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更新日:2018年2月27日
提案説明に先立ちまして、謹んで一言申し上げます。
菊池敏行前議長には、去る2月26日にご逝去されました。県議会議員を五期務め、数々の要職を務めるなど、これまで県政の発展にご尽力いただいたところであります。昨年12月には議長に就任され、豊富な経験と卓越した政治手腕により、これからの新しい茨城づくりにおきましても、変わらぬご指導を期待していた矢先の突然の訃報であり、大変、残念でなりません。ここに哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
平成30年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。
私は、「人口減少が進む今後10年間に何をするかで茨城県の未来が大きく方向づけられる」と度々申し上げてまいりました。日本経済は、GDPがバブル期以来28年ぶりに8期連続プラス成長となるなど、改善基調が続いております。一方で、人口減少は、社会の活力を少しずつ、しかし確実に失わせていきます。単にこれまでの取組みを続けているだけでは、延命はできてもいつか手遅れになってしまう。そうなる前に手を打たねばならない。その危機感が私を突き動かしています。そしてこの危機感は私だけではなく、県民の皆様の多くが心のどこかに抱えている、私はそのように思っております。
私の知事としての使命は、そうした危機感を共有し、実際の行動に移していくことであります。これまでと同じことをやっていては、状況は変わりません。変化をおそれずに、新しいことに積極果敢に取り組んでいくこと、その先頭に立って挑戦し、県民の皆様とともに、未来に夢と希望を持つことのできる、新しい茨城をつくりあげていくことが私の使命であります。
新しい茨城づくりは、決して平坦な道のりではありません。また、取り返しのつかない状況になるまでの残された時間も決して長いものではありません。その中で成果をあげていくためには、物事の本質をしっかりと見極め、そこに予算とマンパワーを重点化していくことが必要であります。
私は就任以来、そうした認識のもとで、多くの方の意見も伺いながら、本県の課題と対応策について真剣に議論を重ねてまいりました。これが結実したのが、平成30年度当初予算案であり、組織改正案であります。新しい茨城づくりは、行政、特に県だけの力でできるものではありません。しかしながら、県庁がそのエンジンとなり、挑戦していくためには、県庁自体が変わっていかなければなりません。今回の予算案と組織改正案は、県庁が大きく変わることを示す最初の道筋であります。
私の好きな言葉に、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの「意志あるところに道は開ける」という言葉があります。困難なことであっても、やり遂げる意志があれば必ず道は開ける、だから強い意志をもって挑戦していかねばならない。この気持ちを、県庁全体で共有していきたいと思っております。
私は、これまでの5か月間、県内各地をくまなく回ることはもちろんのこと、できるだけ県外や海外にも赴き、自分自身の目で見て、さまざまな立場の方からお話を伺うことを心がけてきました。
先月15日には、現地でタイガーエア台湾との合意を取り交わし、来月26日から7か月間、茨城と台北を結ぶチャーター便が運航することとなりました。路線の定着及び充実に取り組むとともに、これを契機にアジアをはじめ海外観光客の誘致に向けた具体的な取組みをさらに強化してまいります。
今月1日には、外資系企業の方々に向けて対日投資セミナーを都内で開催し、つくばを中心とした科学技術の集積状況や本県の地理的優位性などをアピールしてまいりました。また、県内企業に対して海外展開向けのセミナーや商談会等を実施してきたところであります。世界にはまだまだビジネスチャンスがたくさんあります。外資系企業の本県への投資はもとより、県内企業にとって、海外市場での事業展開や海外企業との技術提携は、グローバル経済の中で勝ち抜いていく上で有効な方策の一つであり、そのことが、ひいては質の高い雇用の創出にもつながってまいります。意欲ある県内企業を後押しし、世界との距離感を縮めていくための仕組みをつくることが、行政の重要な役割だと改めて実感したところであります。
今月7日には、内閣府の国家戦略特区ワーキンググループでの国家戦略特区提案において、私がプレゼンテーションに臨み、「大型ドローンを用いた空の物流インフラ構築」や「搬送用ロボットの歩道走行」など、本県からの提案内容を説明してまいりました。本県の提案が認められるまでには高いハードルがあると思いますが、国家戦略特区指定に向けた、私の規制緩和に対する強い意欲をしっかりと伝えることができたと感じております。
