令和4年第1回定例会で可決された意見書・決議・請願

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける学校給食関連事業者への
支援の充実強化を求める意見書

 学校給食を通した学校での食育の取組は、偏った栄養摂取、朝食欠食など食生活の乱れや肥満・痩身傾向など、子どもたちの健康を取り巻く問題が深刻化しているなか、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けるため、教科学習とともに学校教育の大きな柱である。

 その食育に大きく貢献している学校給食関係事業者は、その生業を専らとする中小零細業者が多く、また、保護者の経済的負担軽減等の観点から、最低限度の加工賃等で利潤を確保しており、平時より経営が非常に厳しく、老朽化した調理施設・機器等の設備更新も困難な状況である。

 さらに、新型コロナウイルス感染症が未だ収束の兆しが見えず、長期化・深刻化しているなか、感染拡大を防ぐため、学校でのリモート授業や分散登校に伴う給食の休止により、経営基盤の地元の中小企業への影響は日々深刻さを増しており、学校給食における基本物資(米飯、パン、麺類)の加工及び学校給食用牛乳等の提供に係る、関連企業への影響も深刻さを増しており、学校給食の安定的な供給体制に大きなダメージとなることが懸念されるところである。

 学校給食の安定的な供給体制を維持し、子どもたちの健康と豊かな心をはぐくむ食育が継続できるよう、学校給食関連事業者への支援の強化が喫緊の課題である。

 よって、国においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける学校給食関連事業者の立場に立って抜本的な支援策を講じるよう、下記の事項について強く要望する。

  1. 新型コロナウイルス感染症対策を理由とする学校給食の休止に伴い損失を受ける関連事業者に対して、十分かつ迅速な補償を行うこと。
  2. 子どもたちの健康と豊かな心をはぐくむ食育ができるよう、新型コロナウイルス感染症が終息した後も、学校給食の安定的な供給体制を維持するため、調理施設・機器等の設備更新も含めた経営支援を強化すること。

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業への金融支援の強化を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症は、感染力が極めて強い変異株が猛威をふるい、国民は命と生活が脅かされる生活が続き、地方経済への影響は長期化・深刻化している。

 特に、感染拡大を防ぐため、経済活動の抑制等で営業活動が著しく制限される中、経営基盤の弱い中小企業への影響は日々深刻さを増しており、中小企業の廃業や倒産により中小企業の持つ貴重な技術や雇用が失われることは、地域のサプライチェーンに与える影響のみならず、連鎖倒産など産業全体にも大きなダメージとなることが懸念されるところである。

 感染症が収束した際に、経済活動を速やかに再開し地域活性化を図るためにも、地域経済の基盤である中小企業の事業継続と雇用を維持し、健全で持続的な発展ができるよう、中小企業の命綱である資金繰り支援の強化が喫緊の課題である。

 よって、国においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業への金融支援の強化を図るため、下記の事項について特段の措置を早急に講じられるよう強く要望する。

  1. 政府系金融機関により実施されている新型コロナウイルス感染症特別貸付及び危機対応融資については、本年6月末まで延長されたところであるが、感染症の影響の長期化も踏まえ、中小企業の資金繰りに支障を来すことのないよう、さらなる取扱期間の延長とともに、特に厳しい状況にある小規模企業等に対しては、返済の猶予や無利子期間の延長などの措置を講ずること。
  2. コロナ禍で経営危機にある中小企業の事業継続と雇用維持を図るため、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資については、条件変更に伴い発生する事業者負担への支援をはじめ、借換による返済負担の軽減等について、官民金融機関で連携し、事業者の立場に立って抜本的な支援策を講じること。

シルバー人材センターに対する支援を求める意見書

 シルバー人材センター(以下「センター」という。)は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき設立された公的団体であり、地域の日常生活に密着した就業機会を提供することなどにより、高齢者の社会参加を促進し、高齢者の生きがいの充実、健康の保持増進、ひいては地域社会の活性化、医療費や介護費用の削減などに貢献している。

 令和5年10月に、消費税において適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入される予定となっているが、同制度が導入されると、免税事業者であるセンターの会員はインボイスを発行することができないことから、センターは仕入税額控除が出来なくなり、新たに預かり消費税分を納税する必要が生じる。しかし、公益法人であるセンターの運営は収支相償が原則であり、新たな税負担の財源はない。

 人生100年時代を迎え、国をあげて生涯現役社会の実現が求められる中、報酬よりも社会参加・健康維持に重きをおいた「いきがい就業」をしているセンターの会員に対して、形式的に個人事業者であることをもって、インボイス制度をそのまま適用することは、地域社会に貢献しようと努力している高齢者のやる気生きがいを削ぎ、ひいては地域社会の活力低下をもたらすものと懸念される。

 センターにとっては、新たな税負担はまさに運営上の死活問題である。 消費税制度においては、小規模事業者への配慮として、年間課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されているところであり、少額の収入しかないセンターの会員の手取額がさらに減少することなく、センターにおいて安定的な事業運営が可能となる措置を強く求める。

原油及び生活必需品の価格高騰から国民の生活及び経済を守る対策を求める意見書

 国際的な原材料価格の上昇が続くなか、原油価格の高騰をはじめ、電気やガスなどのエネルギー、穀物価格の上昇等が、コロナ禍で疲弊している国民の生活及び経済に深刻な影響を及ぼしている。

 加えて、ロシアによるウクライナ侵攻で引き起こされた、エネルギー及び穀物の資源大国であるロシアへの経済制裁や、小麦等穀物の輸出大国であるウクライナへの影響をはじめとした世界的な経済混乱が、事態の悪化に追い打ちをかける状況となっている。

