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私たちが住む地球上には、動物や植物そして微生物など多種多様な生き物が湖沼や森林など様々な環境で生息しており、その数は1千万種を超えるとも言われています。
それらの生物は、互いに影響を与え合いながら生きています。また、その相互作用がなければ、生物は生きていくことはできません。
このように、多種多様な生物がこの地球の中で共存していることを生物多様性と言います。
では、生物多様性とはどのようなことか、もう少し詳しく説明します。
生物多様性には,次の3つの多様性があります。
まず1つ目は,生態系の多様性です。
地球上には,湖沼や川,海洋,サンゴ礁,森林,草原など,その場所の気候や地形によって様々なタイプの生態系が存在します。
大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を供給する森林生態系や水を浄化する湿地生態系など,生態系は,様々な機能を持っています。それら様々な生態系の機能が融合し,地域あるいは地球全体の環境が維持されると考えられています。これを生態系の多様性といいます。
2つ目は種の多様性です。
それぞれの生態系を構成し,その機能を維持しているのは様々な生物の種です。
ある生態系における生物種の数の大小を種の多様性といいます。生態系において生物種の数が多くなる,すなわち種の多様性が高くなればなるほど,その食物網は複雑になり,エネルギー転換や物質循環のルートが多くなります。
そうすると,環境の変動や人為的な撹乱によって生物種の一部が減少しても,生態系全体の機能は大きく損なわれずに維持され,やがて元の状態に復帰することができます。このように,種の多様性が大きければ生態系の柔軟性と抵抗力が高まると考えられます。
最後は種内における遺伝的多様性です。
これは,同じ種内での個体の遺伝的な変異のことをいいます。ある生物種の集団(個体群)にとって,その集団内に様々な遺伝子型の個体がいる方が,環境の変化に対して多様な反応(環境変化への対応,その種の進化など)を示すことができます。
このように,種内や集団内に様々な遺伝子を持っている状態を遺伝的多様性といいます。