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更新日:2023年8月7日
モモ、スモモ、ウメ、サクラ等を加害するカミキリムシ科の害虫である。成虫の体長は2.5~4センチメートル、全体に光沢のある黒色で、胸部(クビの部分)が赤い(写真1)。
樹木内部で蛹から羽化した成虫が5月中旬~8月頃に出現し、交尾・産卵する。産卵は、幹や枝の樹皮の割れ目に行われ、8~9日後には孵化し、幼虫が樹木内部に食入する。幼虫期間は2~3年、春~秋が幼虫の活動期間であり、この時期にフラス(糞と木くずの混じったもの)を排出する(写真2)。老齢幼虫になると、ひき肉状のフラスを大量に排出する。幼虫に加害された樹木は、食害量が多いと内部が空洞になって樹勢が低下し、やがて枯死に至る。
国内では平成24年に愛知県で初めて発見されて以来、12都府県で発生が確認されており、近県の群馬県、栃木県、埼玉県、東京都でも発生が確認されている。
県内では、令和元年(8月)に県西地域の公園のハナモモで、クビアカツヤカミキリの被害が初めて確認された。現在、県内の生産園地での発生は認められていないが、今後、発生拡大が懸念されるため、果樹園内や花木などの生産園地での発生に警戒が必要である。
※生産園地で疑わしいカミキリやフラスを発見した場合は、直ちに病害虫防除所(電話0299-45-8200)
にご連絡ください。
※本種の被害を広げないためには、早期発見・早期防除が極めて重要である。
1.成虫を発見したら直ちに捕殺する。なお、特定外来生物に指定されており、生きたまま持ち運ぶこと等は法律で禁止されている。
2.樹幹からフラスの発生を認めたら、食入孔から針金等を差し入れ、幼虫を刺殺する。エアゾールタイプの薬剤を使用する場合は、針金等で食入孔からフラスを掻きだし薬液を内部まで届きやすくしてから、ノズルを差し込んで薬液を噴射する。幼虫が大きくなると効果が劣るので、フラスを確認したら直ちに防除する。
3.成虫の分散を防ぐため、被害樹は株元から1~2メートル程度の高さまで4ミリメートル目合いのネットを巻き付ける。ネットは成虫がネットを食い破らないよう、余裕を持たせて巻く。
4.散布剤は、成虫が発生する5月末~8月に、登録内容に従って防除を行う。
5.被害が激しい樹は、樹幹内の全ての幼虫を防除することが困難なため、できるだけ伐採する。伐採木や切り株に幼虫が残っている可能性があるため、保管や移動をさせる前に適切な処理をする。
※画像の無断使用および転用を禁じます。
写真1.クビアカツヤカミキリ成虫標本
(左:雌、右:雄。生体はより胸部(クビの部分)の色が鮮やかな赤を示す)
写真2.モモ被害樹株元のフラス
(栃木県農業環境指導センター提供)
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