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更新日:2020年2月27日
令和2年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。
昨年は、G20の貿易・デジタル経済大臣会合が開催され世界に向けて本県の魅力をアピールし、また、天皇陛下が即位されて初めてとなる国体において45年ぶりに天皇杯・皇后杯を獲得するなど、平成から令和へ、新しい時代の幕開けにふさわしい話題に恵まれました。
その一方で、大型台風が相次いで発生し、本県にも甚大な被害をもたらしました。令和元年東日本台風等による被災から間もなく5か月が経とうとしておりますが、県といたしましては、先の臨時会において議決いただいた補正予算による各種支援策の実施を通じ、引き続き、被災者の方々の生活再建や経営再建をしっかりと支援してまいります。また、道路や河川などの公共土木施設の本格的な復旧工事を進めるとともに、来年夏頃に全線再開の見通しが示された水郡線の一日も早い復旧を今後ともJR東日本に働きかけてまいります。
昨年末に中国で発生した新型コロナウイルス感染症は世界各国に広がっており、現在もなお終息する見通しが立たない状況にあります。中国政府が海外への団体旅行を禁止したことにより、茨城空港においても全ての中国便が来月28日まで運休となるなどの影響が出ており、世界経済全体に及ぼす影響が懸念されております。
国内の複数地域での患者発生を受け、大規模な感染拡大を防ぐべく、国は今月25日に対策の基本方針を策定したところであります。現在、県内において患者の発生はございませんが、日々刻々と変わる状況を迅速かつ的確に把握し、県民への情報提供や相談対応、予防対策の徹底を図ってまいります。また、患者の集団発生時に備え、関係機関と連携し様々なシミュレーションを行い、帰国者・接触者外来や入院病床の確保などの体制整備に努めるなど、県民の健康・安全の保持に全力を尽くしてまいります。
さて、本年は、次世代の通信規格「5G」の商用サービスが国内で始まり、IT技術で新たな価値を生み出す、いわゆるデジタルトランスフォーメーション元年とも言われております。経済のグローバル化やデジタル化が進み、これまでの資本主義が前提としてきた、大量生産、大量雇用のシステムを維持することが難しくなってきており、AIやロボットが制御する省力化経済の社会においては、いかに知識やデータを駆使し、生産性を引き上げてイノベーションを起こすことができるかが成長の鍵となります。
こうした中、春闘においては、高度経済成長期に定着した新卒一括採用、終身雇用、年功型賃金を主な特徴とする日本型雇用システムの見直しが議論されるなど、経済界も大きな転換期を迎えております。
昨年末に発表された令和元年の人口動態統計の年間推計によりますと、我が国で出生した日本人の出生数は初めて90万人割れとなり、国の推計より2年早いペースで減少が進んでおり、深刻化する少子化と人口減少に歯止めがかかっていない状況があらためて浮き彫りとなりました。
国を挙げての一大イベントである東京オリンピック・パラリンピックは経済的に浮揚する絶好の機会ではありますが、同時に、オリンピック後を見据え、人口減少社会という現実を直視しなければなりません。政府においては全世代型社会保障制度を目指し改革に着手しました。次世代へ持続可能な社会を引き継ぐため、あらゆるシステムが変革を迫られています。これからの茨城県が大きく発展していくためには、これまでの常識にとらわれず、新たな発想で果敢に挑戦していくことが求められているのであります。
私はこれまで、人口減少や少子高齢化、グローバル化の進展などにより、社会情勢が急速に変化する中、茨城も今変わらなければ未来に希望はない、との強い危機意識を持ち、「挑戦」、「スピード感」、「選択と集中」を信条に、多くの取組みを進めてまいりました。
企業誘致につきましては、令和元年上期の工場立地動向調査によりますと、本県の工場立地件数、工場立地面積とも引き続き全国トップクラスの実績であり、私が知事に就任以来、特に力を入れて取り組んでおります成長分野などの本社機能等の移転につきましても、これまでに16社の移転計画を認定したところであります。
