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更新日:2021年2月18日
この資料は,県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
知事定例記者会見の動画は,こちらから視聴いただくことができます。
最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科第2次目標の選定について
最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科第2次目標の選定について(2)
(作成:報道・広聴課)
令和3年2月18日(木曜日)
11時33分~12時25分 会見室
知事:よろしくお願いいたします。
NHK(幹事社):幹事社のNHKです。知事から発表をお願いいたします。
知事:まず最初に、緊急事態宣言については、本日の解除の発表は行いません。(本日の記者会見の開始時刻が予定より遅れ)大変お待たせした理由もそこにあるわけでございますが、感染者数、新規感染者数、それから、稼働している病床数、順調に減ってきているのですが、今日になって入院患者数が急激に増える見込みということが出ましたので、その要因等を分析して、今日、緊急事態宣言の解除を発表することは一旦見送らせていただきます。
しっかりと分析した上で、状況をもう一度見極めた上で、再度、緊急事態宣言を解除できるかどうかをまた判断したいと思っています。
知事:ということで、本日は、来年度の当初予算についての発表をさせていただきたいと思います。まず、予算編成の基本方針でございますが、コロナ禍の中で、もともと私どもは4つのチャレンジを掲げてきたわけでございますが、その4つのチャレンジを実施する上でも、かなり大幅な環境の変化がございました。その中で、感染症対策と経済活動の両立、さらに、新しい環境の中でも、未来につながる投資を目指して、飛躍を目指した新しい予算編成を目指して来年度の予算案を作成いたしました。
一般会計の予算額、過去最高でございますが、1兆2,951億7,800万円ということでございます。このうち、コロナ関連対策分が1,621億円ということでございます。
財政の健全化を示すものとしての令和3年度の一般財源基金の残高は573億円、これは最終補正で積み上げを行って、差し引きゼロという形で573億円を維持するというふうに見込んでおります。
4つのチャレンジの主な施策をご紹介させていただきます。
まず、豊かさの関連でございますが、20年ぶりに、県自ら新たな工業団地の造成を行います。つくばみらい福岡地区でございます。(この他、)可能性調査を実施いたします。近年、圏央道の全線開通、それから、現在進んでいる4車線化を受けまして、県南・県西中心に非常に企業の進出意欲が高い。このまま既存の工業用地でこの進出意欲に応えていこうとすると、およそ2年ぐらいで売却できる用地、準備できる用地がなくなるという試算もございます。そういうことも踏まえて、これまでバブル崩壊で大きな痛手を受けました県自らの工業団地開発、今まで封印してきたわけでございますが、これでまたもう一度、20年ぶりに再開するという決断に至りました。
また、生産量日本一である栗、これまでの豚肉の「常陸の輝き」、あるいは梨の「恵水」のブランド化を2年続けてやってきたわけでございますが、さらにそれに続いて栗の高付加価値化、特に、栗そのものだけではなくて、加工品の知名度を上げていくということにも挑戦していきたいと思います。素材ではものすごく良いものを持っていて、かつ知名度もそれなりにある茨城県ですが、加工品になると、ブランドという観点では若干課題が多いと分析をしておりますので、是非、加工品のブランド化ということにもここで挑戦していきたいと思っております。
「新しい安心安全」へのチャレンジでございますが、新たな産業廃棄物最終処分場、日立市の諏訪町地内で計画しているわけですが、ここの基本計画策定、さらには、周辺道路の設計を実施するための予算でございます。県立医療大学、付属病院についても、法人化を目指して準備に着手したいと考えております。経営の効率化と高度化を目指していきたいと思っております。
それから、「新しい人財育成」へのチャレンジでございますが、こちらは、政府の不妊治療(の保険適用)が開始するまで県が同様な助成を提供する。それから、不育症の検査に対する助成も支援するということでございます。県立高校では、GIGAスクール構想なども受けて、1人1台端末という環境を整えるわけでございますが、低所得世帯に対する補助をこれにあわせて新設することを盛り込んでおります。
