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更新日:2017年2月27日

平成29年第1回定例会(知事提案説明要旨)

平成29年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。

(第1政運営の基本方針)

〔現下の社会経済情勢及び国の予算〕

最近の世界情勢をみますと、英国のEU離脱交渉問題や米国のトランプ新大統領の就任に伴う保護主義的な政策の動向などについて、その影響を懸念する声が広がるとともに、経済の先行きに対する不透明感が増大しております。

一方、我が国の経済情勢につきましては、安倍内閣のこれまでの取組みなどにより、雇用・所得環境の改善が続き、景気は緩やかな回復基調が続いておりますものの、地方や中小企業では依然として厳しさがみられ、また先行きについては、海外経済の不確実性などから予断を許さない状況にあります。

政府においては、こうした状況を踏まえ、デフレからの脱却と成長を確実なものとするため、一億総活躍社会の実現に向けた取組みや経済再生に直結する取組みに重点を置いた、過去最大規模の平成29年度予算案を編成したところであります。

〔本県の現状と課題への対応〕

県におきましても、こうした国の動向を踏まえ、地域経済の活性化に全力で取り組みますとともに、急激な人口減少や少子高齢化などに的確に対応し、茨城を日本や世界の発展に貢献できる県にしていきたいと考えております。

戦後70年余りが経ちましたが、陸・海・空の広域交通ネットワークなどの整備を着実に進めるとともに、企業誘致による産業の振興、雇用の確保などに取り組んできた結果、本県の経済や産業は飛躍的に成長し、我が国有数の県として大きく発展してまいりました。

近年、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故、さらには関東・東北豪雨などにより、県民生活や地域経済は大きな打撃を蒙りましたが、県民の皆様の英知と努力により、これらの災害からの復旧・復興も確実に進んできております。

しかしながら、急激な少子高齢化により、日本や本県を取り巻く社会経済情勢は大きく変化してきており、本県におきましても、昨年は人口の自然減少が1万人を超え、社会動態は7年ぶりに転入超過となりましたものの、東日本大震災以降、大幅な人口減少が続いております。

今後、本県が持つ豊かな自然や暮らしやすい気候風土、世界最先端の科学技術や高度なものづくり産業の集積、全国第2位の産出額を誇る農業、整備が進んだ広域交通ネットワークなどの優れた地域資源を最大限に活用しながら、地方創生や県総合計画に基づく「みんなで創る 人が輝く元気で住みよい いばらき」づくりを全力で推進し、本県のさらなる発展に努めてまいります。

次に、当面する県政の重要課題と対応について申し上げます。

第1は、東日本大震災及び関東・東北豪雨からの復旧・復興や災害に強い県土づくりの推進についてであります。

東日本大震災からの復興事業につきましては、引き続き、海岸や河川の堤防かさ上げ、緊急輸送道路の整備などに取り組み、復興・創生期間である平成32年度までに完了できるよう事業を実施してまいります。

また、東京電力福島第一原子力発電所事故による風評被害への対応につきましては、観光キャンペーンの実施による誘客促進などに努めますとともに、農林水産物については、徹底した放射性物質検査や販売促進キャンペーン等を実施し、消費の拡大を図ってまいります。

次に、関東・東北豪雨からの復旧・復興についてであります。

県有施設等の復旧事業は本年度内に全て完了する予定となりました。今後とも、ハードとソフト対策が一体となった「鬼怒川緊急対策プロジェクト」を平成32年度の事業完了を目指し、実施してまいります。また、社会全体で洪水に備える「水防災(みずぼうさい)意識社会」の再構築に向けた取組みを進めてまいります。

次に、防災体制の充実強化についてであります。

先般策定した「茨城県国土強靭化計画」に基づき、大規模災害に対しても生活の安全を確保し、安心して暮らし続けられる社会の実現を目指し、各種施策を総合的かつ計画的に推進しますとともに、浸水被害の軽減を図るための総合治水計画の策定を進めてまいります。

また、大規模災害発生時に被災市町村へ災害対応支援チームを速やかに派遣するための体制づくりに取り組みますとともに、支援物資を迅速かつ効率的に提供するため、タブレット端末等を活用して物資の管理や情報共有ができるシステムを新たに構築してまいります。

