《意見書》
持続可能な農業・農村の実現及び食料安全保障の更なる強化を求める意見書
気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による農畜産物の輸入価格の高騰などが続く中、諸外国と比べ食料自給率が低い水準にある我が国にとって食料安全保障の強化は、喫緊かつ最重要課題となっている。
また、長引く円安の影響により、海外からの輸入に依存する燃料、電気料金などのエネルギー価格をはじめ、肥料や飼料などの生産資材の価格は、依然として高止まりが続いている。
一方、農畜産物の販売価格は、生産コストや流通コスト、人件費の上昇分などに応じた価格転嫁が進まず、農業所得を大きく減少させていることから、農業生産の現場においては、営農の継続に支障を来しており、この状況が続けば、安全で安心な食料の供給はもとより、国土の保全、農村固有の美しい景観の維持が困難となるなど、国民生活へ与える影響は計り知れないものであると考える。
こうした中、本県では全国に先駆け、令和6年3月に食料安全保障の観点から「茨城県食と農を守るための条例」を制定しており、国においても令和6年5月に「食料・農業・農村基本法」が改正され、農政が大きな転換点を迎える中、将来にわたって食料を安定的に供給していくためには、食料や生産資材の過度な輸入依存から国内生産の増大への転換を強力に進め、食料自給率の着実な向上につながるよう、農業者等に対する支援の充実・強化が求められている。
よって、国においては、持続可能な農業・農村の実現及び食料安全保障の更なる強化を図るため、下記の事項について措置されるよう強く要望する。
記
- 経営所得安定対策については、施策の検証を十分行うとともに、意欲ある農業者が将来にわたって安心して営農に取り組むことができるようにすること。
特に、飼料用米等の戦略作物に係る対策については、戦略作物等への転換を行った地域において定着が図られるよう、安定的・継続的な制度とすること。 - 国産への需要が高まっている麦、大豆については、急激な生産資材の価格高騰等により農業所得が減少することがないよう、農業者への十分な交付金単価を維持するとともに、必要な予算額を確保すること。
- 需要に応じた米生産については、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、行政・生産者団体・現場が一体となって取り組むこととしているが、これを実効性のあるものとするため、全国的な需給バランスの確保について、国において引き続き配慮すること。
さらに、今後の米価下落においても米の再生産が可能となるような制度を構築するとともに、米の需給改善のため、米の消費拡大について効果的な対策を講ずること。 - 燃料、電気料金、肥料や飼料などの生産資材に係る価格高騰対策の拡充、人件費の上昇に応じた支援など、農業者等に対する支援策の充実・強化を図ること。