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更新日:2020年8月28日
青年海外協力隊員として平成29年7月にバヌアツ共和国へ派遣された本県出身の木下侑紀さんから、現地での活動の様子についてレポートが届きました。
茨城県では、派遣隊員の皆様を「茨城県国際親善大使」として委嘱し、茨城県と世界との架け橋として活動していただいております。
国際協力に興味を抱いたのは高校生のころです。私は,高校時代に学校の国際交流プログラムに参加しました。その際に,世界には私がまだ知らない文化がたくさんあることを知り,より広い視野で世界を見られるようになりたいと思うようになりました。さらに学んでいくと,世界には格差や貧困など様々な問題があり,それから私が興味をもっていた「教育」の分野でも支援を必要としている人々がいることを知りました。それと時を同じくして,「国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」に応募したことから「JICA」や「青年海外協力隊」の存在を知り,将来のキャリアの一部として意識するようになりました。その後,大学では教育について学び,茨城県の教員として4年働いた後,青年海外協力隊への参加を決めました。
算数教教師会
バヌアツ共和国は,南太平洋に位置しています。83の島々からなり,総面積は新潟県ほどの小さな国です。小さな国でありながらも,ビスラマ語,英語,フランス語の3つ公用語に加え100以上の地方言語があり,村ごとのカスタムダンスや冠婚葬祭のしきたりがあるなど,特色ある地方の文化が残っている国です。また,海や森,火山など,人々は豊かな自然の恩恵を受けながら生活しています。その一方で,自然災害のリスクが大きい国でもあります。
私の任地は,エファテ島にある首都のポートビラです。首都でありながらも,街の中心からコバルトブルーの海を見ることができます。人々は穏やかで,知らない者同士でも笑顔で挨拶を交わし合います。冗談を言い合い大きな声で「ハハハー」と笑いあう人々の姿を良く目にします。近年は,若年層の増加や首都に人口が集中してきていることなどから,仕事がない若者や定員オーバーでなかなか学校に入学できない子どもがいるなどの問題も抱えています。
バヌアツの海
私の配属先は,首都の属するシェファ州の教育事務所です。これまでに行ってきた主な活動は,算数や音楽の巡回指導と算数教師会や音楽教師会の運営支援です。
巡回指導では,要望のあった学校に出向き,算数や音楽の指導への助言を行ったり,実際に授業を行ったりしています。
教師会の運営支援では,現地人先生が主体となって運営されている教師会に参加し,活動計画の立案やワークショップにおけるアイディア提供などを行っています。元々,この教師会は過去にいたボランティアが,先生方や教育事務所職員と共に立ち上げたものです。それが,ボランティアの支援を受けつつ先生たちの力で現在まで続いています。
算数教師会では,「子どもたちが算数の授業を楽しんで,内容を正しく理解できる授業づくり」を目標とし,教師会の運営委員の先生が発表者となりワークショップを行っています。毎月開催するワークショップの前に発表者の先生と打ち合わせをし,共に授業をすることで指導法の提案や指導技術移転をすることが私の主な役割です。
バヌアツの子どもたち
算数教師会の活動に参加し始めたころは,ワークショップで共にプレゼンをする予定だった先生が当日連絡もなしに来なかったことや,ミーティングを呼びかけても参加者が少なかったことが何度もありました。その度に私は戸惑い,「どうすればよいのだろう?」と悩んでいました。
でも,そんなある日,ある変化が起きました。その変化が起きたのは,ワークショップのあとに,ある先生が「今日のワークショップよかったよ!」と大変褒めてくれた直後でした。そう褒めてくれた先生は,その後,より意欲的に教師会の活動に参加するようになったのです。
その姿を見て,私は,私の提案する内容を“良い”と“面白い”と思ってもらえれば,先生たちの心に火をつけることができるのだなと感じました。だから,私が今,できることは「先生が自分の学級でやってみたい!」と思える授業案を精一杯提供することだなと思うようになりました。
今では算数教師会の運営委員の先生方は,私がワークショップのプレゼン案を提案すると,積極的に質問したり,新たな提案を付け加えたりしてくれます。とても頼もしい仲間となりました。
私は,青年海外協力隊に参加したことで,大変多くの人々と出会うことができました。人と関わる中で,いつも優しく手をさしのべることができる人,愉快に冗談を言って笑わせることができる人,目標をもって努力することができる人など,人はその人なりの「良さ」を持っていることを改めて実感しました。
世界の国々で,そして日本で,一人一人の「良さ」を活かされて,より魅力的であたたかい社会がつくられていくことを願っています。そして,私も「私の良さ」を活かして,その社会づくりに貢献できたらと思っています。
現地の家族たち
JICAボランティア平成29年度1次隊
青年海外協力隊
木下 侑紀
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