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更新日:2016年1月5日

平成28年仕事始め式 知事あいさつ

平成28年1月4日

皆さん、あけましておめでとうございます。

すがすがしい新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

まず、昨年を振り返ってみますと、景気が回復基調にあると言われながら、なかなか地方や中小企業にとっては思うような状況にならない、そういう厳しい1年であったと思います。

特に、本県にとりましては、関東・東北豪雨が9月9日、10日に発生したわけでございまして、その対応に皆さん方にも大変ご尽力をいただきました。

常総市という比較的小規模な市ですから、これだけの災害には対応できないだろうということで、県も早速11日に職員を送り、そして現地対策本部を設け、一番多い時には115人の県職員を派遣して、被災程度の判定、あるいはまた、公的住宅の配分、さらには、災害廃棄物対応等々、広範囲にわたって皆さん方に活動していただいたところであります。

また、一方では,河川の緊急復旧をどうするか、道路をどうするか、あるいは農業被害にどう対応するかなど様々な面で県本来の仕事もあったわけです。通常の仕事をこなしながらのこういった活動のために、皆さん方には大変なご苦労をおかけしたわけでして、改めて感謝を申し上げますとともに、これから、まだまだ被災者への対応という仕事が残っておりますし、復旧につきましても本番はこれからという感じがしていますので、よろしくお願い申しあげます。

一方で、県にとりまして明るい話題もたくさんあったところです。

一つには、平成24年度の1人当たり県民所得が全国で4番目になりました。4番目というと上に3つしかないわけで、東京都、愛知県、静岡県、その次が茨城県です。これまでで一番上位になったわけですが、この素晴らしい結果も、県民あげて、あるいはまた、県職員が一生懸命頑張ってきたからにほかならないのではないかと思っております。

幸い、昨年上期の工場立地件数、工場立地面積等々についても、平成25年、26年に続いて全国1位となることができました。あるいはまた、農業産出額につきましても7年連続2位となり、北海道を別格としますと、実質的に日本一の生産額を確保することができたところです。

また、弘道館、偕楽園が日本遺産に認定される、あるいは涸沼がラムサール条約の登録湿地になるといったこともありました。

さらに、今年の5月には、G7茨城・つくば科学技術大臣会合がつくばで開催されることになりました。これについても、これまで、つくばにハイレベルの会合を誘致しづらかったのですが、ホテルのスイートルームを、地方創生の枠の中で県が整備費を補助することで、一定程度確保できた。これによって実現できたわけでして、しっかりとこの対応をしていかなければいけないと思っております。

あるいは世界湖沼会議についても、茨城で2回目の会議を開けることになりました。前回は、世界湖沼会議としては初めて、それまでの研究者中心の会議を、やはり地域の人達が一丸となって浄化に取り組まなければ実際の浄化はなかなか難しいだろうということで、市民参加型という新しいタイプの会議を導入したところであります。次の2回目の本県での会議でも、そういった点も踏まえながら、これまでの成果をしっかりと世界にアピールしていけたらと思っているところであります。

そして、そういう中で新しい年を迎えたわけですが、まず、今年は、鬼怒川関係の復興のためのプロジェクト、国、県、市が一緒になって、大部分は国ですが、総額600億円の大変大きな予算をつぎ込む復興プロジェクトになってまいります。あわせて、ハード面の整備だけではなく、ソフト面も一緒にやっていかなければこれからの災害への対応は難しいだろうということで、両面からの対応策を講じていくことにしているところです。

今回の水害の状況を見ておりまして、これまで50年に一度などと言われていた大雨などが、いつ起きてもおかしくない。MJO現象ということが言われていますが、そうした気象変動なども頻繁に起きているところでして、そういったことを踏まえながら、本当に災害に強い県土をつくる。あわせて、いくら県土が強くなってもそれで十分とは言えませんので、どうやって避難などを適切に行うか、そういうことが大変重要になってきているのではないかと思っております。

