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更新日:2024年9月9日
茨城県衛生研究所では、県民の農産物等の食品に対する安全・安心を確保するため、毎年計画的に県内に流通する野菜や柑橘類の残留農薬の試験検査を実施しています。
農薬は、農産物の病害虫からの被害を防止し安定した収穫を得るために、また、除草など農作業を軽減するために必要不可欠なものとなっています。しかし,目的とした作用を発揮した後、ただちに消失するわけではありません。農薬を使用した結果、作物などに残った農薬を「残留農薬」と言います。
普段の食事でいろいろな農産物等の食品を食べるとき、この残留農薬も一緒に取り入れることになります。この残留農薬が、人の健康に害を及ぼすことがないように食品衛生法では農作物などの食品中への農薬の残留を規制しています。
農薬の残留基準について、以前は、一定限度以上の残留を禁止する農薬をリストにしていましたが(いわゆるネガティブリスト制度)、この制度では残留基準が設定されていない農薬については、いくら残留があっても規制できずに問題となっていました。このため食品衛生法が改正され、平成18年5月からポジティブリスト制が導入されました。ポジティブリスト制度とは、すべての農薬等の残留基準を設定し、農薬等が一定量以上残留する食品(農産物等)の販売等を原則禁止する制度です。
残留基準が定められていない農薬等については一律基準(0.01ppm)が適用されます。(0.01ppmとは、食品1kgの中にその農薬が0.01mg含まれる濃度をいいます。)
残留基準を越えた農産物は食品衛生法に基づき,流通禁止となり、すでに流通した農産物は回収等の措置が必要となります。
農薬の毒性の試験結果などの科学的なデータをもとに、「一日許容摂取量(ADI)」を設定します。「一日許容摂取量(ADI)」とは、毎日一生取り続けても、健康への悪影響がないとされる1日あたりの量のことです。
ADI=(動物実験から得られた無毒性量)÷(安全係数100)で求められます。
(例)ADIが0.1 mg/kg体重/日の場合
体重1kgあたり1日で0.1mgまで摂取しても悪影響はないとされます。
体重50kgの人の場合は,1日で50(kg)×0.1(mg/kg)=5mgまでその物質を摂取しても安全と推定されます。
残留農薬の基準値は「一日許容摂取量(ADI)」を下回るように設定します。
表1に示すように、食品の種類ごとに農薬の基準値が決まっています。
表1 食品の種類ごとの農薬の基準値(単位:ppm)
カボチャ |
キャベツ |
ニンジン |
|
農薬A |
0.01 |
0.02 |
0.6 |
農薬B |
0.5 |
0.02 |
0.05 |
農薬C |
2 |
0.02 |
0.05 |
当所では、保健所が収去した食品に含まれる農薬が基準値を超えていないか確認するため、厚生労働省の通知で示された方法に準拠し検査を実施しています。図1に示すとおり、食品を粉砕後,農薬を抽出・精製し、GC-MSMSやLC-MSMSなどのクロマトグラフ質量分析装置で測定します。
図1 基本的な検査の流れ
当所で実施した検査の結果は保健所あてに報告します。基準値を超えた場合、保健所は当該食品の流通防止のため必要な措置をとることになります。
令和5年度は、県内で販売されているパプリカ、にんじん、かぼちゃ等の野菜63検体とグレープフルーツ等の柑橘類27検体の残留農薬の試験検査を実施しました。実施した検体のうち、1検体で基準超過がありました。
残留農薬についてもっと知りたい方は,茨城県生活衛生課・食の安全対策室のホームページや厚生労働省のホームページをご覧ください。
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