《意見書・決議》
- 拉致被害者の即時帰国に向け,国家に関わる全ての責任において直ちに国民に見える形での直接行動を求める決議
- 私学助成の充実強化等に関する意見書
- 県民誰もが共に歩み幸せに暮らすことができる社会を実現する決議
《請願》
拉致被害者の即時帰国に向け,国家に関わる全ての責任において直ちに国民に見える形での直接行動を求める決議
平成14年,北朝鮮による日本人拉致被害者5名が帰国したが,その後,この問題は,一向に進展を見ることなく,今日に至っている。
昨年5月のストックホルムにおける日朝合意により,北朝鮮は拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査の実施を約し,我が国は同国に対する独自の制裁措置の一部を解除した。しかし,同国の誠意なき対応に,1年半が経過しようとするにもかかわらず,その解決に向けた道筋は全く見えてこない。誠に遺憾であるとともに,憤りの念を禁じ得ない。
依然として,12名の政府認定の拉致被害者,拉致の可能性を否定できない多くの特定失踪者が存するとされるが,1970年代に端を発して以来,かくも長きにわたり,祖国日本への想いを抱き救いの手を求める被害者の方々,そして,その一刻も早い帰国を待ちわびる家族の方々の胸中は,察するに余りあるところである。そして,解決に向けた具体的な動きや糸口が見えない現状においては,信じて待つことにも自ずと限界があると思料される。
この日本人拉致は,我が国の主権に対する侵害であるとともに,重大な人権侵害であって,国がその全責任において解決すべき喫緊の課題であることは論を待たないところである。国による毅然とした行動姿勢は必須であるが,遅々として進展を見ない現状,また,特定失踪者のうちには本県関係者が存することを踏まえれば,県としても,強い信念をもって,国の行動姿勢に対し声を上げていく必要がある。
よって,本県議会は,国に対し,拉致被害者の即時帰国に向け,直ちにかつ国民に見えることを旨として,あらゆる手段を駆使した直接的な行動を起こすことを求めるべく,決意する。
私立高等学校等(高等学校,中等教育学校,中学校,小学校及び幼稚園)は,建学の精神に基づき,時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し,公教育の発展に大きな役割を果たしている。
現在,我が国では,グローバル人材育成への対応と教育におけるICT化の推進の観点から,「新しい教育」の展開に向け,様々な教育改革が進められている。しかしながら,各私立学校が,国が主導する「新しい教育」に対応するには,高等学校等就学支援金制度の実施により事実上授業料の増額が抑制され,身を切るような経営努力により,保護者の経済的負担の軽減に協力してきた現下の厳しい状況の中では,自ずと限界があり,残された手立ては授業料等の増額によるほかはなく,これでは公私間の負担格差の拡大に繋がることが懸念される。
また,子どもたちの安全・安心は国の責務として,学校施設の耐震化は急務であり,私立学校の耐震化の促進に更なる支援が必要である。
加えて,専門学校生に対する授業料減免や幼児教育無償化等の諸施策が実施され,教育費の負担軽減の対象が拡大する中で,私立中学校に学ぶ生徒には,公私間の負担格差の是正について,何ら公的支援がなく,その改善が急務である。
我が国の将来を担う子どもたちの学校選択の自由を実質的に保障し,国が主導する「新しい教育」に,公教育機関である私立学校が対応するためには,公立に比べはるかに財政的基盤の脆弱な私立高等学校等に対する助成措置の拡充が必要不可欠である。
よって,国においては,私立高等学校等教育の重要性を認識し,教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため,現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し,一層の充実を図るとともに,私立学校施設耐震化への補助の拡充など私立学校の教育環境の整備充実や私立学校生徒等への修学支援の充実強化を図るよう,強く要望する。
県民誰もが共に歩み幸せに暮らすことができる社会を実現する決議
前教育委員による県総合教育会議における発言は,障害についての理解を欠いたものと受け止められるにやむなき発言であり,これによる障害のある方々や関係者の方々の胸中の程はいかばかりか,察するに余りあるところである。
また,本県においては,議員発議による「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」が去る4月1日に施行され,その実現に向け,県を挙げた取り組みが本格化したところである。その矢先におけるこの教育委員たる立場にある者の発言は,条例に照らせば,制定に当たっての並々ならぬ決意やこれに込めた理念にもとる発言と言わざるを得ず,県行政の推進の観点からも,誠に遺憾である。
さらに,後刻,撤回されはしたものの,この発言に対する知事の所感に係る発言が,この問題を拡大ならしめたことは否めず,多くの県民が,驚きと落胆の念にかられたであろうことは容易に推認できる。
今般の前教育委員の発言を巡る問題は,これが障害のある方々や関係者の方々の心情を大いに損ねるとともに,本県に対する県民の信頼を著しく失墜させたことを踏まえれば,決して看過できるものではない。
よって,本県議会としても,前教育委員の任命について同意した今般の件を重く受け止め,議会としての審査機能の更なる充実強化を図り,県民誰もが共に歩み幸せに暮らすことができる社会の実現に向け,その総力をもって尽力する決意を新たにするとともに,下記事項の徹底を切望する。
記
- 知事は,前教育委員の任命及び自らの発言に伴う責任を果たすとともに,県民に対する説明をしっかりと行うこと。
- 今後,こうした事態を引き起こすことのなきよう,人事案件に係る候補者の選考に当たり,その職責を担うに適う人材たるか否かにつき,より一層の精査を行うとともに,人事案件の提案に当たり,県議会改革推進会議の提言を尊重すること。