「新しい夢・希望」へのチャレンジという点につきましては、テレビを活用した県産品の販売プロモーション。実際、コロナ禍で外出がままならない、それから、県境を越えての移動が難しい。そういう中でも、首都圏で県のさまざまな特産品をプロモーションしていくために、テレビを活用して、県自らがテレビショッピングのような形で県産品を売り込んでいくという事業でございます。宿泊施設については、これまでホテル誘致について補助金を3年前に設けてきたわけでございますが、それにあわせて、土浦に星野リゾートBEB5が誘致できたりしているわけですが、今回、そのホテルに加えて、常設型の観光施設も誘致の対象に加えようということでございます。様々な可能性は考えられると思いますが、ホテルに限らず、観光誘客の可能性を高めるような施設であれば、様々なものにチャレンジしていきたいと思っております。
それから、県北地域対策ということが長年の茨城県の課題であるわけですが、今回、県北地域については、いわゆる外部の方の血を入れるというわけではないですが、それを積極的に、組織的に行いたいと考えております。起業型地域おこし協力隊の人数を大幅に増やしまして、外の方から見たら非常に魅力のあるものなのだけれども、地元ではなかなか気づかないものを掘り起こしていただいたり、あるいは、新たな発想でまちおこしをしていただいたり、そういうことを組織的に行うような体制を目指して予算計上をしております。
そのほか、新型コロナウイルス感染症対策ということで、医療提供体制の整備でありますとか、放課後児童クラブへの支援、それから、学級担任を補助する学校サポーター配置とか、あるいは、事業継続を行う企業への融資の継続などで、合わせて1,621億円を計上しております。
知事:予算の概要は以上でございますが、その他、組織改正を行います。コロナ感染症対策も今後しばらくは続く見通しでございますし、今後、コロナに続く新たな感染症という可能性も踏まえて、組織として感染症対策を強化するために、新たに感染症対策課を設けて、これまでの疾病対策課と健康・地域ケア推進課の2課の再編を行うということが1つ目。
もう一つは、企業立地でございますが、これまで、営業戦略部の中に、担当部長として立地推進担当部長を置いていたわけでございますが、今回、立地推進部を新たに独立して設けるということで、営業戦略部と切り離して独立の部にさせていただきます。それによって、さらに企業誘致を機動的に、強力に進めていける体制をつくりたいと思っております。
それから、不法投棄対策、それから、最終処分場対策ということで、廃棄物規制課と資源循環推進課という形で廃棄物関係の担当課を再編していって、リサイクル、廃棄物処理についての体制の強化を行っております。
知事部局の構成を参考までにご説明させていただきましたのがこの表でございます。それが2点目でございます。
知事:次に、医師確保についての発表をさせていただきたいと思います。これまで、14人の必要医師に対して、2年間で確保するということで、それが昨年の9月末だったわけでございますが、昨年の9月末、10月頭ぐらいだったかな、13.1人まで確保できていたわけでございます。医師確保は私の政策の中でも一丁目一番地ということで最も力を入れてきたところでございますが、残念ながらその14名に達することができませんでした。
実は、東京の順天堂大学さんから、内々、ほぼ理事会を通せば終わりという状況まで合意ができていた神栖済生会病院の整形外科の派遣が決まったわけですが、こういうコロナの状況などもあったり、あるいは担当教授が代わったりということもさまざま事情があって、なかなか難しくなってしまったということがつい先々日くらいに連絡が来まして、我々としても仕切り直しになってしまったわけでございます。
まだ今後の可能性としては引き続き連携をさせていただけると思っておりますが、この13.1名が確保できたということを前提に、さらに次の目標を設定したいと考えております。
次の目標を設定する前提条件としましては、一つは、速やかな治療を要する脳卒中、心血管疾患、あるいは周産期、小児救急の政策医療に関する関連診療科を重点に置く。それから、医師の少数区域に所在する地域の拠点病院に重点を置く。
そういうことで、本来、医師の確保はそれぞれの病院において行ってきていただいているわけですが、こういう前提条件に合うところについて、県の関与が特に必要と認められるところについては、県が前面に立って、その医師の確保、その診療科の必要な医師の人数を確保するということを前面に立ててやりたいということでございます。