昨年12月には、私の挑戦を具現化し、共有するため、「活力があり、県民が日本一幸せな県」に向けた具体的な政策の方向性を「新しい茨城づくり」政策ビジョンとして取りまとめました。この政策ビジョンでは、4つのチャレンジを掲げております。
まず第一に、新しい豊かさへのチャレンジであります。
力強い産業の創出とゆとりある暮らしを育み、新しい豊かさを目指します。
第二に、新しい安心安全へのチャレンジであります。
医療、福祉、治安、防災など県民の命を守る生活基盤を築きます。
第三に、新しい「人財」育成へのチャレンジであります。
未来を創る「人財」を育て、日本一子どもを産み育てやすい県を目指します。
第四に、新しい夢・希望へのチャレンジであります。
将来にわたって夢や希望を描ける県とするため、魅力度向上や観光創生を図ります。
今申し上げた4つのチャレンジに向けて、国や市町村、民間企業や関係団体など多様な主体と緊密に連携を図り、県民の皆様とともに「新しい茨城づくり」に全身全霊をもって取り組んでまいります。
なお、この政策ビジョンをさらに具体化する新たな県総合計画につきましては、今月5日に県総合計画審議会に諮問したところであります。今後、新たに委嘱した委員の皆様に政策ビジョンをベースに十分ご議論いただくとともに、県議会をはじめ県民の皆様のご意見を踏まえながら、新たな県総合計画の策定を進めてまいります。
また、地方創生を推進する「茨城県まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましては、県議会のご意見等を踏まえ、年度内を目途に改訂いたします。
平成30年度は、私の挑戦が本格的にスタートする年であります。新たな発想で挑戦していく予算を編成するとともに、これを支える組織体制を構築するために、県の組織を大胆に再編し、挑戦する茨城県をつくってまいります。
まず、予算についてであります。
平成30年度の茨城県一般会計予算の総額は、29年度当初予算と同程度となる3億円減の1兆1,116億88百万円となっております。
歳入につきましては、県税収入が企業収益の改善などを見込み、29年度当初予算に比べ、3.3パーセント、121億円増の3,844億円と見込んでおります。また、地方交付税が震災復興特別交付税の減等により、3.4パーセント、66億円減の1,848億円と見込むとともに、臨時財政対策債は、地方財政計画を踏まえ、3.2パーセント、21億円減の641億円を計上いたしました。
一方、歳出につきましては、「新しい茨城づくり」政策ビジョンに掲げる「活力があり、県民が日本一幸せな県」づくりを進めるため、「新しい豊かさ」「新しい安心安全」「新しい人財育成」「新しい夢・希望」の4つのチャレンジごとに、積極的に予算計上いたしました。あわせて、これまで実施してきた事務事業の総点検を行い、施策の選択と集中に取り組んでまいりました。選択と集中に関しましては、一つの政策目的を達成するために、どのような事業が最も効果的かを常に意識し、最も効果的な事業に重点化することを心がけるとともに、政策効果が不透明な、いわゆる「バラマキ」と呼ばれる、一件あたりの補助額が少額の補助金はできるだけ整理することといたしました。
その結果、一般行政費は、震災復興緊急融資などの貸付金の減少などにより、29年度当初予算に比べ、2.6パーセント、91億円減の3、390億円となっております。また、公共事業費は、東日本大震災関連事業が減少する中で、本県発展に向けた環境整備などに取り組むための予算を計上したところであり、特別会計及び企業会計を含む公共事業全体で0.9パーセント、11億円の減となる1,181億円を確保したところであります。
なお、特別会計は13件で、国民健康保険特別会計の新設などにより、総額6,176億63百万円、114.3パーセントの増、企業会計は6件で、総額1,082億67百万円、5.3パーセントの減となっております。
次に、平成30年度の主な施策について申し上げます。
第1は、新しい豊かさについてであります。
まず、科学技術を活用した新産業育成、中小企業の成長支援についてであります。
ベンチャー企業をはじめとする新産業の育成につきましては、県内の研究機関などが持つ優れた技術シーズの発掘を行い、事業構想のブラッシュアップや創業・事業化に向けた支援などを行ってまいります。あわせて、創業・事業化した企業の本県への定着を後押しするため、オフィス賃料の支援等の優遇策も創設します。
県内中小企業における成長分野進出を促進するとともに、IoT導入に向けて専門家の派遣等の支援を実施してまいります。
次に、質の高い雇用の創出についてであります。
