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更新日:2016年5月19日
この試験は、スギ壮令林における施肥適期を知るために、29年生スギ林のかく成育相に応じた時期ごとに施肥して、その施肥効果を葉の栄養分析と、成長量測定との両面から検討したものである。実際に施肥されたのは、1月、4月、6月、8月、11月のかく月で、施肥量は、10aあたりの要素量で、N-P-Kがそれぞれ30-16-16キログラムであった。
なお、試験成績は4生育期間についてのものである。
1.4年間の材積成長量では、いずれの施肥区も無肥料区にくらべて、haあたり29立方メートル以上の増収となり、とくに6月施肥区は68立方メートルとすぐれた肥効をしめした。競争による自然枯死木のでるような密度の高い林分で、しかも年成長量22立方メートルもの優良な林分で、なお、このような肥効をみたことは注目されるべきことであろう。
2.施肥によって葉のリンと力リ含有率は変らなかったが、チッソ含有率は高まった。
3.チッソ含有率の高まり方は、生育休止期ではややおくれて高まり、生育期の施肥区では間もなく高まった。しかしながら施肥後の葉のチッソ含有率の値は、施肥時期の違いにもかかわらず、似たような値となり、そのままの高いレベルで翌年も持続した。
4.2年連続施肥区のチッソ含有率も、1回施肥区のそれと変らなかったことから、チッソについての施肥量は充分であったように思われる。そして葉のチッソ含有率2%前後の値は、この地域でのスギ壮令林分が、充分な生育をするのに必要なひとつの指標値のように考えられた。
5.以上のような肥効による材積増加量と、葉の養分含有率による栄養生理学的検討とから、スギ壮令林での施肥適期は、はばは広いがとくに新葉の展開の終了する初夏、6月頃のように思われた。
6.施肥後の年々の材積にみられる肥効の経過は、気候の変化に対応するので、いちがいには云えないが、施肥年よりも翌年以降に大きくなり、3年目に最大に達し、少なくとも4年以上は続くようであった。このことから、主伐期のスギ壮令林での施肥は、少なくとも主伐の4年以上前が適当のように考えられた。
7.施肥による材積成長量は、優勢木ほど大きかった。また、肥効のいちじるしい優勢木ほど、幹の上部と根元の肥大が顕著であった。なお、幹上部の肥大成長は、枝下高の位置から上部であるようであった。
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