ホーム > 茨城を知る > 県のご案内 > 知事のページ > 知事発言集 > 令和5年定例会 > 令和5年第4回定例会(知事提案説明要旨)

ここから本文です。

更新日:2023年12月6日

令和5年第4回定例会(知事提案説明要旨)

令和5年第4回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

高病原性鳥インフルエンザへの対応

はじめに、高病原性鳥インフルエンザへの対応についてであります。

先月27日、笠間市の養鶏場において、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認され、近隣市町村や県内の幅広い業界団体などのご協力を得ながら、約7万2千羽の殺処分を先月29日までに、養鶏場の消毒などの防疫措置を30日までに終えたところであります。

ご協力いただいた方々に厚く御礼を申し上げますとともに、引き続き、徹底した発生予防と防疫体制の強化にしっかりと取り組んでまいります。

令和5年台風第13号への対応

次に、令和5年台風第13号への対応についてであります。

令和5年台風第13号による被災から間もなく3か月が経とうとしております。県といたしましては、先の定例会において議決いただいた補正予算による各種支援策の実施を通じ、被災された方々の生活再建に向けた支援などに取り組むとともに、被災した河川や道路については応急復旧が完了し、現在、早期の本格復旧に向け、全力で取り組んでいるところであります。

また、今回提出した補正予算案においては、災害救助法を適用した日立市、高萩市及び北茨城市の被災した中小企業者を対象として、国の補助制度を活用し、3市と協調のうえ、事業再開に必要な機械や設備などの復旧費用の一部を支援するための関係経費を計上いたしました。

引き続き、被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻し、安心して暮らせるよう、災害からの早期復旧を進めてまいります。

災害への対応能力の向上

次に、災害への対応能力の向上についてであります。

相次ぐ豪雨災害に直面する中、私は、災害により得られた教訓を最大限に活かしながら、先手先手の備えを進めることが何より重要であるとの思いを強くし、対策の徹底した前倒しを指示しており、今年度から、県内の洪水ハザード内の全ての住民の方を対象とした訓練を実施することといたしました。

また、県が浸水の想定される範囲や水深を示すために作成する「洪水浸水想定区域図」につきましては、全ての県管理河川において2025年度までに作成する予定でありましたが、令和5年台風第13号により多くの河川が氾濫したことを踏まえ、予定を1年前倒しして来年度中に作成することといたしました。これにより、市町村において、浸水リスクや避難方法などを周知するハザードマップなどの作成に、速やかに取りかかれるようにいたします。

引き続き、災害発生時において、全ての住民が適時適切な避難行動をとることができるよう、先手先手の防災・減災対策を進め、災害への対応能力の向上を図ってまいります。

経済対策への対応

次に、経済対策への対応についてであります。

政府は、先月2日、低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」から、賃金と物価が好循環する経済への移行に向けたスタートダッシュを図るため、「物価高から国民生活を守る」「地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する」など5項目を柱とする事業規模約37兆円の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定し、その実行のための補正予算が、先月29日に成立したところであります。

県といたしましても、こうした国の動きに歩調を合わせ、県民生活や県内産業をしっかりと下支えし、本県経済の持続的な成長を図るため、今後、追加の予算措置などに適切に対応してまいります。

グローバル化の推進

次に、グローバル化の推進についてであります。

我が国が急激な人口減少に直面する中、私は、海外とつながり、その力を本県に取り込むことが不可欠であるとの考えのもと、県産品の海外展開や誘客促進、外国人材の活躍促進などの取組を加速しております。

県産品の海外展開については、米国において、干ばつによる米国産米の生産量の減少や円安、和食への関心の高まりが見られる状況を好機と捉え、去る10月10日から15日にかけて、ニューヨーク市とマイアミ市を訪問し、本県産の農産物や日本酒、加工食品などの販路開拓に向け、トップセールスを行ってまいりました。

現地では、日系輸入商社や高級レストラングループなどとの商談において、コメや日本酒、メロンなどの新規の取扱いや取引拡大に向け、大変前向きな回答を得ることができ、コメについてはすでに成約に至ったところであります。

引き続き、市場ニーズを踏まえた戦略的な営業活動に取り組み、新たなマーケットの獲得に全力で取り組んでまいります。

一方、誘客面においては、長年の課題となっていた茨城空港における「1時間当たり1着陸」との民航機の着陸ルールについて、斉藤国土交通大臣に対し、柔軟な運用を求める要望を私自ら行った結果、去る10月29日から、空港の運用に支障がない範囲で、1便以上の弾力的な受け入れを可能とする運用が開始されたところであります。今後、新たな路線の誘致や国際線ビジネスジェットの受け入れ実現など、茨城空港の更なる利活用に取り組んでまいります。