今回、積み残しになっています神栖済生会病院も含めて、7.5名を第2次目標とさせていただきたいと思います。一つは、常陸大宮済生会病院の循環器内科の先生を1名、それから、茨城県西部メディカルセンターも循環器内科の先生を1名、鹿嶋の小山記念病院については、循環器内科の先生を2名、産婦人科の先生を2名、それから、積み残しの神栖済生会病院の整形外科の1.5名、こちらについてを令和4年度中に確保するということを目指して全力で取り組みたいと思います。今、筑波大学などとは医師派遣スキームについて協議機関を設けておりますので、より協力を得られやすい体制にはなっておりますので、筑波大学からの派遣、さらには、県外からの医師確保を全力で行っていきたいと思っております。
私の方からは、以上です。
NHK(幹事社):まず最初の県独自の緊急事態宣言についてお伺いします。解除の判断というのはいつ頃される予定でしょうか。
知事:解除の判断は、状況さえ許せば、明日にでもまた緊急会見を開きたいと思っています。その前提が整っているかどうかの確認をもうちょっとする必要があると判断して、今日の発表は見送らせていただきました。
NHK(幹事社):そもそも、今日、数字がよければ、今日、解除するという予定もあったのでしょうか。
知事:もともと今日発表するつもりで準備をしておいたのですが、今朝になって、入院患者が急遽20名近く増えるということで、条件としています180(人)周辺にまで1日で急激に上がってしまう。これが今後続くのか、続かないのか、同じことが3日続けばあっという間に200人超えてしまいますので、これがどうなのかということをしっかりと判断した上で、条件さえ整えば発表したいと思っております。
NHK(幹事社):幹事社から以上です。各社さん、独自宣言について、質問があればお願いします。ございませんでしょうか。
NHK(幹事社):次にまいります。次に、新年度予算ですが、どういう思いで予算編成に臨まれたのでしょうか。
知事:今、何といってもコロナ感染症対策ですね。皆様の感染拡大を防ぐための様々な自粛を強いられている中、生活再建、経済の再建ということが非常に大きな課題になっている。
もう一つは、医療機関を中心に、あるいは障害者施設・高齢者施設の方々も含めて、日々、コロナ感染症と戦っていらっしゃる方々に対する支援、そういうことをしっかりと両立させていくことをまず念頭に、かつ、アフターコロナ、あるいはウィズコロナという状況がワクチン接種後もしばらく続くという前提で、次のステップにつながるような予算編成を目指して提案をさせていただいております。
NHK(幹事社):今回、コロナ対策以外では、どういったところに主に力をいれるといった内容になっているのでしょうか。
知事:一つは、20年ぶりに県独自で工業団地を造成するということに見られますように、今後、人口減少、あるいは、さまざまな社会変化の中で、茨城県が力強く成長していくための礎を目指した施策を打ち出しておりますし、それ以外にも、教育のデジタル化に伴う予算でありますとか、さらには、ブランド化のための海外への売り込みのためのさまざまな手法の開発、そういうことについて手を打ってきているわけでございます。
NHK(幹事社):幹事社から以上です。新年度予算について、質問があれば、各社さん、お願いします。
茨城:新年度予算についてなのですが、コロナ禍で、今後、税収減が見込まれる中で直面する課題、あと、今後の投資とか、その辺のバランスも予算編成で難しさはあったかと思うのですが、そのあたり、特に留意された点とかございましたらお聞かせ願えればと思います。
知事:大幅な税収減はある程度見込んでおりますが、交付税とか税収補塡の仕組みで政府の方からの(地方財政対策)も期待できますので、予算編成においては、そういうものを十分に踏まえながら、かつ、緊急事態宣言のようなコロナでの極端な経済活動の抑制という時期が終わった時にしっかりと飛躍できるような基礎を着々とつくっておくということが、今、我々が最もしなければならないことの一つなのかなということで、そういう配慮で予算を組んでおります。
茨城:あともう一つなのですが、今回の予算案の事業の中で、ひたちなか大洗リゾート構想の推進事業も含まれているかと思いますが、それに関連して、昨年、減額修正された大洗水族館のジンベエザメの展示館新設があったと思うのですが、それが現状どうなっているかというのをお聞かせいただければと思います。
知事:ひたちなか大洗リゾート構想全体の中で大洗水族館の計画についても考えていくということで、今、状況の推移を見守っているわけでございます。特に、ジンベエザメについては、県議会から大きな懸念が示されたわけですので、当面は慎重に対応していこうかなということではないかと思いますし、現在、リニューアルオープンしましたアクアワールド大洗水族館をごらんいただきますと、VRでジンベエザメが泳いでいますので、是非それをネタに使っていただければなと思っておりますが、いずれにしても、全体の計画の中で、ジンベエザメにこだわらずに、地域の魅力向上に努めていきたいと思っています。
