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更新日:2020年11月25日
提案説明に先立ちまして、謹んで一言申し上げます。
永きにわたり高校野球の監督を務められた木内幸男氏には、昨日ご逝去されました。県立取手第二高等学校の野球部監督として、県勢初の甲子園大会優勝に導いたのを皮切りに、三度の全国制覇を成し遂げました。監督としての卓越した指導力は、県内はもちろんの全国にも「木内マジック」として知られ、私を含め、県民に夢とやればできるといった希望を与えてくださいました。
ここに、哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
次に、令和2年第4回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
さて、菅新内閣が発足し2か月余りが経ちました。先月開会した臨時国会の所信表明演説では、「国民のために働く内閣」として、新型コロナウイルス対策と経済の両立に最優先で取り組むとともに、行政の縦割りや前例主義の打破、デジタル化と規制改革を全力で進めていくとの方針を示し、様々な施策に着手されております。こうした考え方は、私がこれまで取り組んできた「挑戦する県庁」への変革と軌を一にするものであり、地方出身である菅総理の「活力ある地方を創る」との一貫した強い思いと実行力、リーダーシップに強く期待しているところであります。
今後とも、国と連携しながら、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動との両立を目指し、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の新しい茨城づくりに全力で取り組んでまいります。
なお、先月発表された平成29年度県民経済計算の推計結果において、本県は名目・実質ともに経済成長率が全国第1位に、また、1人当たりの県民所得は前年度の全国第11位から第7位になりました。また、民間調査会社の都道府県魅力度ランキングでは、7年連続の最下位から5ランクアップし42位となるなど、本県の潜在能力が改めて証明され、多くの県民の皆様に「やればできる」との自信につながったのではないかと考えております。
これからも、県民の皆様とともに、様々な困難を乗り越え、自らの力で未来を切り拓いていく茨城を目指してまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
現在、新型コロナウイルスの新規感染者数は、全国的に増加傾向が強まっております。県内の感染者数も、接待を伴う飲食店でのクラスターの発生などにより、過去最多を更新し増加しております。
県といたしましては、感染者の増加に併せ段階的に入院病床を拡充し、しっかりと医療提供体制を確保しますとともに、「いばらきアマビエちゃん」の利用登録の促進や、集中検査など迅速かつ濃厚接触者に限らない幅広な検査の徹底、重症化するリスクの高い医療・福祉施設への茨城県版クラスター対策班の派遣などに取り組んでまいります。
また、感染拡大防止のため、「GoToイート」事業の食事券について、来月1日から新規発行を一時停止するとともに、来月4日から予約販売を開始することとしておりました県内宿泊促進事業「めざせ日本一」割についても、感染状況の改善が確認できるまで販売を延期することといたしました。
一方、季節性インフルエンザとの同時流行に備えた対策として、新たな診療・検査体制の構築に取り組んでまいりましたが、県医師会の協力のもと、今月2日から、かかりつけ医や地域の診療所など指定された診療・検査医療機関に、直接、相談・受診できる体制へと移行いたしました。現在、県が指定した医療機関は、650箇所、このうち相談から診療・検査まで一連の対応が可能な医療機関は、167箇所まで確保したところであります。
また、今回提出した補正予算案においては、新型コロナウイルス感染症患者の入院受入医療機関への臨時支援金の交付や、病床確保に対する支援を拡充することとしており、引き続き、県民の皆様が身近で診療・検査を受けられる体制の整備と、厳しい経営状況が続く受入医療機関の経営支援に努めてまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症に関する条例に基づく対応についてであります。
