令和3年第2回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書》

地方衛生研究所の機能強化を求める意見書

 地方衛生研究所は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、限られた予算と人員のなかで、変異株も含めたPCR検査の実施や高い専門知識を持つ職員のクラスター対策班への派遣、病院等への検査に係る技術支援、迅速な検査による感染者の早期探知など、科学的・技術的な面における感染対策の要として、夜間休日を問わず最前線で対応にあたっているところである。

 また、感染拡大を防ぐため、国民に我慢と行動変容を求めているなか、理解と協力を得るためには科学的データの裏付けによる説明が不可欠であり、地方衛生研究所の役割は重要度を増している。

 しかしながら、地方衛生研究所の法的設置義務は明記されておらず、その予算、人員、組織体制は地域格差も大きく、地方自治体においては予算や人員の確保が課題となっている。

 よって、国においては地方衛生研究所の法的な位置付けを明確にし、今般のような国家的危機を前に機能不全に陥ることのないよう、予算を確保するとともに、さらなる機能や体制強化のため下記の事項について特段の措置を早急に講じられるよう強く要望する。

  1. 感染症対策に重要な役割を果たしている地方衛生研究所の法的位置づけを明確にし、予算を確保するとともにさらなる機能強化を図ること。
  2. 地方衛生研究所における疫学調査・解析及び研究に係る機能や体制を強化するため、疫学調査の専門家をはじめとした人材の確保、検査機器や試薬の確保などの支援を充実させること。

中小企業支援策の抜本的な拡充・強化を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症は、感染力と重症化率が高い変異株が猛威をふるい、地方経済への影響は長期化・深刻化している。

 本県においても感染拡大を防ぐため、中小企業におかれては営業自粛などの要請に協力し、苦境を耐え忍ぶ日々が続くなか経済活動は著しく停滞し、特に飲食・観光・宿泊関連の事業者をはじめ、幅広い業種で経営基盤の弱い中小企業が存亡の危機に瀕している。

 中小企業の持つ貴重な技術や雇用が失われることは、コロナ収束後の復旧・復興に必要な担い手の多くが消滅することになり、たとえコロナが収束したとしても、もはや経済復興がかなわないという状態に陥りかねない。今こそ、現状を打開すべく有事の対応が求められている。

 よって、国においては、中小企業支援策の抜本的な拡充・強化を図るため、新型コロナウイルス感染症対策予備費を積極的に活用し、下記の事項について特段の措置を早急に講じられるよう強く要望する。

  1. 中小企業の事業継続と雇用維持を図るため、借入金の返済猶予等をはじめ、税や保険料の減免措置、さらには売上減少に応じた所得補償等、厳しい経済情勢を踏まえた抜本的な施策を講じること。
  2. 長引くコロナの影響のなか、経営者の高齢化や後継者不在により、休廃業を余儀なくされる中小企業に対し、事業承継が円滑に進むよう、M&Aによる企業間のマッチングなど対策を強化すること。
  3. アフターコロナを見据え、新たなビジネスモデルへの業態転換やデジタル技術を活用した起業を促進するための支援を強力に行うこと。
  4. 感染を徹底的に抑制させるとともに、深刻な影響を受けている事業者に対し、地域の感染状況に応じて速やかに需要喚起策を講じるなど、経済成長と地域活性化に向けて大胆な経済対策を実施すること。

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の地方への速やかな交付を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、令和2年度補正予算や予備費の活用により、累計で約8兆円規模の総額が確保されたことで、地方自治体が必要とする感染症対策、雇用・経済対策に一定程度取り組むことを可能とした。

 また、今年度においても、地方自治体が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けている事業者への支援及び感染症対策の強化を実施するための新たな特別枠として事業者支援交付金分5,000億円が措置されており、そのうち3,000億円は既に地方に配分され活用されている。

 しかし、残りの2,000億円については緊急事態宣言終了後の対応のため留保されており、地方自治体の財源不足が深刻化している。

 さらに、変異株の猛威により、感染が全国各地へと急拡大し、飲食店や酒類販売事業者等への協力金の支給などにより追加的な財政支援を要する状況となっていることや、感染症の拡大による社会経済活動の低迷により、地方の税収入は大幅な落ち込みが見込まれている。

 よって、国においては、地方が引き続き感染症対策はもちろんのこと、雇用・経済対策や、地域の実情に応じた独自の対応を、地方の判断により迅速に実施できるようにするため、事業者支援交付金分として措置された5,000億円のうち、国が留保している2,000億円をできるだけ速やかに地方に交付するよう強く要望する。

PCR検査費用の負担軽減及び検査体制の整備等に向けた支援拡充を求める意見書

 感染力と重症化率が高い新型コロナウイルス変異株が猛威をふるい、いまだに収束の兆しは見えず、国民の日常生活や地方経済への影響が長期化・深刻化している。

 新型コロナウイルス感染症拡大の防止に有効な手段となるワクチンが、国民全体に行きわたるには一定の期間を要するため、引き続き徹底した感染予防対策が重要であり、早期に新型コロナウイルス感染症患者を発見する必要がある。

 重症化リスクの高い高齢者の感染拡大を防止するため、高齢者・障害者福祉施設従事者などに対するPCR検査等の予防的検査について、感染拡大地域に限らず、自治体の判断で広く行政検査として行うべきであり、行政検査に該当せず、自己負担で検査を行う場合には、高額な検査費用に対して助成等を行い、無症状の若年者等が気軽にPCR検査等を受けられるような支援策を講じていくことが必要である。

 また、PCR検査を始めとする検査体制を一層拡充し、精度が高く短時間で結果が判明するPC R検査等を実施できるよう、検査技術の開発を進めていくことが非常に重要である。

 よって国においては、PCR検査費用の負担軽減及び検査体制の整備等のための支援拡充に向けて、下記の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。

  1. 地域の実情に応じ、高齢者・障害者福祉施設従事者などに対するPCR検査等の予防的検査について、感染拡大地域に限らず、自治体の判断で広く行政検査として行うことを認めること。
  2. 全額公費負担となるPCR検査の対象者を拡大するとともに、自費検査の希望者についても、低廉な自己負担で検査を受けられるよう助成すること。
  3. PCR検査を始めとする検査体制を一層拡充するための支援を行うこと。具体的には、精度が高く短時間で結果が判明するPCR検査等を実施できるよう、検査技術の開発を進めていくこと。