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更新日:2015年6月5日

平成27年第2回定例会(知事提案説明要旨)

平成27年6月5日

平成27年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

はじめに、去る4月25日にネパール中部において発生した地震により亡くなられた多数の方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被災地が一日も早く復興し、被災された皆様が平穏な生活を取り戻されることを心から願っております。
また、先月29日には口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳(しんだけ)が噴火いたしましたが、一日も早く火山活動が沈静化し安全が確認され、島外へ避難された皆様が帰島できることを願っております。

(東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組み)

次に、東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組みについてであります。
まず、施設の復旧についてでありますが、道路・港湾・漁港等の復旧につきましては、被害が甚大であった大津、久慈漁港を除き、本年3月までに全て完了いたしました。
しかしながら、緊急輸送道路の整備をはじめ、海岸や河川の堤防かさ上げなどの大震災を教訓とした防災体制の充実強化や液状化対策など、本格的な復興に向けた取組みは未だ道半ばの状況にあります。
こうした中、国においては、東日本大震災の集中復興期間が平成27年度末で終了することを踏まえ、28年度以降の5年間を「復興・創生期間」とし、被災地の復興のため真に必要な事業については、今後とも全額国費で負担することとするとともに、地域振興などの性質を併せ持つ事業については、事業費の1パーセントから最大3.3パーセントの自治体負担を導入する方針を示したところであります。
県といたしましては、先月27日に行われた竹下復興大臣との意見交換において、自治体負担を導入する場合にあっても、被災団体の財政負担に十分配慮し、事業実施に支障が生じることがないよう強く要請したところであり、一定の配慮がされたものと評価いたしております。しかしながら、道路事業について、太平洋沿岸の地方公共団体等で実施する事業以外は復興事業として認められず、通常の地方負担が生じるなどの課題もありますことから、今後内容を精査した上で、負担軽減などを引き続き国に働きかけてまいります。

(景気・雇用状況)

次に、景気・雇用状況についてであります。
政府の5月の月例経済報告においては、「景気は、緩やかな回復基調が続いている」とされ、先行きについても、緩やかに回復していくことが期待されるとされております。
県といたしましても、地方の景気回復に資するため、平成26年度補正予算に計上いたしました、国の「地域消費喚起・生活支援型」の交付金を活用した観光振興、県産品の販路拡大、子育て家庭等の支援などの事業を実施してまいりますとともに、27年度予算で対前年度比26.5パーセント増の予算を計上いたしました公共事業などの着実な執行に努めてまいります。
また、県内の雇用状況につきましては、4月の受理地別の有効求人倍率が1.12倍、就業地別の有効求人倍率が1.20倍と、全体としてはかなり改善してきておりますが、一方で、事務や生産部門においては有効求人倍率が1倍を大きく下回るなど、職種間での偏りが生じております。
県といたしましては、このような状況を踏まえ、大学卒業者等の県内定着と首都圏からのUIJターンを促進するため、県内企業でのインターンシップや県内学生向けの学内企業セミナーを実施いたしますほか、8月に県外の学生を対象とした合同就職面接会を都内で開催するなど、人材の育成、確保に努めてまいります。また、「いばらき就職支援センター」における就職相談等のワンストップサービスの提供など、雇用対策に引き続き積極的に取り組んでまいります。
なお、今月3日に内閣府が公表した本県の平成24年度の一人当り県民所得は、過去最高の全国第4位となりました。今後とも、「産業大県」づくりを積極的に進め、県内経済の発展に努めてまいります。

(地方創生の推進)

次に、地方創生の推進についてであります。
本県のまち・ひと・しごと創生を効果的かつ効率的に推進していくため、今月2日に、住民代表や産業界・大学・金融機関・労働団体・報道機関等の関係者からなる「茨城県まち・ひと・しごと創生会議」を設置し、第1回会議を開催いたしました。今後、委員の方々からのご意見や県議会の「地方創生に関する調査特別委員会」での議論を踏まえながら、本県の総合戦略の策定を進めてまいります。
また、国の「地方創生先行型」の交付金などを活用し、県北地域の振興を図る(仮称)県北国際アートフェスティバルにつきましては、先月15日に、実行委員会を設立し、総合ディレクターとして森美術館館長の南條史生(なんじょうふみお)氏を選任したところであります。今後、平成28年度の開催に向け、アートフェスティバルの名称やテーマ等の検討、招へいするアーティストの選定などを進めてまいります。
また、つくばりんりんロードと霞ヶ浦自転車道などを活用し、日本一のサイクリング環境の構築を目指す、水郷筑波サイクリング環境整備事業につきましては、サイクリングロードの整備・活用に係る総合的な計画の策定に着手したところであります。今後、沿線市町村等と連携し環境整備に努めますとともに、サイクリングツアーを実施するなど観光振興に取り組んでまいります。
県といたしましては、人口ビジョンや総合戦略の策定などを通じ、地方創生の取組みを着実なものとし、本県のさらなる発展を目指してまいります。