国でも、中央防災会議の中に、水害時の避難・応急対策検討ワーキンググループを設けたところでして、避難や応急対策をどうすればいいか、ハード面の整備はもちろん進めていくもののそれが早急にできるわけではないので、避難・応急対策をどうすればいいかということを検討するもので、私もそのメンバーになっています。いかにして、国民,県民の命を救っていくかということが大変大事ではないかなと痛感しているところであります。

そして、災害への対応に続いて大事なことは、やはり、今、どうやってデフレを脱却するかということであります。

国でも、先般、新しい3本の矢ということで、一億総活躍社会を目指しながら、GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロという的を定めたところであります。

そして、それに続いて、3.3兆円という大変大きな規模の補正予算を今国会に提案しようとしているところです。さらに、平成28年度当初予算では、過去最大の96.7兆円という予算が編成され、この中では、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円が確保されたところです。

こういった国の状況なども踏まえながら、県として何をやっていくか、しっかりと考え、取り組んでいかなければいけないと思っております。 

今年は、県総合計画、あるいはまた、男女共同参画基本計画等々、約20の計画・指針等が新しくなる年であります。こういった新しい計画・指針等に沿って県づくりを進めていくことはもちろん、先般、茨城新聞にも載っておりましたが、今、総合計画審議会の中では、イノベーション大県という言葉が提案されております。革新ということですが、科学技術というだけではなく、生活、産業、そういったあらゆる面で革新をしながら、社会や産業をリードしていく。そういう県になれたら大変素晴らしいのではないかと思っております。茨城県が、日本や世界を発展させていくための、小さな役割でもいいから、一つの役割を果たしていけるような県になっていければ、大変名誉なことではないかなと思っております。

そういう状況の中で、当面、何をやるべきか、ということですが、まち・ひと・しごと創生総合戦略を昨年10月30日に策定いたしました。これについては、もうご存じのとおりですが、若干解説をさせていただきますと、日本の地位は、私が知事に就任した頃は、1人当たりGDPが世界で第3位でしたが、今は27位にまで下がってしまっています。

また、一方で、人口減少が急激に進んでおり、このままでいくと、社会保障・人口問題研究所の推計では、2060年、今から約50年後には8,700万人まで減ってしまう。今、1億2,500万人ですから、大変な勢いで人口減少が起きてしまう。そこまでいってしまうと、日本としての活力が失われてしまうのではないかということで、国では、1億総活躍社会というものを打ち出したところであります。

この社会保障・人口問題研究所の推計では、本県におきましても190万人になるということであります。今、291万人ですから、約100万人減ってしまうと予測されております。国と同じような手法によって、50年後に少しでも元気な県をつくる。そういったことを目標に、人口ビジョンを策定しました。

この中では、国と同じような計算方法によれば223万人、そして、UIJターンなどの人口移動が、我々が想定しているような形で大変順調にいけば、241万人までになるという推計をさせていただいているところです。ただ、他の県の(人口ビジョンの)状況を見ましても、どこの県も、社会移動が均衡する、あるいはまた、自分のところに少し入ってくるような、そうした大変期待をしながらの計画を作っているところですが、全部の県がそうなるわけはないはずです。人口減少が大きな波としてあるマイナスサムの世界です。マイナスサムの時に、どうやって自分の地域をより良い状況に持っていくかということが大変重要になってくるわけであります。

国の総合戦略の中では、4つの方針が示されております。

一つは、安定した雇用の創出ということであります。これにつきましては、我々、企業誘致その他、一生懸命取り組んでまいりました。

日野自動車では、多分、今年の中頃過ぎから、本格的にこちらの工場が稼働するのではないかと思っております。そうなりますと、2千人を超えるような規模での移動が起きてくるのではないかと大いに期待をしているところでありまして、こちらへ来られる方々に、どのようにして少しでも喜んでもらえるような体制で受入れをするかということも、大変大事になってまいります。

あるいは圏央道です。若干遅れましたが、来年度内には開通するという方向が出されています。これも茨城にとっては大きな経済活性化の引き金になってくれるのではないかと思っております。各市町村でも、いろいろと工業団地の造成等に取り組んでいただいており、引き合いは、かなりいい形で来ています。これを、県も一緒になって実現していくということは、大変重要と思っております。

