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更新日:2015年3月23日
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成25年2月22日(金曜日)
11時20分~12時10分 庁議室
茨城A(幹事社):きょうは予算の発表ということで、知事からお願いいたします。
知事:平成25年度予算案等がまとまりましたので、発表させていただきます。
まず、最近の経済情勢につきましては、ご承知のとおり、円安・株高が進んで一見好調のようにみえますが、まだまだ予断を許さない状況にあると思います。
特に、本県の景気につきましては、「全体として弱めの動きが続いている。」といわれているところでございまして、昨年12月の有効求人倍率も0.78倍で、全国平均を0.04ポイント下回っているなど厳しい状況が続いております。
こうした中、国におきましては、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3分野を重点項目とした、10兆円余の緊急経済対策関連補正予算を決定し、現在、国会で審議がなされているところであります。
また、平成25年度予算につきましても、補正予算と一体的なものとして3分野に重点化した15か月予算として、1月29日に政府予算案が決定されたところであります。
そして、平成25年度の地方財政対策につきましても一緒に決定されたところでございますけれども、その総額は81兆9,100億円となっており、前年度比プラス0.1%となっております。
また、地方一般財源総額につきましては、前年度比プラス0.2%となっておりますが、地方交付税は残念ながら6年ぶりに前年度を下回る結果となりました。
また、通常収支分とは別枠の東日本大震災分は、復旧・復興事業分と全国防災事業分をあわせて2兆6,000億円が確保されているところであります。
こうした状況を踏まえて、本県の平成25年度当初予算編成に取り組んだところございます。
平成25年度は、東日本大震災からの早期復旧と復興を成し遂げ、再び発展の軌道に乗せていきますとともに、防災体制を充実強化し、災害に強い県土づくりを進めることとしております。
また、厳しさを増す地域間競争の中、働く場を確保し、活力ある地域づくりをしっかりと進めていく必要がありますことから、経済・雇用対策にも積極的に取り組んでまいります。
さらに、最先端の科学技術の担い手や国際社会で活躍できる人材などの「人づくり」に力を入れますとともに、「生活大県」づくりを着実に推進するため、施策の選択と集中に努めたところであります。
こうした方針のもと編成した結果、一般会計の予算規模は1兆785億円、対前年度比約300億円の減でマイナス2.6%となっております。これは、東日本大震災関連予算が中小企業融資資金や公共施設等の復旧費の減により大きく減少していることなどによるものであります。
また、震災関連の経費を除いた伸び率は前年度比マイナス1.1%となっております。
次に、歳入、歳出それぞれ主なものを申し上げたいと存じます。県税収入につきましては、税制改正などにより、前年度比85億円増の3,150億円、プラス2.8%と見込んでおります。
一方で、地方交付税のうち普通交付税につきましては、地方公務員の給与費が7月から国家公務員並みに削減することとして算定されることなどから、160億円、9.1%の減を見込んでいるところであります。
こうした結果、一般財源の不足額は平成24年度と比べ60億円程度増加し、140億円となる見込みで、これに対応するため県債管理基金からの繰替運用を引き続き実施せざるを得ない状況となっております。
次に、歳出でございます。東日本大震災への対応としまして、引き続き被災施設の早期復旧に努めますとともに、風評被害により大きな影響を受けております観光業や農林水産業の復興のための各種キャンペーンやイメージアップに積極的に取り組んでまいります。
また、平成25年度は防災体制の充実強化に重点的に取り組み、堤防のかさ上げなどの津波対策や緊急輸送道路の整備を進めますほか、県立学校などの耐震化、防災情報ネットワークの再整備などに取り組んでまいります。
次に、経済・雇用対策につきましては、まず、中小企業の資金繰り支援として、県制度融資の利率を0.1%引き下げ、利用者の返済負担の軽減などに努めてまいります。
また、公共事業費につきましては、国補、県単事業あわせて1,043億円で、前年度比プラス1.5%となっております。