(観光振興と県産品の販路の拡大)

次に、観光振興と県産品の販路の拡大についてであります。
本年度のゴールデンウィーク期間中における観光入込客数は、好天に恵まれたほか、本県観光地がメディアで数多く取り上げられたことなどもあり、昨年度より28万人多い約228万人となりました。しかしながら、震災前の平成22年度と同期間で比較した場合、県央地域を除きいずれもマイナスであり、また宿泊客数も7割程度と回復が遅れており、特に県北地域では風評などによる厳しい状況が続いております。今後、夏の海水浴をはじめ秋の紅葉シーズンに向け、さらなる誘客促進策を講じていく必要があります。
このため、今月1日から、国の交付金を活用しプレミアム付き宿泊券や周遊券の夏季分の発売を開始したのに加え、7月には海水浴客を対象としたマリン券の販売を行うなど、観光客誘致に積極的に取り組んでまいります。
また、本県産の食品などに対する風評被害が依然として一部で根強く残っておりますことから、先月20日には、私自身が都内の百貨店において、メロンのトップセールスを行ってきたところでありますが、今後も首都圏や県内の量販店及び飲食店等において本県農水産物のフェアを開催してまいります。
さらに、県産品の消費を喚起するとともに販路の拡大を図るため、今月1日からインターネットを活用した県産品の割引販売を開始したところであり、また来月からは、厳選した農林水産物や加工品等を掲載したギフトカタログならびに県産米が購入できる商品券の割引販売を行ってまいります。

(涸沼のラムサール条約湿地登録)

次に、涸沼(ひぬま)のラムサール条約湿地登録についてであります。
涸沼につきましては、ラムサール条約に基づく「特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地」として登録されたところであり、現在ウルグアイで開催されております「ラムサール条約第12回締約国会議」において、登録認定証が県及び地元3市町に授与されたところであります。登録を契機として、来月11日には大洗町で登録記念シンポジウムを開催いたしますほか、地元市町とともに野鳥観察施設の整備やボランティアガイドの養成など、自然環境の保全やワイズユース(賢明な利用)の推進に努めてまいります。

(企業立地の推進)

次に、企業立地の推進についてであります。
平成26年の工場立地動向調査によりますと、本県は、電気業を除いた工場立地件数、工場立地面積、県外企業立地件数が、2年連続3部門全てで全国第1位となることができました。
引き続き、本年度創設した本県独自の立地促進対策補助金や本年4月から要件を緩和したうえで期間を3年間延長いたしました税制上の優遇措置などを最大限に活用するとともに、充実した広域交通ネットワークや首都圏への近接性など、本県の立地優位性をPRし、積極的な企業誘致に取り組んでまいります。

(茨城空港の就航対策の推進と利用促進)

次に、茨城空港の就航対策の推進と利用促進についてであります。
茨城空港につきましては、国内線全便を運航するスカイマーク社が現在経営再建中でありその行方を注視しているところでありますが、県といたしましては、茨城路線を維持していくため、国の交付金を活用し本県特産品のギフトカタログを交付するキャンペーンを実施するなど、全力で利用の促進に取り組んでまいります。
一方、国際線につきましては、春秋航空の上海便が引き続き高い搭乗実績を維持する中、新たに中国南方(なんぽう)航空におきまして、茨城~深圳(しんせん)間の定期便を7月25日から週2便運航することを決定し、国土交通省に対し認可申請を行ったところであります。今後とも、定期便やチャーター便の搭乗実績などを国内外の航空会社に示しながら、新たな路線の誘致に努めてまいります。

(国際政策の推進)

次に、国際政策の推進についてであります。
昨年3月に私とファット・ベトナム農業農村開発大臣との間で締結した「農業における協力関係強化に関する覚書」を踏まえ、本年3月に県職員OBをベトナムに派遣し、現地調査をはじめ茨城の農業や生産技術を紹介する講習会等を開催してまいりました。一方、先月にはベトナムの農業研究員5名を農業総合センターで受け入れ、県内の生産現場での研修を行うなど、本県とベトナムとの研究・技術者レベルでの交流が始まったところであります。
また、JA茨城旭村がジェトロ茨城の協力により、マレーシアへメロンの本格輸出を開始いたしましたほか、下妻市の梨や鹿行地域のかんしょなど複数の産地や品目で輸出に向けた取組みが進められております。
さらに、県内中小企業の海外展開を支援するため、今年度から中小企業振興公社に輸出拡大支援員2名を配置したところであり、海外の展示会等における商談支援に加え、展示会後の海外バイヤー等へのフォローアップを充実するなど、取引成立まできめ細かく支援してまいります。
今後とも、農林水産物など県産品の輸出や中小企業の海外進出を支援するなど、本県の国際化を推進してまいります。