常陸那珂港区中央ふ頭についても、-12m耐震強化岸壁が年度内、間もなく完成してくるわけでございますし、さらにその先に岸壁をもう一つ造るという計画も進んでいます。

さらに、ソフト産業といった面でも少しずつ動き始めているのかなという感じを持っております。

そういった企業誘致などをはじめとして、どういうかたちで雇用を創っていくかということですが、やはり、科学技術の活用ということも大事ですし、中小企業の振興、これが数的には結構大きな職場の数になってまいります。今、成長産業振興協議会で、5分野について、どうやれば現在求められているような技術を身に着け、大企業などの注文に応じていけるかという研究をしてもらっているところですが、成長産業というものをどうやってより多く創り出して、本県の中小企業の競争力を付けていくかということが、大変大事だろうと思っております。

また、あわせて輸出の拡大、これにつきましても輸出拡大支援員といういう制度を作って、今、積極的に取り組んでいるところであります。

あるいは科学技術の活用による新産業、新事業の創出もございます。これにつきましても、先般の新聞等でご承知のことと思いますが、山海先生のHALについて、限られた病気に関してではあるものの、医療機器としての承認もなされました。これに健康保険の適用がなされれば、爆発的に需要が増えてくるのではないかと期待をしているところです。

さらにBNCTについても、間もなく東海村のいばらき中性子医療研究センターで臨床研究に入っていってくれるのではないかと期待をしております。

そういったこととあわせて、もう一つの大きな柱として、農業がどうなっていくかがあります。残念ながら少子・高齢化のなかで、国内需要については減少傾向にあります。そしてそこにTPP大筋合意がなされたわけでして、大変厳しい局面が予想されます。しかしそれを打ち破って、日本の農業をリードしていく、そういう役割を、そしてまた可能性というものを、茨城は持っているのだろうと思っております。国でも、攻めの農業ということを打ち出しております。安全・安心・高品質ということは当然ですが、それに加えて、消費者のニーズを先取りしたようなことをやっていく、あるいはまた、付加価値の高い農業を作り上げていく、六次産業化はその典型であります。

そして、輸出につきましても、もっともっと積極的に取り組んでいく必要があるのだろうと思っております。ベトナムで開かれた列国議会同盟では1,700人の参加、あるいは独立記念式典では700人の参加、ここで全員に常陸牛が提供されております。大変素晴らしいことで、これだけの数の常陸牛が提供された、国内産牛が提供されたというのは、多分、ほとんどないのではないかなと思っておりまして、大変ありがたく思っているところです。また、下妻市などを中心に、梨の輸出などが積極的に進められております。大変高品質なものを消費してくれる、そういう階層が育っている、マレーシアやタイといった国を目標(の輸出先)にして、一生懸命にそれぞれが努力をしているところでありまして、県も一緒になって精一杯頑張っていかなければいけないと思っております。

さらに観光振興であります。先般、横浜の知人から手紙が来ました。自分の友達が九州に住んでいて、その友達が、茨城に4泊5日の旅行をしてきたという手紙が来たと(いうことでした)。茨城で4泊5日も観るところがあるのだろうかと横浜の人は思ったそうですが、現実的には九州の人は、とてもゆとりのあるかたちで日程を組んで、茨城で4泊5日の旅を楽しまれているわけです。なかなか県民が十分に分かっていないような良さ、県の職員もよく分かっていないような良さというものを認めてもらったような感じがして、大変嬉しかったわけであります。

今度、観光マイスター制度などもスタートしました。是非、皆さん方には、それぞれが茨城の良さというものを少しでも見つけ出して、たくさん見つけ出して、周りの人に広めていただければ大変ありがたいと思っております。郷土検定ということで、子どもたちはかなり勉強しています。ひょっとしたら子どものほうが県内のことを良く知っているということになってしまいかねませんから、県の職員は、是非、少なくとも県の良さというものについて、より積極的に理解をしてもらえたらありがたいなと思っております。