さらに、住民自らが適切な避難行動を学ぶためのモデル事業を実施するなど「逃げ遅れ住民ゼロ」に向けた取組みを進めてまいります。

第2は、地方創生の推進についてであります。

地方創生の推進につきましては、「茨城県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる「本県における安定した雇用の創出」など4つの基本目標のもと、国の地方創生交付金などを活用しながら、様々な事業を着実に実行しているところであります。

定住人口の確保につきましては、企業誘致や最先端の科学技術を活用した新産業の創出、創業や中小企業の競争力の強化などを進め、魅力あるしごとの創出に取り組んでまいります。

また、東京圏等からのUIJターンや移住・二地域居住の促進、DMO(ディーエムオー)による観光地域づくり、つくば霞ヶ浦りんりんロードの活用などによる交流人口の拡大に取り組んでまいります。

また、「いばらき出会いサポートセンター」による結婚支援や保育所の整備促進など、結婚から妊娠・出産・子育てまでのライフステージに応じた支援を総合的に推進してまいります。

さらに、市町村と連携し、地域公共交通や生活支援サービスの維持・確保を図るなど、人口減少・超高齢社会におけるまちづくりなどに取り組んでまいります。

今後とも、市町村はもとより、関係機関との連携を図りながら、全庁を挙げて地方創生に取り組み、本県のさらなる発展に努めてまいります。

第3は、「みんなで創る 人が輝く元気で住みよい いばらき」づくりについてであります。

地方創生の推進に加え、誰もが安全・安心、快適な生活環境のもとで、個性や能力を発揮しながら主体的にいきいきと活躍できる社会づくりに積極的に取り組んでまいります。

まず、「人が輝くいばらき」づくりについてであります。

資源小国である我が国が今後とも世界で確固たる地位を占め、将来にわたって大きく飛躍していくためには、個性や能力を発揮し、いきいきと活躍できる人材を社会全体で育てていくことが何より重要であります。

このため、子どもたちの自主性・自立性の育成、学力の向上などに努めますとともに、女性や若者がいきいきと活躍できる環境づくりを進めてまいります。

次に、「活力あるいばらき」づくりについてであります。

本県が将来にわたり活力を維持・発展させていくためには、企業誘致や産業の競争力の強化などを通じて、働く場をしっかりと確保しますとともに、人・もの・情報の交流を活発にしていくことが重要であります。

このため、広域交通ネットワークの充実などに取り組みますとともに、企業誘致や創業、中小企業の競争力強化などを支援してまいります。

また、最先端科学技術の拠点づくりや、農林水産物のブランド化、国内外からの観光誘客などを進めてまいります。

次に、「住みよいいばらき」づくりについてであります。

団塊の世代すべてが75歳以上となる2025年を展望し、地域における効率的かつ質の高い医療・介護サービスの提供体制を整備するため、昨年12月に策定した「茨城県地域医療構想」に基づき、病床機能の分化・連携を推進しますとともに、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築などに取り組んでまいります。

また、持続可能な社会の構築を図るため、県民総ぐるみの地球温暖化対策を実施してまいります。

第4は、改革の推進についてであります。

本県では、平成7年度以降、6次にわたる行財政改革大綱を策定し、行財政改革を積極的に進め着実な成果をあげてまいりましたが、今後とも、県政を取り巻く環境の変化に的確に対応していくためには、行政の質をさらに高める改革の推進が不可欠であります。このため、平成29年度から平成33年度までの5年間を推進期間とする第7次行財政改革大綱を策定し、時代の変化に対応する県庁への進化、市町村や民間等と連携した行政運営などに全庁一丸となって取り組んでまいります。

次に、野鳥における鳥インフルエンザの発生状況についてご報告申し上げます。

昨年12月以降、県内で野鳥への鳥インフルエンザウイルス感染が相次いで確認されました。先月25日以降新たな感染は確認されておりませんが、引き続き野鳥監視重点区域における野鳥の監視を強化しますとともに、被害が家禽(かきん)に及ばないよう消毒を徹底するなど、蔓延防止に取り組んでまいります。

(第2算の全体像)

次に、予算について申し上げます。

平成29年度の国の一般会計予算の総額は、97兆4,547億円で対前年度比0.8パーセントの増、また、政策経費である一般歳出は58兆3,591億円で対前年度比0.9パーセントの増となっております。一方、地方財政計画における歳出総額は、86兆6,198億円で、対前年度比1.0パーセントの増となっております。