また、日本有数の距離を誇り、県北地域の豊かな自然環境を活かしたアウトドアコンテンツである「茨城県北ロングトレイル」については、「常陸国」からイメージされる古来からの歴史を想起させ、里山など懐かしい日本の「原風景」が重なり合い、インバウンドにも訴求するよう、去る10月1日から名称を「常陸国ロングトレイル」に変更いたしました。

10月13日には、近年、世界的に注目を集めるヨルダントレイルを運営するヨルダントレイル協会とパートナーシップ協定を締結し、両トレイル間の相互プロモーションや、インバウンド誘客に関する情報共有などを進めることとしたところであります。

さらに、外国人材の活躍促進については、介護分野で長期的に活躍する外国人留学生を増やすため、海外の日本語学校から県内の介護福祉士養成校への修学ルートの開拓に取り組んでおります。

先月20日には、ベトナム及びネパールの日本語学校4校と「人材の育成・送出し・受入れ促進に関する協力覚書」を締結したところであり、入国した留学生の養成と県内への定着にしっかりと取り組んでまいります。

県といたしましては、本県が人口減少に伴う危機を乗り越え、将来にわたる持続的な発展を実現できるよう、グローバル化を強力に推進してまいります。

企業立地の推進

次に、企業立地の推進についてであります。

私が知事就任以来、特に力を入れて取り組んでいる新たな成長分野の本社機能移転につきましては、全国トップレベルの補助制度などを最大限に活用しながら積極的な誘致活動に取り組んだ結果、先月、新たに宇宙関連ベンチャー企業による小型衛星向け推進機の研究開発・生産拠点の誘致が実現いたしました。

また、本県における宇宙ビジネスの裾野の拡大を図るため、宇宙飛行士の土井隆雄さんに「いばらき宇宙ビジネススーパーバイザー」を委嘱し、これまでの経験や高い見識を活かした助言や協力をいただくこととしました。

こうした取組を通じ、宇宙産業をはじめ、今後成長が期待される分野に対し、戦略的な誘致活動を展開することで、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。

リスキリングの推進

次に、リスキリングの推進についてであります。

我が国は、生産年齢人口の急激な減少による労働力不足への懸念や、生成AIの驚異的な進歩をはじめとするデジタル化の急速な進展に直面するなど、産業構造の大きな変革期を迎えております。

こうした中、本県経済が持続的に成長していくためには、成長産業や成長分野で必要とされるスキルを習得する「リスキリング」を推進し、円滑な労働移動を実現することにより、本県産業の生産性の向上を図ることが極めて重要であります。

このため、本年1月に立ち上げた産学官で構成する「茨城県リスキリング推進協議会」において、県を挙げてリスキリングを推進するための基本方針や具体の施策について議論を重ねてまいりました。その成果を、「意識啓発・機運醸成」と「スキル習得支援」の2つを柱とする政策パッケージとしてとりまとめ、去る10月4日に公表したところであります。

この政策パッケージに基づき、デジタルリテラシーを習得するためのリスキリング講座の提供や、個人の属性やニーズなどから最適なキャリアパスを提案するAIマッチングシステムの開発・運用などの各種施策を順次実施してまいります。

今後とも、本県産業の生産性の向上を目指し、産学官の連携のもと、リスキリングを加速させ、本県経済の更なる成長につなげてまいります。

デスティネーションキャンペーンの実施

次に、デスティネーションキャンペーンの実施についてであります。

去る10月1日から、国内最大規模の観光キャンペーン「茨城デスティネーションキャンペーン」を開始いたしました。

私は、本キャンペーンを、本県観光の飛躍に向けたターニングポイントとするべく、国内のみならず、インバウンド誘客につながるよう、他地域との徹底した差別化により新たな魅力と価値の創出に取り組んでまいりました。

キャンペーンの開始に先立つ9月28日には、「体験王国いばらき」を体現し、キャンペーンの成功を祈願するため、私自ら、竜神大吊橋からのバンジージャンプに挑戦し、プロモーション動画の配信を通じて来県を呼びかけたところであります。

また、キャンペーン初日には、JR水戸駅南口ペデストリアンデッキなどにおいてオープニングセレモニーを盛大に開催し、約1万人の方にご来場いただきました。

県内各地においては、新たに掲げた「想像超えいばらき」のキャッチコピーのもと、創意工夫を凝らして生み出された250を超える体験企画を展開し、例えば、大洗町では、海の波を光で演出する企画「NIGHT WAVE」に約4万人が来場したほか、笠間市では、吉永小百合さんの出演するテレビCMの舞台となった春風萬里荘に、10月の1か月間で、昨年同月の4倍を超える方が来場し、高級料理を味わうツアー企画ではキャンセル待ちが発生するなど、大変な盛り上がりを見せております。