茨城:現時点では、具体的にまたその話で何か進めているとか、そういうことはないということですか。
知事:ないですね。
茨城:ありがとうございます。
NHK(幹事社):他よろしいでしょうか。
朝日:県北の芸術村の事業の廃止の件でお尋ねしたいのですが、廃止した理由と、芸術村の事業の成果とか、どういった点で、理由を含めて教えてください。
知事:県北振興ということについて、何が効果的かということをしっかりと見極める必要があると思います。限られた予算の中で最も効果的な方法というのは何かということを考えていく。その中で、県北のロングトレイル事業でありますとか、さらには、県北地域の各市町の意向を踏まえたPR戦略とか、そういった事業もやっていたのですが、芸術村構想の支援も行ってきたのですが、県北振興という観点で言うと、コストパフォーマンスという点では課題があったのかなということで、一旦これは打ち切らせていただいて、芸術以外の広い範囲も含めたまちおこしの協力隊を3人程度から20人まで増やして、大幅に増員して、もっともっと外部のいろいろなアイデア、あるいはエネルギーを取り入れていくということを組織的にやってみてはどうかということの試行錯誤の結果だということです。
朝日:関連で、知事が、2017年知事選の公約で、若手芸術家が集う芸術村の構想も公約の中に入れていらっしゃると思うのですが、その観点からすると、廃止というところで言うと、方向性がやや違うのかなと思ってしまうのですが、その点、公約の観点から言うと、どのようなものでしょうか。
知事:3年前の約束を全て変えてはいけないということでもないのでしょうから、色々検証した結果、よりもっと効果的な可能性があるのではないかということに方向転換したということだと思います。
朝日:あと、別件でもう1点、お尋ねしたいのですが、ベンチャー企業とかの促進事業の件なのですが、今年度の当初予算を見ると、中小企業の支援とか、事業者の支援とか、今年度はかなり手厚くやっていらっしゃると思うのですが、今回の予算だと、中小企業に関しての支援というのがなかなか見えてこない部分があると思うのですが、こういった予算編成をした理由と、中小企業の支援というところで、どのような考えをお持ちなのか教えてください。
知事:ご質問の趣旨は、中小企業の支援が手薄になってきているということですか。
朝日:この予算ではなかなか見えてこないのですが、実際、どのようにしていらっしゃるのかということです。
知事:中小企業対策というのは幾つかの側面があるので、それぞれの側面に応じて対策を講じているわけですが、一つ、先端的なところで言うと、ベンチャー企業の育成、あるいは、生み出しやすいベンチャー企業、これも中小企業であることがほとんどなので、それについては、例えば、大阪のベンチャー企業のサポートをする機関との連携でありますとか、あるいは、海外の投資家との連携というようなことを県の事業として進めておりますし、あるいは、宇宙産業に限って言えば、つくばを中心に、宇宙産業ビジネスの誘致を積極的に行って、企業同士の連携なども県が中心になって進めているということがございます。
それから、技術開発という意味では、イノベーションセンターを中心に、大学と連携しながら、中小企業が、これまで、ただ単にいろいろ試験をするための場所だったセンターを、そういう新しいビジネスモデルをつくるためのきっかけになるようなセンターにつくり変えるという支援も行っていますし、さらに、事業承継ということについては、県がM&A(を仲介する)事業者と連携して、積極的に、銀行だけではなかなか生まれないような、事業承継のためのM&Aということをするためのプラットフォームをつくったりしています。
さらには、融資制度、コロナの関連で、今、非常にお困りになっている中小企業の方々、パワーアップ融資を中心に、他の銀行などで融資が受けられない方に対しても、200万円限度の県独自の融資貸付、無利子融資というものも用意しておりますので、そういうことも活用できる。
その他、中小企業に対しては、県北の中小企業とつくばの研究機関との連携を目指すための取り組みでありますとか、あるいは、有望な企業経営者を県の方で集めて、東京とかさまざま全国にいらっしゃる非常に有名な方、有名な経営者、あるいは研究者の方々との勉強会をして、県内の有望な経営者に対してどんどん刺激を与えて、さらに次の飛躍のヒントを掴んでもらうような事業なども行っています。
ざっと思いつく限りそれだけのことをやっていますので、決して手薄になっているということではなくて、多分、その資料に盛り込んでいないというだけなのではないかと思います。
朝日:ありがとうございます。
