令和元年第2回定例会で可決された意見書・決議・請願

《意見書・決議》

《請願》

医師等医療従事者の確保対策の充実・強化を求める意見書

 本県の人口10万人当たりの医師数は,全国平均を大きく下回っており,現時点で医師数を全国平均と同程度にするには,さらに約1,800人もの医師が必要となる。小児科や産婦人科はもとより,内科及び外科等の基本的な診療科においても,全県的に医師が不足するなど,本県の医師不足は極めて深刻である。
 厚生労働省では2028年頃には全国で医師の需給が均衡すると推計しているところであるが,医師の働き方改革や女性医師数の増,医療の高度専門化により医師を取り巻く状況は大きく変化しており,これを踏まえた需給推計の検証や対策が必要である。
 医師養成に係る多額の公費負担の現状や医師の公的役割なども踏まえると,国において現在の医師の勤務のあり方の見直しも考慮した更なる抜本的対策を講じる必要があるものと考える。
 さらに,看護師,助産師などの看護職員については,医療と介護の連携を推進するため,2019年度公表予定の全国の看護職員需給推計等を踏まえた人員確保や在宅医療の要となる訪問看護師をはじめとする看護職員の資質向上に取り組むことが必要である。
 また,看護職員の確保や資質向上のためには,質の高い看護教員を安定的に確保することが必要である。
 よって,国においては,医師等医療従事者確保対策の充実・強化を図るため,具体には別記の事項について取り組むことを強く求める。

別記

  1.  働き方改革や女性医師数の増,医療の高度専門化など,今後の医師を取り巻く状況の変化を踏まえ,医師需給推計の検証を行っていくこと。
  2.  医学部新設等に関する規制緩和や既設医学部の大幅定員増を可能とすること。また,医学部新設等にあたっては,医師偏在を助長することがないよう,設置者に対し適切な指導を行うこと。
  3.  地域枠制度を延長するとともに,医学部の臨時定員増を伴う地域枠の設置や増員申請等については,実効性のある施策となるよう,国において環境整備を行うこと。また,大学から地方公共団体に負担を求めることなく必要な教育を行えるよう,大学に対して国が十分な財政的措置を講じること。
  4.  外国において医師免許を取得し医師として医業を行っている者が,国内の医師不足地域の医療機関において,日本の医師免許を有する医師と同等に勤務することが可能になるよう,国家戦略特区制度等による規制緩和を行うこと。
  5.  都道府県において,必要な医師確保対策を継続して実施できるよう,地域医療介護総合確保基金による十分な財政的措置を講ずること。その際,地域医療介護総合確保基金が充当可能な範囲については,各都道府県の実情に応じた施策への充当を認めること。
  6.  女性医師が継続して働くことができるよう,保育制度の充実や勤務体制の柔軟化,再就業支援等,就業環境の整備を促進するために必要な措置を早急に講ずること。
  7.  潜在看護職員の再就業支援等により人員確保を図るとともに,訪問看護に係る研修や看護師特定行為研修による資質向上の取組を充実させ,医療と介護の連携に資するため,将来にわたる十分な財源を地域医療介護総合確保基金等を通じて確保すること。
  8.  質の高い看護教員を安定的に確保するためには,看護教員と臨床看護師とが相互に連携しながらキャリアを形成することが重要である。そのため現在は看護団体ごとに策定しているキャリアラダーについて互換性のあるものとなるよう国が中心となり調整を図ること。
     また,そのようなキャリアラダーに対応した研修会を実施する団体等に対し,十分な財政的措置を講ずること。

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高等学校における演劇鑑賞教室実施に関する請願

  1.  県内の公立高等学校が演劇鑑賞教室を開催出来るように支援をしていただきたい。
  2.  高校生対象の文化芸術活動充実に向け,一層の支援をしていただきたい。

 学校単位で授業の一環として行われる演劇鑑賞教室の全国的な傾向は,鑑賞予算を確保出来る学校と,困難な学校と二極化が進行し,「授業時間確保」の問題も絡み,全体として減少している。公益社団法人日本劇団協議会(以下,「日本劇団協議会」という)正会員による高校公演数の推移を見ると1990年代後半までは年間1300公演だったものが2016年には半分以下の518公演にまで減少している。茨城県の演劇事情では,水戸芸術館等による子どもたちを対象とした分野でも教育普及事業として「水戸子どもミュージカルスクール」「小学生のための演劇鑑賞会」「演劇ワークショップ」など多角的な諸活動に私たちも注目をしている。
 ところが高校の演劇鑑賞教室に目を向けると貴県も前述と同様な傾向にあり,都道府県別の公演数ランキングでは貴県は近年上位10位に入っていないという状況にある。
 学校での演劇鑑賞は終戦の翌年1946年から始まった。後に青少年期に演劇を鑑賞することは教育の目的である「人格の完成」をより豊かにしていく機会として教育の場でも認識され,他の芸術分野に抜きんでて全国の学校に広がったという歴史がある。高校での公演数は減少しているとは言え,演劇が教育に果たせる役割は逆に益々高まっていることを学校からの感想を見ると実感出来る。
 現在,全国の小学校・中学校に対しては文化庁「文化芸術による子供の育成事業」があり,一定度芸術鑑賞は保障されているが,高校は対象外となっており支援の手がほとんどないのが実態である。
 このような高校の文化環境に対し,日本劇団協議会として「子どもの権利条約」「文化芸術基本法」「1999年ユネスコ第30回総会事務局長アピール」及び「茨城県文化振興条例」に基づき,請願趣旨二点についての支援を要望する。
 なお,本請願に県内の水戸芸術館ACM劇場,劇団クリエからもご賛同をいただいている。また水戸芸術館の舞台演出では当日本劇団協議会の西川会長始め,いく人かの演出家が担当している。

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