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更新日:2018年3月23日
畜産センター本所
肉用牛研究所
養豚研究所
期間・区分
平成20~23年度,県単
背景・目的
受胎率向上は生産現場から求められている重要なニーズの一つである。近年,妊娠認識メカニズムを増強する物質としてインターフェロンタウ(以下,IFN-τ)が注目され,IFN-τを分泌する栄養膜小胞と受精卵を一緒に移植すると受胎率が向上する傾向が認められている。IFN-τは単為発生卵からも産生されているため,単為発生卵からのIFN-τ産生量や移植による受胎率向上効果を調査することによって,牛の繁殖成績の改善や受胎における繁殖生理機構などの解明を進め,総合的な受胎率向上技術を確立する。
方法
単為発生卵を効率的に作出する方法を検討し,単為発生卵が産生するIFN-τ量を測定した。今後は,単為発生卵を受精卵移植の際に一緒に移植し,受胎率向上効果を調査する。さらに,通常の人工授精の際に同様の単為発生卵移植を行い,受胎率を調査する。
成果・評価
効率的なウシの単為発生卵の効率的な作出方法を検討するためエタノール,Caイオノフォア,電気パルスとCaイオノフォア,6-ジメチルアミノプリン(以下,6-DMAP)の4方法について調査を行った。卵割率,胚盤胞発生率,Aグレード胚発生率等についてはすべて6-DMAPによる処理方法が最も成績が良い傾向が認められた。したがって,体外受精胚との共移植試験などで利用する単為発生卵は6-DMAPによる方法で作成するのが効率がよいと考えられた。
期間・区分
平成22~24年度,県単
背景・目的
体細胞クローン胚の作出率が低い原因の一つとして胚の発生段階におけるDNAのメチル化の異常が指摘されている。牛クローン胚については,あるDNA領域において異常に高いメチル化状態であることが報告されており,クローン胚のメチル化状態とクローン胚・クローン産子の異常との関連性を指摘する報告もある。よって,黒毛和種牛体細胞核移植においてドナー細胞及び核移植後のクローン胚の培養液中にDNA脱メチル化剤及びHDAC阻害剤を添加することにより,胚盤胞発生率を向上させ,正常なクローン牛の作出率を向上させる。
方法
黒毛和種の体細胞クローン胚を作製する際,核移植用の卵子,ドナー細胞,または核移植直後のクローン細胞について,培養液にDNA脱メチル化剤およびHDAC阻害剤を加え,胚盤胞への発生率および胚盤胞期総細胞数などを調査する。
成果・評価
体細胞核移植の基本技術を整えるため,核移植に用いると場由来卵子の成熟培養条件や細胞準備法を検討した。
期間・区分
平成2年度~,県単
背景・目的
近年,牛の繁殖機能低下が問題となっている。その原因として様々な要因が考えられるが,その一つにビタミンの不足があげられる。平成22年度の「分娩前後の初妊牛へのβ-カロテン・ビタミン混合飼料の給与が産後の採卵成績に及ぼす影響」の試験において,β-カロテン添加によって血中のβ-カロテンおよびビタミンA濃度の上昇が認められた。今年度は,β-カロテン添加が採卵成績(回収卵数,正常卵数)に与える影響についてのさらなる検討し,繁殖性の改善をはかることを目的とする。
方法
当センター飼養の供卵牛(黒毛和種)6頭を供試牛とし,採卵を行った。過剰排卵処置は,発情後5~9日目の供試牛にFSH(アントリンR:共立製薬株式会社)を12~18AUを4日間漸減投与し,PGF2α(プロナルゴンF:ファイザー株式会社)35mgを朝夕に分けて投与した。供試牛には,β-カロテン添加剤(β-ブリードSP:日本全薬工業株式会社)を採卵21日前から配合飼料に50g/日添加し,短期集中的に給与を行った。採血は採卵時に行い,血清中のβ-カロテンおよびビタミンA濃度を測定し,推定黄体数,回収卵数,正常卵数との比較を行った。
成果・評価
血中のβ-カロテンおよびビタミンAの濃度によって採卵成績に大きな差はみられなかった。しかしながら,推定黄体数が多いものほどβ-カロテン濃度が高くなる傾向を示し,β-カロテン添加が繁殖性の改善に有効である可能性が示された。採卵成績については個体差が大きく,本試験では相関性はみられていない。平成24年度にはさらなる例数の確保およびβ-カロテン添加剤の長期的給与による影響についても併せて検討していく。
期間・区分
平成22~26年度,国補
背景・目的
近年,受胎率の低下が深刻化し畜産経営を圧迫する大きな要因となっている。メラトニンは脳内ホルモンのひとつで,睡眠調節や抗酸化作用,卵巣機能との関係等が注目されている。また,メラトニンの投与によって妊娠率が向上することなども知られており,本試験ではこのメラトニンが牛の繁殖成績にどう影響を与えるのか解明し,牛の繁殖性の改善に活用していくことを目的とする。
