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更新日:2020年7月28日
令和2年7月臨時会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症は、依然として感染拡大の勢いが衰えず、世界での感染者数は1,600万人を超えております。
国内においては、5月25日に全国の緊急事態宣言が解除されて以降、新規感染者数は低い水準で推移しておりましたが、6月下旬から、東京などの都市部を中心に再び増加する事態となり、今月23日には過去最多を更新する状況になっております。
本県では、5月6日以降、45日連続で新規感染者が確認されておりませんでしたが、都内での感染が疑われる事例が増加したことなどにより、昨日時点で、直近1か月の新規感染者数は72名となり、感染者数の累計も244名にのぼるなど、予断を許さない状況となっております。
こうした中、県におきましては、本県の緊急事態宣言が解除されて以降、独自の対策指針「茨城版コロナNext」に基づき、外出自粛や休業要請などの対策を段階的に緩和する一方で、ウイルスとの共生を前提とした感染防止対策と社会経済活動の両立といった新たな道を模索するため、様々な観点から、これまでの対策の検証を行ってまいりました。
その結果、今月3日、今後の第2波に備え、「茨城版コロナNext」を改定し、県民の不安感の増大とクラスター発生による医療の負担増を防ぐため、検査体制を大幅に拡充するとともに、社会経済活動について、過度な萎縮を招き、社会的、経済的な副作用が大きい一律の行動制限を回避し、ピンポイントでより効果的な対策へと方針を転換することといたしました。
まず、検査体制の拡充につきましては、検査能力を大幅に拡大していくとともに、濃厚接触者や症状の有無に関わらず、感染の可能性のある幅広い範囲の方を対象に速やかに検査を行うことといたしました。
具体的には、現在、民間検査機関などの活用により1日あたり500件程度の検査能力を有しておりますが、今後、抗原検査や唾液によるPCR検査を積極的に導入しながら、来月末には700件、9月末には1,100件程度の検査が可能となる体制へと大幅に拡大してまいります。
また、現在6か所で運用を開始している「地域外来・検査センター」につきましても、県医師会にご協力いただきながら、来月末には10か所、9月末には15か所で開設できるよう進めてまいります。
次に、社会経済活動との両立につきましては、ピンポイントでより効果的な対策を講じるという方針に基づき、店舗や個別施設などの感染防止対策ガイドラインへの取組状況を可視化し、県民の皆様が安心して利用できるシステムとして「いばらきアマビエちゃん」を導入したところであります。このシステムにより、店舗や個別施設等で取り組んでいる感染対策を分かり易く掲示できる宣誓書の発行を進めていくとともに、仮に感染者が発生した場合には、感染者と接触した可能性のある方にメールで注意喚起を行うことで、感染拡大の防止を図ってまいります。
現在、市町村や商工会・商工会議所など関係団体にもご協力いただき、約6、300事業所に登録いただいておりますが、今後も、私自ら普及活動の先頭に立って、制度の利用促進を図っていくとともに、条例による登録の義務化など様々な観点から普及促進のための研究を進めてまいります。
なお、東京都の感染拡大に伴い、「茨城版コロナNext」の判断指標の1つである都内の経路不明陽性者数がステージ4となったことから、現在、東京都への不要不急の移動・滞在の自粛をお願いしております。
今後もウイルスとの共生を前提に、これまでの対策から学んだ知識や経験、新しい生活様式のもと、急速に進化するデジタル技術などを十分に活用しながら、より効果的な対策を講じ、感染防止対策と社会経済活動の両立という新たな道に挑戦してまいります。
次に、医療提供体制の整備についてであります。
医療提供体制につきましては、国から示された新たな流行シナリオをもとに、ピーク時に必要な入院病床として500床を確保したところであります。病床の稼働状況に応じて、受け入れ規模を現在の160床からピーク時の500床まで段階的に引き上げ、速やかに受け入れできるよう準備してまいります。
また、軽症者向けの療養施設につきましては、現在受け入れ規模を34室に縮小しておりますが、宿泊事業者との調整により、感染拡大時には、受け入れ規模を段階的に引き上げ、ピーク時には300室程度を確保してまいります。
さらに、医療用物資につきましては、各資材とも2か月分を超える量を確保しておりますが、今後の感染拡大に備えて改めて必要量の見直しを行い、国や民間企業などからの協力もいただきながら、引き続き、十分な量の確保に努めてまいります。
次に、医療機関及び医療従事者等に対する支援についてであります。
今回提出した補正予算案では、国の交付金を活用し、重点医療機関等の空床補償などを拡充し、必要病床の確保や経営支援を行うとともに、医療機関や介護・障害者福祉施設等において、患者や利用者と接する業務に従事した職員等に対する慰労金を給付してまいります。
また、4月から寄附の募集を開始した県独自の医療従事者応援金につきましては、これまでに約1億9,400万円の申込をいただき、24の医療機関に交付し、活用いただいております。
引き続き、最前線で治療等にあたっている医療機関や強い使命感を持って業務に従事している方々をしっかりと支援してまいります。
次に、県立学校等における対応についてであります。
先月8日から、県立学校等の通常授業を再開しておりますが、今回改定した「茨城版コロナNext」におきましても、子どもたちが安全かつ安心して学校生活を送ることができるよう、授業や部活動、給食の提供などの際には、県が示した感染防止対策に関するガイドラインの遵守を徹底し、原則通常どおりの教育活動を行うこととしております。
学校で感染者が出た際の対応といたしましては、消毒のための休業に加え、濃厚接触者であるかどうかに関わらず、幅広い範囲で迅速に検査を実施することにより、感染拡大の防止を徹底してまいります。
今後も、感染防止対策の徹底やSNS相談等による心のケアの充実などに取り組んでまいりますとともに、ICTを活用したオンライン教育の充実や、従来の知識習得を重視した学びから課題解決を重視した学びのスタイルへの改革を推進するため、1人1台端末など教育環境を整備するGIGAスクール構想の実現に向けた取組みを早急に進めてまいります。
