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更新日:2024年10月28日
期間・区分
平成23~28年度,県単
背景・目的
本県は全国に先駆け,1970年にランドレース種の系統造成を開始し,これまで5系統の系統造成に取り組んできた。
これらの系統豚は,本県を代表する銘柄豚肉である「ローズポーク」などの高品質豚肉生産の基礎豚として県内で広く利用され,高く評価されているところである。
しかし,近年の豚肉情勢は,グローバル化の進展による輸入豚肉との競争が予想され,さらに国産豚肉市場においても厳しい産地間競争が予想されている。そのような情勢の中,本県の豚肉が,消費者に継続的に選ばれていくためには,本県独自の特徴を持った豚肉を生産する必要がある。
これらの背景を受け,雄系であるデュロック種について,筋肉内脂肪含量(IMF)の向上に主眼を置いた系統造成を実施した。
方法
平成23年度より第一世代の生産・選抜を開始し,以後一年一世代の選抜を繰返して平成28年度に第五世代で造成を完了した。集団の規模は雄10頭雌40頭の閉鎖群で,選抜形質および改良目標値(検定期間:体重30~105キログラム)は,一日平均増体重(DG)1000g,飼料要求率(FCR)2.9,筋肉内脂肪含量(IMF)5%と設定した。肢蹄の強健性については独立淘汰法により実施する。
成果・評価
平成27年度に生産した第四世代候補豚346頭について,体重30キログラム時に第一次選抜を実施し,雄39頭,雌72頭を選抜した。一日平均増体重,飼料要求率,筋肉内脂肪含量(調査豚での値)の平均値は雄でDG 914.0g,FCR 2.75,IMF 5.59%,雌でDG 789.0g,FCR 3.12,IMF 4.24%であった。
総合育種価および肢蹄の強健性により第二次選抜を実施し,雄17頭,雌46頭を選抜した。第二次選抜豚の各形質の育種価は雄がDG 130.2,FCR 0.01,IMF 1.15,雌でDG 108.0,FCR -0.01,IMF 0.92であった。
系統造成が完了したデュロック種は,2016年12月に系統豚「ローズD-1」として認定された。「ローズD-1」の特徴は,体重30キログラムから105キログラム間のDG(雄)が964g/日と高く,発育に優れている。豚の体型は,幅及び深みがあり,肢蹄も太く,骨量に富んだ種豚である。また,IMFが5.12%と高く,ロース芯に脂肪が入り霜降りの豚肉生産が可能である。
期間・区分
昭和45年度~,県単
背景・目的
ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」は、本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚等として、平成15年度から農家に供給してきたが,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきたため,平成25年度に系統豚の認定を取り消した。
しかし,生産農家からは大ヨークシャー種の払い下げの要望が多く,この優良な系統豚の資質を高品質豚肉生産の基礎として長期間利用するため,外部から優良な種豚や精液を導入し,開放型育種手法の開発及び確立を図りながら,農家ニーズに対応した高能力純粋種豚を作出・供給し,広域的な改良効果を生み出していく。
方法
常時種雄豚6頭,種雌豚18頭を飼養した。交配は可能な限り血縁の遠い種雄豚を用いるとともに,適宜外部から優良な種豚(精液)を導入し繁殖集団を構成する。集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績などを調査した。
また,育成豚および人工授精用精液を養豚農家に払い下げた。
成果・評価
導入精液により生産された種豚間で交配を行い,体型,乳器,肢蹄等が優良な雌1頭,雄5頭を種豚用に選抜した。
養豚農家に育成豚を25頭(雌10頭,雄15頭),人工授精用精液を84本を売却した。
期間・区分
平成26~30年度,県単
背景・目的
筋内脂肪含有量の向上を改良指標の1つとして造成中のデュロック種系統豚の活用を図るため,この系統豚を用いて三元交雑肉豚を生産したとき肉質(筋肉内脂肪含有量等)へ及ぼす影響を判明させる。
また,筋肉内脂肪含有量を増加させる飼養管理法(給与飼料等)の検討を行い,高品質豚肉生産の技術確立を目指す。
方法
平成28年度は,所内飼養中のランドレース種及び大ヨークシャー種系統豚により作成したLW母豚に,デュロック種系統造成途中世代(G4)雄豚を交配して生産したLWD豚の筋肉内脂肪含有量等を給与飼料の影響を含めて調査し,前年度に実施したLWD(G3交配)の成績と比較した。
肉質調査は生体重105キログラムでと畜し,胸最長筋5カ所を採取して脂肪含有量を測定した。
成果・評価
検定飼料給与区(30キログラム~)及び慣行飼料給与区(70キログラム~)の2区を用いて調査した結果,筋肉内脂肪含量は,検定飼料区では雌2.93%,去勢3.63%および全体3.28%であった。また,慣行飼料区ではそれぞれ3.61%,3.79%および3.68%であり,G3由来豚の2.89%,3.20%および3.05%より増加しており,系統造成による改良効果が認められた。