本県の平成29年度当初予算につきましては、こうした国の予算や地方財政計画の状況などを踏まえながら編成いたしました。

まず、来年度の財源見通しであります。県税収入につきましては、企業収益の回復などを見込み、28年度当初予算に比べ、0.8パーセント、28億円増の3,723億円と見込んでおります。

また、地方交付税につきましては、震災復興特別交付税の増を見込み、28年度当初予算に比べ、0.2パーセント、3億円増の1,914億円と見込みますとともに、臨時財政対策債については、42億円増の662億円を計上いたしました。

一方、歳出につきましては、事務事業全般にわたり徹底した削減に取り組みますとともに、先に申し上げました、県政の重要な課題に取り組むための施策などに重点的に予算を配分いたしました。

一般行政費につきましては、少子化対策や教育の充実などに重点を置きながら必要な額を計上いたしました。また、公共事業につきましては、東日本大震災や関東・東北豪雨からの復旧・復興関連事業や国体開催に向けた道路整備などに取り組むための予算を計上し、特別会計及び企業会計を含む全体で対前年度比8.8パーセントの増となる1,190億円を確保したところであります。

この結果、平成29年度一般会計予算の総額は、前年度当初予算に比べ、0.8パーセント、90億円減の1兆1,117億6千6百万円となったところでありますが、東日本大震災関連事業費を除いて比較しますと、前年度当初予算と同規模となっております。

また、特別会計は12件で、総額2,882億4千4百万円、8.8パーセントの増、企業会計は6件で、総額1,143億4千3百万円、1.8パーセントの増となっております。

(第3な施策)

次に、平成29年度の主な施策について申し上げます。

第1は、「人が輝くいばらき」づくりについてであります。

 

(自主性・自立性を身に付け生きる力を育む教育の推進)

まず、就学前教育・家庭教育の推進についてであります。

自主性・自立性に富み、強くたくましく生きる力を備えた子どもたちを育てるためには、生涯にわたる人格形成の基礎を培う乳幼児期からの家庭教育や就学前教育が極めて重要であります。このため、訪問型の家庭教育支援など市町村における家庭教育推進体制の構築を支援しますとともに、保護者が主体的に子どもの教育に取り組めるよう、親の学びや家庭のルールづくりなどの支援を通じて、家庭教育の充実に取り組んでまいります。また、保幼小の接続カリキュラムの策定等を通して、就学前教育の質の向上や保幼小連携・接続の推進を図ってまいります。

次に、確かな学力の向上についてであります。

小学生と中学1年生で実施している本県独自の少人数教育を中学2年生まで拡充し、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導を行ってまいります。また、「学びの広場サポートプラン事業」を引き続き実施し、基礎的な学力の定着を図ってまいります。

県立高等学校等におきましては、引き続き、習得した知識・技能を活用して、思考力・判断力・表現力など社会で生き抜く力を育成しますとともに、大学入学者選抜改革を見据え、教科融合型の問題に対応した取組みを進めてまいります。

さらに、科学技術の集積地という本県の特色や小学校高学年における理科教科担任制を活用し、理数教育を推進しますとともに、小学校における英語の教科化などを見据え、小・中・高等学校のそれぞれの段階で実践的なコミュニケーション能力を身に付けるための言語活動や、国際的な視野の養成を図る取組みを進めるなど、国際教育に引き続き力を入れてまいります。

特別支援学校につきましては、児童生徒の急激な増加に対応し、伊奈特別支援学校の校舎の増築、石岡市の旧八郷南中学校を活用した新校の整備を進めますとともに、通学時における児童生徒の負担軽減等を図るため、スクールバスの増車や介助員の複数配置に取り組んでまいります。

また、特別な教育的支援が必要な子どもが在籍する小・中学校などへ医師や大学教授などの専門家を派遣するなど、特別支援教育の充実に引き続き努めてまいります。

道徳教育につきましては、小学校及び中学校における道徳の教科化に向け、教員の指導力の向上に取り組みますとともに、本年度から高校2年生で実施している、実際に行動へ移せる道徳的スキルを身に付ける学習などを引き続き進めてまいります。