「いばらきアマビエちゃん」の登録や県が実施する行動調査・検査への協力義務化、差別的取扱いの禁止などを盛り込んだ条例を、先月2日に施行いたしました。条例の施行にあわせ、事業者と店舗利用者等の登録を促進するため、事業者が行う感染防止対策への協力金の支給や、利用登録をいただいた方への県産品プレゼントキャンペーンを開始したところであります。
また、県職員で構成するキャラバン隊による戸別訪問第2弾の実施に加え、二次元コードを読み取るだけで利用登録ができるアプリの配信、株式会社NTTドコモとのいばらきアマビエちゃんの普及・利用促進等に係る連携協定の締結など、登録と利用促進に向けた様々な取組を進めております。
昨日時点で事業者の登録は約4万2千件、今月の1日あたりの利用者登録数は約1万件と先月と比較して5割増となっておりますが、引き続き、感染拡大防止と社会経済活動との両立の鍵となる、いばらきアマビエちゃんの普及と利用促進に全力で取り組んでまいります。
また、感染症等を理由とした差別の解消に向け、先月2日に、県人権啓発推進センター内に電話相談窓口を設置し、感染した方やご家族、医療従事者等に対する誹謗中傷や不当な差別などの相談受付を開始いたしました。併せて、若者や地域社会に影響力のあるプロスポーツチームと連携し、試合会場などにおいて、感染症の正しい知識の普及と差別禁止を訴えるチラシ等を配布する啓発活動を行っているところであります。
引き続き、県民一人ひとりが、思いやりの心をもって適切な行動を取っていただけるよう、人権尊重意識の醸成にしっかりと取り組んでまいります。
次に、中小企業等への支援と県産品の販路拡大についてであります。
市町村との連携により、地域の需要創出や中小企業等の事業継続を支援する「地域企業活力向上応援事業」につきましては,プレミアム商品券の発行や家賃等固定費への支援など、44市町村が行う取組に対し、先月15日までに、総額約31億円の交付決定を行ったところであります。
また、県産品の販路拡大につきましては、ネット通販サイトPaypayモールに、都道府県として初めて、イバラキセンスがオープンしましたほか、生産者自らが農産物をPRするオンラインイベントの開催や、ネット販売企業とのオンライン商談会などにも取り組んでいるところであります。いばキラTVで実施した通販形式の番組では、県公認Vチューバー「茨ひより」が生配信で紹介した県産品が、県観光物産協会のお取り寄せサイトで通常の約10倍の販売実績を上げたところであり、今後も様々な手法を取り入れながら県産品のPRと販路拡大に努めてまいります。
一方、海外への販路拡大につきましては、来月からアメリカとシンガポールにおいて、現地のECサイトを活用した県産品の販売を開始しますとともに、来年1月には、世界各国の加工食品や酒などのバイヤーを対象とした、オンライン商談会を開催する予定としております。併せて、堅調な伸びが続く中食需要を獲得していくため、来年3月5日から14日にかけ、アメリカの日系スーパー内に茨城県産品コーナーを設け、常陸牛弁当や水産加工品等の販売を行ってまいります。
こうした取組を通じて、厳しい状況にある中小企業を支援するとともに、しっかりと地域経済を下支えしてまいります。
次に、観光需要の創出についてであります。
観光需要の回復による地域経済の活性化を目的とする「いばらき観光誘客推進事業」につきましては、4件の屋外型イベントの計画を採択し、現在、その第1弾として、つくば霞ヶ浦りんりんロード周辺で、サイクルイベントが開催されております。
来月以降開催予定の鹿嶋市、水戸市、笠間市においても、今後の感染状況を注視しながら、新しい生活様式に沿ったイベントとなるよう開催準備を進めてまいります。
また、ウィズコロナ時代の新たな観光資源としてPRしております「キャンプ」につきましては、いばキラTVにおける著名人を活用した動画の配信やポータルサイトの開設、ソロキャンパーを対象としたモニターイベントの開催などに取り組んでいるところであります。その結果、比較的予約の少ない秋・冬キャンプの予約数が伸びるなど、一定の成果も出ていることから、引き続き、キャンプ場の利用環境の充実を支援するなど、施策展開を図ってまいります。
本県を訪れる観光客の皆様には、感染症対策をしっかりとっていただくよう促しながら、こうした取組を通じ、観光需要を創出することにより、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。
次に、県北地域の振興についてであります。
昨年10月の台風19号の影響により甚大な被害を受け、現在も一部不通となっておりますJR水郡線について、今月20日、JR東日本から運転再開時期の見通しを前倒しし、来年3月末までに全線運転再開する旨が発表されました。
