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更新日:2023年5月9日
主にりん片(芽基部,果そう基部),葉,葉柄,果実などに,黒色すす状の病斑を生じ,落葉,落果,裂果を引き起こす。夏から秋にかけては,葉裏に薄い墨を流したような黒色の病斑(秋型病斑)を生じる。
3月中旬頃から,前年に秋型病斑を生じた落葉上に子のう胞子が形成され,5月下旬頃まで降雨によって分散し,伝染源になる。りん片病斑(後に芽基部・果そう基部病斑となる)上に形成された分生子も開花期頃から降雨時に分散して葉や果実への伝染源となる。その後,病斑上に形成された分生子は降雨時に分散して二次伝染を繰り返す。9月以降に秋型病斑を生じた落葉は,翌年の伝染源となる。また,10~11月にはりん片への感染が盛んになり,これも翌年の伝染源となる。
1.落葉は集めて土中に埋める。(この作業が出来ない場合には,ロータリをかけて,落葉をすき込むだけでも効果が期待できる)
2.発病した部位は見つけ次第必ず除去し,土中深く埋める。特に春先に発病したりん片(芽基部,果そう基部)の除去は極めて重要である。
3.防除適期は,催芽~萌芽期(3月下旬),開花前後(4月上~下旬),梅雨期(6月下旬~7月中旬)及び収穫後~秋季(9月中旬~11月上旬)である。特に,りん片脱落直前(4月上旬),落花期(4月下旬)及び果実肥大最盛期前(7月中旬)のDMI剤の散布は必ず行う。
4.薬剤散布量は,10a当たり300リットルを目安に十分な量を丁寧に散布し,かけむらのないように努める。
5.DMI剤:ステロール脱メチル化阻害剤。病原菌体のステロール生合成過程における代謝の一部(脱メチル化反応)を阻害する薬剤の総称であり,現在ナシの黒星病に対する予防及び治療効果が最も期待できる薬剤である。なお,薬剤耐性菌の出現を避けるために,DMI剤の年間使用回数は原則3回以内に抑えることが望ましい。
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果そう基部上の病斑
葉柄上の病斑
果実(幼果)での被害
葉に形成された秋型病斑
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