方法
当センター飼養の黒毛和種成雌牛17頭を用いて,日南中時,日の入,日の入4時間後または6時間後の計3回の採血い,また,と畜後に卵巣を回収し,と場卵巣由来の卵胞液の採取およびその胚発生率についての比較を行った。メラトニンは光刺激によって変動するため,採材はすべて自然光のみの条件下で行った。採取した血液および卵胞液のメラトニン濃度についてはRIA法によって測定した。
併せて,と場由来卵子を用いた体外受精を行い,卵子成熟過程において培地(卵子成熟共培養用培養液:機能性ペプチド研究所)へメラトニン10ng/ml,1.0ng/ml,0.1ng/mlをそれぞれ添加し,卵割率,胚発生率等へ与える影響についての検討を行った。
成果・評価
卵胞液中メラトニン濃度は,血中濃度と同様に日中は低い値で推移し,日没後に徐々に上昇しはじめる傾向がみられたがその濃度は血中濃度よりかなり低い値で推移した。また,血中メラトニン濃度と卵胞液中メラトニン濃度には高い正の相関が認められ,血液中濃度が指標として有効である可能性が示唆された。
卵胞液中のメラトニン濃度と(と場卵巣を用いた)胚発生率については,卵胞液中のメラトニン濃度が高いほど胚発生率が高くなる傾向がみられたものの個体差が大きく本試験においては相関性は認められなかった。現時点では,体外受精卵子成熟段階でのメラトニン添加による胚発生率への影響はみられていない。
今後は体外実験系による更なる検証,採卵成績等からメラトニン濃度と卵巣機能の関係の更なる解明を行っていく。
期間・区分
平成21~23年度,国補
背景・目的
近年,米の生産過剰基調や輸入飼料高等から主食用米に替わる飼料用稲の生産が注目され,家畜ふん堆肥の有効利用等から地域資源循環型農業の形成が求められている。このような中,合理的な堆肥等の養分施用によって資源循環型生産の可能性が高いが環境負荷を考慮した視点での飼料用稲の生産について明らかになっていない。そこで,飼料用稲生産における堆肥・液状コンポストの利用方法や物質循環フローを明らかにする。
方法
供試品種は、飼料用米「べこあおば」とし、茨城県農業総合センター農業研究所内にて、水口側に配管を設けた7.1a(7.4m×96m)の水田圃場を用いた。水田に苗を移植(5月25日)し、40日後に水口から県内養豚農家で生産された液状コンポスト(無機態窒素量として5kg/10a)を追肥した。
成果・評価
期間・区分
平成22~24年度,県単
背景・目的
畜舎排水を浄化・放流している畜産農家が、水質汚濁防止法の健康項目のうち硝酸態窒素等の一律排水基準をクリアでき、継続的に経営ができるような処理方法・技術を確立する。また、茶褐色に着色している畜舎排水浄化処理水の簡易な脱色技術について処理方法を検討する。
方法
畜産農家処理水の硝酸態窒素濃度等の実態調査を行う。
高度処理として、資材を用いた脱色処理の検討を行う。
成果・評価
黒ボク土と活性炭を用いて脱色試験を行った。脱色率は黒ボク土は95%以上、活性炭では98%以上であった(原水BOD 2920ppm,COD 675ppm)。県内調査において硝酸態窒素濃度は98.5~605.9mg/Lであった。
期間・区分
平成23~25年度,県単
背景・目的
近年、安全・安心な農産物や環境問題に対する消費者の関心が高まるなか、有効な肥料成分を含む家畜ふん堆肥への期待は大きく、化学肥料の代替えとしての活用が求められている。
一方、家畜ふん尿から発生する亜酸化窒素は、地球温暖化への影響が二酸化炭素の約310倍高いといわれている温室効果ガスであり、早急な対策が求められている。
亜酸化窒素の発生を抑制し、堆肥中に硝酸態窒素として保持することにより、地球温暖化防止と併せて窒素含量を高めた肥料価値の高い家畜ふん堆肥を生産して利用促進を図る。
方法
小型堆肥化実験装置「かぐやひめ」を用いて堆肥化試験を行った。1週間毎に切り返しを行い、サンプルを採取、アンモニア態窒素、硝酸態窒素を測定した。堆肥の温度が、最高品温(約60℃)に到達したことを確認したのち、試験区1には完熟堆肥を重量比5%、試験区2には重量比10%を添加した。完熟堆肥添加後1週間は毎日、その後は1週間ごとに「かぐやひめ」から臭気を回収し、亜酸化窒素濃度を測定した。
成果・評価
亜硝酸態窒素のピーク出現後、1週間後に硝酸態窒素のピークがみられ、10%添加量区が5%添加区より早く出現した。また、添加区では亜酸化窒素の発生がみられた。これは、亜硝酸態窒素の蓄積が起こっていない堆肥に完熟堆肥を添加したことによるものと考えられた。
期間・区分
平成22~26年度,国補
背景・目的