先程、観光マイスターと言いましたが、もちろんまだまだ、おもてなしその他不十分な面もあります。昨年末も、他の県から結婚してこちらに来たという、ある奥様と話をする機会がありました。最初に来たときは、本当に、何でこんなに怒られるのかと思ったとか、あるいはまた、この方は関西から来た方なのですが、(本県の方は)なかなか本音をしゃべってくれないので、自分で少しオーバー気味に自分の気持ちなどを言うと、とんでもない結果になって自分のところに跳ね返ってくるというようなことも言っておられました。いったん飛び込んで溶け込んでしまえばいいのですが、飛び込む前というのは、他の県から来た方にとってはなかなか厳しい感じもするようですので、そういったことなどについても、少しずつではありますが、皆で直せるように努力をしていかなければいけないのではないかなと思っております。

こうしたことも含めて、観光面ではこれからやるべきことがたくさんあるのですが、特に目覚ましいのは海外(からの)ツアーでありまして、平成27年の4月から10月までで、約800件の海外ツアーが茨城を訪れております。それまで、例えば平成25年度ではたった3件です。いかに多くなってきているかということでありまして、これを、爆買いも含めてどのようにして自分たちの地域にとっていいかたちにもっていけるか、取り込めるかということを、もっと積極的に取り組んで行かなければいけないと思っております。

特に茨城空港につきましては、ご承知のとおり今度杭州便も月末に運航するところですし、さらには免税店も2階に新しくできました。そしてあわせて、税関も常駐してくれるようになります。これから相当便数が増えてくるのではないかと期待をしているところでありまして、便数が増えるのとあわせて、どうやってその方たちを県内に取り込むかということに、より重要になってまいります。そういった点でも、皆さん方にいろいろと知恵を絞ってもらえたらと思っております。

こういう形で、「安定した雇用の創出」という点では、本県は大変いい立場にあるのだろうと思っております。ただ一方で、労働力不足ということが多くの分野で起き始めております。農業ももちろんですが、製造業、建設業、福祉産業などもそうです。いろいろな分野で労働力不足が起きている。事務職などについては、勤めたいけどいい職場がない人がたくさんいるわけですが、トータルとしてみれば労働力不足がこれからますます厳しくなってくるものと思われます。これにどう対応していくか。それも大変大きな課題ではないかと思います。

「新しいひとの流れをつくる」というのは、総合戦略の二つ目の大きな目標でありますが、この「新しいひとの流れをつくる」のにも、今のことが関係してくるのかなと思っております。

例えば、県内の高校生が大学に進学する時に、県内の大学に進む人は2割弱です。全国平均で32~33%ですから、県内に進学する学生の割合はかなり低い。そして、就職するときに県内へ戻ってきてくれるかというと、それもなかなか思うようではない。特に女性の方は「都会への憧れがある」という項目にマルをつける人が大分おりました。そういうこともあって、これからどうやって本県で高校までを過ごした若者を地元にまた呼び戻せるかということも、大きな課題になってまいります。

そして、県内の大学の卒業生のうち県内に就職する人は4割です。これも、少しでも県内にとどまってもらえるように、もちろん、彼らが望むような職場をつくっていかなければいけませんが、なかなか県内にどういう職場があるかということを、一般の学生は知る機会も少ない。そういった点でも、もっともっと徹底して活動をしていかなくてはいけないのではないかと思っておりまして、「大好きいばらきUIJターン・定着応援“くらぶ”」というものを、70の大学と県内の3産業支援機関、そして県などが一緒になって立ち上げたところです。県内の企業はどういうところがあるのか、あるいは大学生は県内出身に限らずどういう職場を求めているのか、そういった情報の交換を行っていきたいと考えているところであります。

まずは、どうやればUターンをもっと積極的に促進していけるのかということを取り組んでいかなければいけないと思います。さらに、東京で、いばらき暮らしサポートセンターも今年度立ち上げました。Iターン、あるいは他県の出身者で東京の大学へ行って、就職でこちらへ来てもらうJターンになるかも知れませんが、UIJターンをどうやって少しでも増やしていくかということが、大きな課題なのではないかと思っております。

