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更新日:2015年3月23日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成25年9月27日(金曜日)
11時20分~11時55分 庁議室
産経(幹事社):幹事社の産経新聞です。
まず,知事から,補正予算について発表をよろしくお願いいたします。
知事:お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
第3回定例会に提案する予算案等につきまして,その概要がまとまりましたので,ご説明させていただきたいと思います。具体的な中身は既に財政課の方からお聞きになっていると思いますので,私の方からは,考え方をお話しさせていただきたいと思います。
先般の知事選挙で県内44市町村を歩いてきましたが,まだまだ大震災,原発事故の影響が色濃く残っているとの印象を受けました。北茨城の大津港に行ったときは,漁師の方がなんとか早く大震災以前のような状況に戻して欲しいということを大変熱心に私に話してこられました。ちょうど満潮の時間だったのですが,地盤が沈下してしまっているため,海水が埠頭用地の上まで上がってきてしまうような現象も見られました。また潮来の液状化の復旧もやっと本格的な工事が始まろうとしているところであります。さらに風評被害対策を含め,まだまだ復旧・復興のために力を入れていかなければならないということがまず一つです。
もう一つは,このような状況の中で円安の影響により,国全体としては景気がかなり良くなりつつあるようですが,中小企業にとっては,原材料高,一方で下請け単価などが上がってこないという状況のため,かえって厳しい状況におかれているところも多いわけです。雇用の面でもこうした状況を反映して有効求人倍率が,本県は国の平均よりもかなり下回っている状況にあります。
こうしたことを踏まえて,震災対応の部分も含めて,雇用対策に力を入れさせていただき,一般会計において総額で115億円の補正を行うことといたしました。補正後の予算総額は約1兆900億円となってまいります。
一般会計における震災関連予算が,今回の補正では約54億円,当初予算で約884億円を計上しておりますので,平成25年度の震災関連予算は約938億円となるところであり,昨年度までの分を合わせた累計で約4,084億円となってまいります。これだけの経費をつぎ込んでも,まだまだ十分な対応がとれたという状況になっていないところであり,県としては,これからも精一杯,震災からの復旧・復興に全力を尽くしてまいりたいと思っております。具体的な内容には,震災等緊急雇用対応事業を追加しているところですが,あわせて,増加する振り込め詐欺等,特殊詐欺の未然防止のための電話による啓発事業や,通学児童生徒の安全確保などのための安全・安心パトロール事業なども実施をしていくこととしております。
また,防災体制の強化という点では,災害時の緊急輸送道路として位置づけられた道路の整備や,津波遡上区域における防潮護岸のかさ上げなどに係る予算を増額しております。
この結果,金額的に見ますと,公共事業が一番多く,震災関連分で約38億円のほか,県民生活の安全・安心に関わる事業など,合計で約50億円を計上しております。
一方,雇用関係につきましては,起業支援型地域雇用創造事業なども含めて,今回の補正で約1,100人の雇用を想定しており,当初予算と合わせると3,000人以上の創出となってくるところであります。
このような内容で,震災からの復旧・復興,また,震災等に係る緊急雇用対応,さらに,防災関連事業などを中心に今回の補正予算を編成したところであります。
以上です。
産経(幹事社):ありがとうございました。
まず,幹事社から幾つか質問させていただきます。
若干繰り返しになってしまうかもしれませんが,よろしくお願いいたします。
今回の予算編成は,東日本大震災からの復旧・復興と雇用に重点を置かれていると思います。その中で,知事が,それぞれの分野で,特にどういうことを念頭に置かれて編成をされたかということを教えてください。
知事:復旧・復興という意味では,ハード面はもちろんでありますが,あわせて風評被害の払拭に力を入れたところであります。例えば,県北地域の風評被害を払拭し,誘客を促進するための旅行商品の造成や,関西圏でなかなか風評被害が消えないため,関西での茨城フェアの開催ということも考えております。あるいは,水産物の風評被害を払拭するためのセミナーの開催や,消費者への意識調査なども行っていくこととしております。
防災体制の強化につきましては,道路が中心になってきますが,その中で,交通危険箇所の解消,橋梁の耐震化等が25か所と箇所としては多くなっているところです。
また,津波対策強化ということで,防潮護岸のかさ上げなどを行うこととしております。