家畜ふんたい肥には,無機態成分と易分解性から難分解性の有機態成分が混在しており,肥料としての効果(肥効率)を知ることが困難なため,たい肥施用による農産物の安定生産を困難にしている。そこで,家畜ふんたい肥の土壌中での肥料成分の動態を把握することで速効性肥料効果を解明し,現場で簡便に調整するための知見を得て,速効性肥料効果を考慮した施肥設計法を実用化(システム化)することが必要である。
方法
成果・評価
抽出温度による有意差は抽出液の種類、アンモニア態窒素、硝酸態窒素ともに見られなかった。
開始直後から無機化が始まり、21日以降横ばいに推移するタイプ、培養開始後から横ばいに推移するタイプ、開始直後は無機態窒素の減少がみられたが14日以降の無機態窒素の増加がみられるタイプに分けられた。これらは、たい肥中の無機態窒素量と関係があると考えられた。
期間・区分
平成18~22年度,県単・一部委託
背景・目的
酪農経営における後継牛の確保は,自家生産・育成が主流であるが,初産分娩月齢はここ数年改善されていない。優良後継牛を安定的に生産するため,自給粗飼料を活用して育成期の発育を高め,育成期間を短縮する技術を検討した。
方法
ホルスタイン種育成牛を供試し,育成前期(200~380kg,n=31)と育成後期(380kg~分娩前2ヶ月,n=27)の2ステージについて,DG(日増体量)0.95kgに必要なTDN(可消化養分総量)の80%を自給粗飼料(イタリアンライグラス)で給与する粗飼料多給区と,60%の配合飼料で給与する配合飼料多給区の2試験区で育成試験を実施した。調査項目は,日増体量,乾物摂取量,分娩時の月齢,体重,及び乳量とした。
成果・評価
育成前期では,粗飼料多給区で目標DGよりやや低く,乾物摂取量がやや低くなった。一方で配合飼料多給区はDGが1.0kg(上限)を超えたため,自給粗飼料割合は70%程度が良好と考えられた。
育成後期は,粗飼料多給区でほぼ目標どおりのDG0.93kgが得られ,分娩月齢も22.0ヶ月で体格も十分であった。配合飼料多給区も分娩月齢,体格は十分であったが過肥気味となった。乳量は両区とも8,000kg前後と良好であった。(6県協定研究,供試頭数60頭分)
期間・区分
平成22~24年度,県単
背景・目的
畜産業において主要な敷料であるオガ粉等の木質系資材の需給が逼迫し,これに変わる新たな敷料資材の開発が求められている。そこでペーパーシュレッダーダスト(PSD)をはじめとする未利用資源の敷料利用を検討する。
方法
県内における敷料の種類及び利用状況について現地調査を行い,飼養形態に即した敷料の種類及び使用量についてとりまとめると同時に,数種類の新たな敷料資材の発酵特性について,小型堆肥実験装置を用いた堆肥化試験を実施する。また,フリーストール,繋留式及びカーフハッチにおいて,敷料利用及び堆肥化に関する実証試験を実施する。
成果・評価
PSDの敷料特性に関して,一定程度の吸水力及び保温効果が確認されたが,切断長が短いものでは機械作業にやや不適な一面が見られたため,さらなる改良が必要である。また,引き取り時の状態のままでは運搬時の比重が低いため,圧縮などによる作業効率向上法の検討が必要である。
期間・区分
平成22~26年度,独法委託
背景・目的
飼料自給率の向上を図るため,飼料用米や稲WCS等の水田作飼料の給与が離乳子牛や育成牛の発育・生理性状に及ぼす影響を解明し,乳用牛への効率的な給与技術を開発する。
方法
育成中期牛(6ヶ月齢,200kg)の目標日増体量を0.90kgとして,必要な飼料の30%を濃厚飼料,残りをチモシー乾草で給与する場合に,配合飼料と圧ぺんトウモロコシを概ね半々とするN区と,N区のトウモロコシを未粉砕の飼料用米で置き換えるG区,粉砕した飼料用米で置き換えるFG区の3試験区で12週間の飼養試験を実施した。
成果・評価
給与したチモシー乾草の栄養価が低かったため,日増体量は目標値よりも全体的に低かった。FG区とN区の日増体量に差がなかったため,育成中期牛において粉砕米はトウモロコシとの代替が可能であると示唆された。一方でG区では,他の2区に比べ日増体量が小さく,デンプンの消化率が低く,糞中に未消化の玄米が散見されたことから,育成中期牛においても成牛に給与するとき同様に,飼料用米を加工する必要があると考えられた。
(6県協定研究,供試頭数35頭分)
期間・区分
平成21~23年度,独法委託
背景・目的
乳牛の繁殖性低下の要因として,第一胃内エンドトキシン(内毒素)と酸化ストレスに着目し,アスタキサンチン等の抗酸化物質とエンドトキシン低減効果が期待されるラクトフェリンの給与による繁殖性改善効果を検討する。
方法
初産牛での繁殖性改善効果を検討するため,分娩予定日4週前から脂溶性ビタミン,セレン及びアスタキサンチンを給与し,分娩後の繁殖性,産乳性及び酸化ストレス物質の推移を調査した。