一方,給与飼料の影響については,顕著な差は認められなかったことから,飼料成分や給与方法等についての検討を行う。
期間・区分
平成19年度~,県単
背景・目的
独立行政法人農業生物資源研究所で医療用モデルブタとして作出された2種類の遺伝子組替えブタ(TGブタ)について,遺伝子のホモ化を行うとともに,小規模集団での遺伝子組換えブタの系統維持法の開発及び将来に向けた増殖技術の確立を目指す。
方法
成果・評価
背景・目的
方法
「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ、繁殖・育成成績,産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝的構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持した。更に育成豚を養豚農家に供給した。
成果・評価
期間・区分
平成27~30年度,県単
背景・目的
国産飼料としての飼料用米の活用が飼料自給率の向上,飼料高騰対策から,注目されており,飼料用米の利用が急拡大することが予想されている。
また,米以外でも食料製造副産物等で食用に供されなかった生豆腐粕等が廃棄されており,地域未利用資源の有効活用面からも,それらを飼料として組み合わせて利活用することが有効であると考えられる。
そこで,飼料用米と地域未利用資源である生豆腐粕について,栄養特性を考慮しつつ安価な飼料化とその保存技術の確立を図るとともに,肥育豚(前期,後期),繁殖豚への給与技術を確立する。
方法
給与飼料は慣行飼料と,飼料用玄米(75%)と生豆腐粕(25%)を混合し乳酸菌添加により調整したサイレージ。
試験1
三元交雑種(WL・D)16頭を体重約70キログラムから出荷までの間に慣行肥育後期用飼料を給与した対照区,慣行肥育後期飼料に10%サイレージを代替した飼料,20%代替した飼料,30%代替した飼料を給与した4区(各区4頭)を設定し,発育,肉質(保水性,水分含量,加熱保水性,肉色,脂肪融点)を調査。
試験2
三元交雑種(WL・D)11頭を体重約70キログラムから出荷までの間に慣行肥育後期用飼料を給与した対照区(3頭),慣行用肥育後期飼料に30%サイレージを代替した飼料(4頭),40%サイレージを代替した飼料(4頭)を給与した区を設定し,発育を調査。
試験3
三元交雑種(WL・D)11頭を体重約30キログラムから70キログラムまでの間に慣行肥育前期用飼料を給与した対照区(6頭)と慣行肥育前期用飼料に調製したサイレージを20%代替した飼料を給与した区(5頭)を設定し,発育を調査。
適切な混合割合を調査するため,玄米に豆腐粕を25%,50%添加・混合し,サイレージの品質を2か月後に観察した。
さらに,作製したサイレージを試験豚(WLD体重50キログラム~75キログラム)に9月~10月約1か月間給与すると共に,一般配合飼料(TDN:78%,CP:13%)を不断給与した慣行区と比較検討した。
成果・評価
試験1,2で三元交雑種(体重70キログラムから出荷まで)に10%,20%,30%,40%サイレージを代替給与しても発育に有意な差はなかった。また,肉質は対照区,20%代替区,30%代替区で有意な差はなかった。
試験3 三元交雑種(30キログラムから70キログラムまで)にサイレージを20%混合給与しても発育に有意な差はなかった。
以上から飼料用玄米と豆腐粕のサイレージを肥育後期の豚に10%,20%,30%,40%代替給与しても発育に差はなく,20%,30%給与しても肉質に差はなかった。また,肥育前期の豚に20%代替給与しても発育に差はなく,代替え可能と思われる。
期間・区分
平成28~32年度,県単
背景・目的
高品質な肉豚の生産には、肥育素豚(遺伝能力)、給与飼料(飼料設計)及び衛生管理(飼養技術)が重要となる。従来、給与飼料のブタへの効果は、発育(体重測定)、肉質(理化学値)及び健康(血液性状)等の測定値を中心に評価してきた。
近年、遺伝子解析技術の発展に伴い、実験動物分野を中心に飼料中の成分(脂肪酸等)によって、特定の遺伝子の発現状況が異なり、代謝等に影響を及ぼすことが明らかとなってきた。
そこで、ブタにおいて有益な遺伝子発現が期待される物質の給与が、ブタの発育、肉質及び健康等の形質に対して遺伝子レベルでどのような影響を与えているのか相互関係について明らかにする。遺伝子発現が期待される物質(遺伝子発現期待物質)を飼料原料として検討し、遺伝子解析に基づく、効果的な飼料設計及び飼養技術を開発する。
方法
成果・評価
試験区において,ロース部位のPPARαの発現が有意に減少し,NF-κBの発現に減少傾向が観察された。肝臓ではSLC27A1の発現が有意に増加した。またロース及び背脂肪内のω-3脂肪酸含量が有意に増加し,脂肪融点が減少した。
1日増体量及び枝肉格付けには有意な差は現れなかった。
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