喫緊の課題である医師確保につきましては、最優先に取り組む医療機関・診療科の医師計16名を今年9月までに確保すると目標を明確化し、具体的な取組みを進めており、これまでに確保した常勤医師8名に加え、今年度内にさらに複数名を確保できる見通しであります。
茨城の未来を担う人財のアントレプレナーシップ育成を目的に、本年度から 「IBARAKIドリーム・パス事業」を実施しております。先月行われたプレゼンテーション大会では、地域の課題解決に取り組んだ実践活動やアプリ開発など、中高生による多くの素晴らしい発表があり、その姿に大変頼もしさを感じました。
戦略的なプロモーションを展開し、外国クルーズ船の誘致や茨城空港の新規路線誘致の推進などに重点的に取り組んできた結果、昨年4月に初の外国クルーズ船が常陸那珂港区に寄港し、茨城空港の昨年の利用者数は82万人を超え過去最高となりました。
このほか、偕楽園の有料化やパートナーシップ宣誓制度の導入、県北地域振興の起爆剤としてパンダの誘致に取り組むなど、前例にとらわれない施策にも挑戦を続けているところです。
「成果を出すためには何が一番重要であるのか、課題の本質を見極めた上で、いかに目標を設定し限られた資源をなすべきことに集中投下していくか」
私が知事に就任して2年半近くの間に、県政全体にこうした「選択と集中」のマインドが着実に浸透し、根付きつつあると感じております。また、「スピード感」についても、災害に対応した補正予算の編成や、CSF対策における予防的ワクチン接種の対象地域への本県の追加といった危機管理の面でも、県議会のご協力を得ながら遺憾なく発揮することができたと考えております。
今後、激しさを増す地域間競争に打ち勝ち、茨城が国内外から「選ばれる県」になるためには、県全体で生産性を高め、「稼ぐ力」を向上させていくことが、特に重要であります。
そのため、企業誘致において、成長分野の本社機能等の誘致を一層進めるとともに、新産業の育成や農林水産業の成長産業化といった「豊かさ」に関する政策について、これまで以上に知恵を絞り、充実・強化し、県内に活力を生み出してまいります。
また、県民がその「豊かさ」を享受し、社会保障、医療・福祉が充実した「安心安全」な生活環境のもと、一人ひとりにあった教育環境で未来を担う「人財」が育まれ、「夢・希望」に溢れ、「茨城県、ワクワクするよね」と感じていただけるような「新しい茨城」づくりを進めることで、本県にさらなる活力を生み出すという好循環をつくることが重要であります。
そのため、横並び意識や現状維持志向を打破し、これまでの常識にとらわれない、他との差別化を図ることができる新しいことに、今後も失敗を恐れず、積極果敢に挑戦してまいります。
今回提案する令和2年度当初予算は、これまでの取組みに更に磨きをかけ、政策を大きく前進させるための予算であります。「新しい豊かさ」、「新しい安心安全」、「新しい人財育成」、「新しい夢・希望」の4つのチャレンジをより一層推進するために、これまでの取組みの実績や効果について検証し、選択と集中を意識して必要な見直しを行うとともに、新たな課題にもスピード感をもって対応できるよう、取りまとめたものであります。
一般会計予算の総額は、1兆1,632億19百万円であり、元年度当初予算と比較して2.4パーセント、275億円の増、災害関連経費や地方消費税の税率改定による影響等を除いた比較では、1.3パーセント、136億円の増となっております。
歳入につきましては、県税収入が地方消費税の税率改定による増などを見込み、元年度当初予算に比べ、0.1パーセント、2億円増の3,867億円と見込んでおります。地方交付税は、地方財政計画を踏まえ、普通交付税の増により、2.1パーセント、38億円増の1,898億円と見込むとともに、臨時財政対策債は、6.9パーセント、38億円減の512億円を計上いたしました。