【請願趣旨】
私立高等学校等は,教育の充実・向上を図り,時代の要請に対応した特色ある教育を実践し,次代を担う優れた人材の育成に努め,県民の期待に応えるよう総力を傾注してきた。
しかし,少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により,私立高等学校等の経営は,いよいよ重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。
ついては,将来を担う生徒の教育の機会均等や学校選択の自由の実現が妨げられることの無いよう,県財政の厳しい折とは思うが,私立学校教育の振興を図るため,新教育基本法及び私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ,以下の要望事項について特段のご高配を賜るようお願いする。
【請願事項】
- 経常費補助金について
私立学校が時代や社会の進展に即した新しい教育を積極的に推進していくためには,これまで以上の経費を必要とするが,少子化に伴う生徒数の減少による納付金の減収により,私立高等学校等を取り巻く状況は厳しさを増している。私立学校経営の健全化と保護者の教育費負担の軽減を図るために,経常費補助金の確保について特段の配慮をお願いする。 - 高等学校等就学支援金制度の改善充実と授業料減免事業の拡充について
平成26年4月以降の入学生からは,所得制限が設けられ,保護者の年収により加算区分が見直されるとともに支援金の加算の拡充や私立高等学校等奨学給付金制度が創設され,低所得世帯への支援の拡充が図られた。しかし,新制度においてもなお,公立の大半は無償であるのに対し,私立の保護者は依然として教育費を負担しているのが実態であり,公私間格差是正の観点から,家庭の状況に関わらず全ての意志ある高校生等が安心して私立学校で学べるよう,支援金の加算の拡充や加算措置限度額(年収590万円)の引き上げ等により教育費負担の軽減化が図れるようお願いする。また,就学支援金加算所得層の授業料の一層の軽減が実現できるよう授業料減免事業の拡充をお願いする。 - 教職員研修に係る補助金について
近年グローバル化が進展する社会の中で,各私立学校は時代や社会の要請に応じた新しい教育の推進が求められている。また,益々深刻化しているいじめ問題や,多様化している生徒や保護者の抱える悩みへの対応に教職員は苦慮している。このような社会状況を踏まえた実践力を十分備えた教職員を育成するため,教職員の総合的な資質向上を目的に更に研修の充実に努める必要があるので,教職員研修費補助金の現補助制度の堅持と増額をお願いする。 - 教職員退職手当助成金に係る補助金について
退職金交付事業は,私学教職員の適正な処遇を確保し,公教育を担う私学教育の振興に重要な役割を果たしている。退職手当基金造成への補助は,退職金交付事業の安定運営に欠かせないため,従前の1,000分の25の補助率に復元し補助金の増額をお願いする。
【請願事項】
固定資産税の負担軽減のため,評価額を適正な判定とすること。
【請願理由】
今後さらに進む人口減少,少子高齢化により「消滅可能性都市896」といった衝撃的な言葉が,データをもとに解説されている中にあって,現実にそのような事態に陥らないためにも,行政事務の効率化・スリム化をはじめとした行政改革と同時に財政改革にも取り組み,地域の活性化を図ることが必要である。
地域の活性化には,国民が積極的に消費行動をとるような施策が必要であり,消費増税を控えた中にあって,国民は,税の負担が過重であると感じる状況に置かれている。
そのような状況を打開する対応策としては,固定資産税の負担軽減は有効な施策である。
国民は,一定の資産を保有することを望んでいる。資産の保有は,気持ちを豊かにし,生活にゆとりを持って過ごすことにもつながると言える。
しかし,昨今の状況は,景気低迷による家計の所得減少により,資産を保有しているために,日常生活にも大きな影響を及ぼすほど固定資産税の負担は過大なものになっていると言わざるを得ない。
固定資産税は,市町村税の税収の構成において4割以上を占める,自治体の運営上,大変貴重で安定的な財源として位置づけされている。
ところが,国民の気持ちを豊かにさせるはずの資産の保有が,固定資産税の負担が過大であるために,国民はその対応に大変苦慮していることから,現行の固定資産税の課税のあり方を見直す必要がある。
固定資産税は,地方税法により総務大臣が固定資産評価基準を定め,市町村長がこれに基づき査定をし,課税標準額を決定することになっている。
土地(宅地)の固定資産評価額は,平成元年12月成立の土地基本法第16条を踏まえ,平成6年度の評価替えより,評価額を地価公示価格の7割を目途とすることとなった。
しかし,現在の地価公示価格が示す標準地の判定額は,標準地の近傍類地における実勢の取引価格を上回る評価が多く見受けられ,地価公示価格法で定める「正常な価格」(自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格)とは言い難い状況にあるため,固定資産税評価額が高い状況になっているのである。
よって,固定資産評価額の基礎となる地価公示価格が適正な時価といえる価額となるよう,地価公示価格の判定額の大幅な見直しを要望する。
また,建物の固定資産税評価は「再建築価格」という理論上の建築価格が評価に採用されている。
本来,建物は減価償却,経年劣化によりその資産価値は確実に減少するものであるはずだが,この「再建築価格」による査定では,評価時(3年毎)において,再度その場所に同一のものを新築するとした場合に必要とされる建築費により定められているため,建物評価額が,実勢取引における査定額と多大な乖離を生じさせている。
よって,建物の評価については,現行の「再建築価格」による評価の方法を根本的に見直すことを要望する。
茨城県不動産政治連盟としては,固定資産税をはじめとした資産課税等の課税制度全体について抜本的な見直しが必要であると考える。