京:今の質問に関連してですが,東日本大震災を経験している身としては,避難シミュレーションの内容で,20時間を切って,9割がひとまず安全な場所に行けるというのが,実際に可能なのかどうか疑問に思います。震災当時のあの大渋滞を見ると,実際に20時間を切るということが可能なのかどうか,首都圏と状況は違うとは思うのですが,知事はその辺はどのようにお感じになられましたでしょうか。
知事:15時間というのは,PAZ内の8万人の90%がPAZ外に出られるという数字です。例えば,東海村だけで約3万7,000~8,000人いると思いますが,避難する方向が西もあれば南も北もあります。そして,高速道路のスマートインターが東海村内にもありますし,ひたちなか市の近いところにもインターチェンジがあるということを考えれば,私は15時間あれば,不可能ではないと思っております。
ただ,UPZ内の98万人ということになると,これは状況が違ってくるのだろうと思いますが,15時間というのは,PAZ内の8万人の90%が5キロメートルより外へ避難することですから,私は不可能ではないと思っています。
東京:そうすると,裏を返すと,30キロ圏の避難というのはかなり困難ということでしょうか。
知事:30キロ圏内になるといろいろ検討しなくてはいけないことがあると思います。困難かどうかは,何時間で困難というのかわかりませんが,例えば,今の例で,PAZ内の90%がPAZ外へ避難する時間は15時間と書いてありますが,そのPAZ外へ避難するだけであれば,東海村の原発近くの人でも,西とか南へ逃げることになると思いますが,歩いて避難しても圏外に出られてしまうのです。例えば,10時間も歩いたら,何十キロも行けてしまうのですから。ただ,それがもっと長くなったときに,そんなに歩き続けられるかどうか。5キロ圏内ということで言えば歩いても出られてしまいますが,課題なのは災害弱者,この人たちが逃げられる体制ができるかどうか。そっちのほうが僕は課題だろうと思っています。
PAZ内の人がPAZ外へ出るということについては,こういうシミュレーションができていますが,それは5キロ圏ですから。歩いて何時間かかるかといったら,普通の子どもでも2時間,3時間で圏外へ出てしまいますから。そういう意味ではここは問題にならない。
ただ,UPZというものを考えたときにどうなるかということと,5キロ圏内でも災害弱者をどうやって避難させるかということが課題だと思っております。
東京:関連なのですが,柏崎刈羽原発の安全審査申請を,柏崎市と刈羽村が容認するという態度を示しているのですが,原電(日本原子力発電株式会社)が,仮に東海第二原発の安全審査を申請するという報告,連絡,相談があった場合に,知事としてはそれを容認されるお立場でしょうか。
知事:安全審査の申請自体であれば,今の施設等の安全性をチェックするわけですから,それは進めてもらって問題ないのだろうと思っております。例えば,フィルター付きベントについても,今でも何か非常事態が絶対に起きないというわけではないのでありますから,そういうことを考えれば,フィルター付きベントをつけるような改造は悪くはないのだろうと思っております。防潮堤もやってもらえればいいだろうと思っております。
ただ,それが再稼働に結びつくかどうかということは別問題だということが一つと,もう一つは,経営的に見て,そこまで投資して,仮に再稼働にならなかった場合に経費に対してのどのような対応をしていくのだろうかということが大きな課題ではないかと思っております。
東京:安全審査の申請と再稼働の申請というのは,これは切り離して考えたいということでしょうか。
知事:私はそうだと思います。政府のほうでそれに基づいてどう判断するかということがありますし,政府の判断を受けて,我々がどう判断するかということも当然出てくるわけですので,安全対策を講じ,それがきちんとできているかどうかをチェックしておくということは私は悪いことではないと思います。
東京:もちろん,政府の判断と知事のご判断というのは,また違うということですよね。
知事:地元としてどう判断するかということは別になってくると思います。
茨城B:避難計画に関連してですが,先ほど,知事の発言の中で,市町村単位では難しいということで,ばらばらにやったのではまとまらないので,県が大枠の避難計画を立てて,市町村がそれに沿って立てていけばいいというようなお話があったのですが,これまで,避難計画というのはあくまで市町村が作成するものであるということで我々も認識していたのですが,県が全体を取りまとめるような作業にこれから入るということでしょうか。これはUPZのことだと思うのですけれども。
知事:市町村の計画を取りまとめるということではなく,広域的な避難計画をつくっておかなければ,例えば,全市町村が国道245号を通って逃げるようなことになると混雑するだけになってくる。ですから,そこは西へ逃げる人と北へ逃げる人,南へ逃げる人をある程度想定しておいて,この地区はこっちに逃げてくださいという形でやっていかないと難しいだろうと思います。その調整は広域的に考えながらやっていく必要があるだろうと思って先ほどのようなことを申し上げたわけです。高速道路の使い方一つとってみても,日立南太田インターチェンジと東海インターチェンジ,ひたちなかインターチェンジと3つありますから,これをどのような形で,どの地域の人たちが活用しながら避難していくのかということはもちろんですし,全体的な避難所の確保などについても,県外で確保するということになってきた場合に,どういう方面に避難所をお願いするのかということなどについても,県境をまたぐことになってきますから,市町村でこれまで密接なお付き合いをしてきたところがあれば別ですが,そうでなければ,できるだけ一番いいと思われるような場所を県も相談に乗りながら決めていく。そういう役割も果たしていけるのではないかと思っております。