 緊迫した世界情勢の中、国民の経済活動への影響を最小限に抑え、国民生活及び経済を守ることが喫緊の課題である。

 よって、国においては、原油をはじめとしたエネルギーや食料品等、生活必需品の価格高騰から国民の生活及び経済を守るため、実効性のある対策を躊躇なく講じるとともに、経済安全保障確保の観点から、生活必需品に係るサプライチェーンの見直し・強靭化を図るよう強く要望する。

教育現場における処遇改善を求める意見書

 学校教育は、子どもたちのその後の人格形成に大きな影響を与えるものであり、適切な教育による人材の育成は、国や地域づくりの基本となる重要なものである。

 一方、教育現場では、団塊世代のベテラン教職員の大量退職や、新学習指導要領の全面実施に伴う授業時間と新たな学習内容の増加、新型コロナウイルスに係る感染防止策やデジタル化への対応、いじめや不登校等、様々な課題への対応が求められ、長時間勤務が常態化しているのが現状である。

 これからの新しい時代に求められる子どもたちの資質・能力を育成するためには、すべての教員が心身ともに健康で、子どもたち一人ひとりと向き合える十分な時間を確保し、誇りとやりがいを持ちながら、質の高い教育を実践できるよう、環境整備への支援強化が喫緊の課題である。

 よって、国においては、教育現場の処遇を抜本的に改善するため、特段の措置を講じられるよう強く要望する。

出産育児一時金の増額を求める意見書

 厚生労働省によると2019年度の出産費用について、正常分娩の場合の全国平均額は約46万円で、室料差額等を含む費用の全国平均額は約52万4千円となっている。出産にかかる費用は年々増加し、費用が高い都市部では現在の42万円の出産育児一時金の支給額では賄えない状況になっており、平均額が約62万円と最も高い東京都では、約20万円を自身で負担している状況となっている。

 国は、2009年10月から出産育児一時金を原則42万円に増額し、2011年度にそれを恒久化したほか、2015年1月には一時金に含まれる産科医療補償制度掛金分3万円を1万6千円に引下げ、本人の受取額39万円を40万4千円に引き上げた。さらに、2022年1月以降の分娩から産科医療補償制度掛金を1万2千円に引下げ、同受取額を40万8千円とするとともに、医療機関から費用の詳しいデータを収集し、実態を把握した上で、支給額などを検討することとしている。

 一方、2021年の出生数速報値は約84万3千人で、前年に比べ約3万人減少し、過去最少となった。少子化克服に向け、安心して子どもを産み育てられる環境を整えるためには、子どもの成長に応じた、きめ細かな支援を重ねていくことが重要であり、一時金はその大事な一手であると考えられる。

 加えて、民間の産科を持つ医療機関においては、出産育児一時金の支給額を参考として出産にかかる費用を算定しているところもあり、昼夜を問わない出産に対応するための人件費の負担など、採算面から、産科を廃止する医療機関もあると聞いており、出産のできる医療機関の減少が、さらなる少子化につながることも懸念される。

 少子化対策は、わが国の重要課題であり、子育てのスタート期に当たる出産時の経済的な支援策を強化することは欠かせない。

 よって、国においては、現在の負担に見合う形に出産育児一時金を引き上げるよう、強く要望する。

ロシアによるウクライナ侵攻に断固抗議する決議

 ロシアによるウクライナへの侵攻は、国際社会の平和と安全を著しく損なう、断じて容認することができない暴挙であり、ウクライナに拠点を持つ日本企業をはじめ、現地在留邦人は緊迫した状況のなか、安否確認の対応に追われる等、厳しい状況におかれている。

 このような力を背景とした、一方的な現状変更への試みは明白な国際法違反であり、国際秩序の根幹を揺るがすもので断じて看過できない。

 ここに茨城県議会は、ロシアに対し、一連のウクライナへの軍事侵攻に厳重に抗議するものである。

 政府においては、現地在留邦人の安全確保に努めるとともに、国際社会と緊密に連携しつつ、毅然たる態度でロシアに対して制裁措置の徹底及び強化を図り即時無条件でのロシア軍の完全撤退を求めるべきである。

2023年主要国首脳会議(G7サミット)関係閣僚会合の茨城開催を求める決議

 2023年に、我が国において主要国首脳会議(G7サミット)が開催される予定である。

 G7サミットは、毎年、政治・経済等の諸問題について、世界の主要国首脳が一堂に会し議論をする重要な国際会議であり、新型コロナウイルス感染症への対応や地球環境問題など、人類が直面する多種多様なテーマを話し合う場として、その重要性はますます高まっている。

 首脳会議に伴って開催される関係閣僚会合について、本県では、これまで2016年G7茨城つくば科学技術大臣会合及び2019年G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合を開催した実績と経験を生かし、ポストコロナにおけるグローバル展開強化を図るため、水戸市への誘致を進めているところである。

 水戸市は、日本遺産に認定された日本三名園のひとつ偕楽園や弘道館など、歴史と文化が香る自然と調和した都市であり、世界の要人を迎え我が国への共感を高めて頂く上でも、国際会議の開催地として適した地である。

 また、会合を通じて茨城の魅力を国内外に発信する絶好の機会でもあり、ポストコロナを見据え、観光産業はじめ本県経済の活性化にもつながることが期待されるなど、会合開催は茨城県にとって大きな意義がある。

 よって、本県議会は2023年主要国首脳会議(G7サミット)の関係閣僚会合の茨城開催を強く求めるものである。