平成21年第2回定例会で可決された意見書・決議
《意見書》
肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書
わが国のB型,C型ウイルス肝炎患者・感染者数は350万人以上と推定され,国内最大の感染症として抜本的対策が求められている。多くの患者は,輸血,血液製剤の投与,及び針・筒連続使用の集団予防接種等の医療行為によって肝炎ウイルスに感染した。その中には,医療・薬務・血液行政の誤りにより感染した患者も含まれている。
B型,C型肝炎は,慢性肝炎から肝硬変,肝ガンに移行する危険性の高い深刻な病気である。肝硬変・肝ガンの年間死亡者数は4万人を超え,その9割以上がB型,C型肝炎ウイルスに起因している。また,すでに肝硬変・肝ガンに進展した患者は長期の療養に苦しみ,生活基盤を失うなど経済的にも多くの困難に直面している。
平成20年度から,国の「新しい肝炎総合対策」(7カ年計画)がスタートし,医療費助成や,検査・治療体制の整備などを実施しているものの,法律の裏付けがない予算措置(国1/2,県1/2)であるため恒久的な対策として担保されていないことから,これらの問題を解消し,適切なウイルス肝炎対策を,全国的規模で推進するため,肝炎対策に係る「基本理念」や,国や地方公共団体の責務を定めた「基本法・根拠法」の制定は必要不可欠である。
よって,国においては,すべてのウイルス肝炎患者救済のため,次の事項について緊急に施策を講じられるよう強く要望する。
記
- ウイルス肝炎対策を恒久的に推進するために,肝炎対策のための基本法を早期に成立させること
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
新型インフルエンザ対策に関する意見書
新型インフルエンザ対策については,国,地方自治体及び医療機関など関係者が協力して迅速に取り組むことが必要であり,茨城県においては,海外での感染が確認されて以来,相談窓口や発熱外来の設置,入院治療機関の確保など,適切な医療を提供できるよう対策に取り組んできている。
今回の新型インフルエンザA(H1N1)については,感染力は強いものの多くの感染者は軽症のまま回復しており,抗インフルエンザウイルス薬の治療が有効であるなど,季節性インフルエンザと類似する点が多いと言われているが,地方においては,地域内での発生や秋以降の第二波に備えて,関係者が一丸となって,さらなる医療体制の充実など感染防止対策を強力に推し進めて行く必要がある。
一方,感染の拡大防止対策が最も優先される事項であるが,今回の新型インフルエンザA(H1N1)の特徴を踏まえ,国民の経済活動に対する影響を最小限に抑えるバランスのとれた対応も望まれているところである。
よって,国におかれては,国家的な危機管理の視点にたって国民の安全で安心な生活を守るとともに,円滑な社会活動が維持されるよう,単年度の緊急的支援でなく,法的な支援制度を整備し,次の措置を講じられるよう強く要望する。
記
- 国民や地方自治体,関係者等に対し,新型インフルエンザA(H1N1)に関する感染力や病原性などの正確かつ有効な情報を迅速に提供すること。あわせて,国 と地方自治体間の連携を密にし適切な対策を実施すること
- 電話相談窓口(発熱電話相談センター)の設置に必要な人的配置について財政的な支援を行うこと。
- 発熱外来の設置や医療従事者の確保など医療体制の維持確保に係る経費について財政的な支援を行うこと
- 新型インフルエンザA(H1N1)の診療を行う医療従事者に対する補償制度を整備すること
- ワクチンの製造を促進するとともに,ワクチン接種の優先順位,接種方法等を早期に明確化すること
- 社会活動の制約に係る対策については,新型インフルエンザA(H1N1)の感 染力や病原性などの特徴を踏まえた,弾力的,機動的な対応により,可能な限り長期間に渡る制約とならないよう配慮すること
- 今回の新型インフルエンザA(H1N1)に関する対応について十分に検証を行い,強毒性と言われているインフルエンザ(H5N1)への対策に万全を期すこと。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
低炭素社会形成のための基本法制定を求める意見書
我が国は,温室効果ガス排出量が基準年排出量を大きく超えたまま,京都議定書第一約束期間を迎えた。
一方,世界各地での異常気象の頻発などに見られるように,地球温暖化の進展は生態系や人類に多大な影響を及ぼすおそれがあることが指摘されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は,今や地球が温暖化していることには疑う余地がないと断定している。
このような中,昨年7月に開催された北海道洞爺湖サミットでは,2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を現状から少なくとも50パーセント削減するという長期目標を,世界全体の目標として採択することを求めることが合意された。本年末には,京都議定書の後に続く2013年以降の国際枠組みを決めるため,気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)が開催される。この新たな国際枠組みは,主要排出国のすべてが参加し,世界全体での排出削減につながる実効性のあるものでなければならない。
政府は,先般,2020年までの日本の温室効果ガス排出削減の中期目標を2005年比15%削減と発表したところである。
我が国としても,今後,気候の安定化のために世界各国と協調した温暖化防止対策を実践することが重要であり,温室効果ガス削減に向けた施策を総合的かつ計画的に,より一層推進していく必要がある。
そのため,まずは,京都議定書目標達成計画に基づき,京都議定書の6%削減の目標の達成に向けて努力するとともに,京都議定書後の国際枠組みにおいて我が国として中期目標を達成するための実効性のある対策を展開することが肝要である。
ついては,法律,財政,税制,金融上,その他の措置を集中的に講じながら,世界に先駆けた低炭素社会の構築を目指す取組を進めるべきである。
よって,国におかれては,上記の内容の実現を目指す法律を制定するよう強く要望する。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
もどる |