幸い、二地域居住、あるいはお試し居住体験といった形で、いろいろと本県に関心を持ってくれる人も出始めているので、こういった形をいかにして広げていけるかということが課題だろうと思っております。

交流人口の拡大という意味では、県北では特に教育・研修旅行に力を入れていますが、この数が平成20年は600人だったのが、平成26年には18,000人にまで増えております。かなり人数は多くなってきています。

さらに「新しい人の流れをつくる」という点では、今度の地方創生事業の中で、県北芸術祭、あるいは水郷筑波サイクリングロード、こういったものを実施していくことにしております。

茨城県北芸術祭は、5市1町を中心にして、現代美術でありますが、世界でも一流の方たち、あるいは外国の方たち、そういった人たちとの交流も含めて盛大に展開していきたいと思っております。

他の地域で(同じような事業を)新しく始めるところもかなり出てまいりますので、競争が厳しいものがあると思いますが、茨城県は先ほど申し上げたようにいろいろな点で大変可能性に富んだ地域でありますから、それを十分に知ってもらういい機会でもあります。ぜひこうしたものをきっかけに、多くの人が来てくれるように対応していきたいと思っております。

また、水郷筑波サイクリングロードにつきましては、つくばりんりんロードと霞ケ浦自転車道をつなぐものです。サイクリングは今大変ブームであります。外国からのお客さんでさえ、日本に来てサイクリングをするような状況でありますから、こうしたものを取り入れない手はないわけでありますし、東京からも近い、大変いい条件に恵まれている、景色もきれいなわけでありまして、山と湖を一緒にサイクリングできる大変素晴らしい環境ではないかと思っております。

それからその次に、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」という目標が挙げられております。これにつきましては、若者の雇用の安定と経済的自立がもちろん第一になるわけですが、それに加えて、どうやって少子化対策を講じていくかが大変大きな課題ではなかろうかと思っております。

出会いサポートセンターは、行政がやっているものとしては結構うまくいっていると思っておりますし、まもなく成婚数が1,500組になります。マリッジサポーターももうすぐ1,000人になります。これで全てがまかなえるというわけではありませんが、そういった方たちが活動して、景気づけといいますか、(結婚についての)関心を高めるという意味でも、大いに役に立っているのではないかと思います。

もちろん、子どもたち、あるいは妊産婦を応援するための医療費の助成等々も拡充してまいりたいと思っておりますし、保育所の整備もしていかなくてはいけないと思っております。ただその中で、内閣府の意識調査で、若者の3割が「結婚しなくても良い」と思っているという結果が出ております。これは大変大きな問題でありまして、3割が結婚しないと他の人が何人子どもを産めば(合計特殊出生率が)2.07になるのか、計算してみればすぐ分かるわけであります。どうやってこういった人たちにも結婚・家庭の良さを知ってもらうか、ポジティブキャンペーンをもっともっと政府をあげて取り組んでいかなければいけませんし、私どもも積極的に行っていかなければいけないと思っております。

それから、4番目に「時代にあった地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」という目標が挙げられております。

私はこの中で、特に地域公共交通により力を入れて行かないと、高齢者が多くなる地域で、なかなか日常生活を営んでいくことが厳しくなってくるのではなかろうかと思っております。

農協とか生協とか郵便局とか、ユニバーサルサービス的なものを提供する組織はありますが、それだけではとても十分ではないわけです。地域社会を維持していくために、小さな拠点といったことも盛んに言われておりまして、美浦村が日本で第一号として今スタートしようとしております。どんな地域に住んでいても日常生活をきちんと安心して営んでいける、そういう社会をつくっていくことが大事なのではなかろうかと思っております。

時間がなくなってきましたが、「住みよいいばらきづくり」とか、あるいは「人が輝くいばらきづくり」、地域医療の充実、高齢化対策、あるいは確かな学力の確保、理数教育・国際理解教育への重点化などは、これまでに続いてこれからもやっていかなければいけないと思っております。