一日も早い全線復旧を待ちわびる沿線地域にとりましては、待望の発表であり、県といたしましても、全線再開に向け、引き続きJRの取組を支援してまいります。
また、県北6市町の里山や観光地を巡るロングトレイルコースにつきましては、9月からボランティア団体である「県北ロングトレイル協力隊」の参加のもと、コースの下草刈りを行うイベントを開催するなど、着実に整備が進み、今年度内には、大子町の一部区間で開通する予定となっております。
来月には、親しみやすく県北地域に相応しいトレイルコースの名称とロゴデザインを決定するとともに、ウェブサイトやコース上に設置する道標の制作なども順次進めてまいります。
今後も地域の皆様とともに、日本有数の距離を誇るロングトレイルコースを目指し整備を進め、新しい滞在・体験型のツーリズムを推進してまいります。
次に、移住・二地域居住の推進についてであります。
コロナ禍において、テレワークやオンライン会議の導入による働き方改革が進む中、地方移住への関心がこれまで以上に高まっております。総務省が先月発表した9月の住民基本台帳人口移動報告では、東京都が3か月連続で転出超過となる一方、本県は、対前年同月比で東京都からの転入者が多い上位10自治体の中で増加率がトップとなるなど、人の流れに変化が生じてきております。
こうした流れをさらに本県に呼び込むため、先月から、市町村の移住支援制度や空き家情報、コワーキングスペースなどの情報を発信するポータルサイトを開設するとともに、オンラインでのイベント開催を通じて、仕事を変えずに本県で暮らすライフスタイルの提案などに取り組んでいるところであります。
今後も、この機をチャンスと捉え、変化するニーズをしっかり把握しながら、首都圏との近接性や住環境の良さといった本県の優位性を、積極的かつ効果的にPRすることにより、本県への移住を促進してまいります。
次に、アクアワールド茨城県大洗水族館のリニューアルについてであります。
大洗水族館につきましては、本県における主要な観光拠点としての魅力をさらに向上させるため、平成14年の開館以来初となる大規模な改修工事を経て、来月18日に、リニューアルオープンすることとなりました。
リニューアルでは「夜の水族館の魅力向上」をメインテーマに、カップルや女子旅などのグループ旅行をはじめ、あらゆる年齢層が楽しんでいただけるよう、幻想的なクラゲの大水槽の新設のほか、「音と光」を用いた新感覚のイルカショーの開催など、コンテンツの充実強化を図ったところであります。
今後も、令和3年度末の開館20周年に向けて、誘客効果の高い取組を進めてまいります。
次に、茨城空港の利用促進についてであります。
茨城空港につきましては、国内線が、6月中旬以降、順次運航を再開し、現在は、札幌、神戸、福岡、那覇全ての路線で運航を再開しております。また、フジドリームエアラインズが、来年1月に、久米島・下地島及び広島へ、2月には奄美大島・石垣島へのチャーター便を運航する予定となっております。
一方、国際線は運休が続いておりますが、国際的な観光交流の再開を見据えて、空港の燃料供給体制の強化に取り組むことといたしました。
今後も、新型コロナウイルスの感染対策を徹底しながら、茨城空港の利用促進に取り組んでまいります。
次に、次世代を担う優れた「人財」の育成についてであります。
高校生等のアントレプレナーシップ・起業家精神の育成を目的に実施している「IBARAKIドリーム・パス事業」について、今年度は、昨年度を大幅に上回る38校、104チームから農業支援ロボットのシステム開発などの提案がありました。現在、アイディアの独自性などの観点から選定された16チームが企画の実現に向けた活動をしており、来年3月にはその成果を発表するプレゼンテーション大会を開催することとしております。
県といたしましては、大会出場チームに対し、企業や行政機関とマッチングする場を提供するなど、活動の継続に向けた支援を行い、自ら率先して課題解決に向けて行動できる子どもたちの育成に努めてまいります。
また、新たな発想に基づく学校のマネジメントと「人財」の育成のため、来年度開校予定の中高一貫教育校3校について、今月27日まで校長の公募を実施しております。公募を通じて、優れたリーダーシップと組織マネジメント能力等を有する人材を確保してまいります。
次に、S高等学校の開校についてであります。
先月15日、学校法人角川ドワンゴ学園から、令和3年4月につくば市に広域通信制高等学校であるS高等学校を開校することが発表されました。スクーリングにより全国から多くの生徒が本県を訪れ、地域や産業の活性化などが期待されることから、私自ら積極的に誘致を進めてきたところであります。