一方、歳出につきましては、一般行政費は、社会保障関係費の増などにより、元年度当初予算に比べ、0.2パーセント、8億円増の3,518億円となっております。公共事業費は、昨年の台風被害も踏まえ、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に歩調を合わせて必要な事業を行うこととし、特別会計及び企業会計を含む公共事業全体で0.7パーセント、9億円の増となる1,274億円を計上いたしました。
特別会計は13件で、総額5,655億27百万円、5.0パーセントの減、企業会計は6件で、総額1,101億37百万円、0.1パーセントの減となっております。
次に、令和2年度の主な施策について申し上げます。
第1は、新しい豊かさについてであります。
まず、質の高い雇用の創出についてであります。
若者が望む質の高い雇用の場をできる限り多く創出できるよう、引き続き、企業立地補助金や税制上の特例措置などを最大限活用するとともに、首都圏への近接性など本県の立地環境の優位性をPRし、積極的な企業誘致に取り組んでまいります。
一方、好調な立地を背景に圏央道沿線地域など利便性の高いエリアにおいて、企業に紹介できる産業用地が少なくなっておりますことから、昨年11月に立ち上げた「未来産業基盤強化プロジェクト」により、新たな産業用地の開発が推進されるよう、市町村の開発計画を積極的に支援してまいります。
外資系企業につきましては、先月経済産業大臣から認定された「スタートアップビザ制度」を活用し、外国人が本県で起業しやすい環境整備に努めるほか、招聘事業やインセンティブなどの施策を充実して誘致を促進してまいります。
なお、組織体制においても一層の強化を図る観点から、産業戦略部立地推進局を営業戦略部に移管するとともに、迅速な意思決定が図れるよう、正部長級の「立地推進担当部長」を新たに設置いたします。
次に、新産業育成と中小企業等への支援についてであります。
地域経済の発展や雇用拡大に意欲をもつ優秀な経営者を対象とした研究会を設置し、各界のトップリーダーを招聘した講義やディスカッションなどを行うことで、本県を牽引する次世代リーダーとして育成し、新規ビジネスへのチャレンジを促してまいります。
大手企業等に在籍する高度なスキルを持った人材と中小企業とのマッチング支援を、転職に加え、新たに副業・兼業等の多様な形態により実施し、県内中小企業における人材不足の解消を図ってまいります。
さらに、ビッグデータを分析し、ビジネスに活用可能な有益な情報を見つけ出すことのできる高度IT人材の育成や、サービス産業とIT企業のコンソーシアムによるモデル事業の実施など、ICT技術を活用したあらゆる産業における生産性の向上や新規ビジネスの創出を図ることで、本県産業の活性化、ひいては国内有数のIT先端拠点の構築を目指してまいります。
次に、強い農林水産業についてであります。
平成30年の農業産出額及び1戸当たりの所得額が前年と比べて減少する結果となりましたことは、市場依存度の高い品目や、小規模で副業的な農家の割合が高いという本県農業の構造的な問題をあらためて浮き彫りにするものであります。この結果を危機感を持って受け止め、付加価値や生産性の向上に取り組む経営者のため、これまで以上に知恵を絞って支援してまいります。
農林水産物のブランド力強化につきましては、梨の「恵水」と豚肉の「常陸の輝き」の二品目に特化した取組みを一層強化し、それぞれの特徴を生かした贈答品や究極のメニューの開発など、話題づくりによる認知度向上に取り組み、名実ともに誰もが認めるトップブランドに育成し、定着を図ってまいります。
常陸牛につきましては、繁殖雌牛の増頭や能力向上を支援し、高品質な子牛を増産することで、子牛から肥育まで一貫した常陸牛生産体制の構築と品質向上を推進するとともに、経営の規模拡大や法人化を積極的に進め、儲かる経営を実現してまいります。また、本年度実施している国内外のマーケティング調査結果を活用し、さらなる販路開拓に取り組んでいくことで、生産から流通・販売に至るまでの対策を一体的かつ戦略的に展開してまいります。
かんしょの生産拡大につきましては、昨年の9月補正予算を活用した荒廃農地等の再生支援に加え、新たに収穫機械や貯蔵庫などの整備を支援することで、本県産かんしょのシェアをさらに拡大し、市場を席巻するトップランナーとしての地位の確立を目指してまいります。