さらに、特別企画として商品化されたいばらき女将カード付きポップコーンが、複数の民放番組で特集されるなど、多くのメディアで取り上げられた結果、キャンペーンの周知に寄与するのみならず、新たな宿泊旅行者の獲得につながるなどの効果が現れているところであります。

引き続き、今月末までの本キャンペーンを最大限活かしながら、国内外からの誘客と観光消費の拡大を目指し、「稼げる観光地域づくり」を加速してまいります。

茨城県植物園のリニューアル

次に、茨城県植物園のリニューアルについてであります。

茨城県植物園は、隣接する茨城県民の森と合わせますと約80ヘクタールの広さを有し、手軽に自然を感じられる心身の癒しの場として、40年以上にわたり多くの県民に親しまれる一方、老朽化や類似施設の影響により利用者数は年々減少し、昨年度は約5万6千人とピーク時の4分の1まで減少しております。

このため県では、地元の皆様はもとより、県内外からより多くのお客様に訪れていただけるよう、民間のアイディアを活用したリニューアルを検討してまいりました。

先月には、リニューアルに係る基本計画の策定について、事業者を公募により選定したところであり、2025年4月のリニューアルオープンを目指し、今回提出した補正予算案において、基本設計を実施するための経費を計上いたしました。

引き続き、魅力あふれる施設へのリニューアルを進め、持続可能な施設運営につなげてまいります。

天然マガモの利活用に向けた取組

次に、天然マガモの利活用に向けた取組についてであります。

本県は、霞ヶ浦流域を中心に、全国一を誇るレンコンの産地となっておりますが、レンコンを狙ったカモによる食害の被害額は2022年度に約1億6千万円にのぼるなど、鳥獣被害の防止が課題となっております。

一方、マガモは、渡り鳥として冬季に飛来し、狩猟期間が限られるなど、希少性が高く、高級食材として取引されております。

このため、農作物の被害防止対策に加え、新たな特産品として有効活用を図るとともに、本県でしか味わえない、新たな旅の目的となる名物料理を創出し、観光誘客につなげることを目的に、天然マガモのブランド化の取組を進めることといたしました。

先月30日には、伝統的な網猟で捕獲した天然マガモについて、ブランド名称を「常陸国天然まがも」に決定し、今月1日からは、県内の人気飲食店でフェアを開始したところ、飲食店からは「うま味や香りが良く冬のメイン食材になる」との高い評価をいただいているところであります。

引き続き、「常陸国天然まがも」の供給体制の確立に努めるとともに、ブランドの磨き上げによる魅力の発信と地域経済の活性化に取り組んでまいります。

林業の成長産業化に向けた取組

次に、林業の成長産業化に向けた取組についてであります。

秋篠宮皇嗣同妃両殿下のご臨席を賜り、先月11日と12日の2日間にわたり開催した第46回全国育樹祭には、県内外から約2,200人もの方々にご参加いただくなど、大変盛況のうちに終えることができ、森林を守り育てることの重要性に加え、未来に繋がる新しい林業の姿について、幅広く普及啓発できたものと考えております。

そうした中、将来にわたり継続して森林を守り育てていくためには、適切な森林整備と森林資源の循環利用に向け、林業の成長産業化を図ることが不可欠であることから、県では、森林経営の集約化やスマート林業技術の導入支援などを通じ、安定した経営が見込める売上高4億円以上の経営体の育成を図っているところであります。

その結果、森林経営の集約化面積は、2017年度末の約2,300ヘクタールから、昨年度末には約15,800ヘクタールと約7倍まで拡大するなど、経営体の規模拡大が着実に進み、2022年度決算において3つ目となる売上高4億円以上の経営体を育成することができました。

今後とも、林業の更なる成長産業化を目指し、本県林業を牽引するトップランナーの育成に取り組んでまいります。

生活環境の保全に向けた取組

次に、生活環境の保全に向けた取組についてであります。

本県ではこれまで、不法投棄や不適正な残土の搬入などの撲滅に向け、様々な対策を講じ、決して「捨て得」は許さない、厳格な対応を図ることにより「茨城は捨てづらい」環境づくりを進めてまいりました。

