平成22年第3回定例会で可決された意見書・決議
《意見書》
新たな経済対策を求める意見書
今般の急速な株価下落と円高は地域経済に深刻な打撃を与えている。特に平成21年度第1次補正予算が執行停止され,今年度の公共事業予算も対前年度比マイナス18%となるなど,大幅な予算削減による地域経済の弱体化が顕在化している。
しかしながら,政府は平成23年度予算について,各府省の予算を一律1割削減する方針を打ち出していることから,公共事業予算が来年度以降も削減されるのではないか,といった懸念がある。
公共事業に関する国土交通省の来年度予算概算要求は,「元気な日本復活特別枠」を含めて今年度とほぼ同額の予算要求となっているが,この「特別枠」を除けば対前年度比0.88の大幅削減となっている。
深刻な不況に苦しむ地域経済・雇用を守るためには,これ以上の削減は到底認められるものではない。むしろ深刻な不況から一刻も早く抜け出すため,即効性のある事業を前倒しで行うなど,景気を刺激する政策を速やかに打ち出すべきである。
よって国会及び政府においては,地域経済の活性化に向けて以下の政策を速やかに実行するよう求める。
- デフレ脱却に向けて政府が毅然たる意志を示し,日本銀行との適切かつ強固 な協力体制を構築すること。
- 将来性のある農地集積事業,スクールニューディール,地域医療などの事業 に集中的に投資し,企業による雇用や設備投資を促進すること。
- 来年度予算における公共事業費を拡充し,地域経済・雇用の下支えを行うこと。
「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」
の期限延長を求める意見書
「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」は,原子力による発電が,我が国の電気の安定供給に欠くことのできないものであることに鑑み,原子力発電施設等の周辺の地域について,地域の防災に配慮しつつ,生活環境や産業基盤等の総合的かつ広域的な整備に必要な特別措置を講ずること等により,これらの地域の振興を図り,もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的として制定されたものであり,これまで立地地域の振興に貢献してきたところである。
平成12年12月に公布され,平成13年4月に施行されたこの法律は10年間の時限立法であり,平成23年3月末をもって失効することとなっているが,この法律に基づき国において決定された振興計画の事業は,未だ達成されていない状況にあり,今後,引き続き事業の進捗を図る必要がある。
もとより,原子力発電施設等の立地は,国のエネルギー政策の一環として行われているものであり,電気の安定供給という観点から,国民経済の発展や国民生活の安定に大きく寄与することを考えると,原子力発電施設等の立地・運転にあたっては,「安全・安心」はもとより,立地地域の持続的な発展が必要不可欠である。
よって,国においては,法律の期限延長について措置するとともに,原子力発電施設等立地地域の指定にあたっては,市町村合併等を考慮した地域の実情に応じて弾力的な運用を図るとともに,国の負担割合の引き上げや特例措置の対象事業の拡大など,立地地域の地域振興が図られるよう必要な措置を講ぜられることを強く要望する。
米価下落への緊急対策を求める意見書
米価は既に過去10カ月で1俵あたり約1,000円下落し,1俵あたり1,700円の戸別所得補償を背負った平成22年度産米が市場に流通し始めると,米価がさらに下落する可能性は極めて高い。
米価下落の原因は,米価下落と財政支出拡大の持続的連鎖が生じる不適切な戸別所得補償モデル事業にある。コメの生産による収益が過剰に期待されることから,農地の貸しはがし,貸し渋りが起こり,加えて農業農村整備事業予算が約3分の1に縮減されたことと相まって,集落営農の促進や農業基盤整備が阻害されている現状はこれ以上看過できない。
現下の政策をこのまま進めると,いずれ財政的に破綻した戸別所得補償は打ち切られ,農家は所得の大幅減少,消費者は麦・大豆の減産や安全な国産米生産農家の大幅減少に直面し,日本農業は生産者にとっても消費者にとっても壊滅的な打撃を受けかねない。
政府は直ちにコメの戸別所得補償を見直し,その財源を麦・大豆などの生産を促進する政策や,農業農村の整備,集落営農の促進,多様な担い手の育成,コメの過剰在庫解消などの政策を強力に推し進めるべきである。
よって国会及び政府は現下の米価が下落している現状を真摯に受け止め,現在の農政を抜本的に改め,直ちに政策転換を図るべきである。
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