茨城:ベンチャー企業なのですが、今回は、創出から、どちらかと言うと成長促進という方に厚みをかけたのかなという印象があるのですが、その狙いを改めてご説明いただきたいのと、あと、県内発のベンチャー企業の県外流出とか、そういった課題は1~2年前から知事もご要望などを受けられていると思うのですが、そういったものを踏まえた今後の課題の解消に向けて、何かお考えがあればお伺いしたいと思います。
知事:別にそんなに大きくシフトしたというわけではないのですが、今、コロナを含め、それから、デジタル経済化が進むという状況、あるいは、米国、中国などとの世界の貿易の状況の微妙なバランス、そういう中で、大きな変化がいつ起こっても、それに耐え抜けるような強い経済を茨城県として目指していく必要があるのではないかなという姿勢は、これはずっと変わっておりません。その中の一つの切り口としてベンチャーを育てるということもございますし、企業誘致ということもございますし、その流れは変わっていないのですが、今回ここに特記させているので目立つ形になっているのは、茨城県の強みという意味では、最近、企業誘致が非常に大きく強みとして全国的にもかなり突出して、それは我々の担当の職員の頑張りということもございますし、地の利ということもございますし、もともとの茨城県の産業の厚みということも有利に働いている部分はあるのですが、そういうことの強みをしっかりと生かしていくということも非常に重要なのかなと思います。
最近では、新聞報道ですが、台湾の半導体の企業の研究所が来る、来ないとかというのが出たりとか、様々大きなニュースが動き始めておりますので、この流れをしっかりとさらに止めずに加速させていくということが非常に有効な手段なのかなということで、ここに特記させていただいております。
茨城:県外流出の方はいかがでしょうか。
知事:県外流出は、これは、行くなと言っても行きたい人は行ってしまうし、茨城にいることにどうメリットを感じていただけるかということなのかなと思います。そこで、企業の立場に立って、どういう時に出ていって、どういう時に残るか。要するに、自分の事業の上でどれだけ残ることにメリットを感じられるかということだと思うのです。
そうすると、社員の方の住環境というのもそうですし、教育環境も関係しますし、さらには、企業としてやっていく時にパートナーがすぐ見つかるか、あるいは、取引先がすぐ見つかるか、様々なところが問われることになって、そこの総合評価で、例えば、首都圏に行くのか残るのかということが決まってくると思うので、一発でこれをやったら何かということではないので、教育にもしっかり改革をしていって、自分たちの子弟を茨城で教育させたいと思っていただけるような状況をつくらなければいけないし、企業活動としても、豊富な研究機関との連携ができたりとか、あるいは、政府も含めて、県からもしっかりとサポートがもらえるとか、あるいは、パートナーがすぐ見つかるとか、そういう環境をしっかりと地道につくっていくということしかないのではないかなと思っています。
茨城:つくばみらい市の工業団地造成についてなのですが、約20年ぶりに県施行による造成ということなのですが、県が直接手がける必要があると判断された理由を教えていただきたいのと、もう1点、今後の方向性として、引き続き、調査を継続するということで予算がついていますが、今後の県施行による工業団地開発についてどのような方針をお持ちなのか、お聞かせください。
知事:県自らが造成する工業団地というのは、過去の歴史で、要するに、バブル崩壊で、当時は乱造と批判されたと思うのですが、それでかなり手痛い財政的な痛手を負ったということで、要するに、県の行政としてはこれまでずっと封印されてきた道だったと理解しております。それをまた開くということについて決断できずにいたのかなということでございますが、私が就任して、非常に企業誘致が好調に推移している。全国のトップの企業誘致実績を積み重ねてきているということと、特に、圏央道の完成以降、ものすごくその周辺の人気が高まっておりまして、企業誘致に成功しても、提供できる場所がないという状況で、あと2年ぐらいでほぼ提供できる場所がなくなるという分析結果が出たので、それを踏まえて、すぐ私の方でそういう方向に舵を切るということを決断させていただきました。
過去、長い間、そういうリスクを冒すことについて封印してきた歴史があるものですから、職員の中には、えっという雰囲気は当初はやはりあったのですが、状況を踏まえれば、客観的に考えれば、今、このチャンスを逃すことはもったいないということで、こういう形で政策として20年ぶりに復活させるということになっております。
今後についても、最初、つくばみらい福岡地区ということでございますが、ここで終わりということでは全然ございませんので、今後、適当な場所、あるいは環境、企業誘致の状況を踏まえながら、必要に応じて、県としてさらなる工業団地の造成ということも当然検討する余地はございます。
