平成12年第4回定例会 議会は12月22日の本会議において、次の6つの意見書を可決し、内閣総理大臣、関係閣僚などにその実現方を要望しました。 介護保険制度の改善に関する意見書 高齢化社会の到来を背景に、新世紀の介護問題に対応するため、介護者の負担を緩和し、誰もが可能な限り自立した生活を営めるよう、社会全体で支えていく介護保険制度が本年4月から施行された これまでの間、保険者である市町村をはじめとする関係者の努力により、利用者の選択の幅が広がり、介護サービスの利用が拡大するなど一定の成果が認められる。 しかしながら、一方では、低所得者の負担のあり方や介護支援専門員の資質の向上など、さらなる改善が必要と思われる課題が明らかになっている。また、介護サービス基盤については、引き続き整備を促進していく必要がある。 よって、国においては、市町村や利用者、事業者などの意見を踏まえ、住民がより質の高いサービスを適正に利用できるよう、万全の措置を講じられるよう強く要望する。 「地震防災対策特別措置法」の改正に関する意見書 茨城県においては、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて同年6月に「地震防災対策特別措置法」に基づき国と協議の上定めた、「地震防災緊急事業五箇年計画」を中心に各般にわたる地震対策を鋭意講じてきたところである。 しかしながら、平成11年にトルコ共和国や台湾で発生した地震災害や本年10月に発生した鳥取県西部地震等によって、改めて地震対策の重要性が再確認されたにもかかわらず、財政上の制約等により、現行の5箇年計画の進捗率は低い状況にある。 このような状況にかんがみ、現在作成作業の進められている次期の地震防災緊急事業5箇年計画においても、地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備を強力に推進することにより、地域住民の生命と財産の安全確保になお一層努めていく必要がある。 ついては、国において、「地震防災対策特別措置法」に基づく地震防災緊急事業の拡充・強化を図るとともに、同法に基づく国の負担又は補助の特例措置が次期の地震防災緊急事業5箇年計画においても引き続き適用されるよう、特段の配慮を要望する。 育児・介護休業法の拡充を求める意見書 近年、我が国では、少子化が急速に進行し、合計特殊出生率も平成11年には、1.34人となり、我が国の経済・社会に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。 現在、仕事と家庭の両立支援策の柱としての「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」が施行されたが、その制度内容、適用状況は男女労働者にとって、実質的に仕事と家庭を両立できる条件とするには、まだ多くの課題を積み残している。 これらを受け政府をはじめ、様々な分野で対応策が提言され、本年4月20日には、「子どもを産み育てやすい社会をめざして」と題する労使一体での共同アピールがされるなかで、労働省では、育児・介護休業法附則第三条の『法律の施行状況等を勘案し必要な措置を講ずる』との規定に基づき女性少年問題審議会で改正に向けての審議がなされているところである。 よって、政府においては、仕事と家庭の両立を支援するため、すでに批准しているILO第156号条約(家族的責任を有する労働者の機会均等及び平等待遇に関する条約)、同第165号の勧告の理念にたち、育児・介護休業法に (1) 短時間勤務制度の拡充、(2) 子ども・家族看護制度の新設、(3) 男性の育児休業取得促進策、霖時間外労働等の免除制度を盛り込むことにより、「仕事と家庭の両立支援法(仮称)」への法整備をはじめ社会環境整備に一層積極的に取り組みをされるよう強く要望する。 農業の持続的発展に関する意見書 ウルグァイ・ラウンド合意後の国際化の進展と、市場原理の導入による自由競争の影響により、野菜・果実の輸入が急増し、本県のみならず国内を通じて農産物価格に悪影響を及ぼしている。特に本県においては、シイタケ、ネギ、トマト等は、外国からの輸入増大等により価格が長期低迷し、厳しい農業経営となっている。 このことから、農家の生産意欲は大きく減退しており、農家経営の行き詰まりや、ひいては「食料・農業・農村基本法」の基本理念である「食料の安定供給の確保」、「多面的機能の適切かつ十分な発揮」、「農業の持続的な発展」、「農村の振興」の達成も困難になることが懸念されるところである。 ついては、21世紀に向けて、魅力とやりがいのある活力に満ちた農業の確立を図るため、農業施策のより一層の充実が必要である。 よって、国におかれては、農業の持続的発展のため、次の事項を講じるよう強く要望する。 記
土地収用制度の見直しに関する意見書 豊かな生活と国土の均衡ある発展を図るための社会資本の整備については、県民の熱望するところである。 社会資本整備のための公共事業を重点的かつ効率的に推進するためには、事業用地をいかに円滑に取得するかが重要である。 このような中、土地収用法は、昭和26年に制定され、昭和42年の改正以来、抜本的改正がなされていない。 このため、収用対象事業が近年のニーズに対応していないこと、多数当事者への収容手続きに膨大な労力・時間・費用を要していること、さらに、金銭補償に限られているため、収用後の生活再建に支障があること等の問題があり、用地取得の隘路となっている。 よって、国においては、次の項目について、土地収用制度を抜本的に見直し、円滑な公共事業用地の取得が図れるよう強く要望する。 記
道徳教育の強化と教科書検定の改善に関する意見書 今日、青少年の心身の荒廃は目を覆うものがあり、その非行は戦後第4のピークを迎えたともいわれ、まさにゆゆしき事態である。心の教育やモラルなど、道徳教育の再建は一刻の猶予も許されない状況といわれなければならない。 また、小・中学校教育の教科のうち、社会(歴史的分野)は、子どもたちが我が国の文化と伝統を愛し、歴史を正しく認識し、国民としての自覚を育くんでいく上で、特に重要な教科である。世界のどの国の教育でも、わが郷土・わが国に愛情を深める歴史・公民教育を行っている。 しかし、従来より、全国で使われている社会(歴史的分野)の教科書は、文部省の検定を受けてはいるものの、総じて偏った歴史観によって記述されており、歴史上の事実をバランスよく掲載してあるとは言えず、子どもたちの教育に相応しいものとは言い難いものになっている。 この様な状態になった原因は、教科書の執筆・検定・採択の各段階にあると思われる。 よって、政府においては、道徳教育の強化及び教科書検定に関し、次の事項について特段の対応をされるよう強く要望する。 記
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