CSF対策につきましては、養豚農家の約9割で防護柵の整備が進んでおります。また、先月14日からは野生イノシシのCSF感染を防ぐための経口ワクチンの散布を、さらに、今月17日からは県内全ての飼育豚を対象としたワクチン接種を開始したところであります。これらの取組みにより、本県での CSF発生を未然に防止するとともに、万が一発生した際には、殺処分等の防疫措置を迅速に講じるべく、万全を期してまいります。
次に、女性活躍推進と働き方改革についてであります。
「女性が個性と能力を発揮し、あらゆる分野での活躍にチャレンジするための拠点」をコンセプトに、教育庁が所管する「女性プラザ」を県民生活環境部女性活躍・県民協働課「男女共同参画センター」に統合し、男女共同参画に係る業務について一元的に取り組む体制を整備いたします。このセンターを拠点に、県内の様々な分野で活躍している女性の活用や、次世代リーダーの育成に努めてまいります。
県内企業の働き方改革を促進するため、引き続き専門家によるコンサルティングや成果事例発表会、優良企業の認定制度を実施してまいります。県庁におきましても、テレワークや時差出勤など柔軟な働き方の推進や、ICT活用による業務効率化などに引き続き取り組み、職員がさらに力を発揮できるよう、より一層、職員の働き方改革を推進してまいります。
次に、かけがえのない自然環境の保全・再生についてであります。
霞ヶ浦の水質浄化のため、引き続き森林湖沼環境税を活用して生活排水対策に重点的に取り組むほか、循環型社会の構築や県民総ぐるみによる地球温暖化対策に取り組むことにより、持続可能な社会づくりを推進してまいります。
新たな産業廃棄物最終処分場の整備につきましては、外部有識者による検討委員会において整備の基本方針や自然条件、社会条件等に基づく整備可能地の検討を進め、今月17日に3箇所の整備可能地が選定されたところであります。
県といたしましては、今後最終候補地を決定し、選定先の自治体や住民の方々のご理解とご協力を得ながら、環境に十分配慮した処分場の整備を進めてまいります。
第2は、新しい安心安全についてであります。
まず、医療提供体制の充実・強化についてであります。
医師確保につきましては、最優先で確保すべき医療機関・診療科の目標医師数の今年9月までの確保を目指し、各医療機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。また、新たに海外医科大学卒業生の受入れに向けた取組みを進めるほか、今年度中に策定する医師確保計画に基づき、あらゆる手段を講じながら、医師の不足と偏在の解消を目指してまいります。
ICTを活用した遠隔医療は医師不足を補う有効な手段であることから、遠隔画像診断治療補助システムを、県北・県西・鹿行地域に加え、取手・竜ヶ崎地域等の中核的な医療機関にも導入を推進し、全県的な遠隔医療ネットワークの構築につなげてまいります。
次に、健康長寿日本一と福祉サービスの充実についてであります。
人生百年時代を見据え健康寿命の延伸を目指し、働く世代の健康増進と生活習慣病予防のため、経済団体や保険者との連携を図るとともに、県公式のスマートフォンアプリを活用した運動や健康な食生活の促進などに取り組み、引き続き県民総ぐるみの健康づくり運動を推進してまいります。
施設の老朽化が課題となっておりますあすなろの郷につきましては、最重度の障害のある方向けの入所施設や病院は県立施設として整備し、そのほかの施設には民間事業者の参画を図るとの再編方針のもと、来年度は民間施設用地の造成設計や事業者の公募等を実施してまいります。この再編整備を通じて、在宅障害者への支援をはじめ、本県の障害者福祉施策全般のさらなる向上につなげてまいります。
次に、災害に強い県土と安心して暮らせる社会についてであります。
近年における災害の多様化・激甚化を踏まえ、ハードとソフトの両面から災害に強い県土づくりを強化していかなければなりません。