高齢化対策では、シルバーリハビリ体操指導士が7,000名を超しましたが、「第4回健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣優秀賞を受賞いたしました。地道にやってきたことが認められたのかなという点で大変ありがたいと思いますし、このシルバーリハビリ体操については、先般の関東・東北豪雨の際の避難所でも実施をしていただいたところであり、他の県でも同じようなシステムを導入するところも大分増えてきております。出会いサポートセンターと並んで、私どもの試みが他の県にも広がっていったいい例ではないかと思っております。

そのほか、教育の面では,先ほど申し上げたことに加えて、道徳の授業を、平成28年度から県立高校2年生でも実施することになっているところでございます。道徳教育について先鞭をつけてきた茨城県として、ぜひとも2年生まで拡大して、大変素晴らしい道徳教育を行っているということを他の県にも見せていただけたらと思っております。

さらに、文化振興条例が先般成立をいたしました。県庁の入り口(2階玄関ホール)を見ていただければご承知のとおり、板谷波山先生と横山大観先生の銅像が建っているところであります。こういった県は多分なかなかないのではないかと思っておりまして、二大巨匠を生んだ県でもありますし、そのほかにも野口雨情をはじめとする様々な方たちを輩出しております。こうしたこれまでの歴史、伝統を誇りに思いながら、文化振興条例を基にしながら、しっかりと本県の芸術文化の発展を導いていければ大変素晴らしいのではないかと思っております。

一昨年、「世界に開かれたいばらきづくり」と「女性が活躍できる社会づくり」、「県北地域の振興」を(重点施策として)申し上げました。

「世界に開かれたいばらきづくり」では、先ほど申し上げましたが、2年前と今とでは状況が大きく変わってきていると思います。そして、G7茨城・つくば科学技術大臣会合でありますが、これも、茨城、つくばを世界に知っていただく大変良い機会ではないかと思っております。つくばの関係者だけで朝永先生含めて4人のノーベル賞受賞者がおります。これは多分今までの科学技術大臣会合が開かれたところでは初めてのことではないかなと思っています。海外の方にここから4人のノーベル賞受賞者がいるのですよというだけでびっくりされます。

そうした大変素晴らしい地であることを、世界の人々に知ってもらうのと合せて、高校生によるハイスクールサミットもやっていきたいなと思っております。つくばの科学技術を世界に知ってもらうのとあわせて、若い皆さんに科学に関心を持たせるといった点でも大事な会合になってくれるのではないかと思っております。

それから、県北芸術祭は先ほど申し上げたとおりで、海外からのお客さんなども是非呼び込んでいきたいと思います。

さらに、これからの誘致活動の一つとして、東京オリンピック・パラリンピックがあります。競技会場を持って来られるかどうか、あるいはキャンプ地をどうするか、21市町村が関心を持っているという話であります。市町村長と話しますと21にあがっていない市町村でも「あっ、そんな話なのですか。では是非やりたい。」という趣旨のことを言われます。ただ、やり方がわからないということなので、県も一緒になってこれからキャンプ地の誘致活動などを進めていくことも今年の一つの課題になってくるのかなと思っております。

「女性が活躍できる社会づくり」につきましては、女性の起業支援、キャリアアップ等々はもちろんですが、ハーモニートップセミナーで企業等々のトップの方達にも、働きかけを行っているところであります。

本県の女性の管理職への登用につきましても、やっと全国35位まで上がってきました。まだまだ低いですが、係長級とか新規採用者で見ますと女性の割合は、本県は全国でも上位に入り始めていますから、時間はかかりますが、間違いなく女性の活躍の場というものは広がってくるのではないかと思っています。

そのためにも、ワークライフバランスをはじめ、女性が活躍しやすい環境をしっかり作っていくことが大切なのかなと思っています。

「県北地域の振興」は大変大事な話であります。県北芸術祭の他に、日常生活の維持、公共交通などとあわせて、地域資源を生かしたビジネスをどう展開していくかということが大変大事だと思っています。バンジージャンプやトレイルランとか色々なことを始めています。