経産牛についても,補正乳量10,000kg以上の高能力牛について,アスタキサンチン及びラクトフェリンの給与が分娩後の繁殖性,産乳性,酸化ストレス及びエンドトキシン濃度に与える影響を調査した。
成果・評価
第1回飼養試験において,初産牛ではセレン添加区の血中フ゜ロシ゛ェステロン濃度が無添加区よりも高く推移し,黄体形成が良好であると示唆された。また,アスタキサンチン添加区では発情回帰日数が無添加及び他の2添加区よりも早くなる傾向がみられた。経産牛ではアスタキサンチン,ラクトフェリンとも繁殖性,産乳性及びその他のいずれの項目においても無添加との間に差はみられなかった。
(12県協定研究,供試頭数60頭分)
期間・区分
平成19~22年度,県単・一部委託
背景・目的
成長途上にある初産牛において,体に蓄積する窒素量とエネルギーを摂取飼料により調節することで,安定した泌乳量と乾物摂取量を確保し,かつ排出窒素量を低減化させる適正な飼料中蛋白質含量について検討した。
方法
初産牛を供試し,乾物中の粗蛋白(CP)含量が16%と14%の2区を設け,16週間の飼養試験を実施した。調査項目は体重,乾物摂取量,産乳成績,血液性状およびルーメン液性状とした。また,繁殖成績については分娩後20週まで調査した。
成果・評価
初産牛の泌乳前期において,飼料中のCP含量を16%にすることにより,乾物摂取量は高まり,体重の回復も良好で,乳量の増加も期待できる。また,血液性状,ルーメン液性状および繁殖成績にも影響はない。CP含量を14%まで低下させると,尿中排泄窒素量が低下するが,同時に蛋白質充足率が有意に低くなった。したがって,安定した泌乳量と乾物摂取量を確保するには飼料中の蛋白質含量は16%が適切であることが示された。
(6県協定研究、供試頭数43頭分)
期間・区分
平成21~23年度,国補
背景・目的
飼料用米は濃厚飼料の代替として位置づけられ,県内においても近年作付け面積が増加している。しかしながら,泌乳牛への飼料用米の給与試験は少ない。そこで,ホルスタイン種泌乳牛への玄米給与が産乳性や関連形質へ及ぼす影響を解明する。
方法
平均体重576kg,平均分娩後日数218日,日平均乳量20~24kgのホルスタイン種泌乳牛8頭を供試した。濃厚飼料代替50%(粉砕玄米給与量:4kg/頭/日)(試験区)と濃厚飼料のみの区(標準区)の2区を設定した。14日間の給与期間の後,乳量,乳成分,ルーメン液性状,血液性状および乾物摂取量を調査した。
成果・評価
試験区と標準区において,乳質および乳量について,両区間に顕著な差は認められなかった。また,ルーメン液性状および血液性状についても,両区間に有意な差は認められなかった。以上のことから,日平均乳量20~24kg程度の泌乳牛において,濃厚飼料の代替として飼料用米(玄米)を50%利用しても産乳性を損なうことはないことが示された。
期間・区分
昭和58年~,県単
背景・目的
市販の飼料用トウモロコシについて,本県の気候・風土に適合した優良品種を選定し,県奨励品種決定の基礎資料とすることにより,本県の自給粗飼料の生産性向上を図る。
方法
RM(相対熟度)95~130の26品種について,4月下旬に播種した。施肥等は,県耕種基準を準用した。刈取調査は黄熟期とした。
成果・評価
今年度は,被害自体は少なかったが,ほとんどの品種で黒穂病が発生した。
乾物収量については,早生ではタカネスター及びP1543,中生ではゆめそだち,NS118,31P41,晩生ではゆめつよしがそれぞれ多収だった。
雌穂乾物収量については,早生ではタカネスター及びP1543,中生ではゆめそだち,31P41,ZX7605,晩生ではゆめつよしがそれぞれ多収であった。
9月上旬に台風が接近したが,倒伏はみられず,また,病虫害についても観察されなかった。
期間・区分
平成23~25年,委託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する高糖分・高TDN新品種の育成を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
イタリアンライグラス系統「友系31号」を用いて,標準品種を「はたあおば」として生産力検定。特性検定試験を実施した。
成果・評価
2カ年平均の友系31号の乾物収量は,1番草ははたあおば比98,2番草ははたあおば比115。合計でははたあおば比102であった。:2カ年の平均値において,友系31号の推定TDN含量は1番草では,はたあおばより平均2.0ポイント,タチワセより3.0ポイント高い。2番草でははたあおばより平均で1.7ポイント,タチワセより2.6%(ポイント)高かった。これらから計算される友系31号の推定TDN収量(2カ年平均)は,1番草ははたあおば比101,2番草は同比118。合計では同比105であった。
期間・区分