こうした内容で,震災からの復旧・復興,さらには,災害に強い県土づくりを行っていくこととしております。
一方で,被災求職者の雇用機会の創出という点では,いばらき安全・安心パトロール事業が雇用人数で84人ほどを予定しており,一番多いです。
そのほか,インターネットテレビ事業といったことについても雇用対策基金を活用してやっていくことにしておりまして,将来的にこれが何とか経営として成り立つように早く持っていきたいなと考えているところです。
そのほか,先ほどもお話ししましたが,起業支援型地域雇用創造事業ということで,約200人の雇用を予定しております。これについては,中小企業の皆さん方がどういうアイデアを出してくるかによって中身が決まってくるわけですが,我々としても精いっぱい協力しながら,新しい仕事ができ上がっていくように努力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
産経(幹事社):ありがとうございました。
もう一つ,質問させていただきます。
今,最後にお話がありました起業支援型地域雇用創造事業について,これまでにも県はさまざまな雇用対策をされてきたと思いますが,この事業は行政のアイデアということだけではなく,民間のアイデアを取り入れるということだと思うのですが,知事は,民間のアイデアを取り入れるということでどんなメリットがあって,どんなことを期待されているのかを教えてください。
知事:それは,地域活性化という点では,さまざまなチャレンジをしていかなくてはいけないわけですが,行政が考えているだけではどうしても幅も狭くなってまいりますし,将来的に本格的な経済の発展に結び付いていくためにも,それぞれの中小企業が積極的なアイデアを出してチャレンジしていく,その立ち上がりを支援するということは大変重要なことではないかなと思っております。
企業支援型とは別の雇用対策事業ですが,例えば,東京駅八重洲口から茨城空港までのバスを走らせております。片道,飛行機利用者500円,飛行機利用者ではない人は1,000円ということでやっておりますが,こうしたものは,お客が増えてくると,将来,経営的にも成り立つようになるわけです。このように事業をスタートするときの支援を行うことによって大分,中小企業にとっても新しい事業に取り組みやすくなってくるのではないかなと思いますので,この活用を大いに期待しております。
NHK:補正予算のことでお伺いしたいのですが,予算の特性,ハードとかソフトとか,そういったことも踏まえてあえてお伺いします。公共事業と,それ以外の風評被害の払拭といった事業,雇用の創出もそうですが,もちろん,公共事業といったときには,その中に雇用の創出も含まれるというのは重々理解しているつもりなのですが,(ハードとソフトの予算規模が)2桁違うという印象があります。その辺について,知事としてどのように受け止めておられるのか,お伺いしたいと思います。
知事:公共事業でも,今回計上しているものは復旧・復興の関係が多くなっております。今,日本全体としても,次の災害が起きたときにどうやってきちんと対応できるようにするか,そのためには,災害に強い県土づくりが不可欠であるという発想の下で,さまざまな事業が進められているところでありますが,今回の公共事業の予算はそういったものが中心になっておりますので,ソフト事業と金額的にかなりの差があるのはやむを得ないのかなと思っております。
それから,公共事業については財源面で手当てができたということもあってスタートすることにしているところであります。一方,その他の事業については,いいアイデアがあればどんどん採用していきたいと思っておりますが,基本的には,当初予算の段階である程度のものは盛り込んでいます。公共事業については,国のほうの補助事業などが決定したので,それを計上しているという面があるものですから,補正予算としてやや金額的に差がつくのはやむを得ない面があるのかなと思っています。
例えば,今の関連で言うと,当初予算では教育費が圧倒的に大きくなっております。25%ぐらい占めているわけですから。そういった点で,補正予算だけを見てということになると,少し見方が偏ってしまうのかなと思います。
NHK:あくまで補正ではこういうことになっているが,全体としてはもっとバランスがとれていると。
知事:公共事業関係はずっと減ってきておりますから。かつては土木関係の経費が一番大きかったけれども,今や教育費が圧倒的に大きくなってきています。そして,補正予算というのは,性質上,国の補助金が決定したものや,緊急なものなどに限られるので,どうしても金額的にアンバランスが出てくるということだろうと思います。
NHK:民間調査機関によるものですが,茨城県の魅力度ランキングが再度最下位という調査結果について知事の所感をお伺いします。