最近では漆。今、文化財を修復するときは国産漆を使わなくてはいけないという方針が示されたものですから、大子町を中心として、脚光を浴びています。(量では)岩手の次の産地が茨城で、質的には間違いなく日本一の漆の産地です。これをどうやって量的に少しでも需要に応えられるような状況にもっていくか、産業として根付かせていくかが大変大事だと思っております。

それから、常陸秋そばです。先般、農水省、法務省、外務省、衆参両院、東京高等裁判所で、常陸秋そばのつけけんちんを500円で提供するという試みをさせていただきました。上手くいったところと、必ずしも人気がなかなか盛り上がらなかったようなところもありましたが、なんとか常陸秋そばという素晴らしい「そば」を多くの方に知ってもらい、それによって、そばが産業として成り立つような環境を作っていく必要があるのではないかと思っております。その一つの試みであります。普通では1,000円ぐらいするそばを500円で提供したわけでありますが、これからも宣伝だと思って、そういう機会を少し設けながら、茨城の農産物、良いものをどんどん広めていけたらと思っております。特に県北については、そういうもの(資源)を生かしていくことが大変大事なのではないだろうかと思っております。

その他、個別の話は別といたしまして、今は大変厳しい時代でありますが、茨城の飛躍に向けて、大きな一歩を踏み出す時期でもあります。その両面を考えながら県政を進めていかなければいけないと思っております。

職員の数は、随分厳しくなっていると思います。私が知事に就任した時は6,800人で今は4,800人です。仕事はどんどん増えております。間違いなく執務環境としては厳しくなったわけで、皆さん方は大変、ご苦労も多いのではないかと思っております。どうやってそれを効率よく対応できるようなシステムにしていくかも含め、一人ひとりが能力を発揮できるような環境を作っていかなければならないと思います。

職員の確保につきましても、例えば、学校の教員について、これまで非正規の方々の割合が高かったのですが、今、先を見据えながら、かなり正規の教員に切り替えることなども行っているところです。

県職員についても、しっかりとたくさんの業務をこなしていけるような体制を作っていかなければならないと思っておりますが、まだまだ、将来負担比率などは高い状況であります。もう少しで中位代に下がってきますので、もう少しがまんしていただきながら、何とか財政も健全で、県も元気がある、職員も生き生きと働いているという県庁を作っていけたらと思っているところです。そのためにも、皆さん方には是非アンテナを高くして色々な情報を仕入れながら、県として何をやっていくべきかを絶えず考えていただければ有難いと思っています。

(大晦日の)紅白歌合戦ご覧になったと思いますが、ねば~る君が出ていたことはこの中でどれだけ知っているでしょうか。ねば~る君が本当に目立っておりました。ふなっしーは脇の方にいただけでした。そうした点で、大変良い宣伝といいますか、茨城に関心を持ってもらう、「あれは何だ」ということで、とびきり大きいですから。伸びるところが出なかったですが、伸びるところが出れば子供たちにとって、絶対に人気の出るものだと思います。今年度、いばらきイメージアップ大賞のウラ大賞を作ってねば~る君に差し上げることで、いろいろと関心を高めていけたらと思っております。

また、「のびしろ日本一。いばらき県」というキャッチフレーズについても、比較的好感を持って受け取られているようです。のびしろ日本一は最下位にならないと出来ないものですから、当たり前のことですが。

私は、イメージアップという意味だけで(言っているのでは)なく、先ほど総合計画に関して話をしましたように、日本や世界の発展に役立っていける県はそんなにありません。その中で、茨城は大変貴重な存在なのではないだろうかと思いますし、それだけの可能性がある県だと思っております。そうした点で「のびしろ日本一」というキャッチフレーズに負けないような働きというものをみんなでしていきたいと思っておりますので、今年もよろしくお願い申し上げたいと思います。

そうは言いましても、健康にだけは気をつけていただきたいと思っておりますし、部下職員の健康について、しっかりとみていただけたらと思っております。部下の調子が悪そうだという状況になったら、上司とも相談してきっちり対応していくことも大事だと思います。

今年が良い年になりますこと、皆さんのご健勝を祈念して年頭の挨拶といたします。

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