わたしたちの県議会 茨城県議会
平成12年第3回定例会



 議会は9月22日の本会議において、次の6つの意見書を可決し、内閣総理大臣など各省庁にその実現方を要望しました。



「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の早期制定を求める意見書

 資源に乏しい我が国は、国民生活や経済活動の発展に不可欠な電力が安定的かつ経済的に供給されなければならない。

 また、我が国は国際公約として、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量の6%削減(1990年対比)達成と地球温暖化対策のため、最大限の努力が求められている。

 原子力による発電は、我が国の発電電力量の3分の1を占めるとともに環境に対する負荷が極めて少ないことから、エネルギーの安定供給の確保と地球環境保全の観点から推進すべき重要な電源である。

 現状下においては、原子力による発電が、我が国の電気の安定供給に欠くことのできないものであることに鑑みて、全ての核燃料物質加工施設、原子力発電関連研究施設を含む原子力発電施設等の周辺地域について、生活環境・産業基盤等の総合的かつ広域的な地域整備・地域振興を図る必要がある。

 よって、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の早期制定が図られるよう強く要望する。


大強度陽子加速器施設の建設促進に関する意見書

 日本原子力研究所と文部省高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で推進している大強度陽子加速器施設計画は、21世紀における人類の課題である生命科学、物質科学等の進展にとって大変重要な計画であり、原子核・素粒子、宇宙物理など様々な分野の研究を飛躍的に発展させるものである。

 この陽子加速器施設は、民間の研究者や産業界にも共同利用の道を開くことにより、新たな研究や産業活動の展開につながり、我が国の科学技術の向上や産業の発展への貢献は計り知れない。

 また、この施設は世界最大級の性能を有することから、国際的に大きな関心を持たれており、海外から優れた研究者も多数集まり、世界的な研究拠点としての役割も果たしていくものである。

 この施設を東海村に設置し、国際熱核融合実験炉(ITER)を那珂町に誘致することにより、ひたちなか地区を含めた周辺地区において、研究開発及び関連産業の集積を促進し、21世紀を担う先端科学技術の研究開発センターが形成されることが期待される。

 ついては、大強度陽子加速器施設計画の推進と施設建設の促進を強く要望する。


地方税財源の充実確保に関する意見書

 現下の地方財政は、厳しい経済状況を反映して依然として税収が低迷していることに加え、これまでの景気対策等により公債費等の義務的経費が増大し、極めて厳しい状況にある。

 一方で、地方公共団体は、少子・高齢化に対応した地域福祉施策の展開、新しい時代にふさわしい活力のある地域づくり、後世代に引き継ぐための環境の保全等の重要な政策課題に適切に対処していかなければならない。

 また、本年四月には、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」が施行され、地方分権はいよいよ実行の段階を迎えている。

 地方公共団体が、これらの地域における行政を自主的・自立的に実施し、地方分権を推進するためには、地方における地方税収入と歳出規模の乖離を極力縮小するよう地方税の充実確保を図るとともに、安定的な地方税体系を構築することが不可欠である。

 ついては、政府においては、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

地方税財源については、国と地方との税源配分の見直しを行い、税源の国から地方への移譲等により、その充実強化を図ること。
法人事業税への外形標準課税の導入については、中小法人の税負担に考慮しつつ、税収の安定的確保等の観点から、早期に実現を図ること。


著作物の再販売価格維持制度及び新聞特殊指定存続を求める意見書

 独占禁止法に定める著作物の再販売価格維持制度によって、新聞や書籍などの出版物は、全国同一価格で提供され、安定した供給が行われている。特に新聞については、同制度と公正取引委員会が告示する新聞特殊指定によって定価販売が守られ、全国どこでも同一紙同一価格で提供されている。これらは、国民の知る権利を保障し、自由な世論形成を可能とするうえで極めて重要な制度である。

 公正取引委員会は、この著作物の再販売価格維持制度を存続するか廃止するか平成13年3月までに結論を出すとしているが、もし同制度が廃止された場合、企業間競争の激化を招き、経営体力のない中小新聞社や新聞販売店、中小出版社や書店の衰退、寡占化を促進し、憲法の保障する言論・表現の自由や思想の多様性が損なわれ、文化水準の地域間格差を生じさせるおそれがある。

 よって、国においては、新聞等の著作物の持つ文化性、公共性などの特殊性を十分踏まえ、著作物の再販売価格維持制度及び新聞特殊指定を存続されるよう強く要望する。


義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

 義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る制度として定着しており、現行教育制度の重要な根幹をなしている。

 しかしながら、政府は、昭和60年度以降、国と地方の費用負担の見直しを進め、これまでに教材費、旅費、恩給費及び共済費に係る追加費用等を国庫負担の対象外として、一般財源化を行ってきたところである。

 さらに、今後は厳しい財政状況の中、学校事務職員及び学校栄養職員に対する給与費等が国庫負担の対象から除外されることが懸念されるところである。

 こうした国から地方への負担転嫁は地方財政を一層圧迫するのみならず、義務教育の円滑な推進に大きな影響を及ぼすおそれがある。

 よって、政府においては、地方に新たな負担転嫁を行うことなく、義務教育費国庫負担制度を堅持するよう強く要望する。


道路整備の促進に関する意見書

 道路は、豊かな生活の実現と国土の均衡ある発展を図るための最も基本的な社会資本であり、その整備については県民が熱望するところである。

 茨城県は、首都圏に隣接していながら、全国第4位の広大な可住地面積を有し、数多くの中小の都市が県内にくまなく分散しているため、都市間相互を連絡する道路延長は全国第2位であり、これまで懸命の整備にもかかわらず、改良率、整備率ともに全国で最も低いレベルにある。

 また、人口が分散しているため、鉄道やバス等の公共交通機関の整備水準も低く、安全で安心して豊かな暮らしをするためには、道路は最も重要でかつ必要不可欠な交通手段である。

 このため、本県においては、21世紀の地域間の交流・連携による活力ある地域づくりや豊かな暮らしづくりを支援するとともに、良好な生活環境を創造するために、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道等の高規格幹線道路から、国道、県道及び生活を支える市町村道等の道路整備を一層促進することが是非とも必要であり、その実現のためには、現在進められている総額78兆円の新道路整備5箇年計画の完全達成が不可欠である。

 よって、茨城県議会は、新道路整備5箇年計画に基づき、円滑に道路整備を促進していくため、引き続き道路整備特定財源を堅持するとともに、一般財源を大幅に投入し地方の道路整備財源の確保が図られるよう強く要望する。