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更新日:2023年9月28日
国が2017年に策定した「宇宙産業ビジョン2030」では、成長産業である宇宙産業の市場規模(当時:1.2兆円)を2030年代早期に倍増させることを目指しています。
本県も、つくばに集積する科学技術や、つくばエクスプレス、圏央道、茨城空港などを利用した都心・海外へのアクセスの良い土地を生かし、宇宙ビジネスの拠点形成を目指しています。
全国初!宇宙ビジネスに特化したプロジェクト始動 県では、2018年8月、宇宙ビジネスの創出や企業の誘致・新規参入に向けた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げました。国や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと連携しながら、「宇宙ビジネス=いばらき」のブランド確立に向けて、スピード感を持って創業から事業化・定着までの切れ目のないサポート体制を整えています。 |
取締役CEO(最高経営責任者)
所在地/つくば市吾妻2-5-1-203
設立/2016年8月
事業内容/宇宙通信インフラ事業、宇宙産業機器(超小型人工衛星や可搬型地上管制局)の開発など
私たちは、超小型の人工衛星などの宇宙産業機器を開発しています。
筑波大学で人工衛星の開発プロジェクトを進めていた中でJAXAの公募に採択され、2機の衛星打ち上げを経験しました。2号機は、国際宇宙ステーション(ISS)から放出された小型衛星の中で、世界最長の稼働実績(2年間)を記録し、その衛星開発の過程で低コストの衛星用部品の開発に成功したことが、会社設立のきっかけとなりました。
人工衛星というと、気象衛星「ひまわり」のような大型のものをイメージしますが、近年は、開発コストや宇宙への打ち上げ費用が安い「小型衛星」を多数打ち上げる企業が国内でも出てきています。私たちは、これまでに小型衛星の中でもさらに小型のものを開発し、2機を周回させることに成功しました。
大型衛星は地球から遠い高軌道を周回しますが、小型衛星は地球に近い低軌道を周回するため、通信範囲が狭く、通信頻度が限られてしまうというデメリットがあります。その解決方法として、持ち運び可能な低コストの地上局(衛星からデータを受信する設備)を開発し、ブータンやアフリカへの導入を実現したところです。
G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の展示で、
河野太郎外務大臣(当時/左)に超小型衛星を紹介
去年10月に、県の「いばらき宇宙ビジネス事業化実証プロジェクト」に採択されました。2022年までに、JAXAや県産業技術イノベーションセンターと連携し、他社が打ち上げた小型衛星(ユーザー衛星)の通信を中継するための超小型衛星(ハブ衛星)を打ち上げるとともに、ハブ衛星からのデータを受信する地上局を世界中に設置します。そして、ユーザー衛星・ハブ衛星間の通信には、周波数を確保することが難しい電波通信ではなく、光空間通信方法を採用する予定です。超小型衛星を使った衛星間の光空間通信ネットワークが実現すれば、世界初の快挙となります。
同時に、これまでも結婚記念のオリジナルプレートを積んだ衛星を宇宙に放出したり、つくば市のふるさと納税の返礼品として衛星の内側に名前を刻印したりするサービスを提供しましたが、もっと皆さんに”宇宙〞を身近に感じてもらうことにも力を注いでいきたいと思っています。
共同代表
田中
所在地/(本社)東京都世田谷区、(開発拠点)つくば市千現2-1-6(つくば研究支援センター内)
設立/2018年6月
事業内容/宇宙VRコンテンツに関わるソフトウェアの開発など
私たちは、未来の月面都市や宇宙旅行などをVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)上で疑似体験できるコンテンツを開発しています。
昨年6月に、つくば市で開催された「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」では、月面でのスポーツを疑似体験できる技術(コンテンツ名:『槍投げMOON』)を展示し、各国の大臣・閣僚の方々に実際に体験していただいたところです。『槍投げMOON』は、衛星データやその解析結果など科学的な根拠を盛り込んで再現した月面で、槍を投げて標的のバルーンを時間内に破裂させて得点を競うスポーツゲームです。
また小・中学生を対象として、『槍投げMOON』を活用した教育事業も実施しています。子どもたちは、まず「得点はどうやったら上がるのか」という好奇心を持ちます。そしてその方法を模索する過程で、地球と月の重力の違いや、太陽光の当たり方による温度差など、宇宙に関する知識を自然と学ぶことができます。この”ゲーム感覚で楽しみながらの学び〞は、新しい教育の形だと思います。
頭部装着ディスプレイをかぶると360度の模擬宇宙が広がる
それぞれの分野で特化した企業が、手を組んで大きなプロジェクトを成功させていくこの時代に、宇宙関係で起業するには”つくば〞はとても魅力的です。JAXAをはじめとした、宇宙や人工衛星に対する高い専門性を有する研究開発機関とのパートナーシップ、筑波研究学園都市が持つ豊富な実験試験の設備環境、首都圏に近い立地は他に類を見ません。さらに、県のさまざまなサポートがスピード感を持って打ち出されています。私は茨城が日本一、宇宙関係の事業が成長しやすい県だと確信し、開発拠点をつくばに置きました。
昨年参加した県主催の「いばらき宇宙ビジネスサミット」での茨城大学大学院理工学研究科の野澤恵准教授との出会いも、新しいコンテンツの開発につながった例です(コンテンツ名:『宇宙旅行』)。野澤准教授は、太陽フレアに伴う高エネルギー粒子による放射線の発生といった「宇宙天気」について研究しています。『宇宙旅行』は、こうした太陽の危険な活動をかわしながら、無事に地球に生還するというVRコンテンツです。「宇宙天気」という難しい宇宙物理の概念を、楽しみながら疑似体験できます。
私は、宇宙に関するさまざまなVRコンテンツを提供することで、皆さんに今まで知らなかったことを楽しみながら知ってもらい、皆さんが宇宙に関心を持つことで、宇宙開発に携わる方が研究・開発しやすくなる、そんな関係の橋渡しができたらと考えています。これまでの生活圏を超え、”宇宙〞を活用して人々の生活がさらに豊かになる、そんな未来の創造に尽力していきたいと思います。
県科学技術振興課
☎029(301)2515
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