茨城に住みたい、住み続けたいと思う人を増やすためには、いろいろな方々の希望に応じられる多種多様で質の高い雇用が確保されていることが大変重要なことであります。このため、AIやIoT関連など新たな成長分野の研究施設や本社機能等の移転を全力で促進することとし、一件あたり最大50億円の補助制度を創設します。
あわせて、公共工業団地について、実勢価格を反映した分譲価格の見直しを今月8日に公表したところであり、企業誘致を強力に進めてまいります。
次に、「強い農林水産業」の実現についてであります。
農業の生産性を高め、競争力を強化するためには、農業の成長産業化を目指していくことが重要であります。このため、100ヘクタールを超える規模の大規模経営体を育成する取組みを進め、新たな政策モデルとして国に提案してまいります。また、本県農林水産物のブランド力を強化するため、メディア等に向けた情報発信を進めるとともに、海外飲食店でのメニュー提供等を行うことにより、話題づくりに積極的に取り組んでまいります。
持続的な森林資源の循環利用と森林の公益的機能の維持のため、林業の自立化・成長産業化を図っていくことが重要です。このため、森林湖沼環境税の活用において、これまでの施策を大きく見直し、意欲と能力のある林業経営体による人工林の施業集約化などを進めてまいります。
近年、イノシシ等の鳥獣被害が深刻化していることから、捕獲活動への支援を拡充するとともに、イノシシ等を「近づけない」環境づくりに新たに取り組んでまいります。
次に、かけがえのない自然環境の保全・再生についてであります。
霞ヶ浦の水質浄化のためには、生活排水対策を重点的に行うことが必要であります。これまでの施策の内容を大きく見直し、森林湖沼環境税を活用し、下水道及び農業集落排水への接続に対する助成を大幅に拡充いたします。また、本年10月に第17回世界湖沼会議を開催し、水環境保全に係る機運の醸成を図ってまいります。
次に、多様な働き方の実現についてであります。
誰もが働きやすい就労環境を整備するため、企業に働き方改革アドバイザーを派遣し、県内企業における労働環境を改善いたします。また、個別にコンサルティングを実施するとともに、女性の採用に意欲的な企業を支援することで、生産性の向上や多様な働き方の実現を目指してまいります。
本県へ進出するIT企業等に対して、試験的なテレワークの導入支援やオフィス等の整備支援を行うことにより、本県へのサテライトオフィス開設やIT人材等の移住・二地域居住につなげてまいります。
あわせて、県庁においても、ITの活用や勤務時間・勤務場所の一層の柔軟化により、職場に拘束されずに効率的に仕事ができる環境を整備するなど、率先して働き方改革を推進してまいります。
第2は、新しい安心安全についてであります。
まず、県民の命を守る地域医療・福祉の充実についてであります。
地域医療の充実につきましては、平成30年度を初年度とする「第7次茨城県保健医療計画」に基づき、医師確保や医療提供体制の整備を進めてまいります。
なかでも、医師確保につきましては、今月23日に行った「医師不足緊急対策行動宣言」において、政策パッケージをお示ししたところでありますが、これまでの常識にとらわれず、新たな発想により、あらゆる手段を講じ、私が先頭に立って、県民一丸となって取り組んでまいります。
具体的には、医師にとって魅力ある環境づくりや、地域偏在の是正に取り組むとともに、新たに任命する「いばらき医療大使」の協力も得て、全国の医科大学に対して積極的に足で稼ぐリクルート活動を展開してまいります。さらに、金融機関と提携して、在学中実質金利ゼロの医学部進学者向け教育ローンを創設するなど、医師不足の解決に向けチャレンジしてまいります。あわせて、限られた医師数でも最大限の医療の提供が可能となる仕組みづくりを進めていくため、ITを活用した遠隔医療や在宅医療等を推進するとともに、地域医療提供体制の再構築へ向けた支援を強化してまいります。
県民の死亡原因の第一位であるがん対策につきましては、予防や早期発見が重要となることから、市町村や企業などと連携したがん検診の普及を強化するとともに、ウィッグ購入等助成制度の新設などを通じて、患者・家族への支援の充実を図ります。
地域保健の充実については、地域における健康危機管理などへの対応力強化のため、保健所の再編に向け速やかに検討を進めてまいります。
次に、健康長寿日本一についてであります。
超高齢社会を迎え、高齢者一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる社会を目指して「第7期いばらき高齢者プラン21」を策定いたします。高齢者の活躍を推進するとともに、在宅医療の体制整備や介護予防・重度化防止、認知症対策等に取り組んでまいります。
