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更新日:2024年9月9日
薬は法令によって品質や有効性、安全性に関して厳しい基準が設けられています。
衛生研究所では品質確保の一環として、流通している医薬品を対象として、有効成分の溶出性(お薬を飲んだ後の薬の溶け方)や定量(決められた量が含まれているか)の試験を行い、承認されている規格から逸脱していないか確認を行っています。近年は、医療費の問題等から使用が促進されているジェネリック医薬品(後発医薬品)を中心に試験を行っています。
溶出試験器 | 液体クロマトグラフ | 紫外可視分光光度計 |
口から飲んだ錠剤やカプセル剤は、消化管内で溶けた後、腸から吸収されて効果を発揮します。そのため、溶出性は吸収される有効成分の量を決める大きな要因となります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と生物学的に同等(薬を飲んだとき、血液中の有効成分の濃度が同等である)であることが求められており、その指標の一つとして溶出試験規格が設定されています。
溶出試験は、体の中で起こる薬の溶け方を再現している試験です。水または胃液や腸液等と同じpHの試験液を入れたガラス容器内の温度を37℃に保ち、錠剤やカプセル剤の溶け方を調べます。ひとつの薬に対して6個試験を行い、個々の溶出率が全て規格値を満たしていれば、適合と判定します。
流通量が多い医薬品等を対象に5年間で11成分141医薬品の溶出試験を実施しました。
成分名(効果) |
数* |
結果 |
バルサルタン(血圧降下薬) |
15 |
全て適合 |
ピオグリタゾン塩酸塩(糖尿病治療薬) |
15 |
全て適合 |
ナフトピジル |
15 |
全て適合 |
グリメピリド(血糖降下薬) |
18 |
全て適合 |
パロキセチン塩酸塩(抗うつ薬) | 13 | 全て適合 |
ミノドロン酸(骨粗鬆症薬) | 11 | 全て適合 |
エナラプリルマレイン酸塩(血圧降下薬) | 15 | 全て適合 |
プラバスタチンナトリウム(高脂血症薬) | 13 | 全て適合 |
サルポグレラート塩酸塩(抗血小板薬) | 10 | 全て適合 |
シロドシン(前立腺肥大に伴う排尿障害治療薬) | 10 | 全て適合 |
オキサトミド(抗アレルギー薬) | 6 | 全て適合 |
*保健所が収去した医薬品の数になります。
薬は、高齢の方や病気を治療中の人が飲むものという印象があるかもしれませんが、健康な人でも咳が出たときに咳止めを飲んだり、頭痛で痛み止めを飲んだりします。薬は案外私たちにとって身近な存在なのです。薬の品質確保の一端ではありますが、今後も衛生研究所では薬の品質確保に努めていきます。
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