平成23~26年,委託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する冠さび病抵抗性に優れた新品種の育成を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
イタリアンライグラス「ヒタチヒカリ」への冠さび病抵抗性系統の戻し交配を実施するとともに、冠さび病抵抗性遺伝子をはたあおばに導入した系統の生産力を検定した。
成果・評価
晩生品種ヒタチヒカリへの,冠さび病抵抗性系統の戻し交配を実施した。また冠さび病抵抗性遺伝子を戻し交配により早生品種はたあおばに導入した系統の生産力検定試験の播種を10月に実施,適応性検定等に使用する種子増殖用の移植を11月に実施した。
期間・区分
平成23~26年,委託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する新品種の比較試験(トウモロコシおよびイタリアンライグラス)を行い,自給粗飼料の生産性向上を図る。
方法
トウモロコシの試験(晩生5品種供試)は5月に播種,8月に刈取調査を実施した。イタリアンライグラス試験(6品種供試)の播種を10月に実施した。
成果・評価
トウモロコシ試験において,乾物収量はP2023が最も高く,次いで,ゆめそだち,ZX7956の順であった。雌穂乾物収量についてはゆめそだちが最も高く,次いで,P2023,ZX7956の順であった。またKD777NEW以外の品種ですす紋病が発生したが,発生程度は軽微であった。
期間・区分
平成23~26年,県単
背景・目的
農産物残さの未利用資源について、安全性、栄養特性を考慮しつつ、安価な飼料化および保存技術の確立を図る。
方法
レンコン残さを概ね長さ2cm程度に砕いた後、2日程度予乾、2種の乳酸菌(畜草1号、HS-1)をそれぞれ添加、パウチ法によりサイレージ化し、乳酸菌の違いが品質に及ぼす影響を調べた。
成果・評価
両乳酸菌ともサイレージのpHは4程度まで低下し、発酵品質は良好であったが、2日の予乾によっても水分は78%と高く(原材料水分:83%)、水分調整に課題を残した。また、サイレージは各約250個(900g/個)調製、豚への給与試験に用いた。
期間・区分
平成20年度~,県単
背景・目的
本県の地鶏である「奥久慈しゃも」,「つくばしゃも」等の原種鶏や種鶏を維持・保存し,地鶏の種鶏の雛を供給する。
方法
原種鶏の維持
成果・評価
奥久慈しゃも種鶏ヒナの供給
しゃもJ系統雄ひな 150羽
TL系交雑雌ひな 1,200羽
つくばしゃも
しゃもZ系統大ひな 150羽
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
地鶏生産用として維持している種鶏群のふ化率,DNA多型(多様性)等を調査することで近交退化のメカニズムを解明するとともに,不良形質の発現(生産性の低下)を抑制する最適な維持,交配方法を開発する。
優良形質をもった種鶏群を長期維持することが可能となり奥久慈しゃもなど本県独自の特徴ある地鶏の安定的な生産につなげる
方法
交配試験区分 試験区A(分割集団交配区),試験区B(試験羽数増加+凍結精液活用区),対照区
成果・評価
期間・区分
平成23~25年度,県単
背景・目的
納豆にはプロバイオティクスによる整腸作用があることが知られており,豚においても納豆給与によって腸内細菌叢が安定し,医薬品によらず下痢の発生が減少し生産性が向上することが報告されている。
こうしたことから鶏へ育成期から納豆乾燥粉末給与を行った場合の飼養成績や腸内環境に及ぼす影響について検討し,育成率・飼養成績の向上や未利用資源の有効活用につなげる。
方法
成果・評価
期間・区分
平成20~23年度,独法委託
背景・目的
養鶏現場において,体温や運動量をモニターするアニマルウォッチセンサの耐久性や稼働性を調査し,汎用タイプのセンサ開発に寄与する。
また,暑熱ストレス等感作時の体温や運動量の変化をモニタリングし,暑熱ストレスを未然に防止する監視システムの開発を目指す。
方法
成果・評価
期間・区分
昭和27年度~,県単
背景・目的
優良種雄牛を適正に飼養管理し,優良な凍結精液の生産と譲渡を行う。
方法
種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。
成果・評価
候補種雄牛を含め10,582本を生産し,4,057本を譲渡した。譲渡した精液は,北国関7が3,437本で全体の85%を占め,明安の2が100本,舞光が100本であった。
期間・区分
平成11年度~,県単
背景・目的
肉用牛の改良を図るため,肉用牛広域後代検定推進事業により選定された基礎雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産された雄子牛を選定し飼育検定する。