現在、S高等学校の最先端のコンテンツの活用や生徒同士の交流など、県立高等学校等との連携に向けた検討を始めているところであり、今後、S高等学校が行う生徒の主体性を引き出す革新的な教育を取り入れながら、魅力ある教育環境づくりを推進してまいります。
次に、デジタル化の推進についてであります。
人口減少が進む中、限られた職員数でこれまで以上に効率的に業務を進め、県民サービスの一層の向上を図るためには、デジタル化は避けて通れない課題であると考えております。
このため、私は、知事就任以来、電子決裁率100%の達成やRPAの導入、行政手続きの電子化など県庁業務のデジタル化に積極的に取り組んできたところであります。先月末には、庁内の内部事務に係る押印をすべて廃止いたしましたが、年内には県で見直しが可能な申請・届出等の業務について原則電子化し、押印も廃止する方針であります。
こうした取組が評価され、今月、専門情報誌が特集した都道府県別の「電子化推進度ランキング」において、本県が47都道府県の中でトップになったところであります。
なお、国の法令等が障壁になっている押印の廃止などについては、電子契約や電子署名の導入促進と併せて、関係法令等の改正を国に要望しているところであり、スピード感を持って取り組んでいただけるものと期待しております。
今後も、国と課題を共有しながら、行政のデジタル化を率先して実現し、社会全体の働き方改革や生産性の向上につなげてまいります。
次に、健康長寿日本一に向けた取組であります。
本県は生活習慣病による死亡率が全国に比べて高く、その要因の一つである塩分摂取量も全国平均より多くなっております。
このため、減塩であっても料理は美味しくできることを県民の皆様に知っていただくとともに、日頃から減塩を意識していただけるよう、今月から毎月20日を減塩の日「いばらき美味しおDay」として定めました。この「いばらき美味しおDay」では県内のスーパーと連携し普及啓発イベント等を実施するほか、都道府県では初となる減塩メニューを提供する飲食店等の指定制度を創設することなどにより、県民への減塩の意識付けを徹底し、健康長寿日本一を目指してまいります。
最後に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの4件、条例その他38件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、国における予備費の執行を踏まえた感染拡大防止対策や、デジタルトランスフォーメーションの推進等を含めた新型コロナウイルスと共生する社会づくりに向けた施策のほか、勤務医の働き方改革の推進などの政策課題に早急に対応するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。
この結果、今回の一般会計補正予算の総額は447億81百万円となり、補正後の一般会計予算総額は、1兆3,864億76百万円となります。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
感染症予防医療法施行事業325億26百万円
高等学校特別教室・体育館空調整備事業32億6千万円
県立学校における避難所機能拡充関連事業23億15百万円
感染症入院受入医療機関臨時支援事業17億24百万円
地域医療勤務環境改善体制整備事業4億37百万円
DXイノベーション推進プロジェクト事業3億円
予備費10億円
などであります。
財源としましては、国庫支出金等を活用いたしますとともに、所要の一般財源20億42百万円につきましては、一般財源基金からの繰入金を充当することといたしました。
また、債務負担行為は、公の施設の管理運営に関するものでありまして、一般会計21件、企業会計3件であります。
条例は、改正するもの7件、廃止するもの1件、合わせて8件であります。改正する条例は、「茨城県産業活動の活性化及び雇用機会の創出のための県税の特別措置に関する条例の一部を改正する条例」などであり、廃止するものは、「茨城県復興産業集積区域における県税の特別措置に関する条例を廃止する条例」であります。
条例以外の議案としては30件で、「指定管理者の指定について」などであります。
次に、報告は1件で、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等により御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
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