《意見書・決議》
- 北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国の実現に向けた国の行動を促す意見書
- 私学助成の拡充強化等に関する意見書
- 「森林環境税(仮称)」の創設に関する意見書
- 豚流行性下痢(PED)の対策に関する意見書
- サービス付き高齢者向け住宅制度の改正を求める意見書
- 2025年国際博覧会の誘致に関する決議
《請願》
北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国の実現に向けた国の行動を促す意見書
平成26年5月の日朝合意により,北朝鮮は拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を約束したにもかかわらず,その後一度の調査結果報告を行うこともないまま,昨年2月には「特別調査委員会」の解体を一方的に宣言した。
拉致問題の発生から約40年という歳月が経過しており,拉致被害者の方々とそのご家族の方々の胸中は察するに余りある。ご家族には高齢の方も多くなり,問題解決まで,もはや一刻の猶予も許されない状況である。
この拉致は,我が国の主権に対する侵害であるとともに,重大な人権侵害であって,国がその責任において解決すべき喫緊の課題であるが,現在解決に向けた道筋は全く見えない。
よって,国においては,拉致被害者全員の即時帰国に向け,国際社会との連携強化はもとより,国民に見える形であらゆる手段を駆使した行動を起こすよう,強く求める。
私立学校(高等学校,中等教育学校,中学校,小学校及び幼稚園)は,建学の精神に基づき,時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し,公教育の発展に大きな役割を果たしている。
今後,公教育の一翼を担う私立学校が,国の進めるグローバル人材の育成等に向けた教育改革に的確に対応していくには莫大な経費が必要となるが,各私立学校とも財政的に限界がある上に,少子化の進行等により経営環境は厳しさを増している。授業料等の増額を抑制する社会の風潮の中では,公的支援によるほかはなく,私学助成等の拡充強化が強く求められている。
また,学校施設の耐震化の完了と併せて,学校教育におけるICT環境の整備は,公教育を担う学校に共通する基盤の促進を図る観点から,国の責務として私立学校への更なる支援が必要である。
加えて,高等学校等就学支援金制度によってもなお公私間の授業料負担格差は継続しており,このたび創設された私立中学校等の低所得世帯の生徒等への授業料支援制度も,支援金額としては僅かである。子どもたちの学校選択の自由,教育機会の保障の観点からも,就学支援金制度の拡充強化を通じた公私間の学費負担格差の是正は,重要な課題である。
よって,国においては,私立高等学校等教育の重要性を認識し,教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため,現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し,一層の充実を図るとともに,私立学校の施設耐震化補助の拡充など教育環境の整備充実や,保護者の経済的負担を軽減するための就学支援金制度の拡充強化を図るよう,強く求める。
森林は,国土保全,水源の涵養,地球温暖化防止等多面的な機能を有しており,国民全体に様々な恩恵をもたらしている。しかしながら,木材価格の低迷や林業の担い手不足などにより,森林の荒廃が進んでいることから,森林の持つ公益的機能を十分に果たしていくためには,間伐による森林整備や環境林の整備などを着実に実施する必要がある。
森林整備の財源については,現在,政府において市町村主体による新たな森林整備を進めるための財源として「森林環境税(仮称)」の創設に向けた検討が進められているが,森林整備を進めていくことは,国土保全など森林の公益的機能の発揮のみならず,山村地域を中心とする雇用・所得の拡大による地方創生にも大きく貢献するものである。
一方,本県においては,平成20年度から独自課税である森林湖沼環境税を活用し,森林整備に加えて木材の利用促進,森林環境教育等の推進など幅広く施策に取り組んでおり,「森林環境税(仮称)」の創設に関しては,このこととの整合性を十分に図る必要がある。
よって,国においては,次の事項を実施されるよう強く要望する。
記
- 「森林環境税(仮称)」の創設にあたっては,国・都道府県・市町村の森林整備等に係る役割分担及び税源配分の在り方などの課題について十分に整理すること。
- 本県をはじめ各地方自治体が独自に課税している森林環境税等との関係について,地方の意見を十分に踏まえ,確実に調整を図るとともに,国税の必要性について,国民から理解が得られるようしっかりと説明を行うこと。
平成25年10月に7年ぶりに国内で発生が確認された豚流行性下痢(PED)については,平成25年10月から平成29年8月までに,全国1,286の農場で発生が確認されている。
PEDは,発生した農場に大きな打撃を与えるだけでなく,消毒等の防疫対策を講じるための経費は,発生農場のみならず,国内全ての養豚農家の経営を圧迫するものである。
茨城県内の農場においても,日々,飼養衛生管理基準に沿った管理の徹底を図り,ウイルスの侵入防止に努めているところであるが,平成25年11月以降,PEDは県内で74例発生し,このうち2例は平成29年11月に発生していることから,感染拡大が懸念されるところである。
農場防疫の徹底等により,発生件数及び死亡頭数は年々減少傾向にはあるものの,万が一PEDウイルスが農場に侵入すると,子豚の死亡や生産性の低下など,経営に与える影響は甚大である。
よって,国においては,下記事項について実施するよう強く求める。
記
- PEDの感染拡大防止に向けて,現行ワクチンより効果の高いワクチンの開発に対する支援を行うこと。
- PED被害を受けた養豚農家の経済的損失を最小限に抑えられるよう,互助制度の創設とその運営に係る財政支援を講じること。
高齢者が安心して居住できる賃貸等の住まいを確保する観点から,平成23年度における「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正により誕生したサービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」という。)は,バリアフリーや居住者への生活支援の実施等の基準を満たす住宅について,都道府県において登録することとされている。