朝日:今の質問に重なることなのですが、今まで、市町村主導の工業団地の造成を支援するという立場だったと思うのですが、今回、新たに県独自で工業団地を造成するというのは、急激な需要の高まりに対する緊急的な措置というよりも、今後、凍結を解除して、県自ら積極的に新たな造成地を考えていくという方針になったという理解で正しいですか。
知事:ちょっと微妙なところもあるので難しいのですが、両にらみというふうに考えていただきたいのですが、県独自でやることもございますし、市町村がやることに対するサポートということも当然やります。市町村が意欲的にやりたいということで、そのサポートというのを基本はメインにできればいいなと思っていますが、それでスピード的には足りない、間に合わないということ、あるいは、県が独自に自らやることによって、工業団地の造成の際、様々な規制が解除されるのです。農振地域からの用途変更みたいなものについては解除できたりするものですから、スピードが必要なものについては県が積極的に前に出るということで、その組み合わせをしながら、実際のニーズ、どれだけの需要があるかということを見ながら組み合わせて考えていきたいなと思っています。
朝日:知事が今認識している、県が造成することに対するリスクというのはどのようなものがあるのですか。
知事:需要を見誤ってつくり過ぎると、バブルが崩壊する時などは典型なのですが、つくった土地に全然企業が入らずに、その維持費用だけかかって、どんどん借金も焦げつくという状況を経験して、この20年間封印してきたわけなので、そういうリスクというのは慎重に見なければいけないと思っています。
朝日:わかりました。ありがとうございます。
NHK(幹事社):他よろしいですか。では、ないようなので、次にまいります。新年度の組織改正についてなのですが、こちらを行った狙いを改めてお願いいたします。
知事:政策ニーズが高まっている部分について、迅速に対応できる体制をとったということでございます。1つ目のコロナ対策が、これだけ長期間、ワクチン接種が始まったとは言え、今後もコロナ感染症との付き合いということは数年単位で続く可能性が専門家内でも言われておりますので、そこの対応、さらには、新たな感染症の可能性も、この地球環境の変化で、いつ何時またあるかもしれないということで、感染症全般に対する対策を強化するための組織改正が1つ目。
それから、先ほどから続いています企業誘致が、今、茨城県で非常に順調に進んでおりますので、さらに企業誘致を効果的に行うための体制づくり。
さらには、最終処分場を新たにつくるわけですが、不法投棄の対策なども含めて、ごみを中心とした環境問題は今後非常に大きくクローズアップされると思いますので、こちらについての体制強化ということでございます。
NHK(幹事社):幹事社からは以上です。各社さん、お願いします。よろしいですか。では、ないようなので、今日の発表事項以外についての話題でお伺いいたします。
医療従事者へのコロナワクチンの接種が、今日、県内で始まりましたが、知事としての所感をお願いします。
知事:新型コロナのワクチン接種は非常に重要な作業だと思います。医療従事者からの接種開始が県内でもスタートできて、喜ばしいことだと思いますし、県としては、市町村と連携しながら、県内の希望される方全てが素早くワクチン接種が受けられるような体制づくりをしっかりと進めていきたいと思っています。
NHK(幹事社):話が変わりますが、島根県の方で、聖火リレーを中止せざるを得ないという知事の考えが出ました。茨城県の方としてはどのようにお考えでしょうか。
知事:島根県知事のおっしゃっていることの真意を直接聞いたわけではないのでわかりませんが、聖火リレーを云々というよりは、東京を中心として、感染対策に対する懸念を表明されたのかなと私は理解しております。
いずれにしろ、全国の感染拡大を止める成否の大きな鍵を握っているのは、首都圏の感染抑制をどれだけ効果的に進められるかということであるので、それについては、国、それから、首都圏の各県の知事の連携でもってさらに一層強力に進めていただきたいというのは、その外側に位置する茨城県にとっても強い願いでございます。
ただ、一方、オリンピックの聖火リレーについては、開催県の一つという茨城県の立場からすれば、様々な工夫をすることによって十分可能性というのは探れるのではないかなと思っておりますので、我々としては、いろいろなやり方のオプションは考えなければいけませんが、しっかりと聖火リレーを実施するという前提で準備を進めていくというふうに考えております。
NHK(幹事社):ありがとうございました。幹事社からは以上です。各社さん、お願いします。