知事:昨日のコメントや,この前の記者会見でも申し上げましたが,活力のある住みよい県を目指すということと,観光魅力度というか,旅行に行きたい県になるということを目指すということでは,若干違っているのかなという感じがいたします。例えば,東洋経済新報社の「住みよさランキング2013」で守谷市は全国第3位に入っているのですが,今度の「地域ブランド調査2013」では,1,000の市区町村のうち853位なのです。ですから,守谷市をどう見るかという点で,確かに観光スポットはアサヒビールとかに限られてしまっているかもしれないけれども,「住む」という面では,東京の通勤圏としても大変いい場所になっている。その結果,人口も増えているということだろうと思います。しかし,観光魅力度という点では,なかなか上にいく要素が少ない。
そういった形で,若干視点が違っているのではないかと思います。この前の記者会見でも申し上げましたが,例えば,スキーをやる人にとっては,雪はとても魅力的だけれども,日常そこに住んでいる人には住みよさという点では大変な障害になっている。そういうことなどもあわせて考えていく必要があるのだろうと思います。
ただ,イメージを上げていくということは大事なことなので,我々として精一杯イメージアップができるように頑張っていきたいと思っておりますが,今申し上げたような点で,調査の目的が「住みよさランキング」と「地域ブランド調査」は異なっていという感じを持っております。
NHK:今回も,イメージアップということでいうと,予算の中でも,例えば,旅行商品を半額助成するというような方法であるとか,いばキラTVに対するテコ入れなども一つのイメージアップの方策なのかなと思います。観光の入り込みも含め,いろいろと対策はされていると思うのですが,若干その辺がまだまだ空回りしているというか,今回の順位と比較してみると,テコ入れの方向がうまくいっていないのかなという印象があるのですが,その辺はどのようにお感じですか。
知事:こういう調査で具体的に変化がすぐ出てくるというのはなかなか難しいわけでして,我々としては,県の底力をつけていくことが一番重要で,その中でイメージアップも図っていけるだろうと考えております。
ただ,観光面でそこまで上位にいけるかということになると,これは若干違ってまいります。観光面でいえば,県だけが宣伝するとかではなくて,みんなが自分の住んでいるところをいいところだと思って宣伝していかないといけない。県が行えるのは極めて一部であって,イメージづくりのためには,全県民あげての活動,運動が必要になってくるのではなかろうかと思っております。
そういった点で,今度,自分の住んでいるところをもっとよく知ってもらおうということで「いばらきっ子郷土検定」なども始めさせていただきます。少し前になりますが,水戸駅のペデストリアンデッキでインタビューを受けた人が,「この辺でどこかいい場所ありませんか」と言われて,「そんなのないな」と答えていた。そして,「ああっ」と思い出して,大子の袋田の滝を宣伝していた。例えば,水戸には弘道館も偕楽園もあるのだけれども,身近なものに感じすぎてしまっているので,ほかの人に自慢して見せるという感覚がなくなってきている。
そういった点で,もっと自分たちがいいものをしっかり認識していくことが必要なのではないかと思います。他県から来た人たちには,「何で茨城の人は自慢しないのですか」とよく言われるわけでして,昨日も挨拶回りで4人の大臣に会ってきましたが,例えば,農業一つとってみても,「えっ,こんなに茨城の農業というのはすごいのですか」と言われました。まだ,全然認識されていない面がありますので,そういった点で,我々も努力しなければいけないし,農家も努力しなければいけない。県民もみんなで茨城を宣伝していくということが必要になってくるのではないかと思っています。
マスコミの影響力が非常に大きいですから,テレビで茨城はいいところだという番組を流してもらえるといいのですが。
産経(幹事社):今の関連で教えてください。
イメージアップということで,県は,いばキラTVとか茨城マルシェ,最近ですと「なめんなよいばらき県」とか,いろいろな積極的な施策を展開されていると思うのですが,今後については何か新しいものを考えていらっしゃるのか,それとも今までやってきたことを地道に続けていかれるのか,知事はどういうお考えをお持ちでしょうか。
知事:例えば,「なめんなよいばらき県」はスタートしたばかりですから,まずはこういったものを徹底してしっかり実施していくことによってどういう影響が出てくるのか,見極めていかなければと思っています。
いばキラTVについては,まだまだ見てくださっている人が少ないようですので,見てくださる方が増えるように頑張っていかなければいけないと思っています。
それから,先ほど,観光面で旅行商品の造成などについても触れましたが,このようなことをしても,今買ってくださっているかなりの部分の方が県民の方なのです。ですから,例えば県外の方にもっと利用してもらえるようにしていく,そして県民の方は県民の方で,利用したらこんなによかったということを発信していただくなど,そういうことをやっていかなければならないのではと思っています。
