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更新日:2020年6月24日

間伐の実施が林床植生や表層土壌に与える影響

平成24年8月

森林環境部

間伐実施区と下層植生
写真-1 間伐実施区と下層植生

背景と目的


近年,木材価格の低迷や林業従事者の高齢化などにより,手入れの行き届かなくなった森林が多く見受けられ,水源かん養や土砂災害防止機能等の公益的機能の低下が懸念されています。
そこで,間伐の実施が森林の持つ公益的機能に与える影響について検討するため,スギ・ヒノキ林内の異なる林分(間伐実施林・未間伐林)に試験地を設定し調査を実施しています。




研究成果の概要


県内3市町のスギ・ヒノキ林において,調査区の下層植生や植被率(林床植生が表土を被覆する割合)及び林床被覆率(林床植生と落葉落枝等が表土を被覆する割合)などを調査するとともに,調査区の下辺に土砂受け箱を設置し,流入した石礫・細土・リターの区分毎の重量を計測しました。


未間伐区と土砂受け箱
  写真-2 未間伐区と土砂受け箱        写真-3 土砂の計量


その結果,未間伐区では下層植生が極めて少なく,木本類は侵入していませんでいたが,間伐実施区では,林床にムラサキシキブ等の低木類が侵入していました。
また,1年間当たりの土砂等の総移動量は,間伐実施区が825.2g/m・yに対して,未間伐区が1,531.7g/m・yと著しく多いことがわかりました。
さらに,スギ林とヒノキ林の比較では,間伐実施区・未間伐区ともに,スギ林よりヒノキ林における土砂の移動量が多いことがわかりました。これはヒノキ林では落葉が鱗片状にバラバラになり流出しやすいのに対し,スギ林では落葉落枝が林床にとどまり被覆するため,降雨による土砂の洗掘が少なかったためと考えられます。
以上の結果から,間伐を実施した森林では,低木類を含む多くの植物が林床に侵入していること,また,土砂等の流出量が少ない傾向にあることがわかりました。

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