方法
(社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。
成果・評価
期間・区分
平成4年度~,県単
背景・目的
直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。
方法
(社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定(現場後代検定法)に基づいた。
成果・評価
候補種雄牛「平富士4」,「安茂高」の産子の検定を終了した。枝肉成績を検討した結果,枝肉重量及び脂肪交雑の推定育種価(BMS)が県評価基準値に対して平富士4が+22.195,-0.344,安茂高が-12.515,-0.453となり,茨城県肉用牛育種改良推進協議会で選抜について決定する。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
本県和牛において,不飽和脂肪酸であるアラキドン酸がおいしさに大きく影響しているとされるが,このアラキドン酸の生成酵素であるデルタ6デサチュラーゼ,エロンガーゼ,及びデルタ5デサチュラーゼを発現する遺伝子座は未解明なため,この遺伝子多型を解析し,アラキドン酸に関する成績との比較から遺伝子に基づく能力評価法を確立し,本県和牛集団の改良を促進する。
方法
成果・評価
デルタ6デサチュラーゼ遺伝子では塩基配列を解読し,翻訳領域にあるエキソン2,エキソン7の変異部である遺伝子多型領域SNPを黒毛和種における多型領域と同定した。この2カ所についてPCRを行うためのプライマーを設計した。またPCRによる遺伝子断片の増幅に最適な反応条件,プログラムを検討した。PCR試薬をTAKARABIOのエメラルダとし,エキソン2では98℃10秒,(98℃10秒,65℃30秒,72℃30秒)×35サイクル,4℃維持とし,エキソン7では98℃10秒,(98℃10秒,63℃30秒,72℃30秒)×30サイクル,4℃維持をPCR増幅の最適条件とした。エロンガーゼ遺伝子については翻訳されるタンパク質との比較によりエキソン8からエキソン1へ翻訳されることが判明した。
期間・区分
平成23~27年度
背景・目的
近年,低コストで省エネルギーな飼養管理方法として放牧が見直されている。しかし草地の放牧利用は,春から秋にかけてにとどまり,秋から春にかけては牛舎で飼養する飼養形態が一般的である。
そこで一層の省力化・低コスト化を図るため,簡易に放牧期間を延長できる方法を複数検討し,その最適な組み合わせによる周年放牧技術を開発する。
方法
放牧地へ牧草を追播導入する効果の検討
追播に適した牧草を選定するため,所内の圃場で寒地型牧草の寒期の被度,収量を調査した。
水田の冬季放牧地としての利用性の検討
常陸太田市の水田4カ所でひこばえの収量,成分を調査した。
成果・評価
期間・区分
平成23~27年度
背景・目的
肉を食べた時の口中の香り(フレーバーリリース)は肉のおいしさを左右すると言われているが,これまでほとんど研究されていなかった。そこで,機器分析によりフレーバーリリースの成分を検出する手法を開発し,官能検査の結果とあわせて肉のおいしさを科学的に評価する手法を確立する。
方法
成果・評価
期間・区分
平成21~23年度,国補
背景・目的
トウモロコシ等の代替飼料として注目されている飼料用米の黒毛和種肥育における適切な給与水準や,肉質に及ぼす影響について明らかにし,飼料用米の給与技術を確立する。
方法
肥育期間は10ヶ月齢~29ヶ月齢とした。試験区分は濃厚飼料を飼料用米で30%,15%及び0%(対照区)代替した3区とした。
発育成績,枝肉成績及び肉質について調査した。
成果・評価
1日平均増体重は対照区は0.94kg/日であり,両試験区とも0.8kg/日であった。そのため,対照区よりも低い傾向がみられたが,飼料用米の添加割合いによる発育の差はみられなかった。
枝肉成績は,枝肉格付,歩留基準値及びBMSNo.については試験区と対照区間に大きな差はみられなかった。
肉質については,試験区が対照区に比べてオレイン酸の割合が高く,また,肉が軟らかくなる傾向がみられた。
期間・区分
平成21~23年,県単
背景・目的
本県の黒毛和種繁殖経営では分娩間隔の短縮や子牛の発育向上が重要な課題となっている。そこで,早期母子分離に替わる管理法として制限哺乳を実施し,授乳回数の減少による母牛の発情回帰日数,受胎率への影響,子牛の増体効果を検討する。
方法
成果・評価
期間・区分
平成23~28年度,県単
背景・目的
養豚農家において肉豚を肥育する際は三元交配豚を肉豚として生産するため,雄系,雌系の品種の総合的な育種改良が必要となっている。