茨城:最優先で医師確保に取り組む第2次目標なのですが、まず、第1次目標の方で、先ほど、14人に達することができなかった、残念だったとおっしゃいましたが、一方で、3つの病院では数を確保できたという意味で、改めて評価をお願いいたします。
知事:こちらは、最後は14人まで達成できなかったのは残念ではあったものの、県が全力で行う医師確保の対象を、きっちりと病院のそれぞれの診療科、人数、全て特定して、期間を区切って確保するということで宣言したことは、今回、非常に良かったなと改めて感じております。
担当課を中心に、目標の具体的な数とか対象とか、期間とかということがあることによって、こういう形で確保をしたら良いのではないかとか、様々な確保の仕方についても、仕組みも含めてアイデアが出ましたし、それから、協力いただける大学などの数も増えましたし、そういう意味では、今回、この2年余りで確保作業を続けていたことによって、茨城県としての医師確保の能力というのは、私はかなり飛躍的に向上したのではないかなと理解しております。
この力をしっかりと継続しながら次の医師確保も進めていきたいと思いますし、あとは、全体的な医師数の底上げという課題はまた別途ございますので、この辺は県内の唯一の医学部を持っている筑波大学とも連携しながら、しっかりと地域枠の活用なども含めて進めていきたいと思っています。
茨城:もう1点なのですが、第2次目標の方の前提条件なのですが、これは第1次目標の時の前提条件と変わったのかどうかと、あと、この条件にした理由を教えてください。
知事:私から、県の第2次目標をつくる際に保健福祉部にお願いしたのは、要するに、県が自ら宣言して確保するという対象なので、本当に政策的に最もニーズが高くて、かつ、県が独自にやらなければ地域医療の中心的なその病院を支えることができないというところにかなり絞ってやらないといけないということはお願いしました。
というのは、何でもかんでも医師は県に頼めば連れてこられるということは絶対にできませんので、基本的には、各病院の方で医師の方をリクルートしていただかなければいけない。そういう中で、県として自ら本当に自分たちがリクルートしてくるという、駆けずり回ってリクルートするということはやっぱり限定しなければいけないと考えております。
その限定の仕方ですね。前回は、各医療圏の中核となる病院の全部の診療科がきちんと回るような体制をつくるということで選んでいましたが、さらに緊急の確保が必要なもの、それから、県が自ら行わないと医師確保ができない、なかなか体制が十分でない病院があるところ、今回はさらにそういうところに的を絞ったということだと思います。そういう意味では、少し狭めたということかもしれません。
茨城:ありがとうございます。
時事:1点だけ、オリパラ関連なのですが、組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言をして辞任することになったということで、また、辞任に至るまで、一連のそういった経緯に関して、知事はどのように見られていましたでしょうか。
知事:かなり様々な方が語り尽くしている話なのですが、私としても、これは女性の話だけではなくて、あらゆる差別につながるようなことというのは、政治、あるいは行政の責任として、それを見逃さずに、しっかり変えていく勇気と変えていく努力が必要なのかなと思っています。
今回、たまたま森前会長のお話で出たのは女性の話でございますが、皆さんもご記憶に新しい、茨城県でも、女性だけではなくてLGBTの話もございました。こういうことについて、政治、あるいは行政というのは、世界と自分たちの常識がかけ離れているということも含めてしっかりと認識して、よりよい社会を目指すために勇気を持って前に進めていくことが重要なのかなと思います。
今回、森前会長の発言の内容は、正直なところ、非常に古いタイプの方の感想なのかなと思いますし、結果、辞任につながったわけでございますが、次の会長には、人間を型にはめて、それで判断するのではなく、能力に応じて判断していただけるような方であってほしいなと思っています。
時事:ありがとうございます。
産経:間もなく東日本大震災から10年を迎えるのですが、県内の復興状況とか、この間も大きな地震がありました。今後の災害対策はどういうふうに進めていくのかということを教えていただけないでしょうか。
知事:東日本大震災からの復興という意味では、茨城県内で言えば、一部、海岸の修復(防潮堤の整備)で地元との調整が遅れているところが大洗と北茨城市の大津港の周辺がありますが、ほぼ順調に進んできているのかなと思っております。
ただ、地震というのは、いつ何時起こるかわからないということと、また、東日本大震災の余震がつい先日も起きたということも踏まえると、しっかりと備えをしていかなければならないかなと思います。