(道路等の整備状況)

次に、道路等の整備状況についてであります。
まず、首都圏中央連絡自動車道につきましては、去る3月29日に境古河(さかいこが)インターチェンジから埼玉県久喜白岡(くきしらおか)ジャンクションまでの区間が開通したのに続き、今月7日には千葉県内の神崎(こうざき)インターチェンジから大栄(たいえい)ジャンクションまでが開通する予定であり、常磐自動車道と東関東自動車道水戸線が圏央道で結ばれることになります。残る県内区間につきましても本年度中の完成が予定されておりますことから、今後、地域間の交流や企業立地による本県経済の活性化などがより一層進むものと期待しております。
また、県道藤沢荒川沖線(ふじさわあらかわおきせん)「さくら大橋」が、去る4月22日に開通いたしました。これにより筑波山周辺地域、研究学園地区や石岡市八郷地区などの交通利便性が向上するとともに、広域的な観光の振興などにも大きく寄与するものと期待しております。
次に、港湾につきましては、茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区の水深12メートル岸壁について、今年度完成予定の1バースに加え、2バース目となる岸壁の整備が国の直轄事業として新規採択されたところであります。今後、完成自動車など取扱貨物の増加に対応できるよう、早急な整備を国に働きかけてまいります。

(少子化対策等の推進)

次に、少子化対策等の推進についてであります。
いばらき出会いサポートセンターにおける成婚数はこれまでで、約1,400組にのぼっているところでありますが、新たにインターネットを活用した予約システムを導入し、さらなる利便性の向上を図りますとともに、マリッジサポーターが行う婚活イベント等への支援を拡充するなど、結婚支援施策の一層の推進に努めてまいります。
また、国の交付金を活用し子育て家庭・シニア世代を対象に、市町村が発行するプレミアム商品券をさらに割引して販売する事業を実施し、子育て家庭等への経済的支援ならびに県内の消費喚起に資してまいります。
なお、男性が子育てに参画しやすい気運の醸成を図るため、今月改定いたしました「茨城県職員子育て応援プラン」に基づき、県が率先して男性職員の育児参加休暇の取得促進などに努めてまいります。

(地域医療の充実)

次に、地域医療の充実についてであります。
医師確保につきましては、去る4月17日に、本県の地域医療の事情等について理解を深めていただくため、「新初期研修医合同研修会」を開催いたしましたところ、地域枠の第1期卒業生4名を含む研修医148名の参加がありました。今後とも、若手医師のキャリア形成を支援しながら医師の確保に努めてまいります。
また、4月18日には、東日本大震災で被災し復旧を進めておりました日立市のひたち医療センターの新棟が竣工いたしましたが、地元日立市をはじめ県北地域の医療サービスの充実に貢献していただけるものと期待しているところであります。

(教育行政の推進)

次に、教育行政の推進についてであります。
国における教育委員会制度改革を受け、去る4月16日から教育委員長と教育長を一本化した新教育長制度に移行するとともに、教育委員の増員や部制の導入など体制の強化を図ったところであります。今月24日には、第1回目の「総合教育会議」を開催する予定としており、教育に関する大綱の策定をはじめ、部局横断的な課題について協議・調整を行うなど、知事部局と教育委員会との緊密な連携を図り、教育行政の効果的な推進や課題への迅速な対応に努めてまいります。

(県立施設の運営状況等)

次に、県立施設の運営状況等についてであります。
ミュージアムパーク茨城県自然博物館につきましては、去る3月28日に、開館以来約20年で900万人目のお客様を、また、アクアワールド茨城県大洗水族館につきましては、先月14日に、開館以来約13年で1,500万人目のお客様をそれぞれお迎えすることができました。今後とも、県内外から多くのお客様にご来館いただけますよう、魅力ある企画展の開催など一層の充実に努めてまいります。
また、水戸市が栃木県足利市などと共同申請しておりました、旧弘道館などで構成される「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節(れいせつ)の本源(ほんげん)-」が、4月24日に国の「日本遺産」として認定されました。今後、水戸市をはじめ認定を受けた各団体とも連携しながら、歴史的魅力にあふれた文化財群の活用により、地域の活性化などに取り組んでまいります。

(提出議案等)

次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は、条例その他12件、報告2件であります。
条例は、改正するもの10件であります。主なものといたしましては、法人県民税法人税割超過課税の適用期間の延長等を行う「茨城県県税条例等の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては2件で、「法人に対する出資について」などであり、報告は、専決処分の報告で、県議会議員選挙執行費に係る予算の補正などであります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。

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