「茨城型地域包括ケアシステム」の構築を推進し、誰もが地域で安心して暮らし続けることができる社会を目指します。さらに、働く世代を中心とした、県民の継続的な健康づくりを推進するため、スマートフォンアプリによるヘルスケアポイント制度を構築いたします。
次に、障害児・障害者福祉の充実についてであります。
県立あすなろの郷については、施設の老朽化等の課題に対し、利用者第一の視点のもと、民間活力の活用等による、新たな施設運営に向け、建設計画の作成等を進めてまいります。
発達障害に関する相談等の状況を踏まえ、新たに県南地域に発達障害者支援センターを設置し、相談支援体制の強化を図ります。また、介護者の負担軽減を図るため、医療的ケアを必要とする児童を受け入れる通所事業所等の開設を支援します。さらに、特別支援学校に、就労を支援するコーディネーターを配置し、関係機関と連携した就労支援体制を強化し、就労機会の拡大を促進してまいります。
次に、安心して暮らせる社会づくりについてであります。
市町村などと連携し、公共交通機関が確保されていない地域の解消を進めるとともに、公共交通や買物支援などの生活支援サービスの維持・確保に取り組み、安心して暮らせる生活環境づくりを推進してまいります。
犬猫殺処分ゼロを目指し、収容された子猫の譲渡のさらなる推進を図るとともに、動物愛護管理施策の執行体制や罰則・規制の強化などの検討を進めてまいります。さらに市町村の消費生活センターの機能強化など、消費者行政の推進を図るとともに、コミュニティ運動を推進し、防災・防犯・保育・交通弱者対策などの課題に対応する地域力の向上を図ります。
次に、災害に強い県土づくりについてであります。
緊急輸送道路の整備、重要港湾の機能強化や鬼怒川の集中的な改修など、東日本大震災や関東・東北豪雨からの復興に、引き続き全力で取り組んでまいります。
今月21日には、地震や原子力施設事故を想定した図上型防災訓練を、参加者にシナリオを知らせないブラインド方式で実施しました。災害への備えや地域の防災力を強化するため、県有施設の耐震化や長寿命化を進めるとともに、避難勧告などの災害情報を、ITを活用して県民一人ひとりに迅速に伝達できるシステムを整備してまいります。
第3は、新しい「人財」育成についてであります。
まず、次世代を担う「人財」育成についてであります。
これからの不確実な時代を生き抜き、グローバル社会で活躍できる人財を本県から輩出できるよう、意欲ある学生を対象として、インターネットを活用し、高いレベルの英語やプログラミングの学習機会を新たに提供してまいります。また、多くの学生がプログラミングに興味を持つような学習サービスについても提供してまいります。
あわせて、茨城の未来を支える人財の育成も急務であります。企業版ふるさと納税を活用して、大学等を卒業後、県内に就職した方を対象として、奨学金返済への支援制度を創設するとともに、同じく県内就職者に対して返還を免除する大学等の入学一時金貸付制度を創設することで、茨城型の就学支援を進めてまいります。
次に、教育環境の充実についてであります。
子どもたちが将来必要となる力を確実に習得できるよう、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導を行うとともに、誰もが安心して学べる環境をつくり、子どもたちの学びを支えることが必要です。
このため、小学生と中学2年生まで実施している本県独自の少人数教育を中学3年生まで拡充します。あわせて、国に先立ち、私立高等学校等授業料の実質無償化を年収400万円程度の世帯まで拡充いたします。さらに、特別支援学校等の環境改善に向けて、トイレの洋式化等を計画的に進めてまいります。
次に、日本一、子どもを産み育てやすい県についてであります。
社会全体で、子どもを産み育てやすい環境を作るため、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない支援を行ってまいります。新婚世帯や結婚予定の方々を対象とした優待制度を創設し、結婚や新生活を社会全体で応援する仕組みづくりを進めてまいります。
待機児童の解消に向けて、地域型保育事業における保育ママの増加や質の向上を図るため、コーディネーターを配置し、家庭的保育事業を促進します。加えて、いばらき保育人材バンクを創設し、官民が連携して保育士の確保に取り組んでまいります。さらに、子育て世帯の負担軽減のため、入院に係る医療費助成を高校3年生まで拡充いたします。これらの取組みにより、日本一、子どもを産み育てやすい県づくりを、全力で推進してまいります。
次に、学び・文化・スポーツに親しむ環境づくりについてであります。