サ高住の建設には,福祉事業に精通していない民間事業者や個人でも容易に参入できること,住宅戸数の制限はなく,地元市町村や地域住民が建設に反対しているような場合であっても,一定の要件を満たしていれば都道府県へ登録を行うことで開設できることなど,現行制度には課題がある。
例えば,高齢化率が高く,医療・福祉サービスが不足している地域に,必要以上に多くの戸数のサ高住が建設されると,高齢者に対する生活支援サービスや救急医療などの行政需要の増加により,地元市町村に新たな財政負担が発生することはもちろん,高齢者をはじめとした地元住民に対する医療・福祉サービスの提供に支障を及ぼすなど,これらサービスの不足が一層深刻化することが懸念される。
このため,国においては,下記事項について制度改正を行うよう強く求める。
記
- 一定規模を超えるサ高住の建設については,地元市町村のまちづくり施策に支障が生じないよう,事前協議などの制度化によりその意向が十分に尊重されるようにするとともに,新たな財政負担が発生しないようにすること。
- 医療・福祉サービスに関して,地元住民に影響が及ばないような措置を講ずること。
2025年に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする国際博覧会を大阪・関西が一体となって開催することは,新たな産業や観光のイノベーションが期待できるなど,大きな経済効果をもたらすとともに,全世界に向けて我が国の存在感を示す絶好の機会となり,極めて大きな意義がある。
また,このような国際博覧会の開催は,関西圏域のみならず,本県における産業振興や観光文化交流等を促進するとともに,地域の振興や住民の生活向上にも寄与することが期待できる。
よって,本県議会は,大阪・関西における国際博覧会の開催を支持するとともに,誘致実現に向けた国内気運の醸成など必要な取組について,国,地元大阪府・大阪市に協力する。
私立高等学校等は,教育の充実・向上を図り,時代の要請に対応した特色ある教育を実践し,次代を担う優れた人材の育成に努め,県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。
しかし,少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により,私立高等学校等の経営は,いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。
ついては,将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう,県財政の厳しい折とは思うが,私立学校教育の振興を図るため,教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ,以下の要望事項について特段のご高配を賜るようお願いする。
【請願事項】
- 経常費補助金について
私立学校が時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには,これまで以上の経費を必要とするが,少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により,私立高等学校等を取り巻く状況は厳しさを増している。私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担の軽減を図るために,経常費補助金の確保について特段の配慮をお願いする。 - 高等学校等就学支援金制度の改善充実と授業料減免事業の拡充について
国の就学支援については,高等学校等就学支援金制度において,平成26年4月以降の入学生からは,所得制限が設けられ,保護者の年収による加算区分の見直しや支援金の加算の拡充が図られ,また,私立高等学校等奨学給付金制度が創設され,低所得世帯への支援の拡充が図られた。しかし,新就学支援金制度においてもなお,公立の大半は無償であるのに対し,私立の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態であり,公私間格差是正の観点から,家庭の状況に関わらず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう,支援金の加算の拡充や加算措置限度額(年収590万円)の引き上げ等により教育費負担の軽減化が図れるようお願いする。また,就学支援金加算所得層の授業料の一層の軽減が実現できるよう県の授業料減免事業の拡充をお願いする。 - 教職員研修に係る補助金について
近年グローバル化が進展する社会の中で,各私立学校は時代や社会の要請に応じた新しい教育の推進が求められている。また,益々深刻化しているいじめ問題や,多様化している生徒や保護者の抱える悩みへの対応に教職員は苦慮している。このような社会状況を踏まえた実践力を十分備えた教職員を育成するため,教職員の総合的な資質向上を目的に更に研修の充実に努める必要があるので,教職員研修費補助金の現補助制度の堅持と増額をお願いする。
平成25年10月に7年ぶりに国内で発生が確認された豚流行性下痢(PED)については,H28シーズン(H25.10~H29.8)までに全国1,286の農場で発生が確認されている。
PEDは,発生した農場に大きな打撃を与えるだけでなく,消毒等の防疫対策を講じるための経費は,発生農場のみならず,国内全ての養豚農家の経営を圧迫するものである。
茨城県内の農場においても,日々,飼養衛生管理基準に沿った管理の徹底を図り,ウイルスの侵入防止に努めているところではあるが,H29シーズン(H29.9~H30.8)に入り,早くも2例の発生が確認されており,感染拡大が懸念されるところである。(H25.11以降74例発生)
農場防疫の徹底等により,発生件数並びに死亡頭数は年々減少傾向にはあるものの,万が一,PEDウイルスが農場に侵入すると子豚の死亡や生産性の低下など,経営に与える影響は甚大である。
ついては,PEDの感染拡大防止に向けてより効果の高いワクチン開発や発生農場が受ける経済的損失を最小限度に抑えられるよう,下記事項について国の関係機関に対して強く働きかけを行うよう請願する。
記
- 現行ワクチンより効果の高いワクチンの開発に対する支援を行うこと。
- PEDの被害を受けた養豚農家の経済的損失を最小限に抑えられるよう互助制度の創設とその運営に係る財政支援を講じること。