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更新日:2024年8月24日
茨城県南部の沿岸域は鹿島灘と呼ばれ、その海岸線は約70キロメートルに及びます。鹿島灘の浅海砂浜域では貝桁漁業が営まれ、鹿島灘はまぐり(標準和名:チョウセンハマグリ)やホッキガイ(標準和名:ウバガイ)などの二枚貝類が水揚されています。
とくに鹿島灘はまぐりは市場価値が高く、鹿島灘の重要な水産生物となっています。
大切な資源を持続的に利用するため、鹿島灘の二枚貝類を対象とした漁業では、昭和40年代から資源管理型漁業が行われてきました。また、鹿島灘はまぐりを増やすため、人工種苗の放流にも取り組んでいます。
定着性資源部では、鹿島灘はまぐり・ホッキガイの資源変動を把握するため、調査船を用いた貝桁網による調査や、砂浜海岸における分布調査などを行っています。
これらの調査から、推定資源量や毎年の発生量水準を把握し、資源管理に役立てています。
そのほか、鹿島灘はまぐりの資源変動要因を検討するため、初期生活史や詳細な分布生態を明らかにする研究などを行っています。
茨城県大洗以北の海岸は磯場が多く、アラメやワカメの海藻が繁茂する藻場が形成されています。その藻場はアワビ(エゾアワビ)やウニ(キタムラサキウニ)をはじめとする磯根資源に恵まれており、夏場を中心に各地で採貝採藻漁業が行われ、アワビ、ウニ、イワガキ、ワカメなどが水揚げされています。
その中でも主力であるアワビ漁業は年間20~30トンの水揚げがあります。これまで資源の増大を図るため、昭和20年代からは北海道(奥尻)や三陸産のアワビ稚貝の移植放流が、昭和43年からは「栽培漁業」として自県で生産した稚貝の放流が行われてきました。その結果現在は、水揚げされるアワビの半分程度は放流した稚貝由来の貝であり、稚貝の放流によってアワビ漁業が支えられていることがわかります。
定着性資源部では、スクーバ潜水によるアワビや海藻の採集、海底のビデオ撮影、市場に水揚げされたアワビの測定などの調査を行っています。この調査では、アワビのサイズや、混入率(水揚げに対する放流ものの割合)の測定を行い、漁場利用、資源管理に役立てています。また、現在残っている藻場がこれ以上減少しないよう、藻場のモニタリングや造成手法の検討なども行っています。
茨城県海域は、陸棚(陸地から連なる水深180m以浅の海底)が発達していることと、親潮系冷水(寒流)と黒潮系暖水(暖流)が交わることによって、豊かな漁場となっています。その漁場には、ヒラメやキアンコウに代表される多くの底魚類が生息しており、底びき網や刺し網などこれらの魚種を対象とした漁業が盛んに行われています。
こうして水揚された「いばらきの底魚類」は「常磐もの」として、市場では高く評価されています。
しかし、本県産底魚類資源は、海洋環境の影響などにより大きな変動を示し、漁獲量は豊凶の幅が大きく、不安定な水揚となっています。
このため、水産資源の持続的利用を図りながら、「いばらきの漁師」の経営安定化をすすめ、県民の皆様に安心・安全で美味しい「いばらきの底魚類」を安定供給するためには、科学的データに基づいた資源の評価が必要不可欠です。
さらに、底魚類資源の効率的利用を図る「資源管理体制」を構築していくために、資源管理方策を考えていかければなりません。
これまで、本県ではヒラメ・ヤナギムシガレイ・キアンコウ・シライトマキバイなどの資源について、資源管理の取組が実施されています。
定着性資源部では、試験場に所属する2隻の調査船を用いて、計量調査により底魚類資源の適正な量的評価と漁獲加入前の資源動向を把握しています。
また、県内各市場において水揚される底魚類の調査を行い、漁業実態の把握につとめています。
そして、前記調査の結果から主要底魚類の資源評価・資源診断を行い、資源回復効果をシミュレーションし、効果的な資源管理の方策について研究しています。
併せて、分布や年齢など各資源の未解明な生態についても調査・研究を行い、「いばらきの底魚類」に関する科学的知見の蓄積をすすめています。
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