昨年の東日本台風では、300人を超える方々が逃げ遅れ浸水した家屋等から救出されました。県では、個人ごとに災害時の行動計画を作成するマイ・タイムラインの作成支援を進めておりますが、それに加え、救助訓練等を中心としたこれまでの総合防災訓練を大幅に見直し、避難訓練とマイ・タイムラインの作成を組み合わせるなど、より実践的な内容を取り入れることで、県民の防災意識の向上と避難力の強化を図ってまいります。
また、今月4日には、避難所の要支援者に対して支援を行う、茨城県災害派遣福祉チーム「いばらきDWAT」の派遣について、福祉関係団体との間に協定を締結いたしました。これにより、避難所における要支援者の生活機能の低下や要介護度の重度化などの二次被害の防止に努めてまいります。
さらに、東日本台風からの復旧・復興のため、抜本的な河川改修を進めるべく、河川整備計画の見直しを進めており、先月31日には、久慈川及び那珂川について、国・県・市町村等が連携して治水対策を進める「緊急治水対策プロジェクト」が公表されたところであります。引き続き、関東・東北豪雨からの復興と併せ、総合的な防災・減災対策を進めてまいります。
東海第二発電所の再稼働につきましては、県民の安心・安全の確保が何よりも重要であることから、まずは、現在進めている県の原子力安全対策委員会による安全性の検証や、東海第二地域全体の避難計画である緊急時対応の策定に取り組み、その結果を県民の皆様に情報提供したうえで、再稼働に対する県民の皆様のご意見をしっかりと伺いながら慎重に判断してまいります。
来月2日に、つくば中央警察署とつくば北警察署を統合し「つくば警察署」を開署いたします。これにより、つくば市内の治安を総合的・一体的に維持していく体制を確立し、治安対策の強化を図ってまいります。
第3は、新しい「人財」育成についてであります。
まず、次世代を担う「人財」育成と魅力ある教育環境についてであります。
中高一貫教育校につきましては、新たな県立中学校5校が4月に開校いたします。生徒が1人1台の端末を持ち、遠隔教育システムを用いた探究活動や、国際教育、科学教育に重点を置いた教育活動を展開することにより、豊かな人間性と起業家精神を兼ね備えた、地域のリーダーや世界に飛び立つ人財を育成してまいります。
英語教育につきましては、外国語指導助手を増員し、中高一貫教育校をはじめ県立高校等9校に複数配置いたします。ディベート指導やマンツーマン、少人数での英会話レッスンなど、学校生活のあらゆる場面での活用を可能にすることで、英語での思考や議論のできるグローバル人財を育成してまいります。
次に、日本一、子どもを産み育てやすい県についてであります。
安心して結婚・出産・子育てができるよう、切れ目のない支援体制の構築などの環境づくりが求められております。昨年、消費税の税率引き上げに合わせて開始された国の幼児教育・保育の無償化制度の円滑な実施や、待機児童の解消に向けた保育の受け皿確保に引き続き努めてまいります。
近年増加している児童虐待相談に迅速に対応するため、中央児童相談所の内部組織である2つの児童分室を日立児童相談所及び鉾田児童相談所として独立させ、児童の一時保護など現場での迅速な意思決定ができる体制を整備いたします。また、里親リクルートや研修、里親家庭への訪問支援等を強化するなど里親委託を推進し、要保護児童の家庭養育環境の整備を図ってまいります。
次に、学び・文化・スポーツ・遊びを楽しむ茨城についてであります。
国体・全国障害者スポーツ大会のレガシーを、本県における今後のスポーツ振興に活用するため、県民生活環境部に「スポーツ推進課」を新設いたします。また、世界で活躍するトップアスリートを輩出するためのジュニアアスリートの育成システムの構築を図ってまいります。
昨年10月に全国で初めて開催した全国都道府県対抗eスポーツ選手権の開催実績や話題性を活かし、産学官が連携しeスポーツに取り組む土壌づくりを進めるほか、ビジネスや地域づくりなどにおいてeスポーツの活用を担う人材の育成を図ることで、「eスポーツの拠点・茨城」のブランド化を進めてまいります。
次に、人権を尊重し、多様性を認め合う社会についてであります。