雌系であるランドレース種、大ヨークシャー種について,本県は全国に先駆け昭和45年にランドレース種の系統造成を開始し,昭和54年には我が国第一号の系統豚として「ローズ」が認定された。さらにその後ランドレース種2系統,大ヨークシャー種2系統を造成してきた。
これら系統豚は本県の銘柄豚肉であるローズポークをはじめとする高品質豚肉生産の基礎豚として県内で広く利用され高く評価されているところである。
しかし,本県のデュロック種生産者は高齢化等によって激減しこれらの優良な雌系の系統豚に適合する雄系のデュロック種の安定供給が難しくなっている。
そこでローズポークをはじめとする優良な三元交配豚を安定的に生産し県内の高品質豚肉の生産性向上を図るため,養豚農家から要望の高い肉質向上や肢蹄の強健性を改良目標に加えたデュロック種系統造成を開始した。
方法
平成23年度上半期は平成20~21年度に導入した県外の系統豚および平成22年度に輸入した米国IBS社製造の凍結精液を用いて生産した基礎豚候補となる所内飼養豚等について能力調査を行うとともに,県外より系統豚を導入した。平成23年度より第一世代の生産・選抜を開始し,以後一年一世代の選抜を繰返して平成28年度に5世代で造成を完了する。集団の規模は雄8頭雌40頭の閉鎖群で毎年10~11月にかけて集中的に交配し2~3月に集中分娩させる。
一次選抜は体重30kg時に実施し一腹あたり雄1頭雌2頭と肉質調査豚2頭(雌,去勢)を選抜する。第二次選抜は体重105kg時に実施し,雄8頭雌40頭を選抜して次世代豚の生産に供する。選抜形質および改良目標値は一日平均増体重1000g,飼料要求率2.9,筋肉内脂肪含量5%と設定した。第二次選抜時にBLUP法アニマルモデルにて総合育種価を算出して選抜し,また肢蹄の強健性について第一世代では独立淘汰法により実施する。
成果・評価
基礎豚候補豚として選定した雄13頭雌48頭を第一世代生産のための交配に供し,43頭の雌が第一世代候補となる364頭(雄193,雌171)を生産した。一腹平均産子数は8.1頭,生時体重1.4kg,3週齢時一腹総体重42.2kg,離乳頭数340頭(雄177,雌163),離乳前育成率93.4%であった。平成24年度4月以降体重30kgに達した第一世代候補豚より順次第一選抜を実施していく予定。
期間・区分
昭和45年度~,県単
背景・目的
大ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」を本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚として、平成15年度より農家に供給してきた。長期間にわたり維持、増殖を進めてきた結果、血縁係数が上昇してきているので、種豚の更新を抑えながら斉一性のとれた肉豚生産と高品質豚肉生産を目指す。
方法
所内の維持施設で飼養する系統豚「ローズW-2」種雄豚7頭、母豚30頭を用いて繁殖を行い、生産した育成豚の中から更新に用いないものを県内養豚生産者へ払下げた。繁殖成績及び育成豚の主要形質の成績や集団の遺伝構成について測定、算出して、維持群の能力を調べた。
成果・評価
育成豚は雄15頭、雌2頭の合計17頭を8戸の農家に払下げた。繁殖成績では、25腹の分娩があり、育成率は91.9%であった。昨年度比では、分娩腹数が5腹減ったが、育成率は1.6%上昇した。血縁係数は31.87、近交係数は12.01となった。昨年度比で血縁係数は0.91上昇、近交係数は0.39の上昇にとどまったのは、繁殖豚の更新を種雌豚2頭だけにしたとによる。今後は、繁殖豚の更新を抑えながら、維持増殖を進めると共に、開放型育種手法の開発及び確立を図り、斉一性のとれた肉豚生産と高品質豚肉生産を目指す。
期間・区分
平成22~25年度,県単
背景・目的
デュロック種は他品種と体型がやや異なるため,他品種の肢蹄評価スコアにあてはまらない部分が多い。
そこで,強健性のある肢蹄データの収集し,その結果により肢蹄評価方法を確立し,デュロック種の種豚肢蹄改良に資する。
方法
当所で飼養していた,デュロック種系統造成素材豚(雄13頭,雌58頭)の肢蹄形状及び歩様等を調査した。調査項目は前肢形状(手首,つなぎ,ひずめ,前貌)及び歩行時前肢着地位置,後肢形状(飛節,つなぎ,ひずめ,後貌)及び歩行時後肢着地位置並びに歩様とした。
成果・評価
期間・区分
平成19年度~23年度,独法委託
背景・目的
医療用として開発された遺伝子組換えした豚(TG豚)の2種類の遺伝子(hDAF、Endo Gal C)をホモ化するために交配を繰り返し、移植医療用のモデル豚の増殖技術の確立を目指す。
方法