次に、私立学校につきましては、教育条件の維持向上などを図るため、高等学校や幼稚園等の運営費に対する助成を拡充しますほか、高等学校等における保護者の経済的負担を軽減するため、授業料に加え、新たに入学金の減免措置を講じてまいります。また、幼稚園等における教育体制の充実を支援するなど、私学教育の振興に努めてまいります。

(一人ひとりが尊重され活躍できる社会づくり)

次に、女性がいきいきと活躍できる社会づくりについてであります。

「いばらき女性活躍推進会議」を中心に、市町村や企業のトップを対象としたセミナーの開催、ポータルサイトによる優良企業の取組み事例の情報発信などに取り組みますとともに、様々な分野で働く女性のネットワーク化を進めてまいります。また、女性が働きやすい職場環境づくりに取り組む中小企業を支援しますとともに、女性専用の共有オフィスを設置するなど、女性の創業を支援してまいります。

次に、若者の挑戦を支える社会づくりにつきましては、引き続き、若者らの団体による地域の課題解決に向けた取組みや、国際交流を通じた活動を支援するなど、茨城の未来を担うリーダーの養成に取り組んでまいります。

(文化・スポーツの振興)

次に、文化の振興につきましては、小・中学生が質の高い文化芸術に触れる機会を提供する子ども文化芸術大学の開催による人材の育成に取り組みますとともに、本県の文化振興のモデルとなる企画を公募し、県と共催して実施していくなど、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを見据えた取組みを進めてまいります。また、来月新たに「茨城県文化振興計画」を策定し、文化振興のための施策を総合的に推進してまいります。

また、国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会につきましては、引き続き、市町村と連携し、競技会場等の施設整備を進めますとともに、宿泊及び輸送・交通対策、運営ボランティアの募集、県民運動を通じた気運の醸成などに取り組んでまいります。

さらに、スポーツ専門員の雇用や強化指定制度の充実、競技団体との連携などを図りながら、競技力の向上に努めてまいります。

また、東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、市町村が行う事前キャンプ誘致に係る経費を新たに支援するなど、競技会場や事前キャンプの誘致を積極的に進めますとともに、関連イベントの実施等により関係国との交流を促進してまいります。

第2は、「活力あるいばらき」づくりについてであります。

(人・もの・情報が活発に行き交う交流社会づくり)

まず、陸・海・空の広域交通ネットワークづくりについてであります。

圏央道につきましては、昨日、県内全区間が開通となり、東関道水戸線から東名高速道路までが繋がりました。これまでの東京を中心とした放射型の人や物の流れに、新たに環状型の流れが加わることにより、利便性の向上はもとより、企業立地による働く場の確保や観光客の拡大などにつながるものと期待しております。

また、東関道水戸線につきましては、鉾田インターチェンジから茨城空港北インターチェンジまでの区間が来年度中に開通する予定となっております。

次に、港湾事業につきましては、茨城港日立港区において、船舶の大型化や東京ガスのLNG基地拡張などに対応するため、来年度中の完成を目指し、引き続き第3ふ頭地区の水深12メートル岸壁の整備などを進めますとともに、常陸那珂港区においては、中央ふ頭地区の水深12メートル岸壁2バース目の整備を促進するなど、港湾機能の強化を図ってまいります。また、常陸那珂港区及び鹿島港において、コンテナ貨物の集荷促進のための支援を拡充し、利用の促進に努めてまいります。

茨城空港につきましては、国内線において、来月26日から札幌便が1日2便に増便されるほか、那覇への直行便が運航されることとなりました。また、国際線のチャーター便につきましては、来月18日から20日にかけて、ジンエアーが本年度3回目となる茨城と韓国済州(チェジュ)間を、また、来る5月4日から7日にかけて、ファーイースタン航空が茨城と台北(タイペイ)間を運航することとなりました。

今後とも、利用者の拡大による路線の定着及び充実に取り組みますとともに、可動式のエプロンルーフを整備するなど、空港の利便性向上に努めてまいります。

次に、観光の振興につきましては、DMO(ディーエムオー)による観光地域づくりや民間宿泊施設が行う施設整備への支援など、受入体制の充実に取り組みますとともに、NHKの連続テレビドラマ「ひよっこ」を活用したPRや金融機関等と連携した北関東三県観光フェアの開催などにより、観光客の誘致促進に努めてまいります。