茨城B:具体的に県が何か計画を立てるというわけではないのですか。
知事:県は広域避難計画というものをつくります。
日刊工業:冒頭,知事が総括された中で,日野自動車の話をされていましたが,7月下旬に古河工場で時期を早めて全面稼働するという話がありました。これにつきまして,知事のコメントを出されていましたが,改めてのご感想と,圏央道につきまして,国などに今まで以上に働きかけをするのか,その2点をお伺いしたいのですが。
知事:日野自動車が全面稼働の時期を4年前倒しされるということについては,我々としては大変ありがたく思っております。世界の情勢を見ながらということではあると思いますが,地元としては,それだけの方たちがこちらに住んでいただけるという面でも大変大きな地元の振興につながっていくのではないかと思っています。
そして,どういう形で受け入れるかということを今,検討を始めているところでありますが,できるだけ県内に多くの方々に来てもらえるような体制をつくれればと思っているところです。
それから,圏央道については,一応,境インターチェンジまでは平成26年度,境インターチェンジからつくば中央インターチェンジまでが平成27年度ということで開通年度が発表されましたので,私どもとしてはこの辺がぎりぎりなのかなと考えています。しかも,平成27年度の開通は,土地の買収などが順調にいくという前提つきでありますから,今,精いっぱい,土地収用その他の手続きなどを進めてもらっているところでありますが,平成27年度より前倒しするというのはちょっと難しいかと思いますので,平成27年度開通がきっちり守れるようにお願いをしたいと思っています。
茨城B:先ほど,20年間の総括の中で東日本大震災に触れられましたが,東日本大震災でかなり状況が変わってしまったとおっしゃっていました。県と市町村の関係なども東日本大震災で大きく変わったと知事はお考えですか。
知事:県と市町村との関係という意味では,これまでも私は市町村と県が協力してやっていかなければ地域の発展はないということを申し上げてきていますので,そういった点では考え方に変わりはないのだろうと思いますが,いろいろな事業を一緒になって復旧・復興のためにやっていく中で,より関係が深くなった面もあると思います。
東京:ぜひ知事のお考えをお聞きしたいのですが,知事選と同日選で東海村長選がございますが,東海村長選挙に,かつて知事のもとで働いていた山田修さんが立候補を表明しています。東海第二原発を廃炉にするのか再稼働するのか,これについて,ここで考えをはっきりさせると,村を二分してしまうという理由で,その態度は明確にしないという方針なのだということです。東海第二原発は,一方で,補助金とか働く場の確保で,有利な面はあるのですが,反面,住民の不安とか風評被害,あるいは,企業誘致でも有利に働くことはなく,今後,老朽化していくとさらに厳しくなっていくと思います。村を二分する問題,ひいては県の先行き行政にも影響する問題を,選挙戦ではっきりさせないという候補者の態度についてちょっと疑問を感じるのですが,知事はどのようにお思いでしょうか。
知事:国の方針として,再稼働させるのかどうかの方向も出ていないわけですので,そこであえて言う必要はないということで,多分,先ほどおっしゃられたような考えを述べられたのだろうと思っております。
東海村の場合には,村上村長がいろいろやってこられた中で,財政的に東海第二発電所がないと成り立たないという状況でもなく,特に,東電の常陸那珂火力発電が年内に1基稼働する予定だと思いますので,そういう税金も入ってまいります。ですから,そういう面からの制約というものはないと思いますが,ただ,原子力をどう考えるか。将来にとって夢のあるものと考えるのか。例えば,原発が今のような状況になって,大学では,原子力関係の学部の学生が集まりにくくなっているということもあります。そうなると,逆に今度は(専門家が少なくなって)危険性が増すのではないかということも言われております。いろいろなことを考えながら判断していかなければいけないわけであって,そういう政府の方針がはっきりした段階で,地元として対応していく。政府として,例えば,田中委員長がおっしゃっているように,避難計画がある程度のものができなければ再稼働を認めることは難しいというのであれば,98万人の避難がちゃんとできるのかどうかということも課題になってくるわけでして,そういう面などが詰まっていない段階で,あえて,自分としてこうだと言い切るのもどうなのかなという感じもします。
東京:村上村長と同じような主張をする必要はないということでしょうか。
知事:山田さんも,どちらかというと,今,村内が割れていて大変だということを十分踏まえた上であのような表明をされているのだろうと思っております。全体としてどうやれば一番うまく村政がいくのかどうか。態度決定を迫られていない段階で決定する必要があるのかどうかということなども含めてあのような話になっているのかと思っています。
もちろん,再稼働ということを国が決めてくれば我々も態度をはっきりさせなければいけないわけですので,同じ立場であります。
東京:基本的に知事とは考え方は同じでしょうか。
知事:この間の記者会見でいえば,ああいう形にならざるを得ないのだろうと思っています。
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