次に、県内産業への支援についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した中小企業・個人事業主向けの融資は、今月中旬までに約15,000件、2,800億円を超える資金需要に対応しているところであり、県内経済は、依然として先が見通せず、厳しい状況におかれております。
こうした状況を踏まえ、今回提出した補正予算案におきましては、市町村との連携により、地域企業の活力向上に向けた需要創出や家賃を含む固定費の支援により事業継続を下支えしてまいります。
また、新しい生活様式に対応した新たな事業展開などに取り組む事業者を支援するため、利子および信用保証料を助成する融資制度を創設するとともに、従業員のスキルアップ研修など企業の人材育成を支援してまいります。
雇用情勢につきましては、今月17日時点で、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇や雇い止めが見込まれる労働者の数が、全国で約3万7千人に迫り、本県でも500人を超えるなど、悪化が続いております。
先月には、県内6か所の就職支援センターの相談員を増員し、職業紹介や生活相談、労働相談にワンストップで対応できる支援体制を整備したところでありますが、引き続き、仕事を失った方の早期就職の支援などに努め、しっかりと雇用の確保を図ってまいります。
次に、観光需要と県産品の消費回復についてであります。
夏休み期間中の観光需要の取り込みに向け、今月17日から、県民の方を対象に、県内宿泊施設の宿泊割引プランに、1人1泊あたり最大5千円を補助する「いばらき応援割」を開始いたしました。事業実施に当たっては、参加する宿泊事業者に「いばらきアマビエちゃん」の登録を義務づけたところであり、しっかりとした感染防止対策を講じたうえで、国の「GoToトラベル」事業も活用し、観光誘客に取り組んでまいります。
また、本県の多様な自然環境や3密を避けた安心安全な観光スタイルを全国にアピールするため、大手キャンプ場予約サイトと連携した県内キャンプ場の情報発信やキャンプイベントの開催などを進めてまいります。
さらに、今回提出した補正予算案において、民間事業者等と連携し、地域経済の活性化を図るための新たな集客コンテンツとなる大型イベントの誘致経費を計上いたしましたので、各観光地域のイメージアップにつながるよう戦略的に事業を展開し、本県への誘客促進を図ってまいります。
県産品の消費回復につきましては、県観光物産協会の「県産品お取り寄せサイト」において、販売手数料を免除するなど事業者支援を強化しながら、2割引で販売するキャンペーンを実施しているところであります。
また、東京銀座のアンテナショップ「イバラキセンス」におきましては、先月1日から、感染防止対策を十分に講じたうえで、物販部門、飲食部門と、順次営業を再開いたしました。今月4日からは新たに、夏の大型イベントなどで全国的に知名度の高いメロンスイーツの販売を開始したところであります。
今後とも、感染状況を注視しながら、メディアやネット販売、アンテナショップなどを効果的に活用することにより、本県の観光や県産品の魅力を積極的に発信し、需要の回復に努めてまいります。
次に、茨城空港の利用促進についてであります。
国内線につきましては、先月12日から福岡便が、19日からは札幌便、神戸便、那覇便が、1日1往復の運航を再開しております。また、お盆期間中は、国内線の全ての便が、減便前と同じ便数で運航再開されることとなりました。
県におきましては、運航再開に合わせ、サーモグラフィーによる旅客の体温確認などの安全対策を講じるとともに、県内への誘客促進のため、空港からのレンタカー利用に係る割引制度の充実などにより、引き続き全面的な運航再開に向けた取組みを進めてまいります。
次に、台風・豪雨被害を踏まえた災害対応についてであります。
まず、このたびの令和2年7月豪雨災害により犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
県では、今回の豪雨災害や昨年の令和元年東日本台風で、逃げ遅れによる人的被害が発生したことを踏まえ、市町村と連携し、消防団の戸別訪問等により住民へのハザードマップの理解や危険度の認識を徹底するとともに、個人の防災行動計画であるマイ・タイムラインの作成を促進しているところであります。
今後とも、県民の皆様が、ご自宅の災害危険度を十分に理解され、適切な避難行動に繋げられるよう取り組んでまいります。
また、避難所での新型コロナウイルス感染の防止につきましては、感染防止対策を盛り込んだ避難所運営の留意事項を取りまとめ、市町村に対し、避難所の開設や運営のシミュレーションの実施を働きかけているところであります。
今月10日には、常陸大宮市が県と合同で感染防止対策を踏まえた避難所開設や運営訓練を実施するなど、多くの市町村で事前シミュレーションが実施されております。引き続き、市町村と連携し、感染防止対策を踏まえた災害対応に万全を期してまいります。
次に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、感染防止対策と県内経済の回復についての取組みを加速するため、感染拡大防止策と医療提供体制の整備、県民生活や県内産業への支援などを行うこととしております。
今回の補正予算の総額は459億47百万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は、1兆3,221億43百万円となります。
歳出の主なものについて申し上げますと、
生活福祉資金貸付原資等助成事業126億44百万円
感染症予防医療法施行事業83億34百万円
医療従事者慰労金交付事業60億79百万円
介護サービス事業所・施設等職員慰労金交付事業55億41百万円
地域企業活力向上応援事業34億円
中小企業融資資金貸付金13億34百万円
などであります。
財源といたしましては、国庫支出金等を活用いたしますとともに、所要の一般財源7百万円につきましては、一般財源基金からの繰入金を充当することといたしました。
また、債務負担行為は、変更2件であります。
次に、報告は1件で、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等により御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
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