(独)農業生物資源研究所で作出された遺伝子組み換え豚の後代種豚を導入して、遺伝子型をホモ化したものが産出されるように交配を行い、産子の遺伝子型を判定して、ホモのものを臓器移植の試験に用いる。さらに試験に使わない豚の中から繁殖に適しているものを選抜して、最終的には2種類の遺伝子をホモで持つ種豚を作出した。
成果・評価
23年度は4腹分娩して46頭生産した。hDAF遺伝子のホモ化を進めた。その結果、繁殖豚におけるhDAF遺伝子をホモで持つ豚は6頭、ヘテロで持つ豚は6頭となった。
期間・区分
昭和62年度~,県単
背景・目的
ランドレース種系統豚「ローズL-3」(2011年度認定)を,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」や高品質豚肉の基礎豚として長期間に渡り安定して利用することを目的に,認定時の能力を保持しながら近交係数・血縁係数の上昇を最小限に抑える維持・増殖を行っている。
方法
「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ,繁殖・育成成績、産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持した。
成果・評価
期間・区分
平成23~27年,県単
背景・目的
我が国の食料自給率は主要先進国のなかでも低く、家畜の餌となる飼料自給率は、25%程度であり、その多くは輸入に依存している。
そこで、未利用資源の利活用を目的として,茨城県特産のレンコン残さをエコフィードとして活用するため肥育豚の飼料に追加給与し、その生産性を検討した。
方法
レンコン給与区の飼料は、一般配合飼料(TDN77%,CP15%)を不断給餌とし、それに加えてレンコン残さを(現物重量比15%)給与した。対照区は一般配合飼料(TDN77%,CP15%)のみを不断給餌とした。両試験区間とも70kgに達した時点で試験を開始し、110kgに達したものから順次と畜し、枝肉形質と肉質について調査した。肉質については、と殺翌日にロース部分を用いて定法に従い、水分含量、保水力、加熱損失、pH、及び、肉色の測定を行い、背脂肪内層を用いて脂肪融点、脂肪色測定を行った。
結果・評価
レンコン残さを給与することで現物摂取量が有意に上昇したが、乾物摂取量とTDN摂取量については、有意な差は認められなかった。配合飼料のみの摂取量については、レンコン給与区の摂取量が有意に少なかった。
一日平均増体重(DG)、と体成績、肉質成績については、有意な差は認められなかった。
レンコン残さの乾物重量比15%程度の飼料添加は、豚の成長を妨げず、枝肉、肉質成績にも影響がないことが明らかになり、レンコン残さの活用の可能性が示された。今後、レンコンの保存性の向上について試験検討する。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
豚肉は,特有の臭みにより一部の消費者から敬遠されているが,臭みが豚肉の評価に与える影響は明らかにされていない。そこで,豚肉のフレーバー成分及びフレーバーリリース(咀嚼時に鼻から抜ける香り)成分がおいしさに与える影響を検討した。今年度は,呼気ガス測定装置(ブレスマス)による豚肉のフレーバー分析は知見がないため,分析処理方法について検討した。さらに,豚肉の性別の違いによるフレーバー成分について検討した。
方法
ブレスマス分析における豚肉から発生するガスの採取方法について,サンプル量(20g,50g),調理方法(生, 焼く, 茹でる),咀嚼の再現(無処理,ハンマーによる叩き,ストマッカー),ガス採取部位(ビーカー上部, 下部),について比較検討した。次に,性別の違いが肉の臭みに及ぼす影響を明らかにするため,雌,去勢,雄について,ブレスマスによりフレーバー成分を分析した(各3頭,3反復)。
成果・評価
サンプル量について,20gは50gに比べガス成分は少ないものの評価には十分なガス成分量であった。調理方法は,茹で肉のガス成分量が生肉と焼き肉に比べ高かった。咀嚼の再現については,ストマッカー利用のガス成分量が,無処理およびハンマーによる叩きに比べ高かった。コニカルビーカー内の上部と下部のガス成分に差はなかった。以上の結果から豚肉のフレーバー成分採取のため分析処理方法は次の通りとした。サンプル量は20gとし,ビーカーに精製水を入れ,湯煎によりビーカー内湯温90℃まで加温し,1分間サンプルを茹でる。直ちにビニル袋に入れストマッカーで30秒処理し,その後コニカルビーカーに移し,5分間50℃の恒温槽内で保持し,ガス成分を採取する。
茹でた豚肉において性別によるガス成分の違いを比較した結果,分子量57と58において雌,去勢,雄の順で高い傾向が認められた。
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