なお、今後、国の補正予算に対応して、平成24年度の本県の最終補正予算を編成していくこととなりますが、この15か月予算で見た場合に、公共事業は1,400億円程度の規模となり、平成24年度当初予算と比べ36.3%増となる事業量を確保することとなると見込まれております。
一方、雇用対策事業につきましては、基金を活用して事業規模55億円、雇用創出人数3,300人以上を確保し、引き続き、大卒等未就職者の雇用の場や福祉・介護職員を確保するための研修・雇用一体型事業などを実施してまいります。
そのほか、「生活大県」づくりを着実に推進していくために、医療施設・設備の充実、医師や看護師の養成・確保、理科教育や国際理解教育の充実、郷土愛を育む郷土検定の実施、さらには、いじめや体罰、児童虐待の早期発見・解決のための取組み、観光客の誘客促進や茨城空港の利活用など広域的な観光・交流の推進といった予算を計上しております。
また、条例その他の議案につきましては、国家公務員の退職手当法の改正にあわせ、職員の退職手当を今年度から段階的に引き下げる改正条例などを提出することとしているところであります。以上です。
茨城A(幹事社):予算関係について、まず、幹事社から幾つかお聞きしたいと思います。
今年度の当初予算の発表のときには、予算的に復興元年だという位置づけが知事からありました。今年はどういった位置づけとお考えでしょうか。
知事:復旧・復興に努めていくという意味では昨年と同じようなトーンになると思いますが、25年度の予算の中では、このあいだの大震災などを踏まえて防災対策が強く打ち出されているのが一つの特徴かなと思っております。津波対策や緊急輸送道路の整備といったものが金額的にも多くなっております。
そういった点で、復旧・復興に力を入れるとともに、あわせて先般の大震災の経験を踏まえて、災害に強い県土づくりを進めていきたいと思っております。
そのほか、景気・雇用対策という点で、例えば、今、申し上げましたように、公共事業は15か月予算として見た場合には、平成24年度と比べて約4割増となっているところでございますので、かなりそういった点では、国とあわせた形で景気回復のための事業に力を入れたということだと思います。そういうふうに理解していただきたいと思います。
茨城A(幹事社):今回の予算編成は、年末に総選挙が行われまして、政権交代という中で行われた異例の編成作業になり、非常にご苦労も多かったと聞きます。予算の仕上がりについて自己評価をお聞かせください。
知事:いろいろ財源の面もあるので、厳しい予算編成にならざるを得ないわけでして、そういう中で精一杯メリハリをつけたつもりであります。
茨城A(幹事社):今年は知事の5期目の任期の最終年度に当たります。知事は、前回の選挙戦で、生活大県を公約に掲げて5期目に臨んでいるわけなのですが、公約の達成という観点から見て、今回の予算はどの程度達成できたとお考えでしょうか。
知事:途中に大震災とか原発事故なども入ってきておりますので、一時、例えば、企業誘致などの面でも大きな影響を受けました。そうなると働く場所がなかなか確保しにくいということもあって、産業大県ということをかつて申し上げていましたが、こういう分野に当分力を入れていかなくてはいけないのではないかと思っております。
ただ一方で、地域医療再生臨時特例交付金を活用して、大変厳しい状況に置かれている地域医療をこれからどういうふうに持っていくのか、災害で医療施設などが被害を受けたところについては、医療施設などの修繕や改築といったことなどはかなり進んできているのではないかと思いますが。
また、医師確保につきましても、(医科大学入学定員への茨城県)地域枠の設置や医科大学に設置する寄附講座なども活用しながら、ある程度前に進める体制が整いつつあるのではないかと思っております。ただ、医科大学の定員増なども現場に跳ね返ってくるまでには時間がかかりますので、これはある程度長い目で見ていかなくてはいけないのかなと思っております。
茨城A(幹事社):今回の県財政は、臨時財政対策債の増加などによりまして県債残高が2兆円を突破するという状況で、大変厳しい状況が見受けられます。
一方で、各種基金を活用した生活大県の事業についても、基金も限りがある中で、今回は優先度の高い事業が編成されたと評価いたしますが、次年度以降については財源的に非常に厳しいという印象を持っております。そのあたりについて知事の所感をお聞かせください。
