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更新日:2017年7月24日

地方債月報 2010年9月号

地方債月報2010年9月号(9月24日発刊)掲載記事です。

我が国はこれまで、技術大国、産業立国として世界に存在感を示し、1994年頃には世界の名目GDPのシェアの約18%を占めていました。

しかし、2008年には約8%まで落ち込み、また、IMFの予測では、2010年には名目GDPで日本は世界第3位へ転落するとされるなど、世界の中での日本の地位は年々低下しております。

さらに、最近の我が国の経済を見ますと、特に最近の急激な円高などにより、輸出産業を中心に景気や雇用への甚大な影響が懸念されるとともに、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況が続いております。

私は、世界の中で日本の存在感が小さくなりつつある現在、今後とも豊かな国民生活を維持し、国際社会における確かな地位を保っていくためには、国を挙げての努力が必要であり、日本は今、重要な岐路に立っていると感じています。

エネルギーや食料などの資源の少ない日本が、今後世界の中で生き延びていくためには、我が国の数少ない資産である人材、すなわち教育水準の高い国民の力、人間力をいかに活用していくかが肝要であると思います。

国においては、科学技術創造立国を目指しているところでありますが、私も、創造的な技術革新により経済成長を実現し、社会経済の持続的な発展を図っていく必要があると考えています。

幸いにも我が茨城県は、つくば・東海の最先端の科学技術や、日立・鹿島の高度なものづくり産業の集積に加え、日本有数の農業県であることなど、発展可能性に恵まれています。

これらの発展可能性を引き出し、茨城県を一層発展させていくため、私はこれまで、科学技術などを生かした新産業の創出や商工業の育成、企業立地などを進めることで雇用の場を確保するとともに、元気ある農業の実現を目指す「産業大県」づくりに力を入れてまいりました。陸・海・空の広域交通ネットワークなどインフラの整備も順調に進み、過去10年間の工場立地面積は第2位の静岡県を大きく引き離して全国第1位、平成20年度の農業産出額は北海道に次いで全国第2位となるなど、着実に成果が現れてきています。

私は、このような茨城県の優位性を最大限に活用し、「日本の発展を支える有力な拠点となる県」にしていくとともに、そこから生み出される活力をもとに、安心・安全で快適に暮らすことができる「生活大県」を目指していきたいと考えています。

一方、少子化が進み、厳しい経済環境が続く中、最近の若者は就職に関して安定志向が強く、海外留学希望者も減少傾向にあるなど、内向きな者が多いと言われておりますが、このような時代であるからこそ、何事にも前向きに取り組み、国内外の様々な場面で活躍できる人材の育成が急務となっています。

私は、成長著しい中国をはじめとする東アジア諸国との交流など、グローバル化が急速に進んでSeptember2010いる中、国際社会で活躍できる若者の育成、すなわち教育に力を入れていきたいと考えており、茨城で育った若者が、日本の限りない発展や、世界の平和のために活躍してくれることを願っています。

昨年7月には、本県の高校生がメキシコで開催された第40回国際物理オリンピックにおいて、見事金メダルを獲得するという快挙を成し遂げました。本県では、科学オリンピックの国内予選のうち「物理チャレンジ」と「生物チャレンジ」が隔年でつくば市において開催されています。このような大会での成功や県内高校生の国際大会等での活躍が科学技術への関心を呼び起こし、科学技術創造立県を支える人材の育成につながることを期待しています。

子どもたちが将来に向けて、夢や希望を持って一生懸命に勉学に励み、学力をしっかり身につけていけるような環境をつくることが大変重要であると考えており、本県ではその具体的な取組の一つとして、少人数教育を小学校3、4年生及び中学1年生で実施しているほか、中高一貫校の整備、県立高等学校における医学部進学コースの設置などにも取り組んでいます。

このような状況の下で、改めて地方自治について考えてみますと、グローバルな、世界的な視野の下で日本について、そして自分たちが暮らす地域について考えることが極めて重要になってきていると考えております。

私はよく本県職員に言っているのですが、企業誘致一つをとりましても、世界の情勢を把握しながら、今後どのような企業が伸びていくのかという視点を持っていなければならないと考えております。

また、ますます早くなる時代の流れへの対応も必要です。例えば、航空業界で最近注目されているLCC(ローコストキャリア)などは、少し前まではほとんど使われていなかった言葉ですが、今やテレビ等で盛んに耳にするようになりました。ヨーロッパに次いでアジア諸国でも、LCCが台頭し、日本への新規乗り入れや路線拡大が相次いでおります。今年3月に開港した茨城空港は首都圏にありながら、LCCに本格的に対応した唯一の空港であります。例えばボーディングブリッジ(搭乗橋)を設置せず、タラップを利用するスタイルを採用し、自走式による航空機運用と旅客動線の一層集約を行いました。

また、1,300台の駐車場を無料にするなど、格安航空会社にとっても、利用者にとっても使いやすい空港としました。

このたび茨城-上海間、4,000円の格安航空券を売り出した春秋航空のように、新たに首都圏に参入したいけど、成田は高いので、茨城空港を利用したいという航空会社が今後も増えてくるものと期待しております。

さらに、農業政策を考えるにあたっても、世界の食糧事情がどうなっているのか、国内競争に打ち勝つだけでなく、巨大な胃袋を抱える中国のような市場でどのようなニーズがあるのかも考えなければなりません。地球温暖化についても、災害はもとより温暖化が農作物の生育に与える影響なども考えれば、ただ単に国任せとするだけでなく、自治体としてのビジョンを持って、長期的に対策に取り組む必要があります。

そのほか、観光振興についても、ここまで国際化が進んだ社会においては、外国人を中心にした観光、外国人に喜んでいただけるおもてなしといったことを考えなければなりません。

自治体としては、今、世界が大きく動きつつある中で、日本として、あるいは地域として、どのようなことをやっていけば良いのか、ということに常に思いを馳せる必要があります。

これからの地域の役割として、ただ単に厳しい時代を生き延びることだけではなく、日本をこれからどうして行けばいいのかという視点が必要ではないかと考えています。例えば、グローバル競争に打ち勝てるように企業が活動しやすい環境づくりを支援するなど、それぞれの地域が頑張ることによって、日本の競争力を高めることにつなげていくこともできるのではないかと考えております。

そして、中央集権の下で画一的な発想により国づくりを進めるのではなく、それぞれの地域の資源や特色を生かし、斬新なアイディアを競って発信・実施していくことで、国全体も元気になっていくのではないかと考えております。

いずれにしろ、閉塞感の漂う今の状況を打破するためには、前向きな発想の下でいろいろなアイディアを出し、積極的に取り組んでいくことが必要であります。中央集権の画一的な発想から地域主権の豊かでバラエティに富んだアイディアへと転換していくことが必要であり、権限や財源を国から地方へ移譲し、地域主権を確立することがなによりも急務であり、地方自治体が力を合わせて真の地域主権の確立に向けて力を尽くしてまいりたいと存じます。

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