東京:魅力度ランキングについて引き続き質問です。これはひとつの考え方なのですが,最下位が茨城だから洒落になるというか,笑い飛ばせるというか,そういう部分があります。実際,住みにくいところはたくさんあって,そこが最下位に選ばれたらもう洒落にならないようなところもあると思うのですが,その辺りはどのようにお考えでしょうか。
知事:平成6年か平成7年だと思いますが,イメージアップのための委員会を設置して,その中で,私も出席して話を聞いておりましたら,ある委員の方が,「茨城県はこんなにいいところなのだから,何もほかの県の人にどんどん知らせるよりは,自分たちでもっと楽しめばいいではないか。」ということを言っておられました。
そういう点では,まだまだ自分たちとしての楽しみ方も少ない。また,自分たちで楽しんでみたら良かったという発信も少ない。ある意味,豊かなところが47位に来ているのだからという意味でしゃれという感じになるのかというと,なかなかしゃれにもならないので,何とかみんなで少しでも順位を上げていきたいと思っています。
ただ,これが全てかといったら,そんなことは全然ないので,客観的な指標を見ていただければと思っております。以前,当時の埼玉県の土屋知事が,かつての経済企画庁の「新国民生活指標(豊かさ指標)」の調査結果に対していつも噛みついて,「何でそんなに順位が低いのに埼玉県の人口は増えているのだ。」ということを言っていました。茨城県では今は人口は増えていませんが,これだけ47位が続いているのだけれども,県民が最下位という思いを実感として持っているかというと,必ずしもそうではないのだろうと思っております。
私の友達の大学の先生も,以前は,生徒に対し,「自分は茨城出身だけど,この中に茨城出身はいるか」と聞くと,誰も嫌がって手を挙げなかったのが,今は若い女の子がどんどん手を挙げるようになっていて,茨城の見方は昔とまるっきり変わってきているということを言っておりました。そういう点では変わってきているのだと思います。
ただ,先ほど言ったように,観光に行きたいかという点では,まず,観光地としてビッグネームのところがないことや,県民性としてぶっきらぼうなところがあり,ほかの県から来た人たちにサービスを受けたと感じてもらいにくい,あるいは,ホテル・旅館でも,本格的に宿泊客をたくさん収容できるようなところがないなどの状況があります。
例えば,水戸では,最近オープンした「ホテル・ザ・ウエストヒルズ・水戸」には161の部屋数がありますが,そのほかのホテルは宴会主体になっていて,宿泊としては小さい収容力しかないなど,受入れ態勢についてもまだまだ課題があると思っています。
以前,APEC(アジア太平洋経済協力)の会議を本県に招致できないか検討したことがありますが,首脳会議の開催要件としてホテルのスイートルームが50室は必要で,そういった地域は県内に全然ありません。スイートルームは1地域で10室あるかどうかという状況であり,受入体制については,少なくとも全国に誇れる方ではないと思っています。ビジネスホテルはたくさんありますけれども。
茨城A:いばキラTVが,間もなく配信開始から1年を迎えますが,毎日いろいろな番組で情報を発信していますが,この1年間の成果と課題についてどのようにお考えでしょうか。
知事:ある程度知られてきたとは思いますが,まだまだ認知度不足で,見てくれている人が少ない状況にあります。
そして,その一番大きな原因は番組の中身がどうなっているかということであり,もっと中身の充実を図って視聴者が見たいものをつくっていかなければいけないと思っております。
以前,アニメの「ガールズ&パンツァー」という番組は夜中に配信しましたが,視聴者数は増加しました。ですから,どういうものを放送するかによって視聴者数は増えていく可能性があると思いますので,我々としては,中身を良くするために精一杯,自分たちだけでやっているとどうしても限界がありますが,その限界を打ち破れるような努力をしていかなくてはいけないと思っています。成果として誇れるかというと,まだそういう段階にはないと思っています。
茨城A:今回の補正予算でも大幅にスタッフを増員されますが,今後への期待というのはどのようにお考えでしょうか。
知事:今回のスタッフの大幅増員は,緊急雇用対策としてやっていますが,現在のスタッフは来年度は雇用を継続できないので,今から新たなスタッフと雇用契約を結んで訓練をしておくということで今度の補正予算に計上しています。その人たちに,この1年間のいばキラTVとしての経験を十分に見てもらって,何が足りなかったかということを検討してもらう。そして,どうアピールすればいいかということを努力して見つけ出してもらうことが大事だと思っています。