知事:そういった点では、国も、今回、大分景気回復という点に力を入れていると思いますし、流れとしても、円安株高ということで、いい方向に動きつつあると思っております。もちろん、輸入価格の上昇によっていろいろな分野に具合の悪いところも出てきております。例えば、石油製品がぐっと上がるとか、そういうことはありますが、全体としては円安株高によって景気はいい方向に向かっていくのではないかと思っております。これが早期に賃金などにも跳ね返って、景気全体がよくなっていけば、税収などもこれから増加基調になってくれるのではないかと期待をしているところであります。今、税収が一時と比べて極めて少なくなっておりますので、そういう景気の回復によって税収が増えてくる。そうなれば、来年度の予算編成に当たっても、ある程度の余裕を持って取り組めると思っております。
東京A:知事は、常々、復旧・復興に力を入れるということをおっしゃっていましたが、新年度の予算では、一般会計で、対前年度比178億円減額されていますが、これについて、今後、復興のロードマップにどういった影響があるのかということを教えてください。
知事:復興のロードマップという意味では、影響はないと思います。例えば、震災関連予算1,062億円から884億円に200億円近く減っておりますが、これは、中小企業融資資金や公共施設等の復旧費の減によって大きく減少しているものでありますので、これらが減ってもロードマップとしては影響を受けないと思います。
復旧・復興事業はだんだん少なくなっていきますので、そういった点では、予算がこのぐらい減ったということについては、需要にあわせてという形になっていますし、我々としては当初の予定どおりにいろいろな事業を進めているところです。
東京A:それと、繰入金なのですが、今回、140億円の財源不足を県債管理基金からの繰替運用とされている。ある意味、禁じ手を使われているわけですが、これについてどのようにお考えでしょうか。今後の方針も含めてお願いします。
知事:これは公務員給与の関係などもあって、地方交付税がかなり大幅に減るという見込みになっておりますので、やむを得ず、県債管理基金から繰替運用をすることにしておりますが、これまでも、毎年、執行の過程でいろいろ努力をいたしまして、繰替運用をしなくても済むような結果できております。来年度もそういう意味で何とか努力をしていきたいと思っておりますが、いずれにしても、歳入が伸びない中でいろいろな事業をやっていくという点では、これからさらなる行財政改革などが必要だろうと思っています。
朝日:県債残高のことでお聞きします。知事が就任された1993年度、約20年前ですが、このころは5,800億円だったものが、このたび2兆800億円と莫大に増えてきています。今の2兆800億円という数字と、この20年間で右肩上がりに増えてきてしまった現状をどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
知事:例えば、平成24年度から平成25年度にかけては、通常県債でいえば残高がかなり減っていくことになっております。今の異常事態といいますか、特例的県債で財源不足を補うという国の方針の下では、総額として増えていくのはやむを得ないのだろうと思っております。
臨時財政対策債の増加によるものがほとんどでございまして、この部分を除けば、我々としては精いっぱいの努力をしてきているつもりです。
朝日:ただ、臨財債などを除いた本来のいわゆる県債の残高、知事が就任した1期目、2期目のあたり、1990年代あたりにかなり増えてきていました。それが、臨財債が出てきたりなどいろいろありますが、やむを得ないで済ませてしまっていいのでしょうか。もう少し、今後、積極的に県債残高を減らしていくためにこうするだとか、何かの方針はないのでしょうか。
知事:我々としてはできるだけ減らす方向で努力をしております。
朝日:もう少し具体的にその方策を教えてください。
知事:例えば、来年度の分でもかなり減っているのはご存知のとおりでありまして、公共投資に充てた通常県債は前年度比181億円ほど減ってきております。
朝日:どのような手立てで減らしていかれるのでしょうか。
知事:今回の場合は、地域の元気臨時交付金を活用したから大幅に減っているのですが、あとは、プライマリーバランスということがよく言われますが、それをどうやって達成していくかという中で工夫していくことになると思います。適債事業を行っていく限り、地方債の発行になるわけですが、一方で償還がどんどん進んできておりますから、償還する分と新しく起こす分、そのバランスがとれてくれば、当然、前よりも減っていくわけです。
朝日:そのバランスをとるためにも、歳入をどうにかして増やして、一方で、社会保障関係費が年々40億円から50億円増えていっている中で、歳出をできる限り抑えられるところは抑えていく必要があるかと思うのです。例えば、歳入を増やしていく、県税収入を増やしていく、何か具体的な方針はお考えでしょうか。