その結果、不法投棄件数は今年度上期で42件と、同期比で3年連続の減少となるなど、対策の効果が表れてきたものと考えております。

一方、廃棄物と類似した性状を有しながら、新たな製品の原料として有価で取引される金属スクラップなどの再生資源物については、近年、屋外に大量かつ長期間保管され、崩落や火災の危険、搬入搬出時の騒音・振動が生じるなど、県民の安全確保や生活環境の保全が課題となっております。

このため、現行法令の規制が及ばない再生資源物の適正な保管・管理に向け、新たに保管基準を定め、一定の敷地面積を超える屋外の保管事業場の設置を許可制とすることなどを盛り込んだ「茨城県再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」を今定例会に提出したところであります。

今後とも、生活環境の保全に関わる不適正事案に対し、厳格な対応を図ることにより、安心・安全な暮らしの実現に全力で取り組んでまいります。

G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合の開催

次に、G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合の開催についてであります。

いよいよ明後日8日から、水戸市民会館で大臣会合が開催されます。これまでに、危機管理などの対応に万全の体制を整えるとともに、開催機運の醸成や、心のこもったおもてなしを提供できるよう準備を進めてまいりました。

また、在日海外メディアを対象に、本県の歴史・文化や豊かな食材、美しい自然などをPRするためのイベントや県内視察ツアーなどを実施し、本県の魅力を国内外に発信してきたところであります。

会合期間中に開催される歓迎レセプションなどにおいては、「常陸牛 煌」や「常陸乃国いせ海老」など厳選した県産食材を使用した料理や地酒の提供などにより、各国の代表団を温かくお迎えし、本県の魅力を大いにPRしてまいりたいと考えております。

引き続き、主催者である警察庁をはじめ、水戸市や関係団体などと緊密に連携を図りながら、会合の成功に向け、準備に万全を期すとともに、最高のおもてなしの提供により、本県の国際的プレゼンスを高められるよう、全力で取り組んでまいります。

東海第二発電所に係る取組

次に、東海第二発電所に係る取組についてであります。

東海第二発電所につきましては、「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」において、安全性に関する200を超える論点の検証を進めるとともに、実効性ある避難計画の策定に向け、国や市町村などと連携し、課題解決に努めているところであります。

そうした中、県では、日本原子力発電株式会社に対し、東海第二発電所から30キロメートル周辺まで避難・一時移転の対象となる区域が生じる事故・災害を想定した放射性物質の拡散シミュレーションの実施を要請し、昨年12月に報告書の提出を受け、専門家で構成する第三者検証委員会で検証した上で、避難計画の策定が義務づけられている14市町村と認識の共有を図り、先般、公表したところであります。

シミュレーション結果は、条件設定次第で変化し得るものでありますが、県といたしましては、この結果を活用し、避難に要する時間や避難時のバスの充足状況など、避難計画における対策の実効性について検証し、その内容を県民の皆様に情報提供してまいりたいと考えております。

県といたしましては、今後とも、東海第二発電所に関する様々な取組をしっかりと進めてまいります。

提出議案等

次に、提出議案等についてご説明申し上げます。

今回の提出議案は、予算の補正に関するもの2件、条例その他32件、報告1件であります。

まず、一般会計の補正予算についてであります。

今回の補正予算につきましては、先に申し上げましたとおり、令和5年台風第13号により被災した事業者に対する支援や河川・道路の災害復旧などのほか、県政の課題等へ対応するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。

この結果、今回の一般会計補正予算の総額は、56億16百万円となり、補正後の一般会計の予算総額は、1兆3,151億63百万円となります。

次に、歳出の主なものについて申し上げます。

 被災事業者再建支援事業 2億15百万円
 国補公共事業の追加 17億39百万円
 県単公共事業の追加 35億74百万円
 植物園等魅力向上対策事業 88百万円
であります。

財源としましては、国庫支出金や有利な県債などを活用いたしますとともに、所要の一般財源9億53百万円につきましては、令和4年度からの繰越金を充当することといたしました。

また、債務負担行為の補正は、一般会計ほか1会計で15件であり、公の施設の管理運営に関するものであります。

条例は、新たに制定するもの2件、改正するもの7件、合わせて9件であります。新たに制定する条例は、原子力施設の立地により必要となる安全対策などを引き続き実施するため、課税客体の追加や税率などを見直した上で、課税を継続するために必要な事項を定める「茨城県核燃料等取扱税条例」などであり、改正を行うものとしては、「茨城県公告式条例の一部を改正する条例」などであります。

条例以外の議案としては23件で、「指定管理者の指定について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。

以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

ページの先頭へ戻る

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

質問:このページは見つけやすかったですか?