また、海外の旅行博でのプロモーションやモニターツアーの実施などにより、増加する外国人観光客の本県への誘客促進を図ってまいります。

次に、国際政策の推進につきましては、引き続き、ベトナムなど海外との交流の拡大、外資系企業を誘致するための情報発信の強化などの施策を総合的に推進しますとともに、海外への販路開拓員の配置や展示会への出展、現地バイヤーの招へいなどにより、県産品のPRや販路拡大などに取り組んでまいります。

(日本の発展をリードする力強い産業づくり)

次に、企業立地につきましては、引き続き全国トップクラスの実績を挙げているところであり、昨年はファナック株式会社やアイリスオーヤマ株式会社など日本有数の企業に立地いただいております。今後とも、圏央道の県内区間の全線開通など、本県の優れた事業環境や立地優位性をPRしながら、積極的に企業誘致に取り組んでまいります。また、圏央道沿線市町が行う産業用地の確保や企業誘致を積極的に支援してまいります。

次に、ものづくり産業の活性化についてであります。

県内の産学官を結集した「いばらき成長産業振興協議会」の活動を通して、新技術や新製品の開発支援、大手企業等への技術提案などに取り組みますとともに、工業技術センターに設置した模擬スマート工場を活用し、中小企業へのIoT(アイオーティー)やロボット等の導入を促進するなど、企業の競争力強化を図ってまいります。

また、地域経済をけん引する中核企業の育成やベンチャー企業の営業力強化などに取り組み、生産性の向上や経済的基盤の強化を図ってまいります。

商業の振興につきましては、商店街の課題解決のため、大学等の研究機関による実態調査などを実施しますほか、商店街の活性化や中心市街地の賑わいづくりのため、引き続き商店街活性化コンペ事業により地域ならではの取組みを支援してまいります。

また、県制度融資の金利を引き下げますとともに、創業や新分野進出、設備投資等のための融資に信用保証料の助成を行うなど、中小企業への金融支援を拡充してまいります。

次に、雇用につきましては、福祉や製造業等の人手不足分野における人材の育成・確保や、情報通信など成長分野における正規雇用化を促進するため、研修と雇用が一体となった事業を実施してまいります。また、東京圏等からのUIJターンを促進するため、都内における合同就職面接会等の開催、大学生の保護者を対象とした地元就職セミナーの開催などに取り組み、本県への人材の定着及び還流に努めてまいります。

 

(科学技術を活かしたイノベーションの推進)

次に、科学技術の振興につきましては、「科学技術振興指針」に基づき、つくばに集積する最先端の科学技術を活用した医療・介護機器の研究開発や製品化、研究開発中のロボットの実用化及び利用促進を支援してまいります。

また、水素社会の実現に向けた取組みとして、家庭用燃料電池「エネファーム」の普及拡大を図るなど、「科学技術イノベーション立県いばらき」の実現に向けた取組みを進めてまいります。

さらに、G7茨城・つくば科学技術大臣会合の成果を踏まえ、科学技術に関心を持つ女子中高生等を対象としたシンポジウムや「科学の甲子園ジュニア全国大会」を開催するなど、科学技術を担う人材の育成に取り組んでまいります。

(農林水産業の成長産業化)

次に、農業につきましては、平成27年の農業産出額が8年連続で全国第2位になるとともに、平成28年の東京都中央卸売市場における本県産青果物の取扱高も13年連続で日本一となりました。

引き続き、「茨城農業改革大綱」に基づき、ブランド化や6次産業化、輸出などに取り組む革新的な産地づくりを進めますとともに、大手食品企業等とのマッチングによる販路の拡大、担い手への農地の集積・集約化などを推進してまいります。また、農業経営や栽培技術など幅広い学びの場を提供する「いばらき農業アカデミー」を開設し、経営感覚に優れた経営体の育成などに取り組んでまいります。

畜産については、雌牛(めすうし)の導入に要する経費を支援しますとともに、新たなブランド豚肉の確立に向け系統豚(けいとうとん)の生産体制の整備を進めるなど、畜産経営体の収益性向上に努めてまいります。