知事:それは税源のかん養とよく言われているわけですが、税源のかん養のためにどのような形がとれるかといえば、企業誘致によって税源を増やす。あるいは、景気回復によって在来の企業の収入が多くなって税収が増える。あるいは、住民が増えてくることによってさまざまな税額を得る。いろいろなことが考えられますが、そのなかで、例えば、住民を増やして、ということになると、自然減がどんどん進んでいる。しかも高齢化が進む。所得や住民税がそう大幅に増えることはまずなかなか望むことは厳しいことだろうと思っています。
したがって、先ほど申し上げたように、景気回復によって既存の企業がもっと元気になって税金をたくさん納めてくれる、あるいは、今、企業誘致に一生懸命取り組んでおりますが、このような形で新しい企業に来てもらって、税を納めてもらう。そういった方法が一番オーソドックスな形です。ほかにはないと思います。
朝日:それに今後も取り組むということですか。
知事:それは当然です。
朝日:あともう1点、経常収支比率のことでお聞きしたいのですが、こちらも就任当初の1990年代には80%、ぎりぎり適正レベルかなというぐらいだったものが、上下動を繰り返しながら、今はもう90%を超えてしまっています。かなり硬直化してきている現状ですが、それはどのように見ていらっしゃいますか。
知事:それは、特別、茨城県だけが悪くなっているわけではないと思います。流れがまるっきり変わっていますから。社会保障関係費がどのぐらい伸びているかをご覧いただければわかると思いますし、例えば、我々は、経常収支比率を減らすために、その間に知事部局でどれだけ人間を減らしてきているかというと、6,800人いたものを今は5,000人を切っているわけですから。それは新聞社さんもそうだと思いますが、我々の方も相当努力しています。
朝日:ただ、さらに努力をしていくとしたらどんなことが考えられますか。
知事:行財政改革大綱をつくっておりますから、見ていただければと思います。
朝日:事業の見直しなどは、今後は。
知事:当然進めております。
NHK A:いわゆる橋本カラーとして、どのような部分に一番力点を置いて予算案の中に盛り込まれたか、具体的な事業等、お聞かせ願えればと思うのですが。
知事:復旧・復興というのは、カラーとかの問題ではなくて、やらなくてはならないことです。それと、来年度予算の中では「災害に強い県土づくり」という点は、かなり積極的に力点を置いているところです。
また、これまでも申し上げてきましたが、これからの日本を支えていけるような県にしていきたいという点では、茨城県が発展するだけではなくて、日本の発展にも貢献していきたいということで、科学技術関係の予算の確保、あるいは、国際理解教育に力を入れる。理数教育に力を入れる。例えば、理科教育の小学校5、6年生の教科担任制などはなかなかほかでは見られないような取組だと思っています。
我々としては、企業誘致などによって、自分の地域を元気にするのとあわせて、科学技術創造立県などによって国の発展にも貢献できるような県にしていきたい。
国は、今、とりあえず景気対策に一生懸命取り組んでいますが、成長産業というものを育てていくためにも、茨城県、つくば、東海などはかなり大きな役割を果たしていけるのではないかと思っています。
NHK A:そうすると、今のお話ですと、どうしてもやらなければいけない復興の部分とは別に、科学技術の振興と人づくりといった部分では知事の思いを相当にじませたということですか。
知事:そのつもりです。
NHK A:5期目の仕上げということで、先ほども質問がありましたが、そういう意味でいうと、どんなところに思い入れをにじませた予算となっていますでしょうか。
知事:先ほども申し上げましたが、私は働く場所を増やしていく、産業大県というものをつくり上げていって、それによって生活大県につなげていきたいということを前々からお話ししているところであり、そういった点で、大震災と原発事故でかなり予定が狂ってしまったような感じはいたします。
リーマンショックなどもあって、日本全体が、これからどうやって少しでも存在感を高めていけるかという時代になってしまっています。
この中で、茨城県は幸いなことに企業立地などは順調に進んでいます。この10年間の工場立地面積でも全国第一位でありますし、例えば、現在来てくれている企業だけでも、ほかの地域だと1社来るだけでも相当な話題になりそうな企業がたくさん来てくれています。そういった点では、税源のかん養といいますか、働く場所の確保という意味で、それなりに効果を上げているのかなと思っております。
