令和6年 営業戦略農林水産委員会 調査結果

 令和6年の営業戦略農林水産委員会(長谷川重幸委員長)の重点審査テーマは「国内外への魅力発信強化と持続可能な農林水産業の実現」です。
 本委員会では、この審査テーマに対して県が取り組むべき施策について検討するとともに、その他所管事項についての調査等も行ってまいります。
 以下、調査の概要につきまして、ご報告いたします。
 (写真をクリックすると拡大します。)

令和6年10月30日(水曜日)

<県営畑地帯総合整備事業 坂東中央地区(坂東市)>

 坂東中央地区は、平成24年度から県営畑地帯総合整備事業に着手し、11年間を経た令和5年度に事業が完了しました。
 事業により76haの区画整理や道排水路の整備を行ったほか、霞ヶ浦用水を活用するために機場やパイプラインといった畑地かんがい施設を設置しました。整備後は営農効率が向上し、経営規模が拡大されたことで生産者の所得も向上しています。
 事業の概要と効果についてお話を伺った後、整備された大区画の畑を見学しました。

(説明を受ける様子①)
(説明を受ける様子②)
<常総市役所>

 常総市では、圏央道常総インターチェンジ周辺の約45haに「農地エリア」と「都市エリア」を形成し、生産・加工・流通・販売が一体となった地域産業の核となる産業団地を形成し、常総市の新たな玄関口として「食と農と健康」をテーマに6次産業化を軸としたまちづくりと地域活性化を目指すプロジェクト(アグリサイエンスバレー構想)に取り組んでいます。
 アグリサイエンスバレー構想の概要とこれまでの取組についてお話を伺いました。

(説明を受ける様子①)
(説明を受ける様子②)
<(株)たねまき常総(常総市)>

 (株)たねまき常総は、令和5年4月からアグリサイエンスバレー常総内の約7haの敷地で日本最大級のミニトマト生産拠点を稼働しています。
 オランダ式の高度な環境制御システムにより通年栽培が可能で、1年間で約1,000tの収穫が見込まれます。生産にあたっては地球環境へも配慮しており、環境負荷の少ない液化天然ガスを燃焼し発電を行い、発電時に出た熱は暖房に、CO2は植物の栽培に活用しています。
 施設内を見学した後、事業概要と今後の展望についてお話を伺いました。

(大規模園芸施設の前で)
 

令和6年8月2日(金曜日)

<木内酒造(株)(那珂市))>

 木内酒造(株)では、清酒「菊盛」に加えて1996年から常陸野ネストビールの製造を開始し、1999年からは輸出にも取り組んでいます。さらに、2016年からウイスキーの製造を開始し、2020年には八郷蒸留所を新設しました。
 地域に根差した農産物を使った個性的で、日本の文化や伝統を踏まえた酒造りを国内外に発信するほか、食と酒を楽しむ場を提供する飲食事業にも取り組んでいます。
 常陸野ネストビールを製造する額田醸造所および酒蔵の見学を行った後、事業内容や今後の事業展開等についてお話を伺いました。

(酒蔵を見学する様子)
(説明を受ける様子)
<JA常陸奥久慈枝物部会(常陸大宮市)>

 JA常陸奥久慈枝物部会は常陸大宮市・常陸太田市・大子町の中山間地にまたがり、ハナモモを中心に年間約250品目の枝物を生産しています。
 平成17年の部会設立当初は9名だった部会員数は、令和5年に144名まで増加しており、耕作放棄地の解消に取り組みながら栽培面積を増やし続けています。主力のハナモモは共同促成室できめ細かな開花管理を行い、その品質は市場から高い評価を受けています。
 また、各種イベントにおいて枝物を使った装飾を行うほか、全国高校生花いけバトルの開催支援など枝物の普及促進にも取り組んでいます。
 部会設立の経緯とこれまでの取り組みについてお話を伺い、共同促成室を見学しました。

(共同促成室を見学する様子)
(説明を受ける様子)
<常陸大宮市役所・(株)カモスフィールド(常陸大宮市)>

 常陸大宮市の三美地区では、畑地帯総合整備事業(平成20年から令和2年度)の実施により営農環境が向上し、令和元年に市外の有機農業生産者が参入したことがきっかけとなり、有機農業の団地化への取組が始まりました。
 令和5年11月に市は県内初のオーガニックビレッジ宣言を行い、学校給食のオーガニック化と有機農業の取組を推進しています。
 令和3年度に三美地区に参入した(株)カモスフィールドの圃場を見学した後、常陸大宮市役所で有機農業の取組についてお話を伺いました。

((株)カモスフィールドを見学する様子)
(説明を受ける様子)

県外調査(山形県) 令和6年7月17日(水曜日)~19日(金曜日)

<出羽桜酒造株式会社(山形県天童市)>

 出羽桜酒造株式会社は、他社に先駆けて平成9年より輸出を開始し、現在はアジアや米国など35か国以上に広がっているほか、全国から蔵元後継者の研修を引き受けるなど社内外の人材育成にも積極的に取り組んでいます。
 また、山形県は平成28年12月に、日本酒(清酒)における「GI※山形」の指定を受けており、県全体として初めて日本酒の地理的表示に登録されています。
 日本酒の生産・販売や輸出の取組に加え、人材育成や「GI山形」等について説明を受けました。

※GI(地理的表示保護制度)…伝統的な生産方法や気候・風土・土壌など生産地等の特性を、産品の品質や社会的な評価の特性と結びつけ、地名そのものを知的財産として登録・保護する制度。

