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更新日:2015年8月1日
障害者権利条例の施行を受けて
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障害者権利条例の制定実現に向けて活動され、また、平成27年2月、自身が取り組まれていた成年被後見人の選挙権回復活動が、障害者の権利実現を目指す国際的な取り組みである「ゼロプロジェクト」に選出された、名兒耶清吉さんにお話を伺いました。
名兒耶清吉(なごやせいきち)さん
牛久市在住。83歳。
「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」副代表
〈ゼロプロジェクトに選出された取り組み〉
成年被後見人となった長女の選挙権が無くなってしまったことにより、国を相手に選挙権の確認を求めて提訴。
平成25年3月に東京地方裁判所で勝訴の判決があり、同年5月には法改正が行われ、成年被後見人の選挙権が回復しました。
ゼロプロジェクト…障害のある人々の権利実現を目指し、オーストリアの慈善団体であるエッスル財団が行っている国際的な取り組み
この条例は、題名にもなっているとおり「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らす」ために、障害者とその家族などの関係者が積極的に参画してできたものです。「何人も、障害のある人に対し、差別をしてはならない」という基本理念のもと、障害そのものや、障害のある人に対する県民の理解を深め、社会参加や雇用など各分野において障害者の権利を守ることを目的としています。
きっかけは、3年程前の脳性麻痺の方たちの会合でした。その頃、いくつかの自治体で障害者の権利を守る条例ができていて、茨城県でも作りたいという話が会合の中で出されました。その後、障害者の団体が集まり、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」を結成し、障害者の差別や不便さを訴えてきました。
来年4月には、国の障害者差別解消法が施行されますが、それよりも早く条例が施行されたことに意義があります。何よりも、障害者のことを知ってもらいたい、そして、皆さんの意識を高めてもらいたいという思いが込められています。
車いすを使用していることが理由で | 入店を断られる盲導犬はお断りなど |
このほかにも、例えば、障害があることを理由に、スポーツクラブや習い事の教室などで入会を断られた、アパートの契約をするときに、部屋を借りられなかったなど、差別は身近なところで起きているのです。
障害があるからといって、特別視しないことです。
子どもに知的障害がある場合、理解できないことが多いので、社会のルールやマナーを教えない方がいます。
そのため、子どもが買い物のルールを知らずに、お店の品物を勝手に持ち出そうとしてしまったケースなどがありました。小さい頃から、「社会のルールやマナーに違反するようなことはやってはいけない」と教えることが大切です。
「障害とは何か」を皆さんに考えてもらいたいですね。お年寄りや、けがを負った方、妊娠中の方などは障害者とは呼ばれませんが、お医者さんが診断して認められた障害と同じく、不自由さや不便さがあるでしょう。
実際に車いすに乗ったり、アイマスクを装着してみると、日常の中での不自由さや不便さを体感できると思います。より多くの人がこういった体験をすることにより、例えば、電車やバスでは、優先席でなくても、必要な人に席を譲れる人が増えていくと良いなと思います。
また、子どもたちには「差別をしてはいけない」ということを小さい頃から教えることが必要です。障害だけではなく、体型などの容姿や、年齢、性別など全ての差別に対してもっと敏感になって、「差別によって傷つくこと」を教えることが大切だと思います。「その子の立場になったらどんな気持ちか」という言葉を子どもに対して投げ掛けていくことが、差別のない社会につながっていくと思います。
私には4歳と1歳半の子どもがいます。名兒耶さんへの取材を通して、人として、親として、子どもたちのために何ができるか、どこまでの行動ができるかを考えさせられました。
例えば、自分の知り合いの方に障害があるとしたら、皆さんはどのように対応しますか。
みんなが共に歩み、幸せに暮らす地域社会を作るには、自分だけでなく、周りの人の困難や喜びを共に考え、勇気と思いやりのある行動をとっていくことが大切なのではないかと感じました。(田子真弓)
県障害福祉課☎029(301)3357
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