それから、科学技術創造立県ということにつきましても、つくば国際戦略総合特区の指定を受けました。そこでは4つの分野において最先端の研究が進められていきます。
それからまた、東海村にはJ-PARCという世界に3つしかないようなすばらしい施設がつくられています。しかも、この中の23本のビームラインのうち2本は県が設置している。基礎研究だけではなくて、実用研究に取り組んでほしいという目的を持って、県が2本のビームラインを設置しております。その中から、先般もある大学の先生方が(新しい触媒の開発に成功したと)発表しておりましたが、これは東海村で行った実験データを活用して開発したものなのです。
そのような形で、他県の大学もこちらへ来て研究して、それを材料として様々な最先端の研究を進めている。そういう意味で、県がビームラインを設置したということについては、学会の方などからも大変高い評価を受けております。よくそこまでやりましたね、ということです。そういう点で、これからもより積極的に科学技術創造立県などにも取り組んでいきたいと思っています。
NHK A:逆に、今回の予算編成の中で、知事として思いがありながら、物足りない結果になってしまったというような部分、今後の課題として残したようなところがあればお聞かせ願いたいのですが。
知事:それは福祉関係の予算の確保です。これがかつてと比べて比較にならないぐらい必要額が増えてきていますし、福祉の施策の内容もどんどん充実している。これから先、日本の人口減少が進む中で税収が増えていかないとどうやって対応するのだろうか。
例えば、身近な問題としては、医療保険をどうするかという点、国民健康保険は、無職の方、無収入の方の割合がどんどん増えてきている。片一方で高齢化が進むことによって、例えば、(一人当たりの)医療費で見ると、45歳から64歳の人の平均年間医療費は26万8,000円なのですが、65歳以上の人は70万3,000円です。医療費がどんどん伸びていっても、(保険料)収入はそんなに伸びない。これをどうやっていくかという問題もあり、これは市町村の国保の問題でありますが、さまざまな形で国も県も市町村もどのようにしながら今の状況を維持していけるのか。保険もそうでありますし、それから、年金等もそうであります。社会保障関係経費をどのような形で充実していけばいいのかということについて、きっちり方針を示していくことが必要なのではないかと思います。
NHK A:もう1点、総体として、今回の予算、100点満点で言えば、ご自身は何点おつけになりますか。
知事:我々は100点と思って出すわけです。足りなかったら、何が足りないのですか、そこを埋めなさいという話になってしまうので、我々としては、今の財源の中でできる限りのことはしたということで出させてもらっています。
産経:朝鮮学校への補助金のことでお伺いいたします。
知事は、以前、県外の動向を踏まえて来年度の朝鮮学校の補助金の計上を考えていきたいと述べておりましたが、来年度も補助金を計上されるということで、その理由と、あと、額が78万円ほど今年度と比べて減っておりますが、その理由についてお聞かせください。
知事:本県ではこれまで固定額できたわけですが、生徒数が随分減ってきております。1人当たりの単価にしてみると比較的高い方に入ってしまっている。この単価について見直しをさせていただいて計上している。執行については、この前も申し上げましたように、他県の状況などを見ながら考えていきたいと思っておりますが、補助対象としているのは、義務教育相当課程であるということにも留意し予算計上したところです。
(朝鮮学校を高等学校等就学支援金の支給対象外とする省令改正について実施した)政府のパブリックコメントでも、対象外とすることについて賛成・反対半々ぐらいの意見が出ているようであります。北朝鮮の核実験、これは断固反対していかなくてはいけないと思っていますが、それと国内におられる子どもたちの教育というものと即結びつけるのかどうか。例えば、北朝鮮籍以外の子どもも入っているわけですから、そういうことも全体的に考えていく必要があるのだろうと思っています。
東京B:医療分野についてお伺いしたいと思います。これまで医師確保に向けてそれなりに対策をとってきたと思うのですが、今でも鹿島労災病院で4月から医師が半減するとか、医療センターで診療科が減るとか、そういう問題があります。今年度は予算で寄附講座の増額とか、そういったことをされていると思うのですが、なかなか目に見える効果があらわれにくい中で、今年度、どういう思いで予算を配分したのか、期待される効果をどういうふうに考えていらっしゃるかをお伺いできますでしょうか。