また、イノシシなどの野生鳥獣による農作物被害を防止するため、捕獲活動や電気柵の設置などに対する支援を拡充してまいります。

林業につきましては、森林湖沼環境税などを活用し、引き続き、間伐等の森林整備を進めますとともに、主伐と再造林の推進のため、低コストの植栽方法を検討するモデル事業などに引き続き取り組んでまいります。また、海岸防災林の松くい虫被害対策、県民参加の森づくりなどを進めますとともに、県産木材の利用を一層促進するため、住宅のリフォームや公共性の高い民間施設の木造化などの取組みを新たに支援してまいります。

水産業につきましては、水産物フェアやプレゼントキャンペーンなどを展開し、本県水産物のイメージアップと消費拡大に努めますとともに、漁業の競争力強化を図るため、漁業近代化資金の融資枠を拡大するなど、高品質な水産物を供給する力強い茨城水産業の確立を目指してまいります。

(県北地域の振興)

次に、県北地域の振興についてであります。

県北地域の活力を維持していくためには、定住人口の確保とそれにつながる交流人口の拡大が極めて重要であります。

定住人口の確保のためには、働く場の確保が重要となりますので、地域資源を活用した新たなビジネスの創出や中小企業の販路開拓、技術力の向上等を支援してまいります。また、実際の生活や就労などが体験できる「お試し居住」の機会を提供してまいります。

交流人口の拡大については、温泉などを活用した観光振興や教育研修旅行の積極的な誘致に加え、親子向けの宿泊・自然体験ツアーや、高萩スカウトフィールドを活用した地域住民との交流イベントなどを実施してまいります。

また、昨年、県北6市町を会場に開催いたしました「茨城県北芸術祭」につきましては、延べ77万6千人の方々にご来場いただくなど成功裡に幕を閉じることができました。県といたしましては、今回の芸術祭の成果を持続性のあるものとするため、6市町などとの連携を図りながら、アート作品の展示や交流イベントの開催に取り組むなど、引き続き県北地域の活性化に取り組んでまいります。

第3は、「住みよいいばらき」づくりについてであります。

(少子高齢化に対応した社会づくり)

まず、地域医療の充実につきましては、総合的な医師確保対策や救急医療の充実などに取り組みますとともに、地域医療介護総合確保基金を活用し、在宅医療の推進、介護施設等の整備、医療や介護従事者の確保などに努めてまいります。

医師確保につきましては、医師修学資金の貸与月額を引き上げますとともに、海外の医科大学の学生を対象に修学資金等の貸与制度を新たに設けるなど、医師の養成・確保ならびに定着に取り組んでまいります。また、今後とも、医師等の確保対策に重点的に取り組むため、新たに医療人材課を設置しますとともに、医療対策課を医療政策課と改め、地域医療構想等の推進と病院の整備・再編などを一体的かつ効率的に進めてまいります。

がん対策につきましては、市町村や企業が行うがん検診受診率の向上に向けた取組みを支援しますとともに、がん患者とその家族の居場所づくりや心身の機能回復を支援する事業を新たに実施してまいります。

少子化対策につきましては、保育所や認定こども園の整備促進、保育士等の処遇改善、離職した保育士等の復職支援による人材の確保などに取り組んでまいります。また、不妊治療に係る治療費について県単独の助成制度を設けますとともに、3歳未満の第2子に係る保育料を半額にすることとし、多子世帯の経済的負担の軽減に努めてまいります。

さらに、いばらき出会いサポートセンターにおける会員サービスの充実を図りますほか、結婚・子育てに関するポジティブ・イメージの醸成に努めてまいります。

また、生活困窮世帯の子どもに対する学習支援「いば・きら塾」の実施か所を拡充してまいります。さらに、児童養護施設の退所者等について、退所後のアフターケアを行う支援コーディネーターや相談員を配置しますとともに、継続して支援が必要な22歳までの入所者の生活費等を助成するなど、社会的自立を支援してまいります。

高齢者対策につきましては、地域包括ケアシステムの構築を進めますとともに、軽度認知障害を対象とした認知力アップの取組みや認知症疾患医療センターの基盤強化、徘徊高齢者の早期保護のための模擬訓練などの認知症対策、特別養護老人ホームや地域密着型介護施設などの介護基盤の充実を図ってまいります。

また、ヘルスロードの活用やシルバーリハビリ体操など県民自らが取り組む健康づくりの推進に努めますとともに、高齢者はつらつ百人委員会などにより、高齢者が自主的・主体的に仲間づくりや生きがいづくり等に取り組めるよう支援してまいります。

