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更新日:2020年6月22日
平成26年7月 きのこ特産部 林業技術センターでは,付加価値の高いきのこマツタケの栽培化に向けた取り組みを進めており,これまでにアカマツ林環境整備の効果を実証し,マツタケの菌根共生の解明と菌根苗の作出容器の開発・改良をすすめ,野外に植え付けた菌根苗における2年間の菌の生残を確認することができました(マツタケの栽培化に向けた取り組み」参照)。その後植木鉢を用いた菌根苗の順化法を検討しましたので,その概要を紹介します。
まず,高圧蒸気滅菌した植木鉢に,菌根苗を移植し,滅菌山砂土壌を充填します。アルコール消毒をしたコンテナに,滅菌した赤玉土で充填し,菌根苗を植え付けた植木鉢を1コンテナあたり3~4鉢配置して埋めました(写真-1:これを二重鉢と称します)。この植え付け作業は,春期(3~4月)と秋期(10~11月)に行いました。コンテナは空調温室に置き,週に1度,土の水分状態を目視で確認しながら,赤玉土にのみ灌水しました。夏場は冷房で管理し,ハウス内が30℃を超えないようにしました。二重鉢の菌根苗を植え付けてから半年,1年,2年,および3年後に掘り起こし,マツタケ菌糸体の生存状況を調査しました。 その結果,春期,秋期にかかわらず,調査した苗のうちの約半数でマツタケ菌糸体の生存を確認できました(表-1)。さらに,菌根苗移植時にその周囲に充填した山砂土壌に,マツタケ菌根の伸長が認められました(写真-2)。また,秋期植え付けから3年後の菌根苗についても,調査した5本の苗のうち1本で,マツタケ菌糸体の生存を確認できました。土壌の種類,植木鉢の大きさ等,二重鉢を用いた菌根苗の最適な順化条件について,さらに検討する予定です。
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