つくば霞ヶ浦りんりんロードを活用した地方創生の取組みにつきましては、来月29日、全国初の駅直結サイクリング拠点施設として「りんりんスクエア土浦」が、JR土浦駅ビル内にオープンすることから、当該施設を拠点とした誘客や情報発信を強化してまいります。引き続き、走行環境の整備や広域レンタサイクルの実施、さらには日本第二の湖、霞ヶ浦を活用した、自転車を遊覧船に積み込んで移動できるサイクルーズの実施など、サイクリングコースの魅力向上を図ります。
次に、人権を尊重し、多様性を認め合う社会づくりについてであります。
いじめ対策につきましては、子ども専用の電話相談窓口である「子どもホットライン」や、県内5か所に設置した「いじめ・体罰解消サポートセンター」により、いじめの早期発見に努めるとともに、スクールカウンセラーの配置・派遣の拡充や、外部専門家によるサポートチームの派遣などにより、いじめを発見した際の早期対応を強化してまいります。
第4は、新しい夢・希望についてであります。
まず、魅力度No.1プロジェクトについてであります。
観光誘客、農林水産物のブランド化、企業誘致を最重要PRテーマとして、本県が有する多種多様な魅力を磨き上げ、戦略的に発信するとともに、茨城ブランドのトップセールスに全力で取り組んでまいります。
アンテナショップを全面リニューアルし、内装や商品ラインナップを高付加価値化し、新たなコンセプトで厳選された逸品を世界に誇れる「茨城ブランド」として国内外に発信してまいります。また、在京テレビキー局での放送内容を一新するとともに、インターネットメディアを活用した魅力発信の強化を進めてまいります。
次に、世界に飛躍する茨城についてであります。
中小企業の海外展開に対して、海外バイヤーの需要開拓や展示商談会におけるプロモーションの支援などにより、世界に挑戦する中小企業を強力にサポートしてまいります。
輸出に意欲的な産地による現地でのプロモーションを支援するとともに、農産物の輸送技術や輸出に合った生産技術の検討を進めることにより、農林水産物の輸出を拡大してまいります。
次に、ビジット茨城についてであります。
本県の新たなフラッグシップとして、県の観光イメージを大きく向上させることが期待できるホテル等の立地を促進するため、一件あたり最大10億円の補助制度を創設いたします。あわせて、県内の宿泊施設のさらなる魅力向上を進めるとともに、市町村等と連携した地域の朝型・夜型の観光資源の活用などにより、宿泊観光を促進してまいります。
国内外から多くの誘客が図られるよう、本県の強みのひとつである体験型観光を促進するとともに、筑波山・霞ヶ浦地域の観光資源の磨き上げや明治150年を契機とした歴史的観光資源の活用など、観光振興に取り組んでまいります。
国際観光につきましては、宿泊予約サイト等を活用した誘客プロモーションを戦略的に展開いたします。あわせて、台湾や東南アジアでの観光誘客拠点の新設などにより、本県への誘客促進に取り組んでまいります。
次に、茨城国体・全国障害者スポーツ大会、東京オリンピック・パラリンピックの成功についてであります。
この度の平昌オリンピックは感動と興奮の連続でありました。日本は冬季オリンピックとして過去最多となるメダルを獲得するとともに、本県関係者では小田卓朗選手がスピードスケート男子1500メートルと1000メートルでいずれも5位入賞を果たすなど、国民に大きな夢と感動を与えてくれました。選手達の活躍は、県民のスポーツへの関心を大いに高めてくれたところであります。来年開催される茨城国体・全国障害者スポーツ大会までいよいよ600日を切りましたが、両大会を成功に導くため、天皇杯・皇后杯の獲得に向けた競技力の向上と併せ、運営ボランティアの養成等の受入体制の整備や本年5月から行うリハーサル大会の実施などを通じて、開催準備をしっかりと進めてまいります。
東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、案内やおもてなしなどを行うボランティアの募集や聖火リレー実行委員会の設立など、大会成功に向けた取組みを進めてまいります。
今後とも関係団体等と連携し、開催準備を着実に進めていくとともに、市町村との連携・協力のもと、事前キャンプの誘致に取り組んでまいります。
次に、発展を支える社会資本の整備と住み続けたくなるまちづくりについてであります。
東関東自動車道水戸線につきましては、今月3日に、鉾田インターチェンジから茨城空港北インターチェンジまでの区間が開通しました。これにより、鹿行地域と県央地域、さらには北関東方面とのアクセスが向上し、さらなる産業振興や地域の活性化などに繋がるものと期待しております。
圏央道につきましては、昨年12月、国において、県内区間を含めた東北自動車道から東関東自動車道までの4車線化について、2022年度から順次供用し、2024年度全線供用との見込みが示されたことから、今後、さらなる企業立地の促進や広域的な交流の拡大などに、はずみがつくものと期待しております。