障害者対策につきましては、引き続き工賃向上に取り組む事業所を支援しますとともに、障害福祉サービス事業所などの整備や障害福祉分野における人材の確保、心身障害者の歯科診療設備への支援などに取り組んでまいります。

また、障害者スポーツの活動を支える指導者の育成、競技人口の拡大と競技力の強化などに取り組み、障害者スポーツの普及・定着を図ってまいります。

県立あすなろの郷につきましては、来年度上半期に予定されている検討委員会の結果を待って、速やかに建て替えに向けた基本構想の策定に取り組んでまいります。

(人にやさしい快適な生活環境づくり)

次に、地域公共交通の確保対策につきましては、今月4日から稲敷地域において広域路線バスの実証運行を開始したところでありますが、引き続き地域の交通事情に応じた路線バスの広域運行や公共交通空白地域の解消に向けた取組みを支援してまいります。あわせて、生活交通の維持確保や公共交通機関の利便性向上を図るため、企画課内の交通対策室を交通政策課として体制の強化を図ることといたしました。

また、日常生活を支えるサービスの維持が困難な地域において、買物支援や民間事業者と連携した見守りサービスなどに取り組む市町村等を支援し、地域の生活支援サービスの維持・確保に努めてまいります。

さらに、地方創生に資するため地域活動団体などが取り組む様々な活動を支援し、地域の活性化や、ともに助け合う社会づくりを進めてまいります。

動物愛護につきましては、飼い主や販売業者等への意識啓発などに努めますとともに、いわゆる地域猫の不妊去勢手術費用への助成や動物愛護団体等が新たな飼い主を探す活動への支援などを通じ、犬猫殺処分ゼロを目指してまいります。

(安全・安心な社会づくり)

次に、安全・安心な県民生活の確保につきましては、本年4月に神栖警察署を開署いたしますほか、つくば市内の2つの警察署を統合することとし、新たな警察署の整備を進めてまいります。また、ストーカー・DVなど人身安全関連事案をはじめとする喫緊の課題に的確に対応していくため、警察官を21名増員いたします。

交通安全対策につきましては、重大で悲惨な事故につながる飲酒運転の根絶や交通死亡事故が多発している高齢運転者の運転免許証の自主返納の促進を図りますとともに、歩行者保護や通学路の安全確保などの施策に総合的に取り組んでまいります。

次に、消費者行政につきましては、引き続き市町村の消費生活センターの機能充実等を支援しますとともに、インターネットを利用した取引形態の急速な普及などに対応するため、専門の弁護士による相談体制を整備するなど、消費者行政の一層の推進を図ってまいります。

(人と自然が共生する持続可能な環境づくり)

次に、地球温暖化対策につきましては、来月「茨城県地球温暖化対策実行計画」を改定し、年間を通じて省エネや節電などに取り組む「いばらきエコスタイル」を推進しますとともに、大規模事業所を対象とした専門家による助言や、中小規模事業所が行う省エネ設備導入に対する支援などにより、持続可能な低炭素社会の構築を目指してまいります。

霞ヶ浦の水質浄化につきましては、森林湖沼環境税を活用し、公募型の実証試験結果を踏まえた河川直接浄化施設の設置、レンコン栽培における環境負荷低減技術の実証、堆肥の流域外での利用促進など、生活排水対策や農地・畜産対策に取り組みますとともに、環境保全団体への支援や環境学習などを進めてまいります。

また、平成30年開催の第17回世界湖沼会議につきましては、市町村や関係機関、市民団体等との連携を図りながら、実施計画の策定に取り組むなど、開催準備に万全を期してまいります。

廃棄物の不法投棄対策につきましては、県境での固定式カメラによる監視などに加え、不法投棄監視のパトロールを強化するなど、未然防止と早期発見、早期対応に努めてまいります。

(第4例その他)

次に、条例その他について申し上げます。条例は、改正するもの25件であります。

主なものといたしましては、地域医療の充実に必要な医師の養成及び確保を図るため、修学資金の貸与月額を引き上げる「茨城県地域医療医師修学資金貸与条例の一部を改正する条例」などであります。条例以外の議案といたしましては3件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。

以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。

 

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〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2343

FAX番号:029-301-2369

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