いじめ対策につきましては、本年4月1日に施行となる「茨城県いじめの根絶を目指す条例」を踏まえ、スクールカウンセラー、スクールロイヤーなど外部人材のさらなる活用に努めるとともに、LINE等のSNSを活用した相談窓口の開設期間を、夏休み明け前後40日から他の長期休業明け前後にも拡充し100日とするなど、相談体制の充実を図り、いじめの未然防止や早期対応を強化してまいります。
第4は、新しい夢・希望についてであります。
まず、魅力度No.1プロジェクトについてであります。
観光誘客や県産品のブランド化の取組みを一層推進するため、インターネットを活用した集中的なターゲティング広告や県公認Vtuber「茨ひより」の海外イベントへの出展など、新たな手法を取り入れながら、国内外に向けて、本県の魅力を戦略的に発信してまいります。
また、県アンテナショップ「イバラキセンス」につきましては、市町村や生産者団体等による試食販売イベントの実施、品ぞろえや飲食メニューの充実等により店舗のにぎわいを創出し、首都圏におけるPR拠点及びマーケティングの場として、引き続きしっかりと機能させてまいります。
次に、「世界に飛躍する茨城へ」についてであります。
国内市場が縮小する中、新たな市場を海外に求めていくことは、これからの県勢発展には欠かすことができません。引き続き、海外における県産品のトップセールスやプロモーション、県産品フェアなどの取組みに加え、国の輸出向け施設整備事業の活用などによる生産基盤の強化など、さらなる県産品の輸出拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
ジェトロとの連携により中小企業等のグローバル展開を強力に支援し、事業者の目線に立った産業振興に取り組む、新たな産業支援機関を設立いたします。
大学や研究機関等が集積する本県の強みを活かし、世界的に展開しているイノベーション・コミュニティである「ベンチャー・カフェ」を誘致し、起業家や研究者など多様な人材が交流する場を継続的に設けることで、茨城発のスタートアップの創業・成長につながる環境づくりを図ってまいります。
今月24日、県の支援により、商業ベースでは国内初となる小型ロケットの洋上打上げが茨城県沖で行われるなど、宇宙ビジネスにおける本県の取組みが目に見える形になってまいりました。引き続き、本県の科学技術の集積を活かし、宇宙ビジネスに取り組む拠点形成に取り組んでまいります。
次に、ビジット茨城についてであります。
観光振興につきましては、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたインバウンドの積極的な呼び込みをはじめとして、食資源や体験型コンテンツといった観光資源の磨き上げや「稼げる観光地域づくり」に引き続き取り組んでまいります。
昨年11月から有料化した偕楽園におきましては、今月15日から第124回水戸の梅まつりが開催されており、県内外から多くのお客様に早春を楽しんでいただいております。今回は有料化後初めての開催であり、新たな取組みとして、人力車の運行のほか、周遊観光のためのシェアサイクルなどを実施しているところであります。今後は、歴史的な景観の復元やアクセス向上、集客拠点の誘致などにも取り組み、偕楽園が日本を代表する観光拠点となるよう、さらなる魅力向上を図ってまいります。
ひたちなか大洗リゾート構想の中核施設の一つであるアクアワールド茨城県大洗水族館につきまして、サメの飼育種類数が日本一という強みを生かし、抜群の集客力があるジンベエザメを生涯飼育・展示できる新たな施設の整備を進めてまいります。
県フラワーパークにつきましては、「見るから感じるフラワーパーク」をコンセプトに、年間を通じて食や体験も存分に楽しめる新たな花の聖地として、来年のゴールデンウィーク前のリニューアルオープンを目指し改修工事等を進めてまいります。また、昭和56年に開園した県植物園及び隣接する県民の森につきましても、新たな観光拠点として一新するため、民間のアイデアを活用した魅力向上策を検討してまいります。