(説明を受ける委員①)
(説明を受ける委員②)
<JA全農山形(山形県山形市)>

 JA全農山形は、JAL東北支社とJALグループの農業法人であるJAL Agriportと、相互の連携強化と農業を中心とした地域活性化を円滑に推進するため、令和6年2月に包括連携協定を締結しました。
 包括連携協定では、JALのネットワークを生かした山形県産品の国内外への商流・物流の創出、JALグループ職員が農産物の選果作業を行うなど農業労働力の継続的な支援、農畜産物の魅力発信などに取り組むこととしています。
 包括連携協定を結んだ経緯や農畜産物の輸出に関する取組について説明を受けました。

(説明を受ける委員①)
(説明を受ける委員②)
<東北農林専門職大学附属農林大学校(山形県新庄市)>

 東北農林専門職大学は、優れた技術と経営力を持って農業・林業をリードし、世界に羽ばたく人材を育成するため令和6年4月に開学しました。その開学に伴い、山形県立農林大学校は東北農林専門職大学附属農林大学校に改称されました。
 全国42の農大の中で唯一、農業、加工、林業の学科があり、100ヘクタールの広大な敷地において高度で実践的な農林業技術、地域資源の付加価値向上に向けた知識や技術を学ぶことができます。
 東北農林専門職大学の設立までの道のりや両校のカリキュラム等について説明を受けた後、校内の見学を行いました。

(説明を受ける委員)
(校内を見学する委員)
<庄内観光コンベンション協会(山形県三川町)>

 庄内観光コンベンション協会は、庄内地域での観光及びコンベンションの振興を図ることにより、交流人口の増加、地域の活性化等を目的に平成12年度に設立されました。
 令和6年4月1日現在、県、庄内5市町に加え、企業・団体等162団体が会員となり、地域一体となった誘客プロモーションや持続可能な観光客の受入体制の構築等に取り組んでいます。
 そして、取組の一つとして庄内の「食」を育んだ歴史、伝統、暮らし、風土、文化等を背景に庄内の豊かな「食」のストーリーを堪能する「食の都庄内」ガストロノミーツーリズムを推進しています。
 「食の都庄内」ガストロノミーツーリズムに取り組んだ経緯や取組内容について説明を受けました。

(説明を受ける委員)
(質問をする委員長)
<酒田市役所>

 酒田港では、外国の会社が所有する国際クルーズ船を受け入れており、今年度は過去最高の7隻の寄港が予定されています。
 クルーズ船の対応は、国・山形県・関係市町村で構成する“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会の中の「外交クルーズ船誘致部会」が主体となり、酒田港らしい心からのおもてなしを検討・実施しています。
 酒田市内でのおもてなしは、酒田市が事務局を務める「さかた交流おもてなし市民会議」が行っています。
 これまでのクルーズ船の受け入れ状況や今年度の取組について説明を受けました。

(説明を受ける委員①)
(説明を受ける委員②)

令和6年5月23日(木曜日)

<JA全農いばらき(茨城町)>

 JA全農いばらきでは、茨城県の農家組合員が生産する米・青果物・牛・豚・その他農畜産物の販売や、関連する生産資材・生活用品の供給、営農指導等を行っており、持続可能な農業のための生産基盤の確立や食農バリューチェーンの構築等に取り組んでいます。
 事業内容および米や常陸牛「煌」等の輸出についてお話を伺った後、「精米HACCP※」の認定を取得しているパールライスの精米工場や、実需者のニーズに合わせて青果物の選別・梱包などを行って出荷するVF(ベジタブルフルーツ)ステーション等の施設見学を行いました。

※精米HACCP…食品の安全確保の国際基準であるHACCP手法に基づき、(一社)日本精米工業会が精米における食品安全・品質管理・衛生管理・食品防御等を取り入れた独自の「精米HACCP規格」を定めている。

(説明を受ける様子)
(パールライスの精米工場を見学する様子)
<鯉淵学園農業栄養専門学校(水戸市)>

 鯉淵学園農業栄養専門学校は、「タネまきから食卓まで」が学べる農と食の専門学校で、アグリビジネス科と食品栄養科のコラボによる実践教育により、農業を担う経営者・技術者や健康的な食生活を推進する栄養士などを養成しているほか、本格的に農業にチャレンジしたい方を対象とした短期研修等も行っています。
 調査には、農業経営の実践を通じて技術・知識の習得を支援する日本農業実践学園が同席し、両校から学校概要や農業担い手の確保・育成策についてお話を伺った後、広大なキャンパスを見学しました。

(説明を受ける様子)
(広大なキャンパスを見学する様子)
<The迎賓館偕楽園別邸(水戸市)>

 令和5年4月にオープンしたThe迎賓館偕楽園別邸は、県内で初めてPark-PFI制度※を活用して整備されました。
 『世界から訪れる人々の「おもてなしと迎賓の場」として唯一無二の空間を創出する』をコンセプトに、レストラン事業、地域貢献事業、婚礼・宴会事業を展開しており、令和5年12月に水戸市で開催されたG7茨城水戸内務・安全担当大臣会合のワーキングディナー会場となりました。
 施設の概要や今後の方針等についてお話を伺った後、館内を見学しました。

※Park-PFI制度…平成29年の都市公園法改正により新たに設けられた制度で、民間事業者が設置する公園施設から得られる収益を、公園施設の整備に還元することにより管理運営費用の縮減や公園の利便性向上を図るものです。

(説明を受ける様子)
(館内を見学する様子)

令和6年4月22日(月曜日)

<閉会中委員会>

 農林水産部及び営業戦略部から事務事業概要の説明聴取を行いました。


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