港湾事業につきましては、茨城港日立港区において、第3ふ頭地区の整備を進めるとともに、常陸那珂港区においては、中央ふ頭地区の整備を進めてまいります。また、常陸那珂港区及び鹿島港において、コンテナ貨物の集荷を促進するとともに、航路の拡充を図るなど、安全で使いやすい港づくりに努めてまいります。
茨城空港につきましては、先ほど申し上げた台北とのプログラムチャーター便のほか、今月15日から、約5年ぶりとなるソウルとのチャーター便が運航されております。国内線については、スカイマーク社による定期便に加え、フジドリームエアラインズによるチャーター便が予定されております。こうしたチャーター便の実績を積み重ねながら、新たな定期便の就航を図ってまいります。
次に、県北振興につきましては、定住人口の確保とそれにつながる交流人口の拡大が重要であります。このため、新たに県北6市町が実施する人づくりや産業振興、地域振興等に関するプロジェクトを支援するとともに、市町や民間と連携し、アートを活用した地域主体のまちづくりや地域資源を活かした地域活性化モデル事業に取り組むことにより、創意工夫による主体的な地域づくりを促進してまいります。
次に、組織の再編についてであります。
「新しい茨城づくり」政策ビジョンを実現していくためには、予算だけではなく、実際にそれを執行する組織体制が極めて重要であります。
そこで、職員が新たな発想で積極的に挑戦できる体制、スピード感のある事務執行体制、選択と集中によるメリハリのある体制の3つの柱を基本とする、組織の再編を行うことといたしました。
具体的には、まず、企業誘致、企業の海外展開支援、県産品の販路拡大、観光などの営業活動を強化するため営業戦略部を新設いたします。営業活動には迅速な意思決定が不可欠であることから、従来の課室と比べて意思決定階層をフラット化した組織としてチームを設置します。
知事直轄の廃止及び企画部の再編により、政策企画部を設置し、重要政策の企画立案、新たに策定する県総合計画・地方創生総合戦略等の計画推進に係る一体的かつ効率的な推進体制を整備いたします。
生活環境部を県民生活環境部に再編し、東京オリンピック・パラリンピック関係業務や女性活躍推進業務等を同部に移管することで、県民生活のさらなる向上に寄与する取組みを進めてまいります。あわせて、同部の防災・危機管理局を防災・危機管理部として独立させて設置し、災害時の指揮命令の迅速化、明確化を図ってまいります。
保健福祉部に正部長級の福祉担当部長を設置し、保健医療と福祉とが密接に連携できる体制を維持しつつ、今後とも拡大が見込まれる保健福祉分野の機動性を高める体制を整備するとともに、医療人材の確保対策や地域医療体制の充実等をこれまで以上に推進するため、医療局を設置いたします。
商工労働観光部を産業戦略部として再編し、科学技術振興を活用した新産業の育成や、中小企業の成長支援、質の高い雇用の創出を実現するための体制を整備するとともに、産業立地・工業団地整備・土地販売の推進を一体的に担う立地推進局を設置いたします。
これらの組織再編により、時代のニーズに的確に対応する機動的かつ能率的な組織体制を構築し、挑戦する県庁への変革を進めてまいります。
また、財源とマンパワーが限られる中では、選択と集中による事業のメリハリや、仕事の進め方の適正化・ムダ排除など、戦略的な行財政運営を行っていくことも不可欠であります。
平成30年度当初予算を編成するにあたっては、先に申し上げたとおり、これまで実施してきた約2,000事業をゼロベースで総点検を行い、約200事業、約18億円を削減いたしました。あわせて、事務の棚卸しを行い、非効率な事務や会議の廃止・合理化、外部委託の推進などにより、約300項目、約100人分に相当する事務を削減いたしました。
積極果敢な挑戦をする以上、事業のスクラップ・アンド・ビルドや事務の見直しは不断に取り組むべきものであり、PDCAサイクルの確立など、政策の検証スキームの構築を、引き続き進めてまいります。
次に、条例その他について申し上げます。条例は、新たに制定するもの3件、改正するもの25件、合わせて28件であります。
新たに制定する条例は、国民健康保険法の改正に伴い、県が行う事務を定める「茨城県国民健康保険条例」などであり、一部改正を行うものといたしましては、先に申し上げた組織改正に係る「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。条例以外の議案といたしましては2件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。
以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。
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