復興ということだけではなくて、日頃の備えということをしっかりと積み重ねていく必要があって、そういう意味では、いざという時に慌てふためくことなく対応できるような体制、あるいは日頃の訓練をしっかり充実させていくことが重要なのかなと改めて感じました。
産経:ありがとうございます。現在、新型コロナウイルスの感染状況もあって、避難所とかでも不安な声が出ていると思うのですが、そういったところは、今後、県として対策したりとかはあるのですか。
知事:災害との関連ですか。
産経:そうです。災害関連で。
知事:各市町村とも連携して、災害が発生した場合の避難所における感染対策などについては、それぞれ、各自治体ともしっかりと対策を検討していただいていると理解しておりますので、そういうことを踏まえて、あと、大規模な災害の場合には、避難と感染症対策と両方を完璧にやることができない可能性もありますので、そういう時にしっかりと判断できるような日頃のシミュレーションも今後行っていくことが必要なのかなと思っています。
産経:ありがとうございます。
茨城:ワクチンの話に戻ってしまうのですが、今日から始まりまして、県が主体となってワクチン接種を医療従事者向けに先行実施するというのが来月からだったと思うのですが、前回の知事会見の中では、若干準備が遅れているのかなといった発言もあったと思うのですが、今、現状の進捗状況、準備状況などについて教えてください。
知事:今の準備状況は大分進んできておりますので、順調に準備が進められているのかなと思います。各市町村とも緊密に連携をとりながら、しっかりと対応できる体制ができてきていると担当課長も自信を持っていると思いますので、大丈夫だと思います。
茨城放送:このお話に関連しまして。集団接種とかかりつけ医、両方でやるところと、集団接種のみのところ、それから、かかりつけ医の対応のみという自治体とそれぞれ分かれているかと思います。その中で、保健所の方で対応するというところではかなり人数が大変になるのかなということも想像するのですが、そのあたりはどういうふうにごらんになりますか。
知事:対応の仕方というのは、それぞれやり方が違っていたとしても、メリット、デメリットの両方があるものですから、どちらにしなければいけないということはないのかなと思いますし、可能な限り、円滑に回ることができるように、県としてもアドバイスをしながら進めていきたいと思います。基本的には予約制になると思うので、会場がどこであれ、そんなに大きな問題はないのかな。
私がどちらかというと懸念しているのは、突然、予約がキャンセルになったりした時に、残ったワクチンを無駄にしないで、誰かに接種していただけるような、最大の目的は、順番を守ることではなくて、なるべく早く県民の方に集団免疫をつくる、たくさんの方にワクチンを打っていただくということだと思いますので、そこのプライオリティをしっかりと認識した上で、柔軟な対応をしていただけるようにということだけはお願いをしております。
茨城放送:ありがとうございます。
NHK(幹事社):他よろしいでしょうか。
読売:先ほど、知事のご発言の中で、選挙で掲げた公約について方針転換があってもいいのではないかという趣旨のご発言があったと思うのですが、今回提出の条例を見ますと、多選禁止条例は入っておりません。先日の会見でも、状況を見ながら判断したいというお話をされていたと思うのですが、現段階で、次の第2回定例会に提出を考えているかどうかを含めて、お尋ねをしたいのですけれども、
知事:前にもご説明しましたとおり、最大会派の自民党との意見の隔たりもございますので、そこら辺についての状況を踏まえながら判断していきたいと考えています。
読売:その判断は、最終的にいつ頃される予定でしょうか。
知事:第2回定例会に出すといったら、直前まで検討するということではないですかね。
読売:ありがとうございます。知事は、自民党との約束ではなくて、あくまで県民との約束だというお話を。
知事:条例にするということは、そういうことだということです。
読売:今の段階で条例を制定したいというお考えには変わりはないということでよろしいのでしょうか。
知事:条例を制定するということでご提案をさせていただいておりますので、条件が整えば是非検討したいと思っています。
読売:では、この任期中に条例が制定されない可能性もあると考えていいのでしょうか。
知事:それは状況を見ないと何とも言えません。
読売:わかりました。ありがとうございます。
NHK(幹事社):よろしいですか。では、以上で終わります。ありがとうございました。
知事:ありがとうございました。
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