私もこの間いばキラTVを少し見ましたが,これで視聴者がつくだろうかというような番組もたくさんあります。テレビ離れなどもあって難しい面はありますが,インターネットなので,逆に,放送エリアは限られないというメリットもあるので,そういったところをどうやっていかしていけるのか。海外でも見られるわけですので,海外などにもきちんと宣伝していくというようなことも大事かと思っています。例えば,県域的なテレビを海外で見られるのはいばキラTVしかないわけですから,少し茨城の情報を発信すれば,ブラジル県人会の方々などは喜んで見てくれるのではないかと思います。
茨城B:今回の補正予算案に,「いばらき安全・安心パトロール事業」というのがありますが,昨年の8月から通学路の点検を始めて1年経ちますが,先日のまとめでは,危険箇所の対応が済んでいるのは70%ぐらいということで,依然,まだ全部が終わらないという状況なのですが,この状況を知事はどのように考えていらっしゃるのか。
それと,この事業をどのように児童生徒の安全に結び付けていくか,その辺のこの事業にかける思いみたいなものを聞かせていただけますか。
知事:児童の交通事故が全国的にたくさん起きていますから,通学路の安全確保というのは極めて重要な課題だと思いますし,学校でも一生懸命取り組んでくれています。
そういう中で,さきほど70%という話がありましたが,例えば,道路の拡幅などは,そう簡単にはできませんから,若干時間がかかるのはしょうがない。ただし,その間,どうやって安全を確保するかということが大事になってくるので,ハードとソフトの対策を両方混ぜながらやっていく。ハード面での解決が難しい場所は,ソフト面で何とか対応していくことが必要だと思います。そういった点で,いばらき安全・安心パトロール事業が,ソフト面できっちりと安全・安心の確保のために役立ってくれると,我々としてもこの予算を計上した意味があるところでして,成果を期待しています。
日経:県政以外のことで恐縮なのですが,近々,安倍総理が会見をして消費増税を表明されるようなのですが,消費増税に関して,地域に与える影響なども含めて,知事のお考えを伺えないでしょうか。
知事:消費増税については,我々地方自治体側としては,これまでも,将来的に持続可能な社会保障体制などをつくるためには避けて通れないものだということで,ぜひ早期に消費増税を実施したらということを言ってきているところです。
ただ,それによるひずみがいろいろ出てきては困るので,そのひずみをどうやって小さくするかということを考えてもらわなくてはいけない。そういう点で,今,総理のほうでもひずみを小さくするための努力をしておられるのだろうと思っています。
また,景気への影響が大きな課題になってくるわけですが,私も,今の時期を逃すと日本の経済はデフレ脱却のチャンスがなくなってしまうのではないかという感じを持っていますので,そこについてはしっかりした対応をしていく必要があるのだろうと思います。増税で得られる8兆円のうち5兆円を経済対策にあてるといった話もありますが,その辺がどうなっていくかということも含めて,政府のほうでしっかり景気の腰折れに結びつかないような対応をしていく必要があると思っています。
そして,デフレ脱却という点では,いつも申し上げていますが,一部の優良企業に内部留保として円安のメリットが滞留してしまうのではなくて,もう少し全体的なお金の回り方,例えば,いつも申し上げていますが下請単価を上げるとか従業員の給与に回すなど,そういう形で需要が伸びる方向に全体を動かしていかないとなかなかデフレ脱却は難しいのではという感じを持っております。
そういう中での消費増税の決断ということは大変難しい面があると思いますが,上手に運営していってもらえればと思っています。
東京:最近,ツイッターやブログでキャリア官僚の暴言が若干続いているのですが,今回は特定の団体ではなくて,一番弱い立場にいる被災地,被災された高齢者の方に向けられて暴言を吐いている,書き込んでいるということです。直接は取材していないのですが,これについて,なぜそういうことを言うのか不思議な感じもするのですが,その辺の感想というのはございますか。
知事:何と言っていいのかちょっと僕もわかりませんが,今まで日本のテレビドラマなどを見ていても,日本人らしさみたいなものがあったと思うのですが,マスコミなども合理主義とか,そういうものにだんだん偏ってきてしまっている。例えば,今の経済でも,強いところをずっと強くしていって,弱いところは強いところの利益で面倒を見ればいいのではないかという発想になり始めている。これはみんなで歩調を合わせて努力して,少しでもいい方向へ持っていこうという以前の発想とは少し違い始めているような気がしております。
そういった点で,教育から始まって,弱い立場の人についても十分に思いをいたしながら行動していくという,日本人のよさというものを維持できるようにしていく必要があるのではないかなと思います。
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