ホテル等の誘致につきましては、「宿泊施設立地促進事業」の第1号として認定した「BEB5土浦」が、つくば霞ヶ浦りんりんロードの新たな中核施設として、来月19日のオープンを予定しております。ナショナルサイクルルートの指定を受け、盛り上がりを見せる沿線地域のサイクルツーリズムの流れを一段と加速させるものと期待しております。今後も、コンサルティング支援による既存宿泊施設の魅力向上を図りつつ、観光地の顔となるような新たな宿泊施設の誘致に引き続き取り組んでまいります。
次に、東京オリンピック・パラリンピックの成功についてであります。
本年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。来月からは聖火リレーが福島県を皮切りにスタートいたします。
今後ますます高まる県民の大会への期待に応えられるよう、県といたしましては、茨城カシマスタジアムでのサッカー競技の開催に向けて、都市ボランティアの運営や交通輸送対策などに万全を期してまいります。また、聖火リレーや大会と同時に実施する公式イベントの準備、事前キャンプの受入環境整備など、市町村や関係団体等と連携し、大会成功に向けた取組みを進めてまいります。
次に、活力を生むインフラと住み続けたくなるまちづくりについてであります。
県内の高速道路につきましては、東関道水戸線の未開通区間である潮来インターチェンジから鉾田インターチェンジ間の整備が進められるとともに、暫定2車線で供用中の圏央道は、令和6年度の完成を目標に4車線化事業が進められております。高速道路ネットワークの完成により、観光振興や産業の活性化、災害時の緊急輸送道路の強化などが期待されることから、引き続き、国等に整備推進を働きかけてまいります。
港湾事業につきましては、茨城港常陸那珂港区の中央ふ頭地区において、2バース目となる水深12m岸壁の整備を来年度内の完成に向け進めるとともに、鹿島港における防波堤の整備を進めるなど、港湾機能の強化に努めてまいります。また、荷主企業や船会社への補助制度などを効果的に活用し、新たな貨物の集荷や航路の拡充に取り組んでまいります。
茨城空港につきましては、来月で開港から10年の節目を迎え、開港10周年を記念して、日本航空によるハワイチャーター便の運航も計画されております。引き続き、北関東の空の玄関口として、路線の誘致と需要の掘り起こしに努めるとともに、空港から県内主要都市へのアクセスバスに支援することで、空港利用者の県内周遊、宿泊につなげてまいります。併せて、政策企画部空港対策課を営業戦略部に移管し、観光・インバウンド業務との一体化を進めてまいります。
県北地域の振興につきましては、まず、電気・機械産業が集積する強みを活かし、医療機器や宇宙機器等の分野における企業連携体の販路開拓や、高度人材の確保等の取組みを支援することにより、産業競争力の活性化を図ってまいります。また、自然や文化遺産などの多様な地域資源をハイキング道等でつなぐロングトレイルコースの整備を進めるとともに、奥久慈里山ヒルクライムルートを活用したサイクルツーリズムなど、新しい滞在・体験型のツーリズムを推進してまいります。さらに、市民有志による応援団体が設立され地元機運の高まるパンダ誘致など、引き続き様々な分野における施策を部局横断的に展開し、しっかりと取り組んでまいります。
次に、条例その他について申し上げます。条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの27件、合わせて28件であります。
新たに制定する条例は「茨城県知事等の損害賠償責任の一部の免責に関する条例」であり、一部改正を行うものといたしましては、組織改正に係る「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。条例以外の議案といたしましては3件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。
以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。
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