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更新日:2024年9月30日
梅毒は、主に性的接触により感染する感染症で、近年、全国及び茨城県において梅毒患者数が急激な増加傾向にあります(図1)。ここ2年ほどは若干減少していますが、高い水準を保っている状況です。また、2016年には県内で8年ぶりに先天梅毒が1例報告され、さらに2018年にも1例報告されています。
図1.全国及び茨城県の梅毒患者数推移
前述のように、梅毒患者が急増していますが、なぜ増加しているのか詳しい背景は明らかになっていません。そこで、梅毒患者の詳細な感染経路等を明らかにし、効果的な予防啓発と検査受診の促進に寄与することを目的として、梅毒患者に関するアンケート調査を実施しました。
県内の梅毒患者について、患者発生届出を行った医師へアンケート調査を実施しました。
本研究は、茨城県疫学研究合同倫理審査委員会の承認を得て実施しました。
協力が得られた87例のアンケート調査票を集計し、解析しました。
男性が58例、女性が29例と男性が女性の2倍でした。年齢分布は図2のとおりで、男性は40代を中心に幅広い年齢層にみられるのに対し、女性は20代が突出して多くみられました。職業は、男女ともに会社員が最も多くみられました。
図2.性別年齢別患者数
患者の多くは異性間性的接触で感染していました。相手との関係性は、男性は「風俗店」、女性は「特定のパートナー」が最も多くみられました(図3)。また、感染地域は、8割以上が茨城県内でした。
図3.性的接触相手との関係(複数回答)
87例中20例(23.0%)で性感染症の罹患歴がありました。罹患した疾患は、男女ともに性器クラミジアが最も多くみられました(図4)。
図4.罹患歴のある性感染症(複数回答)
患者の6割は自覚症状があり医療機関を受診していますが、残りの4割は無症状で発見されています。無症状の方が発見された理由は、他疾患の治療の過程(術前検査等)や人間ドック、妊婦健診などでした(表1)。
表1.無症状病原体保有者の医療機関受診の理由(複数回答)
以上の結果から、本県の梅毒患者は男性が多いこと、女性は若年層が突出していることが分かりました。また、男性梅毒患者の多くは県内の風俗等の利用により梅毒に感染し、その男性パートナーから女性が感染している例が多いことが示唆されました。
県内の梅毒患者数は数年前と比較して多い状況が続いています。梅毒は適切に治療を行えば完治する感染症ですが、感染しても症状が出ないことも多く、知らず知らずのうちに感染を広げてしまう可能性があります。疑わしい症状が現れたときや、心配なことがあったときには早めに検査を受けるなど、早期発見・早期治療が重要です。
梅毒は、妊娠中に感染していると先天梅毒につながる危険性があるため、特に若年層で注意すべき感染症です。先天梅毒を防ぐために、患者報告数の多い若年女性はもちろんのこと、パートナーもしっかり予防することが重要です。
※先天梅毒…胎盤を介して胎児に感染し、流産・早産等を引き起こしたり、赤ちゃんにさまざまな先天異常が現れること。
症状がある場合は、医療機関を受診してください。
また、茨城県では、保健所においてエイズ・性感染症・肝炎に関する検査・相談ができます。
※検査はすべて無料・匿名です。
※検査は予約制です。事前に電話による予約が必要となります。
詳細は以下のリンクを参照してください。
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