知事:我々としても、医師をしっかり確保していきたいという思いは極めて強く持っております。ただ、例えば、鹿島労災病院一つとってみても、派遣大学の都合で一斉に引き揚げが始まってしまっている。そして、その近くの某有名病院でさえ十分な医師が確保できなくなり始めている。大変な時代だと思っております。
そのために、地域枠その他で長い目で医師を確保できる方策も講じておりますが、これだけではとてもうまくいかないので、寄附講座を設置して、現実的にすぐ効果が出るような対策をとるとともに、一方で、地域医療支援センターをつくってキャリア形成などにも県として応援できるよう方策を講じていきたいと思っております。若い人たちは、そこの県の病院に行ったときに、どういう形で自分たちの勉強になるのだろうかということも随分気にしておられるようでありますので、そのような面などにも配慮した形での受入態勢づくりに力を入れていきたいと思っています。
東京B:10万人当たりの医師数が、都道府県順位で下の方からなかなか変わらないということがあると思うのですが、今年度の予算措置でどれぐらいまでいきたいとか、そういうのは。
知事:茨城県でも人口10万人当たりの医師の数は増えてはきているのです。しかし、例えば、全国平均と比べると、約60人少ないのです。約60人違うと、全国平均まで持っていこうとすると、10万人当たりで約60人ですから、茨城県は30倍にしないとだめです。そうすると約1,800人増えないと全国平均までいかないのです。
そういった点で、全国平均並みになるなどというのはとても現状では考えられないレベルであります。どうやって少しでも医者の数を増やして、その貴重な医療資源を有効に活用していくかということが極めて大事なのだろうと思っております。
そういう点では、どこまでというよりは、来てもらえるのだったらいくらでも増やしていきたいというつもりで医師確保に取り組んでいるところです。
日経:産業関連でご質問なのですが、金融円滑化法が3月に切れるということで、今回、県の施策でも融資とか利率の見直しをされていらっしゃいます。この問題はいろいろと、金融機関でもファンドをつくるなどいろいろなことをしています。ただ一方で、一定程度倒産などが出るのはやむを得ないという見方もあります。知事はいろいろ施策は打っていらっしゃるのですが、4月以降の県内経済の影響をどの程度お考えになっていますでしょうか。
知事:これは難しいですね。我々、例えば、東日本大震災復興緊急融資という形でやっていますが、こういうものの需要はある程度落ち着き始めております。ですから、県の制度融資ということではこの予算で不足するということはないと思いますが、円滑化法が3月末で期限が切れることについては、金融機関、政府として対応策を講じていただく。そして、特に中小企業が安心感を持てるような説明をしていくことが必要なのだろうと思っております。
茨城A(幹事社):今回の条例の中に、退職手当削減の改正条例案があるかと思うのですが、現時点で恐縮なのですが、3月1日施行とすると、2月末までが早期退職の駆け込み退職のタイミングになるかと思います。現時点で、知事部局、教育庁、そして県警の3つのセクションがあるかと思うのですが、現在の駆け込み退職の意向についてどのような数字を把握されていますでしょうか。
知事:退職願を提出している人は一桁おられるということは聞いています。ただ、民間と比べて公務員の退職手当が400万円高いというわけですから、我々としては、本来は、高いのがわかった段階で全部当該年度に引き下げるべきものを、経過措置をとっている。その経過措置の中でも、本県の場合、若干緩和している。来年度辞める人はもう否応なく280万円下がっていくわけです。再来年度の人は400万円下がるのです。ですから、来年度、再来年度の人がそれだけ下がるのに、条例施行前に退職する人だけ民間との差があるものをその差を減額しないで全部受け取っていいのだろうかということを、私は強く感じておりますので、各部局の担当者から退職予定者に対して十分その辺について理解してくれるようにお願いをしていくつもりです。
茨城A(幹事社):現時点で既に願いを出された方のほか、願いは出していないがそういった意向を持っている人がいると思います。知事部局と教育庁と県警の3つがありますが、願いを出した方は一桁ということですが、意向をお持ちになっている方は。
知事:全部に聞いているかどうかわかりませんので、そこについては我々としてはっきりした数字を申し上げる状況にありません。
