緊急事態条項を含む憲法改正に取り組むことを求める意見書
新型コロナウイルス感染症は、長期に渡って全国各地で拡大し大きな被害をもたらしてきた。この間、全国の9割を超える中小企業の経営に深刻な影響が及び、日本経済に大きな打撃を与えている。さらに医療従事者や病床の不足が解決できず、医療崩壊の危機を招くという想定されなかった事態が発生した。
一方、我が国の国土は、地震、津波、暴風、竜巻、豪雨など極めて多種の自然災害が発生しやすい自然条件下に位置しており、東日本大震災の際には、道路を塞ぐ震災ガレキの撤去の遅れのため支援物資の輸送にも遅れが生じ、また被災地方自治体の機能停止も問題となった。
本県でも、東日本大震災以降、平成27 年9月関東・東北豪雨、令和元年東日本台風と甚大な被害をもたらした災害が発生しており、今後30 年以内に高い確率で発生が予想される首都直下地震や南海トラフ巨大地震による被害も危惧されている。
我が国は、これまで緊急事態の発生に対し災害対策基本法や新型インフルエンザ等対策特別措置法などによって対処してきた。しかし従来の法体系には限界があることが判明した。
感染症は全国的に影響を及ぼし、大地震などの自然災害はどの自治体であっても被災地になり得る。したがって、感染症や自然災害に強い社会をつくることは、我が国にとって喫緊の課題である。
国家の最大の責務は、緊急時において国民の命と生活を守ることにある。国民は、緊急時に国民の命と生活を守るための施策と法整備、さらには根拠法たる憲法について国会が建設的な論議に取り組むことを期待している。
よって、国会においては、緊急事態条項を含む憲法改正について建設的かつ広範な議論を促進するとともに、国民的な議論を喚起するよう強く求める。