茨城A(幹事社):十数人に上っているというふうな感触も受けているのですが、いかがでしょうか。
知事:それは今の段階では私は何とも答えようがありません。例えば、この間、テレビでも放送していましたが、退職の意向を撤回したという人もおられますし、私としては、来年度の人とのバランスを考えても、来年度の人は280万円下がるのに条例施行前に退職する人は無傷でいいのかどうかということは強く感じております。民間に比べ高いものが減額されるというのは、これは本来やむを得ないことなのです。それだから法律も通っている。それがただ非常におかしなタイミングになってしまった。我々としても、若干緩和して条例を提案しようということにしているわけですので、余り退職願が何人出たとか、退職したいという人が何人いるとかいうことを公表していって、そういうことが退職希望をさらに引き出すようなことになっても困るものですから、そこについては慎重にやっていきたいと思います。ですから、退職願を出そうと思っている人がいるとしても、そこはきっと説得していくことになると思いますので、今何人などということは言えないと思います。
読売:公共事業が大幅に増えている。特に15か月予算で大きく増えていますが、かつては公共事業は無駄遣いと言われる部分も多かったと思うのですが、知事としてはどういう根拠で公共事業を配分したのかということと、公共事業に対する期待を教えていただけないでしょうか。
知事:それは先ほども申し上げましたように、災害対応というのを一番に考えながら公共事業をやっていく必要があるのだろうと思います。
それとあわせて、もう一つは、今後の地域の発展に結び付くような事業。例えば、今回、直轄事業負担金ですが、圏央道の負担金が大分増えています。これは、沿線の地域の市町村が軒並み工業団地を造成しようかという動きが出てきているように、地域にとってみれば千載一遇のチャンスになるかもしれない。こういう事業に重点を置きながらやっていくということも必要ではないかと思います。
読売:経済対策、景気浮揚みたいなところの期待というのはありますか。
知事:それはどの事業だから云々ということはなく、そんなに違いはないと思います。
朝日:再来年度の予算もご自身の手で編成したいというふうにお考えでしょうか。
知事:それは今何も考えていませんとこの前から申し上げていますので。
東京A:今度、オフサイトセンターの放射線防護対策を新たにとられるということなのですが、ということは、新たにオフサイトセンターを東海第二原発からさらに離して新設するということはもう考えていらっしゃらないということですか。
知事:それは国の方針として、移さなくてもいいという方向が出されていますので、それに応じてやっていくことにしています。
茨城B:指定廃棄物の最終処分場の設置に関して、環境省が関係する5県に説明に来る予定になっているようですが、本県にはいつ来るか決まっているのでしょうか。
知事:今のところ、来週来られるという方向だと聞いています。
茨城B:選び方を検証するということでしたが、地元の高萩では反対の声がある中で、選び方をどう検証するのかなと思うのですが、知事としては、環境省に期待しているところがありますか。
知事:検証結果と今後の方針について多分説明があるのだろうと思います。その中で、検証した結果、県や市町村との意思疎通も十分でなかったとかいろいろなことが明らかになってくるのだろうと思いますので、例えば、高萩市だけを対象にして説明を始めるというのではなくて、全県下の市町村を対象にして説明を始めるというようなステップも考えられるのではないかと思います。どういう今後の方針を持ってこられるかわかりませんが、高萩市だけを対象にして、今のままで強引に(進める)ということは現在の状況ではかなり難しいということは、前回、井上(環境)副大臣に申し上げてあります。
茨城B:関連して、北茨城市に接する福島県鮫川村に処分場をつくるという話があって、それに対して、知事のところには、そういう反対の声というか、県としてはどういう対応をするのでしょうか。
知事:反対の声は聞いたことはあります。ただ、県に対して全然説明がなかったのですね。大分地元では不安を感じているのだろうと思いますので、先日、意見交換の場をもたれたようでありますが、そこでの意見などを参考にして、市長も出ておられたようですから、環境省でどうすればいいかということについて検討していると思います。
その中身については承知していません。
茨城A(幹事社):今のやり取りの確認なのですが、「高萩だけを対象にして説明を始めるというのではなく」というのは、高萩以外も説明会を実施するということですか。
知事:まず、県下の全市町村に説明するという形になる可能性が強いのではないかと思っております。それで、市町村から意見を聞いて、どう進めていくのか。
NHK B:きのう、阿見町の東京医大茨城医療センターの保険医療機関の再指定が発表されたわけですが、原則5年間指定取消しすることができるという仕組みだったと思うのですが、3か月での再指定ということになりました。それに対して、(関東信越地方社会保険医療)協議会の中でも厳しい意見もあって、全会一致で認められたわけではないということでしたが、そのあたりも含めてどのように受け止めているか教えてください。
知事:今回、再指定を受けたということについては大変安堵しているということです。我々としては、(指定取消期間が)余り長くなりますと、例えば、周辺の病院が患者の受け入れについて限界にきているということもあります。それから、いくら周辺の病院が協力してくれているとはいえ、地元の患者さんが非常に不便を来しているということもあります。それから、病院そのものも、今のままでいきますと、毎月の赤字額が極めて大きな額に上るものですから、本当に倒産しかねないということもあります。
そういった諸々のことを考えて、我々は地域医療をこれからも何とか確保していくためには、早期の再指定を是非やっていただかないと大変なことになるということでお願いをしてまいりました。そういったことについて理解を示していただけたわけでありまして、大変にありがたく思っております。
ただ、一方で、教育機関である大学の附属の医療センターでありますから、そこで不正請求が行われたということについてはしっかりと反省をして、これから二度と起きないようにしてもらいたいと思っております。
NHK B:県としては、今後どのように見守っていきたいと考えていますか。
知事:我々、いろいろな機会に茨城医療センターにも立ち入って状況を見させてもらおうと思っています。
NHK B:県西地域の中核病院についてです。先日、県と筑西と桜川と三者で協議があって、筑西と桜川の公立の病院と、あと民間の病院と、3つの病院の枠組みで再編統合しようということで案が出たということですが、それに関する予算案の臨時会で、筑西で結論が出ずに継続ということで、ちょっとまた先行きが不透明な状況に陥っていますが、そのあたりについてはどう受け止めていますか。
知事:両市議会が十分に話し合って進めていきたいということでありますから、それはそれで僕は間違った方向ではないと思っております。
ただ、余り時間がかかりすぎてしまうと地域医療再生臨時特例交付金が使えなくなってしまうので、そちらの面から、そんなに時間は残されていないので、早期に方向を決めてもらいたいと思っております。
もともと筑西市民病院と県西総合病院の統合がなかなかうまくいかないので、筑西市民病院と民間病院でやろうという方向が出されたわけです。それに対して、その2つだけではなくて、県西総合病院も入ったほうがいいのではないかという意見などもあったものですから、県としては3つの病院で新しい体制をつくったらどうかという提案をさせていただいたところであります。桜川市の方ではすんなり理解をしてくれましたが、筑西市としては、これまで候補地を提示していたことなどもありますし、いろいろな意見があるので、十分に理解し合った後で進めようということですから、私どもとしては、両市の話し合いの結果を待っていきたいと思っています。
NHK B:公立の病院と民間の病院が一緒になるというのはなかなか難しいという話もあります。補助金をもらって、さらに地域を元気にしようということでこの話は進んでいますが、民間の病院が入ってきて補助金を受けるとほかの民間の病院がどういうふうに思うかということも、もしかしたら問題に上がってきているのかなとも思うのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。
知事:そこは余り問題になっているとは聞いておりません。例えば、大きな病院で日製日立総合病院、あそこも災害から復旧するために交付金が入っていくことになっております。そういうことから見て、今の質問は、ほかの方から出ている声とは違っていると思います。
NHK B:では、今の県が提案した三者の枠組みで順調に進んでくれるといいなということで、見守っていきたいということですか。
知事:我々としては、地元がしっかり安心できる医療体制を確保するために知恵を絞っていくことが一番大切だろうと思っております。
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